佐藤賢一のレビュー一覧

  • パリの蜂起 小説フランス革命 2

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    「球戯場の誓い」からパリ市民蜂起まで。

    国民議会は国王に翻弄され、期待した途端に手酷い裏切りにあった市民たち。引き金は常に単純なもの。

    後半からデムーランが主役に。「武器をとれ!」は有名な言葉なのに、実際のところ平民たちは充分な武器をもっていなかったとは。

    そんな状態でどうバスティーユ陥落へ持ち込んだのか、次巻が楽しみ。

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    2012年04月17日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    ようやく文庫化で購入。1巻は三部会開催~国民議会の宣誓まで。

    史実ではあるけれど小説でもあるため読みやすく、一章ずつが短いのも整理しやすい。

    大好きだけど上っ面しか知らないフランス革命について、少しでも理解が深まる事を願いつつ、2巻へ進みます。

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    2012年04月11日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ネタバレ

    このシリーズで最高に面白い巻である。ルイ16世が語り手になり、パリからの脱出行を描く。スリルとサスペンスにあふれる。さらにユーモアもたっぷり。そして、思わせぶりなラスト。作者の力量を存分に発揮している。

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    2012年03月29日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ミラボー死去が前巻(6巻)・・・
    それをうけ、今回はついにルイ16世のパリからの逃避行。
    その逃避行にいたるまでの逡巡と、その計画、そして実行24時間が緊迫に満ちた国王目線で語られている。

    この巻で描かれているのは行動力と計画力のあるルイ16世、そこに不思議な魅力すら感じてしまう。
    ・・・にもかかわらずあらぬ方向に進んでしまう物語に面白みがあり、目が離せない展開が次々と現れる。

    第一部(全9巻)も、あと2巻となった。
    来月が楽しみでならない。

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    2012年03月20日
  • パリの蜂起 小説フランス革命 2

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    球戯場の誓いによって、憲法を制定するまで解散しないと宣言された国民議会(後に憲法制定国民議会と名称変更)は国王の軍隊によって威圧され、しかも大衆の支持高い平民大臣のネッケルが財務長官を更迭される。相次ぎ行われる既得権益者の仕打ちにパリの市民が暴発。デムーランは「武器をとれ!」の演説でパリ市民の蜂起を促す。若き日のコンプレックスの塊のデムーランだが、作品後半に、先導者に変貌していく彼の目線で描かれたパリ蜂起の模様にぐいぐい引き込まれていった。

    気になった言葉たち

    ★ときの権力者は民意に迎合しやすい。
    ★つまるところ、巨大な革命というものは、しばしば大して冴えない理由から始まってしまうものなの

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    2012年03月08日
  • シスマの危機 小説フランス革命 6

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    ついに英雄ミラボーが世を去る巻。
    最後の最後までミラボーらしい在り方に心を打たれた。
    そして、死の床にあって、ついに明かされたミラボーの驚愕の策!

    また、登場はせぬものの、ひしひしと伝わってくるルイ16世周囲の不穏な動き。
    ミラボーの死以降、物語も大転換を向かえることとなるだろう・・・。

    ヴァレンヌ事件につながる(であろう)7巻が楽しみ!

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    2012年02月21日
  • 双頭の鷲(下)(新潮文庫)

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    日本ではなじみの薄い、英仏100年戦争の英雄ベルトラン・デュゲグランを主役に据えた傑作。
    作者の佐藤賢一をフランス史版司馬遼太郎なんて表現する人もいるそうだが、非常に細かく調べ上げた史実にフィクションを絡ませ、まるで実際にそうだったと思わせる手法は司馬遼太郎っぽいです。

    とにかく熱く、量的にもサクサクと読める一冊でした。

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    2012年01月26日
  • 議会の迷走 小説フランス革命 5

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    この5巻は、革命(バスティーユ襲撃)から1年前後。主に議会とその裏で行われている攻防が展開されている。革命による直接的な熱がさめてきた、その安定期に浮上してくる問題の裏で動く物語。今回も大活躍だったミラボーの咆哮は次巻(6)で途絶えてしまうのだろうか?

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    2012年01月22日
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)

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    再読6度目。
    何度読み返しても型破りすぎて、いちいち面白い。
    当時のフランスの「未開」っぷりを読むにつけ、日本が洗練されてたということを感じる。
    物語としてはものすごく面白い。
    あと何度読み返すんだろう。

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    2011年11月28日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命前夜、全国三部会の召集までがメイン。ミラボー、ロベスピエール、デムーラン、名前だけは知っていた歴史上の人物が、活き活きと描かれ、物語にグイグイ引き込まれる。
    革命時のフランスは天変地異による飢饉、慢性的な財政難。どこかの国に似てるかも。

    「人々は言葉の力を信じる事で革命を実現しようとした」

    「第三身分(平民)には指導者が必要なのだ。さもないと、わけもわからないままに爆発するだけ」

    「よく覚えておきたまえ、男は保身だ。女でも、金でも、名誉でもない。男にとって、本当の大事は保身なのだ」

    「好きな女のためだったら、汚れ役でも演じてしまうのが、本当の男というものじゃないかね」

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    2011年09月29日
  • カルチェ・ラタン

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    コクリコ坂を見たばかりだったので手に取ってみた。

    めちゃくちゃ面白かった!

    軽妙な語り口、続きが気になる展開、
    魅力的な登場人物。
    この作者は日本語を自由自在に操っている!
    なんてこなれた文章なんでしょう。

    主人公ドニは当初まるでのび太君のようなだめっぷりであり、
    ことあるごとにミシェルに助けを求める。
    しかしこの主人公は前向きでどんどん成長する、すごく好感のもてる人物であった。
    私のイメージではドニは医龍の伊集院そのままで、ミシェルは朝田のような存在である。

    キリスト教、神学がテーマではあるが、世界史をほとんど勉強していない私でも理解できる内容で、難しくはありません。
    宗教がらみと敬

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    2011年09月17日
  • 王妃の離婚

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     日本の歴史小説ばかり読んでいた自分に、西洋の歴史小説の面白さを教えてくれた思い出の本です。

     十五世紀末のフランスである離婚裁判が始まります。原告はフランス国王ルイ十二世、そして被告は王妃ジャンヌ。キリスト教徒は離婚は認められていませんが、例外もあります。夫婦間に肉体関係がもたれなかったとすれば「結婚の無効取消」が認められ、離婚が成立します。とはいえ原告は国王。だれも王妃の弁護など引き受けません。その弁護を引き受けたのは実績などないに等しい弁護士フランソワ。誰の目にも負けるのは必至。果たして国王の鼻をあかして、王妃に勝利をもたらすことができるのか…

     王妃は処女なのかを議論して調査(要す

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    2017年08月15日
  • 日本の1/2革命

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    この本はタイトルの内容以上にいろいろなことを知り、考えさせられるものだった。
    第一に、フランス革命という出来事を分かりやすく知るためのテキストにもなる。巻末に関係年表と人権宣言なども載っているし、用語解説もあるので便利。
    第二に、「歴史から学ぶ」ということの本質を分かりやすく理解できるということ。小難しい歴史学の本にもいわゆる、過去の歴史から学び現代を知る的なことは書いてあるが、それを様々な事例、具体的にはフランス革命という歴史的事実と日本の事例を比較して分かりやすく説明している。歴史を学び、そしてそれを教える者として、そして何よりフランス革命を学んだ者としては、この点において深く考えさせられ

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    2011年08月08日
  • 王妃の離婚

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    小説として、純粋に面白い!!あらすじにあるように「中世フランスの法廷サスペンス」という触れ込みだったので、歴史蘊蓄が中心の堅っ苦しい本なのかなー、と思っていたんですがとんでもない誤解でした!確かに、必要十分な中世フランスの歴史知識は書かれていましたが、くど過ぎない程度で、むしろフランス史に興味がわきましたねー。題材が離婚裁判だけあって法廷シーンが多いのですが、まるで、生で裁判を見ているような臨場感です。裁判に挑む、王妃ジャンヌの気高さには自然とうっとり。そして何より、人を愛することの甘美さが文章のそこらじゅうに溢れていて、登場人物たちの感情の渦に深く飲み込まれてしまいます(小説の醍醐味はやっぱ

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    2019年01月16日
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)

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    ウンコとかチンコとか言ってる高齢童貞が英雄になって童貞喪失して悪のエドワード下痢太子をやっつける話です。

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    2010年08月23日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    フランス史を王朝からの視点で学ぶのに最適。
    王の事績が一人ずつ丁寧に書かれているので、わかりやすく頭に入りやすい。
    佐藤賢一は結構好きで読んでいるが、専門家が読んだら突っ込みどころが多いんじゃないかと思いつつ、フランス史関係のザックリの知識を得るには十分ではないかと思っている。
    この本と同じく佐藤賢一の「オクシタニア」を合わせて読むと「アルビジョワ十字軍」が面白くなる。

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    2010年08月02日
  • 傭兵ピエール 上

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    俺の名前はドゥ・ラ・フルトの私生児ピエール。泣く子も黙る傭兵隊「アンジューの一角獣」のボスさ。西に戦争があれば今日沈む太陽よりも速く駆けつけ、東に富ある村があれば、略奪、強姦の限りを尽くしてやる。ところが、最近隊の様子がちょこっとおかしい。家庭的雰囲気ってやつか?攫ってきたはずの女どもが隊に妙になじんじまって、やりにくいったらありゃしねえ―。

    後に百年戦争と呼ばれたフランスとイギリスの争い。アングル王(イギリス軍)の度重なる侵略戦争によってフランス王家の権威は失墜し、フランス国土全体を混沌が覆っていました。そんな混迷の時代に躍進した無数の傭兵隊のうちの一つ、ピエール率いる「アンジューの一角

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    2010年04月18日
  • カルチェ・ラタン

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    「王妃の離婚」に続き、再読。やられたなぁと思いながら、この作品も泣きました。
    歴史小説であることを忘れそうになるほど生き生きとした魅力的な登場人物がこの人の持ち味ですが、主人公はもとより周囲の人物像が心憎いほど上手い!

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    2009年12月06日
  • カエサルを撃て

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    英雄中の英雄として知られるジュリアス・シーザーを
    いきなり冴えない中年と評するところから出発し、

    この冴えない中年がいかなる選択を繰り返し、
    若き英傑ヴェルキントリクスといかに対決し、
    そして英雄と呼ばれるにふさわしい戦歴を残すこととなったのか。

    英雄の風評を逆手にとって、
    意外なキャラクター造形を設定し、
    しかもそれを史実と矛盾なく、むしろ「こうきたか!」という
    驚きに変えて引き込んでしまうという、
    まさに佐藤賢一節の真骨頂!


    題材のメジャーさもあって
    間違いなく楽しめる必読の一冊!

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    2009年11月25日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    歴史小説家である著者さんが書いた歴史の本。フランク王国の分裂に端を発する西フランク≒後のフランスの二代目の王朝のお話。
    「王は凡庸、周りの敵は華麗にして強大。絢爛と呼ぶには余りにもささやかなフランス王家物語の幕が、いまあがる」という帯の文句に惹かれて買いました
    なんというかっこいい煽り文句だwww

    学生時代には地理はともかく歴史は大の苦手で、世界史なんていったら昼寝の時間と決め込んでいた私ですが、時代を追って列記された王の周辺やその時代背景なども折り込みながら、性格分析などを交えて紹介される文体は読みやすく、小説を読むようにすいすいと頭に入ってきます。
    上司や部下との関係、嫁姑問題など卑近な

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    2017年10月22日