佐藤賢一のレビュー一覧

  • カエサルを撃て
    カエサルとガリアとくれば、『ガリア戦記』(ユリウス・カエサル著)が有名ではありますが、それはしょせん、勝者の立場から書かれた作品。
    多くの歴史が証明しているのは、”歴史は勝者によって書き換えられる”ということです。

    本書の巻末にもありますが、文学の想像力によって歴史の裏側に追いやられたことを想像し...続きを読む
  • 剣闘士スパルタクス
    人それぞれ好みはありますが、私はこの本は好きです。
    古代ローマ帝国の属国となった国の解放奴隷たちの一部が剣闘士となり、生粋のローマ人のために命をかけて、闘技場でまさに命を賭けて戦う……
    剣闘士としての栄誉は与えられても、境遇は一切変わらず、スパルタクスが仲間と共に脱走し、それが大規模な解放奴隷の反乱...続きを読む
  • 王妃の離婚
    原告:フランス王ルイ12世ことルイ・ド・ヴァロワ
    被告:ジャンヌ・ド・フランス
    申し立て内容:婚姻の無効

    ナント地方の弁護士であり、かつてはカルチエ・ラタンの伝説の男であるフランソワ。
    離婚裁判を傍聴にいき、ある事情から王妃の弁護を引き受けることになります。
    絶望的とも思える瀬戸際から、現場の手練...続きを読む
  • 傭兵ピエール 下
    乱世である。フランス王国は戦火に苛まれていた。アングル(イングランド)王の侵略が始まって、もう百年がたとうとしている。この戦争は昨今「百年戦争」と呼ばれていた。
    (上巻本文15ページより)

    時は革命から遡ること360年前の百年戦争の最中。
    傭兵部隊「アンジューの一角獣」のシェフ(料理人ではなく頭目...続きを読む
  • カペー朝 フランス王朝史1
    弱さが幸いする、ということもあって、そこが人間の世の中の面白さになっている。

    己の無力さを知っていたユーグ・カペ―だからこそ、細く長く続く先に、希望を繋げることが出来たんですね。

    987~1328年のカペー朝。
    ルイ一世はフランスの王ですらなかった。

    西欧はローマ帝国とカトリックの歴史が外せな...続きを読む
  • テンプル騎士団
     長く疑問であったのが、何故テンプル騎士団はフィリップ4世に潰されたのか?わざわざフランスという大国が潰す必要があるものなのか?だった。
     その疑問もこの本で納得した。理由は、テンプル騎士団=中世の銀行という構図。中世において金貸しと言えば、シェイクスピアでお馴染みのユダヤ人。金貸し・金融業はキリス...続きを読む
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)
    100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
    ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちにな...続きを読む
  • 双頭の鷲(下)(新潮文庫)
    100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
    ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちにな...続きを読む
  • 二人のガスコン (下)
    小さい頃から知っているつもりの三銃士物語のダルタニャン。時代背景や政治、宗教を理解して読むのは意外にも初めてのでした。
    映画の三銃士的な痛快さを期待していたから読み始めは堅い気がした。しかしその堅さがあるから後々の痛快さが楽しめた。
    西洋史は宗教絡みが多く無宗教な日本人の私には共感できないと思ってい...続きを読む
  • 二人のガスコン (上)
    小さい頃から知っているつもりの三銃士物語のダルタニャン。時代背景や政治、宗教を理解して読むのは意外にも初めてのでした。
    映画の三銃士的な痛快さを期待していたから読み始めは堅い気がした。しかしその堅さがあるから後々の痛快さが楽しめた。
    西洋史は宗教絡みが多く無宗教な日本人の私には共感できないと思ってい...続きを読む
  • 二人のガスコン (中)
    小さい頃から知っているつもりの三銃士物語のダルタニャン。時代背景や政治、宗教を理解して読むのは意外にも初めてのでした。
    映画の三銃士的な痛快さを期待していたから読み始めは堅い気がした。しかしその堅さがあるから後々の痛快さが楽しめた。
    西洋史は宗教絡みが多く無宗教な日本人の私には共感できないと思ってい...続きを読む
  • パリの蜂起 小説フランス革命 2
    議会が切り捨てられようとする中、ミラボーとロベスピエールにそそのかされたデムーランの演説でついにパリで暴動が!ただし、結局暴動が革命となるには(一部でも)軍隊の合流が不可欠であることが明確に描かれている。国家が国家たりえるのは暴力装置を独占しているからなのだから、その独占を打ち砕かなければ革命は成就...続きを読む
  • 粛清の嵐 小説フランス革命15
    マラ暗殺を契機に流れは反ジロンド派に。マラの後継者を自認し、増長するエベール派にロベスピエール以下公安委員会も引きずられ、ついにはロラン夫人も断頭台へ。そしてサン・ジェストは派遣議員として前線に行く中、ダントン・ロベスピエール・デムーランによるエベール派への反撃が始まる(その間も血は流れ続ける
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7
    ミラボーが亡くなって・・・ロベスピエールはレベルが上がった!目的達成のための政略を覚えた!そして、頼れる部下を失ったルイ16世は初めて自分で先の事を決め・・・
    フランス革命において、ルイ16世目線ってのは初めて読んだ気がする。今まであまりにも愚鈍という定説を何も考えずに受け居ていたなあと反省
  • 共和政の樹立 小説フランス革命12
    人民裁判で多くの血が流され、革命は暴走し、そしてルイ16世改め、ルイ・カペーの首が落ち、時代が変わる。
    サン・ジェスト、デビュー戦でいきなり鮮やかな勝利。(原理原則を重んじる『支持者』の存在が、純粋化・過激化を生むのだろうか?とか<ロベスピエールとサン・ジェストの関係から
  • シスマの危機 小説フランス革命 6
    東にロベスピエールが理想論をぶっていれば、行って現実に戻してやり、西にタレイランが己のプライドで話を台無しにすれば、行って後始末をしてやる。大臣も国王も議会も頼ってきたそんなミラボーが死んだ。そして革命はどこへ向かうのか。
  • ジロンド派の興亡 小説フランス革命 10
    ジロンド派の興亡というか、マノン・ロランの栄光と挫折って感じか。一人分の権利よりも、利用できる物は利用して権力を!ってのは素直で良いなw
    そして、ルイ16世の深謀遠慮と、ロベスピエールの開眼!
  • ジャコバン派の独裁 小説フランス革命14
    エベール(デュシェーヌ親父)の扇動も有り、パリは三度目の蜂起。ついに選挙で選んだ議員さえも…そして革命の主役はロベスピエールへ(次巻)サン・ジュストなかりせば穏便な道もあったのだろうか…
  • 徳の政治 小説フランス革命16
    狂言廻したるエベールが退場。断頭台の露と消える。理屈をこねるよりも直感が正しい事ってのもあるよなあと。そしてダントンが直接止めに掛かるがロベスピエールはもはや…
  • サン・キュロットの暴走 小説フランス革命13
    エベールが登場したので冒頭から下品になりましたw表現もロラン夫人が嫌がる展開にw(11巻の『八月の蜂起』あたりから急速に血なまぐさくなってきた。