佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ド・ゴールの第二次世界大戦中の活躍は、知られている。
しかし、第二次世界大戦後のアルジェリア独立運動時の国内外の困難な状況については、よくわかっていなかった。誰も事態を収拾できない中で、火中の栗を拾い、命を失う危険に何度もあいながらも、見事に解決しきった政治力と度量には感銘を受けた。ド・ゴールにせよ、アデナウアーにせよ、この頃の欧州の保守政治家の識見・力量は凄いと思う。
公人としての評価は好みが分かれると思うが、私人として家族を大切にし、死後の国家的栄誉を一切受けなかったド・ゴールはカッコ良い。素晴らしい伝記を書いてくれた著者に感謝だ。 -
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佳き。
一気に拝読しました。堪能しました。ありがとうございます。
離婚したくない王妃と離婚したい王が、セックスしたのかしていないのか(どなたかも仰っているようにR指定に同意します)、婚姻関係を22年経た後の、教会裁判の物語、が出来事になります。
その裁判を通して、心と「身体」に喪失を抱く中年弁護士が救済されていく物語が、主旋律として覆いかぶさるように奏でられていきます。さらに彼に複雑な想いを抱き続け生きてきた近衛騎士も、救われているように読めました。
沢山の人たちの想いが、切なく重なり合い描かれ、本当に佳き。。。
重くなりがちなエピソードが続くのに、グイグイと読まされました。ありがとうございます。
歴史全般、明るくはないのですが、ボルジアの毒薬については、塩野七生さんや川原泉さんの作品で愉しんでいました。本作でも触れられ、そこから俄然、面白さが倍増しました。
この作品、コミックで是非とも。
『異世界の沙汰は社畜次第』を連載中の采 和輝さんが描かれたら嬉しいなぁって妄想します。
集英社様、如何でしょうか。 -
Posted by ブクログ
これは面白かった!!
佐藤賢一氏の小説は初読み。歴史書である新書『テンプル騎士団』が面白かったので読んでみました。
ヨーロッパの歴史を舞台にしたエンタメ小説。
ちょっと下ネタ満載なのでR15指定してもいいくらいですね。
でも面白い。
この時代ってキリスト教がすべてにおいて優先されるので裁判も教会が仕切っていたのですね。勉強になる。
いわゆる離婚裁判なのですが、この当時のキリスト教では離婚は禁じられています。
ではどのように離婚を?となりますが、そこは抜け道があります。
その結婚は最初から無効だったのだ!
と唱えるわけです!
・・・ってそりゃ詭弁だろ!
いろいろとツッコミどころ満載の当時の制度ですが、いやはや、昔の人と言えど、やはり同じ人間。同じ悩みがあるのですなぁ。
まあ、すごく面白かったので、ヨーロッパの歴史に興味がある人はぜひ一読を。 -
Posted by ブクログ
明治時代の初め頃、明治6年頃から明治11年頃を背景とした時代モノの小説である。
「明治6年頃から明治11年頃」?この時期というのは、“征韓論”という論争、政争が在って、明治政府の大物達が下野してしまい、士族反乱も相次いで起こるが、最大にして最も苛烈であった“西南戦争”が発生し、戦後に政府の主要な指導者であった大久保利通の暗殺事件が起こっている。
明治時代には様々な分野で色々な事が起こっている訳だが、「明治6年頃から明治11年頃」というのは殊更に劇的な時期かもしれない。
本作には何人かの視点人物が据えられているのだが、最も主要な視点人物は幕末期に<新徴組>(しんちょうぐみ)の隊士であったという青年、沖田芳次郎(おきたよしじろう)である。
<新徴組>(しんちょうぐみ)?これはやや知名度が低いかもしれない。
幕末期、200年以上も行われなかった将軍の上洛という状況が生じ、清河八郎の献策に拠って方々の有志が募られて<浪士組>が結成されて京都に向かった。
京都に着いて間もなく、清河八郎は「攘夷の尖兵に!」と主張して<浪士組>は江戸へ引揚げると言い出した。芹沢鴨を中心とする水戸浪士のグループや、近藤勇を中心とする試衛館道場の面々は江戸へ引揚げることに異を唱えた。そして彼らは京都に残留し、京都の治安維持を任務とする<京都守護職>に就任していた会津松平家の“御預”ということになって、<新選組>として知られるようになって行った。
京都に残留して<新選組>になった人達に対し、江戸へ引揚げた人達はどうなったのか?清河八郎は幕府関係者が手を下したとされるが、暗殺されていて、<浪士組>参加者達はとりあえず残っていた。これを“御預”として擁することになったのが庄内酒井家だった。江戸の治安維持という役目を負うことになった庄内酒井家は、<浪士組>の人達を<新徴組>と称して抱え、治安維持任務に邁進したのだ。
<新徴組>は隊列を組んで治安が悪化していた江戸市中を定期的に見廻るという活動をしていたが、その様子を江戸の人達が「お巡りさん」と呼ぶようになった。<新徴組>は、街の治安を護る警察官を俗に「お巡りさん」と呼ぶようになった“元祖”という側面も在る…
<新徴組>の隊士の多くは、江戸での<浪士組>の募集に応じた方々の人達で、庄内酒井家に代々仕えていたのでもない人達ばかりだ。が、庄内酒井家が戊辰戦争で「敗れざる降服」を選ばざるを得なくなった後、庄内酒井家の家中の士と共に旧領内の開墾等に勤しんでいるという例が多かった。
本作の主人公と呼ぶべき沖田芳次郎もそうした例に洩れず、庄内酒井家に所縁の人達と行動を共にしていた。父の沖田林太郎や、叔父の沖田総司のように天然理心流の剣術を学んでいた剣客である芳次郎は、その能力を活かし、庄内酒井家旧領に現れる不審者を捕えるなどしていた。明治6年頃、そうした例が酷く多くなった。そういう辺りから物語は起こる…
芳次郎は揺れ動く情勢下で要人警護の役目を託される。戊辰戦争の際に庄内酒井家の精兵を率いて勇戦し、「鬼玄蕃」と畏怖された俊英である酒井玄蕃を護る役目を負う。
やがて刺客を撥ね退ける活躍を見せる芳次郎だが、それでも酒井玄蕃は彼を敵視する人達の毒牙に…そして「遺訓」が芳次郎に与えられる。芳次郎は鹿児島で活動することとなる。
「勝者」とは?「敗者」とは?「戦う」とは?「戦わない」とは?戊辰戦争を経ても、尚も政争に起因する内戦が発生した、或いは敢えてそうさせたという人達が在ったかもしれない世界が問い掛ける何か…そういうものが手に汗握る活劇、謀略を解き明かして行くような推理、芳次郎の淡い恋の行方、凄惨な西南戦争の戦場という様々な要素で綴られている。一気に読んでしまう…
なかなかに魅力的な作品なので、広く御薦めしたい… -
Posted by ブクログ
フランスを舞台にした歴史小説を得意とする佐藤賢一氏による百年戦争の概説書である。
百年戦争は、現代の主権国家体制に馴染んだ我々からすると、つい安直にフランスとイングランドが戦った戦争である、と思い込みがちである。
そう思い込むと、大変分かりづらくなるのが百年戦争である。
本書は、百年戦争以前にはいわゆる国家としてのフランス・イングランドは存在しなかったという前史を確認することから始まり、この百年の争いを通じてナショナリズムが芽生えていったとの結論で終える。
元々、読みやすい文章を書く人だが、全体が上記のあらすじに支えられているため、茫漠としていた百年戦争の輪郭が読むほどに浮かび上がるようだ。
読みやすさとそれなりに踏み込んだ歴史知識を盛り込んだ一般読者層向けの概説書を書かせたら一級品である。
大変楽しく読めたし、この時代に関する理解が深まった。お勧め。 -
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秒だった
市民の冠で子供を抱くシーンやバルナーヴとの別れのシーンは小説ならではで、浪漫のある会話で面白い。
我々はこの先の歴史を知ってしまっているだけに、続きの頁を捲る手が重い。
サン=ジュストの登場のタイミングは、意図的なのですよね? -
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作家、佐藤賢一によるフランス王朝史。歴史学者ではない小説家ならではの表現が連発の「楽しんで読むフランス史」といった感じ。どこまで史実なのか混乱するが、新書といえど小説家が書いているのだから、全て事実のはずがないと知ったうえで読むべきだ。
アンリ4世から始まったフランス王家ブルボン朝はおなじみのルイ一族が登場。太陽王ルイ14世で全盛期を迎える。一族はフランス革命、ナポレオン皇帝誕生を経て滅亡したかと思いきや、意外にも亡命先でしぶとく生き残り、復活のチャンスを待つ。ナポレオン失脚後、奇跡的にルイ18世は王として復活し、彼を含めた3人の王を経て、フランスは共和制へ移行。ブルボン朝はフランス最後の王朝となった。
本書に登場するブルボン王はギロチンで処刑されるルイ16世までで5名。5名とも長寿を保ち、それなりの在任期間があり、それぞれの個性が発揮されているので、列伝として読み応え十分。しかし、王自身に政治力や決断力があるとは思えず、フランスを動かしていたのは、主に王の取り巻きたち。存在するが統治せず。その意味では、フランス王朝は日本の天皇家によく似ている。 -
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ブルボン朝の始祖アンリ4世からルイ16世および王政復古後のルイ18世、シャルル10世、ルイ・フィリップの年代氏。アンリ4世が獅子奮迅の働きでヴァロワ朝末期のユグノー戦争の後始末をまとめる。それ以降は、王領以外のところへの支配力をアンタンダン制と呼ばれる地方政治のチェックを官僚化によって強化し、徴税能力を高める、またルイ14世以降特に国家の文化的威信を高め、中央集権化を完成させる。また特徴としては、歴代の王の在位期間が長い。30年弱とヴァロワ朝より10年近くのびた。またリシュリュー、マザランといった優れた宰相がいたことも幸いした。文化への継投が啓蒙主義を保護し、結果としてはフランス革命を促した側面もある。何より、サイドラインの話がゴシップでしかなく面白い。