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Posted by ブクログ
乱世である。フランス王国は戦火に苛まれていた。アングル(イングランド)王の侵略が始まって、もう百年がたとうとしている。この戦争は昨今「百年戦争」と呼ばれていた。
(上巻本文15ページより)
時は革命から遡ること360年前の百年戦争の最中。
傭兵部隊「アンジューの一角獣」のシェフ(料理人ではなく頭目のこと)であるピエールは、ある夜、「自分はフランスを救うために、神に遣わされた」と主張する一人の少女と出会います。
彼女こそ、のちのフランス救世主ラ・ピュセル(乙女)ことジャンヌ・ダルクでした。
この運命ともいえる出会いを皮切りとして、戦乱の世を共に戦い、一度は別れ、再び劇的なめぐりあいを果たす、冒険に満ちた二人の数奇な人生が描かれています。
傭兵は、いわば「戦争屋」ですが、戦さのない平時には当然ながら失業状態であり、生きるために略奪暴行殺人誘拐人身売買などなど、悪事の限りを尽くすならず者集団でもあったようです。
先に述べた二人の出会いも、実はピエールの部隊が、旅路にあるジャンヌと従者一行を襲い、ピエールが彼女を今にも犯そうとしたことがきっかけ。
これだけ書くと、「主人公に感情移入どころか、単なる極悪人やんけ」と思われそうですが、そこは「小説フランス革命」で、一癖も二癖もある数多の人物を活き活きと書ききった佐藤さん。
読み進めるうちに、ジャンヌ同様、ピエールという男に否応なく魅きつけられていきます。
また、史実という厳然たる枠組みの中に、大胆な大ボラを挟み込んだアッと驚くストーリー。
一瞬唖然とするものの「えっ、それでどうなるの、どうなるの!?」と驚愕の中、先が気になって、特に下巻は途中でやめることができませんでした。
さて、次の佐藤作品は何を読もうかな。
Posted by ブクログ
ジャンヌ・ダルクと共に戦ってから2年。ピエール率いる傭兵隊は田舎町で安全かつ安定した生活を送っていた。そんなピエールのもとにジャンヌ・ダルクを救出せよという密命が依頼される。
上下巻通してやっぱり面白い!
ジャンヌ・ダルクへの思いをつらぬき、ようやく見つけた安住の地から旅立つピエールの姿はカッコいいの一言に尽きます!
ジャンヌ・ダルクとピエールの恋愛模様はキリスト教や聖女といった観念から擦れ違いが起きるのですが、それをどう乗り越えていくか、そして乗り越えるピエールの言葉も(下ネタにも関わらず)カッコいい!
そうしたピエールのかっこよさだけでなく、戦乱のヨーロッパの悲劇や闇という面にも触れられていて、そうしたところもまた小説に深い味わいを残していると思います。
大団円もここまで綺麗にまとめるか、というくらいにジャンヌ・ダルクとの出会いで、生き方から何まですべてを変えたピエールを祝福するかのようで、
でもその一方で政治の闇の深さとピエールのその後の暗示をしているような描写で、少しもの寂しさを感じさせるものでもあり、
とにもかくにもこんなに気持ちいい気分で小説を読み終えたのは久々のように思います。
冒険譚であり、恋愛ものであり、主人公の再生ものであり、そしてしっかりとエンタメをしている、読んでいてとても楽しい歴史小説でした!
Posted by ブクログ
上巻に比べてあっという間に読んでしまった(汗)。
止まらなくって、実はほぼ完徹‥(汗)。。眠い。。
上巻を読んだ時点では、「ピエールとジャンヌとはこれ以上どうこうならないんだろうなぁ‥」なんて思っていたわけですが!
さにあらず!で、びっくりしやした。
でも「これでくっつくのか!?」と何度思い、肩透かしをくらったことか。
‥うーん、この話は大河ラブロマンスだったのね(笑)。
後半は怒濤のように謎が明かされ、物語は終焉に向かっていくし。
この回収の仕方が、娯楽小説らしいなぁ‥なんて思っちゃった。
ドゥ・ラ・フルトの私生児ピエールの出生も、本人は気づかぬながら明かされたし、ジャンヌとの関係も大団円。なんとピエール、領主になっちゃうし!
それでも読後感は、なにやらもの悲しさを感じてしまった‥。
ピエールの立場もそう。そして彼に忍び寄る病魔の影もそう(胃潰瘍か胃癌か‥。きっと当時は胃潰瘍でも死にいたる病なんだろうなぁ‥。夏目漱石だって胃潰瘍で亡くなったし)。
そんな中での彼がラストに見せる「会心の笑み」は、一層読んでいてせつなくなってしまった。
うー、ピエールーっ。
しばらく後をひきそうだぁ‥。。
‥それで、コミック化してる単行本をAmznで注文しちゃったよ‥(失笑)。
+ + +
やっと文庫を発見。これから続きを読みまする。2008.09.21.
Posted by ブクログ
再読。
傭兵ピエール。恋愛、冒険、歴史、戦いこういうエンターテイメント作品好きだな。
ピエールの中には常にいつも運命の人ジャンヌが潜んでいて、ジャンヌを救い、ジャンヌを守り、ジャンヌを励ますことが生きることの意味だった。
好きな人を守る。
仲間を守る。
困っているを助ける。
だから愛される。
途中、ジャンヌと結ばれるまではヤキモキしながら読んでたが、ラストの「傭兵ピエール、まずは会心の笑みだった。」で納得した読み切りでした。
ジャンヌも正義感が強く融通が利かないが純粋な魅力的な女性。
旅籠でひとつの寝台に眠りジャンヌが「わたしは、ただのジャネットです」
…。ピエール!何で!思わずつぶやいちゃいました。
Posted by ブクログ
普段、女性作家の本ばかり読んでいるので、野性味溢れる男性的な展開に慣れず、最初のうちは思い悩んでしまった。
しかし下巻に入ってからは展開が気になって一気に読んだ。
ピエールは粋で情が深い。この人についていけば大丈夫、となんとなく思わせるものがある。それで、男も女もピエールの周りに集まってくる。つい惹かれてしまうのもわかる気がする。
ピエールは最初から最後まで一貫してジャンヌを好きではあるのだが、その途中に何人もの女性が登場し、その度に情をかけてしまう。
でも悪気は全くないし、ジャンヌを傷つけるつもりもない。
後ろ暗いところがないので、許すしかない。
あんな風に生きられるなら楽しいだろうなぁと思った。
誰もが幸せになるラストで読み終わりはとてもすっきりした。
Posted by ブクログ
(上)(下)まとめて。
史実をある程度なぞりながらも娯楽性をバランスよく散りばめた感のある前半の描写に始まり、上巻の後半あたりからはもう飛ばしまくりというか、少年誌の連載マンガのようなハチャメチャな展開に続いていく。
紙幅としてはかなり長い話ながら、中盤以降のスピード感はまさに疾駆の状態で、ご都合主義の何が悪い、という風な開き直りの声とともに、ドタバタという音すら聞こえてきそうなほどだ。
特に「王妃の離婚」などの傑作と比べると非常に粗い作品なんだけど、面白い。
そこはやっぱり佐藤賢一氏の筆力。
他の好きな作家たちと同じように、文章のリズムや選択された語彙が私の感覚にとても合っているから、どうあっても面白い。
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