佐藤賢一のレビュー一覧
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ネタバレ「できることなら、私は世界を征服したいと考えている。シャルルマーニュのように大帝国を築きたいと思っています。」(本文抜粋)
ナポレオンがこうも自身の野望に突き動かされたのは、故郷コルシカから拒絶されたことにありました。(1 台頭篇参照)
故郷の為に一身を捧げた結果、彼は憎きフランスへの逃亡を余儀なくされます。
帰るべき故郷がないならば、ナポレオン・ボナパルトによる覇権国家をひとつ創ってしまえば良い。
フランスにて常勝将軍の地位を確立するうち、彼はいつしか意識するようになります。
今の地位は、そのための道具に他ならないのだ、と。
第1章 冒険
ナポレオンは国家の重鎮タレイランに野望を打ち明 -
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この作者は本当に日本人かしら…そう疑うほどの歴史認識と西洋理解、モンマルトルを歩く学生はほぼ坊さんで、血の気は多いは理屈っぽいはにはじまって、苦悩の先に離婚裁判。でも、ちょっと待って?!フランスってカトリックだよね、離婚できたっけ??
こんなお話を面白く地についた物語に仕立てるって、出来る?もう、一気読みでした。凄いです。作者はややこしいフランス王朝史をきっちりものされ、フランス革命をあっさりバッサリわかりやすく説明出来(ほんとにこれって凄い事です。目から鱗でした。)フランスを中心としたヨーロッパの歴史を学問し尽くした佐藤賢一氏。ですよね、でないと書けないよね。
読みながら、なかなか日本人には -
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ド・ゴールの第二次世界大戦中の活躍は、知られている。
しかし、第二次世界大戦後のアルジェリア独立運動時の国内外の困難な状況については、よくわかっていなかった。誰も事態を収拾できない中で、火中の栗を拾い、命を失う危険に何度もあいながらも、見事に解決しきった政治力と度量には感銘を受けた。ド・ゴールにせよ、アデナウアーにせよ、この頃の欧州の保守政治家の識見・力量は凄いと思う。
公人としての評価は好みが分かれると思うが、私人として家族を大切にし、死後の国家的栄誉を一切受けなかったド・ゴールはカッコ良い。素晴らしい伝記を書いてくれた著者に感謝だ。 -
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佳き。
一気に拝読しました。堪能しました。ありがとうございます。
離婚したくない王妃と離婚したい王が、セックスしたのかしていないのか(どなたかも仰っているようにR指定に同意します)、婚姻関係を22年経た後の、教会裁判の物語、が出来事になります。
その裁判を通して、心と「身体」に喪失を抱く中年弁護士が救済されていく物語が、主旋律として覆いかぶさるように奏でられていきます。さらに彼に複雑な想いを抱き続け生きてきた近衛騎士も、救われているように読めました。
沢山の人たちの想いが、切なく重なり合い描かれ、本当に佳き。。。
重くなりがちなエピソードが続くのに、グイグイと読まされました。ありがとう -
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これは面白かった!!
佐藤賢一氏の小説は初読み。歴史書である新書『テンプル騎士団』が面白かったので読んでみました。
ヨーロッパの歴史を舞台にしたエンタメ小説。
ちょっと下ネタ満載なのでR15指定してもいいくらいですね。
でも面白い。
この時代ってキリスト教がすべてにおいて優先されるので裁判も教会が仕切っていたのですね。勉強になる。
いわゆる離婚裁判なのですが、この当時のキリスト教では離婚は禁じられています。
ではどのように離婚を?となりますが、そこは抜け道があります。
その結婚は最初から無効だったのだ!
と唱えるわけです!
・・・ってそりゃ詭弁だろ!
いろいろとツッコミどころ満 -
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明治時代の初め頃、明治6年頃から明治11年頃を背景とした時代モノの小説である。
「明治6年頃から明治11年頃」?この時期というのは、“征韓論”という論争、政争が在って、明治政府の大物達が下野してしまい、士族反乱も相次いで起こるが、最大にして最も苛烈であった“西南戦争”が発生し、戦後に政府の主要な指導者であった大久保利通の暗殺事件が起こっている。
明治時代には様々な分野で色々な事が起こっている訳だが、「明治6年頃から明治11年頃」というのは殊更に劇的な時期かもしれない。
本作には何人かの視点人物が据えられているのだが、最も主要な視点人物は幕末期に<新徴組>(しんちょうぐみ)の隊士であったという青 -
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フランスを舞台にした歴史小説を得意とする佐藤賢一氏による百年戦争の概説書である。
百年戦争は、現代の主権国家体制に馴染んだ我々からすると、つい安直にフランスとイングランドが戦った戦争である、と思い込みがちである。
そう思い込むと、大変分かりづらくなるのが百年戦争である。
本書は、百年戦争以前にはいわゆる国家としてのフランス・イングランドは存在しなかったという前史を確認することから始まり、この百年の争いを通じてナショナリズムが芽生えていったとの結論で終える。
元々、読みやすい文章を書く人だが、全体が上記のあらすじに支えられているため、茫漠としていた百年戦争の輪郭が読むほどに浮かび上がるようだ -
購入済み
秒だった
市民の冠で子供を抱くシーンやバルナーヴとの別れのシーンは小説ならではで、浪漫のある会話で面白い。
我々はこの先の歴史を知ってしまっているだけに、続きの頁を捲る手が重い。
サン=ジュストの登場のタイミングは、意図的なのですよね? -
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作家、佐藤賢一によるフランス王朝史。歴史学者ではない小説家ならではの表現が連発の「楽しんで読むフランス史」といった感じ。どこまで史実なのか混乱するが、新書といえど小説家が書いているのだから、全て事実のはずがないと知ったうえで読むべきだ。
アンリ4世から始まったフランス王家ブルボン朝はおなじみのルイ一族が登場。太陽王ルイ14世で全盛期を迎える。一族はフランス革命、ナポレオン皇帝誕生を経て滅亡したかと思いきや、意外にも亡命先でしぶとく生き残り、復活のチャンスを待つ。ナポレオン失脚後、奇跡的にルイ18世は王として復活し、彼を含めた3人の王を経て、フランスは共和制へ移行。ブルボン朝はフランス最後の王