佐藤賢一のレビュー一覧

  • ハンニバル戦争

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    ずっと前から読もうと思いながらも積んだままになっていた本。
    『(第二次)ポエニ戦争』とせずに『ハンニバル戦争』としているところがポイント。ローマがカルタゴを抑え込んだ凄さではなく、ローマを長く苦しめたハンニバルの脅威を強調して描いている。ホントにもうしつこいくらいに。
    物語の視点はスキピオの方。ハンニバルとの直接対決が最後の方で、しかも序盤は敗けが続くのでなかなか盛り上がらない。その辺りは仕方のない部分ではあるけれど。
    ともあれ歴史物は面白い。他のも読みます。

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    2021年05月23日
  • 王妃の離婚

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    どうしようもないフランス王、ルイ十二世から離婚裁判をおこされた“醜女”ジャンヌ王妃の実話をベースにした物語。絶対不利な状況で弁護人に雇われたのは、舌鋒鋭いながら過去にトラウマを持つフランソワ。細かな心情を執拗に描き出す佐藤賢一氏らしい作品は、ハマらないと読むのが辛くなるが、この作品はどんどこ読みたくなる展開に、執拗な描写が見事にハマって、調子良く読み進めることができた。ラストの仕掛けもわざとらしくなくドラマチックで、ハリウッドで映画化したら面白そうと思ってしまった。

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    2021年05月23日
  • 遺訓(新潮文庫)

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    沖田芳次郎という実在ではあるが、歴史上主流ではない人物を中心に据えて、庄内と薩摩、中央政府と地方、権力の勝者と敗者が絡み合う微妙な構図をうまく仕上げた作品かと思った。
    これを読む前、伊東潤の『西郷の首』を読んでいたことから、大久保暗殺のところは、読み比べな感じで、面白く読み進めた。

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    2021年01月30日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    面白かった!ユーグ・カペーから始まった簒奪王朝が、代を重ねる毎に実力と品格を備えていく一代記。読み応えが素晴らしく、学校の世界史では学べない細かな出来事や魅力的な登場人物を知ることが出来た。

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    2020年10月31日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    小説というだけあって読みやすいです。主にミラボーとロベスピエールを中心に話が進みます。
    「第三身分とは何か。ーすべてである。」そこに革命の始まりが感じられました。

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    2020年10月17日
  • カポネ 下

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    ネタバレ

    本書は、2部構成となっています。第1部はアル・カポネの立志から栄華をカポネの視点で描く。取るに足らない(しかし才はある)貧民街のイタリア系移民が、如何にして、不俱戴天の仇であるアイルランド系移民と闘争し、裏社会に身を投じそして頂点を極めるに至ったか。そして、多くの映画、劇、活字のイメージと異なるありのまま"人間"としての彼が、人々に好まれ羨望の眼差しを向けられるように至ったかが綴られています。

    "イタリア人の誼でな" (引用:『カポネ 上』角川文庫、p.149)
    "なあ、マーク、この俺も言わせてもらうぜ。「俺のために、いつか力になってくれとな

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    2020年05月24日
  • 王妃の離婚

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    想い出と現在との関わり、
    登場人物のディテール、
    当時の文化など、
    非常にうまく繋がって、飽きさせず、
    一気に読まされました。
    真実をついている、と思わされる箇所も多々あり、
    とても面白かったです。

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    2020年05月09日
  • 英仏百年戦争

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    英仏百年戦争というが、英国も仏国もなかった。フランス人同士の長い戦いの中で英と仏という国ができた。というお話。なるほど。世界史詳しくないので一つ理解できなかったのが、王とそれ以外の公や伯との違い。イギリス王だって元々ノルマンディ公ですよね。でも、王になるとフランス王と同格になる?他の領主に封を与える権利?これはどこから来てるの?ローマ法王?日本の戦国時代の将軍や天皇と各大名の関係とも違う気もするし。ここが理解できる本があったら教えて下さい。巻末に両王家の系図があるので確認しながら読むのをお勧めします。

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    2020年04月23日
  • ブルボン朝 フランス王朝史3

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    歴史の単語としては知っていた「サンバルテミーの大虐殺」「ナントの勅令」の事情がわかり、面白かった。この時代、「絶対王政」って言葉からでるイメージから、さぞかし強力な支配体制とおもいきや、逆で、イメージで「フランス」という意識を演出していたとの説に、「そうだったのか!」と驚いた。臣下に丸投げする王様。戦争ばかりしていて、かつアメリカ独立を支援したばかりに借金が重なり、数々の増税。革命が起きたのも、もっと増税するには、民の承認が必要となり、全国三部会が開かれて、結果、第三身分の政治意識の高まりに打倒されてしまった。不思議な綾を感じた。

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    2020年03月07日
  • ブルボン朝 フランス王朝史3

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    カペー朝、ヴァロア朝ときて、ついに「聞いたことのある名前」ブルボン朝\(・∀・)/
    とはいえ、むしろ逆に、カペー朝、ヴァロア朝よりもなんか読みにくかった。(序盤がややこしかったからね。

    とはいえ、本当に興味深かったのは、「フランス革命のその後」フランス革命~ナポレオン二度目の失脚まではだいたい把握してたんだけど、そのあとって全然読んだこと無かったので。ああ、それでこうなったのか!って繋がってきた!

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    2020年02月21日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    フランク王国が三分割された後のメロヴィング朝、カロリング朝の西フランク王国の宮宰だったロベール家から987年に誕生したカペー朝。ただ成り立ちはカロリング朝の後継が途絶えたからで、実力でなったわけではなく、そもそもカペーという言葉自体意味は合羽。初代国王ユーグ・カペーはカッパのユーグ。であり、若年で王位に就いた。王家は弱く、自分の代に息子を共同統治者として引き上げることを続けてなんとか王朝の継続性を保った。そもそもカペー朝時代は、アンジュー公、アキテーヌ公、ブルターニュ公、ノルマンディー公が同じくらいの領地を持っており、海の向こうにはノルマンディー公が征服することになるイングランドが有り、東は神

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    2020年01月31日
  • ヴァロワ朝 フランス王朝史2

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    ヴァロワ朝のフィリップ6世からの歴史。ブルボン朝に比べると資料が制限されるのか、歴史の教科書的記述が多く、話を膨らます脱線は少ない。この時代は、イングランド、神聖ローマ帝国、スペインといった強力な王に囲まれそのプレッシャーを受けつつ、ブールゴーニュ、ミラノ、フランドルといった各公国を取り込んでいってフランスの版図を拡大していった歴史だが、それは戦争、謀略の繰り返しで、一歩進んでは2歩下がる、その中には百年戦争も含まれ他、中世的な歴史がある。この中で、三部会を数多く開いて徴税範囲を拡大し、常備軍を作り、国力を拡大させることに成功するが、ドイツから来た宗教改革の影響が政治的争いを拡大し、国王の無能

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    2020年01月09日
  • 学校では教えてくれない世界史の授業

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    小説家佐藤賢一が語る世界史だけに、流れるような書きぶりで、長い一冊が一気に読める。アレキサンダー大王が成し遂げた世界帝国というもの、そのユニヴァースという概念でその後の歴史を見ていこうというものである。支配者というものは、領地を広げよう、世界を覆いつくす帝国を作ろうという野望に取りつかれ、周辺のものも皆巻き込まれていくのである。著者が言うように、あくまで歴史の一つの見方であるが、確かに物語のように理解できて面白い。しかし、これが歴史のすべてとは思わないが。

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    2019年11月25日
  • ブルボン朝 フランス王朝史3

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    フランス王朝三部作待望の完結編。

    ブルボン朝開祖のアンリ4世に紙面の実に三分の一が割かれている。
    アンリ・ドゥ・ブルボン、あるいはナバラ王アンリーのちのアンリ4世の王位継承権の根拠は、13世紀のルイ9世まで遡る。ヴァロワ家がフランス王家から分かれる以前にすでに分かれていた分家だ。しかし他の分家が途絶えていたために、れっきとした次代の王位継承者だった。
    問題なのは、アンリが新教で育てられたこと。ときは宗教改革時代。新教ユグノーのアンリが王位を継ぐことをよしとない旧教一派は、由緒ある王家の法を捻じ曲げてでもナバラ王アンリの王位継承権を否定する。
    アンリは、信条としてはずっと新教だったのだろうが、

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    2019年09月27日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    カペー朝の歴史についてユーモラスに描いている。この時期の歴史、特に政治史についてはわかりやすく説明した本が少ないので、貴重である。

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    2019年09月09日
  • テンプル騎士団

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    本や映画、果てはゲームに至るまで、折にふれ登場するテンプル騎士団。名前は知れど、よく知らない。で、勉強したくなりました。
    わかったのは、騎士にして修道士という二面性にとどまらず、軍隊、警察、地主、農家、商人、運送業者、旅行業者、そして金融業者と東西を股にかけ、Googleも真っ青な超国家的組織だったということ。
    まさに空前絶後の存在が、ああもあっさり滅びてしまい、後の世では秘密結社だとか斜めに上の角度から語られるようになるのは歴史の無常を感じる。肥大しすぎて組織としての在り方に問題があったのか、本書からはそこまでは分からなかった。カタカナが多くて読みにくいのはお覚悟を。勉強になりました。

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    2019年05月16日
  • テンプル騎士団

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     名前は聞いたことがあるけど、その実態はあまりよく知らないテンプル騎士団について解説した本。決して堅苦しい解説書ではなくて、感覚的にわかりやすく解説してくれていた。その歴史もだし、その当時どんな意味を持っていて、どのあたりがすごかったのかが、わかりやすかった。

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    2019年04月07日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    王は凡庸、周りの敵は華麗にして巨大。
    絢爛と呼ぶにはあまりにもささやかなフランス王家物語の幕がいまあがる。


    正直なところ、「カペー朝」がどの時代に属するのかが分かっていなかったし、具体的なことは何ひとつ知りませんでした。
    領土からいえば、現在のフランス共和国の原型ともいえるのでしょうかね。
    英仏百年戦争が勃発したのもカペー朝の時代だし、なかなか興味深い時代の1冊です。

    フランスといえば『ベルバラ』から入った私にとって、とても貴重な1冊でした。

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    2019年03月29日
  • テンプル騎士団

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    東方の聖地回復を目指して作られたテンプル騎士団が領地運営や金融の力をつけ、やがて絶対王政の前に潰される過程を描いている。

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    2019年02月22日
  • 日本の1/2革命

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    フランス革命を1789年と1792年の2段階として捉え、
    日本での明治維新だったり発行された時期の日本の政治が抱える問題をテーマにすすめられる対談。

    フランス革命が失敗とは認めつつもフルサイズの革命というものに希望を抱いた形で締めくくられていたけど、
    革命といった今までのやり方をなかったことにして新たな下地でいちからというよりは、少しずついい方向に変えていけるやり方の方がというか、その下地はあるとおもうけど。

    少しずつ悪い方向に進んでいっている気もするけど。
    社会が熟成してきたのが、重量を増してきたと捉えるなら動いているのに急旋回するのは難しいから、ゆっくりかじ取りするしかないのかなって気

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    2019年01月30日