佐藤賢一のレビュー一覧
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ネタバレ本書は、2部構成となっています。第1部はアル・カポネの立志から栄華をカポネの視点で描く。取るに足らない(しかし才はある)貧民街のイタリア系移民が、如何にして、不俱戴天の仇であるアイルランド系移民と闘争し、裏社会に身を投じそして頂点を極めるに至ったか。そして、多くの映画、劇、活字のイメージと異なるありのまま"人間"としての彼が、人々に好まれ羨望の眼差しを向けられるように至ったかが綴られています。
"イタリア人の誼でな" (引用:『カポネ 上』角川文庫、p.149)
"なあ、マーク、この俺も言わせてもらうぜ。「俺のために、いつか力になってくれとな -
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フランク王国が三分割された後のメロヴィング朝、カロリング朝の西フランク王国の宮宰だったロベール家から987年に誕生したカペー朝。ただ成り立ちはカロリング朝の後継が途絶えたからで、実力でなったわけではなく、そもそもカペーという言葉自体意味は合羽。初代国王ユーグ・カペーはカッパのユーグ。であり、若年で王位に就いた。王家は弱く、自分の代に息子を共同統治者として引き上げることを続けてなんとか王朝の継続性を保った。そもそもカペー朝時代は、アンジュー公、アキテーヌ公、ブルターニュ公、ノルマンディー公が同じくらいの領地を持っており、海の向こうにはノルマンディー公が征服することになるイングランドが有り、東は神
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ヴァロワ朝のフィリップ6世からの歴史。ブルボン朝に比べると資料が制限されるのか、歴史の教科書的記述が多く、話を膨らます脱線は少ない。この時代は、イングランド、神聖ローマ帝国、スペインといった強力な王に囲まれそのプレッシャーを受けつつ、ブールゴーニュ、ミラノ、フランドルといった各公国を取り込んでいってフランスの版図を拡大していった歴史だが、それは戦争、謀略の繰り返しで、一歩進んでは2歩下がる、その中には百年戦争も含まれ他、中世的な歴史がある。この中で、三部会を数多く開いて徴税範囲を拡大し、常備軍を作り、国力を拡大させることに成功するが、ドイツから来た宗教改革の影響が政治的争いを拡大し、国王の無能
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フランス王朝三部作待望の完結編。
ブルボン朝開祖のアンリ4世に紙面の実に三分の一が割かれている。
アンリ・ドゥ・ブルボン、あるいはナバラ王アンリーのちのアンリ4世の王位継承権の根拠は、13世紀のルイ9世まで遡る。ヴァロワ家がフランス王家から分かれる以前にすでに分かれていた分家だ。しかし他の分家が途絶えていたために、れっきとした次代の王位継承者だった。
問題なのは、アンリが新教で育てられたこと。ときは宗教改革時代。新教ユグノーのアンリが王位を継ぐことをよしとない旧教一派は、由緒ある王家の法を捻じ曲げてでもナバラ王アンリの王位継承権を否定する。
アンリは、信条としてはずっと新教だったのだろうが、 -
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本や映画、果てはゲームに至るまで、折にふれ登場するテンプル騎士団。名前は知れど、よく知らない。で、勉強したくなりました。
わかったのは、騎士にして修道士という二面性にとどまらず、軍隊、警察、地主、農家、商人、運送業者、旅行業者、そして金融業者と東西を股にかけ、Googleも真っ青な超国家的組織だったということ。
まさに空前絶後の存在が、ああもあっさり滅びてしまい、後の世では秘密結社だとか斜めに上の角度から語られるようになるのは歴史の無常を感じる。肥大しすぎて組織としての在り方に問題があったのか、本書からはそこまでは分からなかった。カタカナが多くて読みにくいのはお覚悟を。勉強になりました。 -
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フランス革命を1789年と1792年の2段階として捉え、
日本での明治維新だったり発行された時期の日本の政治が抱える問題をテーマにすすめられる対談。
フランス革命が失敗とは認めつつもフルサイズの革命というものに希望を抱いた形で締めくくられていたけど、
革命といった今までのやり方をなかったことにして新たな下地でいちからというよりは、少しずついい方向に変えていけるやり方の方がというか、その下地はあるとおもうけど。
少しずつ悪い方向に進んでいっている気もするけど。
社会が熟成してきたのが、重量を増してきたと捉えるなら動いているのに急旋回するのは難しいから、ゆっくりかじ取りするしかないのかなって気