佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は歴史家ではなく、歴史小説家。
それがために語り口は全然学者っぽくない。
あえて言えばべらんめぇ調である。
ぼく自身、百年戦争は過去に読んだことがある。
それもとても良い本だったが、殆ど忘れてしまった。
覚えていることと言えば、登場人物が錯綜してヤヤコシイ。
イギリスもフランスも沢山の家系が出てきて、それぞれが組んずほぐれつの争いを繰り広げる。
以前読んだ時はまだ若かったので、家系図を見比べながらかなり真剣に理解に勤めた。
今はもう歳なのでそんなエネルギーがないことは分かっているし、すぐに忘れることを知っているから、読み飛ばすに限る。
そして結局はフランス人同士の戦争であったことが記憶に残っている。
今回読んでも、同じ結論に至る。アタリマエだ。
だが、この本において、実は当時イギリスもフランスも国として存在せず、各有力な領主たちの緩い集合でしかなかったこと。(封建国家)
この百年戦争を経ることによって、国民の中にナショナリズムが芽生え、中央集権国家、即ち現代に通じる国家が形成されるきっかけになったのだと説明される。
ぼくが国家とは何かについて、ぼんやりした疑問を懐いていたものを、この本が、百年戦争を例にとって明確に提示してくれた。
さらに、歴史は現代からの視点や尺度ではなく、その時代の尺度に立って見なければ見誤ることを再認識させられた。 -
Posted by ブクログ
1536年のパリ。新米夜警隊長のドニ・クルパンとその元家庭教師ミシェルは、パリで起こる様々な事件に挑む。
しかし、ある事件でミシェルが犯人として疑われ、ドニはカルチェラタンの神学生たちとともに、パリの裏にうごめく陰謀に挑むことになる。
主人公のドニは、他の佐藤作品と違い女性にかなり奥手。そんなドニに事件の指南と共に、女性指南もするのがミシェルです。このミシェルの女癖はかなり悪く、それだけにドニとのデコボココンビぷりが際立ちます。この二人のやり取りが面白いです。
そして、登場人物たちも豪華です。神学生として登場するのは、フランシスコ・ザビエルやイエスズ会の創立者、グナチオ・デ・ロヨラ、といった実在の有名人も登場させるなど、歴史とフィクションをごちゃまぜとしたエンターテインメントになっています。彼らがドニと共にパリの街を右往左往し、巨大な陰謀に迫る姿もいいです。
泣き虫かつ女性に奥手のドニが、徐々に成長していき、ザビエルたちと友情を深めていく様子や、ミシェルとの師弟関係、そして、女性に対しても成長していき、そしてそれぞれの岐路を迎える。舞台はヨーロッパで、神学や宗教の話も出てきますが、しっかりとした青春小説になっています。
佐藤さんらしい女性と性に関する独自の観点にも注目です。ここの切れ味も何というか、相変わらずですね(笑) -
Posted by ブクログ
太平の世が訪れようとしていた江戸を飛び出し、遣欧使節に加わった伊達藩士の寅吉。たどり着いた先イスパニアでの寅吉の冒険と恋を描いた西洋歴史ロマン小説。
久々にこんな気持ちのよくて、そしてバカな男の話を読んだなあ、という気がしました(笑)。ある意味憧れますが、でも一方で反面教師にしないといけないような、彼の生き方は何とも複雑な気持ちにさせられます。
戦国時代が終わったものの、戦いと冒険を求める根っからの武士である寅吉。だからこそ、戦国時代が終わり安定した政治が始まろうとする江戸時代の日本を捨てイスパニアに向かいます。
イスパニアに行ってすぐ冒険があるわけでもなく、寅吉はそこで恋をし、家庭に治まろうともします。しかし、戦いや冒険が忘れられず傭兵として戦いに向かい、何度も恋人を泣かせます。寅吉も反省し自分に嫌気が差しつつも、それでも冒険に向かわずにいられません。
この小説は徹底して男のロマンが詰め込まれていると思います。惚れた女を泣かせつつも、結局ロマンを求め冒険に向かってしまう男。少しレトロさすらも漂う男のロマンですが、それをこうも真正面から書くからこそ清々しい!
ストーリーが後半に向かうに従い前半に輪をかけてハチャメチャかつ、それはないだろう…、という展開になりますが、どんな展開があっても「これがロマンだから!」の一言でどうにかなってしまいそうなのが、この作品のすごいところ(笑)。ただ女性側からするとこれはあんまりだ、って気もしないでもないですが。
タイトルの『ジャガーになった男』の真の意味が分かるのは最後の独白のシーン。本当にタイトルのまんまの話にちょっと可笑しかったです。なかなか無茶苦茶なこともましてや冒険なんかもできない現代だからこそ、こんな物語はとても貴重な気がします。
第6回すばる小説新人賞 -
Posted by ブクログ
古本で購入。上下巻。
舞台は14世紀、後に「百年戦争」と呼ばれる戦争真っ只中のフランス。
劣勢にある国を救ったブルターニュの貧乏貴族、容貌魁偉の戦の天才にして救国の英雄、ベルトラン・デュ・ゲクランの天衣無縫の一代記。
イギリスとフランスの泥沼の戦争が繰り広げられる世界で、ひとりの喧嘩上手の男が成り上がっていく様は痛快で、単純におもしろい。
日本の歴史小説としては割と(かなり?)ニッチな百年戦争、しかもジャンヌ・ダルクが活躍する末期ではなく初期を扱っているというだけで、歴史好きにはたまらない。
こういう、天から遣わされた(司馬遼太郎風)ような男が閃光のように駆け抜ける歴史物語は、やはりいい。
不満があるとすれば、合戦の様子がけっこうカットされるところだろうか。
ライバルのジャン・ドゥ・グライーといよいよ決戦!というところで場面の転換、その戦いの顛末をざっくりと回想…というのは、ちょっと残念だった。 -
Posted by ブクログ
前作の粛清だらけの物語から呼吸を置くことなく、次は、ついにあの方のギロチンへ至る物語。
最期の最期まで、まったくくそったれな男の・・・
残すところあと2巻。
解説で知ったのだけども、この小説フランス革命が終わっても、ナポレオンの物語が始まっているらしい。
単行本化、文庫化にはまだまだ時間がかかるだろうけども、そちらも楽しみだ。
そろそろまた一巻から読み直してみてもいいかな・・・
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【内容(「BOOK」データベースより)
公安委員会に加入したロベスピエールは、共和国フランスを幸福に導くには徳が必要であり、徳を実行するためには恐怖が不可欠であるとして、いっそう強力に恐怖政治を推し進めていた。一方、激しい政争の末、劣勢に追い込まれたエベール派は、公安委員会を倒すべく蜂起を企てるが、あえなく失敗。行く手には革命広場の断頭台が―。革命は理想郷を実現できるのか。苛烈さを増す、第16巻。第68回毎日出版文化賞特別賞受賞。
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【著者略歴「BOOK著者紹介情報」より】
佐藤/賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を、2014年『小説フランス革命』で第68回毎日出版文化賞特別賞を受賞
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