佐藤賢一のレビュー一覧

  • カルチェ・ラタン

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    ネタバレ

    実在の人物の回想録という形式をとっているが、実は嘘っぱちらしい。この小説のテーマは何だ?探偵もののようであり、宗教を題材にもしてるし、ちょっと、エッチな話もある。何だか楽しい小説である。肩肘張らないで、読む小説である。

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    2012年09月09日
  • ジャガーになった男

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    痛快、そして爽快。はっきり言って荒唐無稽で支離滅裂な物語です。でもこの小説を下らないときって捨てる輩とは一生分かりあえないだろうなあ。ここまで人は大風呂敷を広げられるのか。想像力の翼はここまで広げる事ができるのか。そこに感動しました。たしかに話としては下らないかもしれない。でも、その萌芽をゆっくりと育てたからこそ『王妃の離婚』という果実に結び付いたのだろうと思う。単純に楽しかったです。こんな人、大好きです。

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    2012年08月23日
  • カルチェ・ラタン

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    16世紀のパリはカルチェラタンを舞台にした
    青年の成長物語でもあり、推理サスペンスでもあり、
    男と女の本質を飾り気なく真正面から描いた作品でもあり・・・と、
    中身がものすごく詰まった読み応えたっぷりの作品です。

    神学がベースにあるので、中に出てくる神学問答をいちいち
    考えてると読み難いかも・・・。書き方もちょっとくどいしね。
    でも登場人物がそれぞれ魅力的ですごく惹きこまれます。

    たくさんの表情を持つ作品ですが、
    読後は回顧録の形をとっているせいか、
    主人公をとりまく周りの人々が二度と戻らぬ青春そのもののような
    感じがして、青春物語を読んだような印象も受けました。
    いい作品だと思います。

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    2012年08月22日
  • バスティーユの陥落 小説フランス革命 3

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    ようやく3冊目。しばらく間が空いてしまったのでちょっとストーリーを忘れつつあり。
    バスティーユ陥落、人権宣言、ベルサイユ行進とフランス革命の初期のメインイベントが目白押しの一冊。
    面白いのは、この時点では、誰もが立憲君主制を考えていて、王の処刑なんて夢のまた夢、と考えているところ。歴史の顛末を知っている現代人ではこの部分を忘れて、王制廃止=革命と思ってしまうのだけれど、絶対王政、王権神授説なんかがあった時代には、王の処刑なんてありえないというのがスタートなのは当然だな、と改めて思った。
    ミラボーに絶大な信頼を寄せていたロベスピエールとの間にも隙間風が吹き始めて嵐の予感を感じさせる。ベルサイユ行

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    2012年07月22日
  • フイヤン派の野望 小説フランス革命 8

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    ネタバレ

    ヴァレンヌ逃亡後半~シャン・ドゥ・マルスの虐殺まで。

    革命を完成させたい有産者と、真の平等を願う持たざる者との攻防は、ついにジャコバンクラブを分裂させた。

    三頭派の行動は保身でしかなく、ものすごく腹が立つ。何のための革命だったのかと。

    不利な状況から、ロベスピエールはどう巻き返すのか。

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    2012年07月19日
  • 傭兵ピエール 下

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    (上)(下)まとめて。

    史実をある程度なぞりながらも娯楽性をバランスよく散りばめた感のある前半の描写に始まり、上巻の後半あたりからはもう飛ばしまくりというか、少年誌の連載マンガのようなハチャメチャな展開に続いていく。
    紙幅としてはかなり長い話ながら、中盤以降のスピード感はまさに疾駆の状態で、ご都合主義の何が悪い、という風な開き直りの声とともに、ドタバタという音すら聞こえてきそうなほどだ。

    特に「王妃の離婚」などの傑作と比べると非常に粗い作品なんだけど、面白い。
    そこはやっぱり佐藤賢一氏の筆力。
    他の好きな作家たちと同じように、文章のリズムや選択された語彙が私の感覚にとても合っているから、ど

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    2012年07月07日
  • 傭兵ピエール 上

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    (上)(下)まとめて。

    史実をある程度なぞりながらも娯楽性をバランスよく散りばめた感のある前半の描写に始まり、上巻の後半あたりからはもう飛ばしまくりというか、少年誌の連載マンガのようなハチャメチャな展開に続いていく。
    紙幅としてはかなり長い話ながら、中盤以降のスピード感はまさに疾駆の状態で、ご都合主義の何が悪い、という風な開き直りの声とともに、ドタバタという音すら聞こえてきそうなほどだ。

    特に「王妃の離婚」などの傑作と比べると非常に粗い作品なんだけど、面白い。
    そこはやっぱり佐藤賢一氏の筆力。
    他の好きな作家たちと同じように、文章のリズムや選択された語彙が私の感覚にとても合っているから、ど

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    2012年07月07日
  • パリの蜂起 小説フランス革命 2

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    フランス革命を描くシリーズものの第2巻。今回は、パリ蜂起の場面が描かれる。こんな風に海外の歴史を物語として読むことができる本は、あんまりない。地の文に癖があるので、読み手を選ぶところはあるが、肌の合う人が読めばぐいぐい引き込まれてしまうような吸引力がある。

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    2012年06月19日
  • 戦争の足音 小説フランス革命9

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    憲法が採択され、全議員が議員資格を失った。
    新しい議員が選出され、すこしずつ舞台に上がる人がかわっていきつつあり、戦争が近づきつつある世間の雰囲気。
    そんな中、それまでの仲間とは意見が対立し、政敵には後を託されるロベスピエール。
    一区切りついたが、これからの波乱を予感させるところで第一部完となりました。
    ここまでは冷静なロベスピエールが、この後どのようなことから恐怖政治に変わっていくのか?パリと地方の民衆の雰囲気もどうなっていくのか?
    第二部が気になります。

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    2012年06月16日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ネタバレ

    全編がルイ16世の目線で描かれた7巻は、タイトル通りヴァレンヌ逃亡に関するお話。

    もし周りの状況に屈しさえしなければ、名君になれたんじゃないか…。だけど、なんかおしい!そんな連続。

    とはいえ彼が考える市民の本質には納得。それは今の世にも十分あてはまる。

    ヴァレンヌに到着したところで話が終わっているので、さてこれがどうして逃亡事件として逆送されることになるのか、また目が離せない。

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    2012年06月15日
  • 議会の迷走 小説フランス革命 5

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    戦争における王の権限、聖職者基本法の制定、ナンシー事件…。それらを巡り、議会は右派と左派が衝突を繰り返し、多数を占める平原派は黙して己の利を見極める。傍聴席の民衆は怒り狂っていたかと思いきや、議場の発言であっさりその怒りを引っ込める。

    何もうまく行かない中で、物事を推し進めていくミラボーはすごいと思うし、つい引き込まれる。たとえそれが目くらまし的な演説だとしても。

    迷走し続ける議会は、さてどう進んでいくのか。

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    2012年06月06日
  • 戦争の足音 小説フランス革命9

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    ネタバレ

    小説フランス革命の第Ⅰ部がこれで終わりだとは寂しい限りだ。毎月、本が出るのを楽しみにしてきたが、しばらく待たなければならない。

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    2012年05月26日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    革命の志士たちから一転して、ルイ16世の内面にスポットライトを当てた本作。まさに、目からウロコな新鮮さでした。
    国王たるもの、感情や内心の揺らぎなど、下々の者に悟られてはならない。身にしみついた王としての振る舞いゆえに、後年愚鈍な王という不名誉なイメージを付与されてしまっているのだとしたら、なんともやりきれない気持ちになります。まあ、実際どうだったのかは分かりませんけど。
    ベルばらでは颯爽としたフェルゼンが、本作では使い物にならない役立たずとして描かれている辺り、かなりツボでした。

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    2012年05月25日
  • シスマの危機 小説フランス革命 6

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    とうとうミラボーが死んでしまった。この喪失感はどうでしょう。
    さすが佐藤賢一、こういうアクの強い男を描かせると本当に上手いです。
    そしてミラボー亡き後、潔癖ロベスピエールがどのように変っていくのか、あるいは変わらないのか、今後が楽しみです。

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    2012年05月17日
  • フイヤン派の野望 小説フランス革命 8

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    議会の第一党ジャコバンクラブが分裂する激震の第8巻
    国王が逃亡から連れ戻されたパリの情勢をルイ16世、デムーラン、ロベスピエールの視点から描かれる。

    この時代のフランス国民は実際のところ国王をどう思っていたのだろうか?
    地方では国王が遠く、めったに目にしないし、現代とは違って、ゴシップが流れることも少ないだろうから、国王を敬愛する気持ちはあったとも思われるが、ゴシップを耳にする機会が多く、国王を身近に感じるパリ市民は、国王というだけでは、敬愛できなかったということだろうか?

    逃亡を阻止されたルイ16世は、パリでは非国民扱いで、議会は政治闘争のネタでしかなく、何かを期待されているわけではない

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    2012年05月12日
  • フイヤン派の野望 小説フランス革命 8

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    ネタバレ

    フイヤン派がついになりふり構わず、反撃して来た。本当に面白い。まさに歴史の瞬間に立ち会っているような、どきどき感だ。
    すぐに次の巻を読みたくなるのだが、残念ながら、発売は一カ月後だ。

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    2012年04月28日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    “財務長官”ネッケル、“国王”ルイ16世、“浪費夫人”マリーアントワネット、“怪物”ミラボー、“弁護士”ロベスピエール、“僧侶”シェイエス…
    世界史の授業で一度は聞いたことのある名前、人物がこの本の中では生きています。一たび読み始めれば、教科書という枠を決してはみ出ることのなかった、名前と実績しか知らなかった歴史上の偉人たちが生き生きと動き始めます。

    「身分の不平等」という世の中の不条理に対して、平等を勝ち取ろうと奮闘する人々の苦悩や考え方を生々しく感じるでしょう。それぞれの人物の描写や設定がきめ細かく、「知識・教養」でしかなかった彼らが互いに有機的に結び付いていくと思います。聖職者や貴族身

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    2012年04月11日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ミラボーを失った国王ルイ16世は、パリ脱出を決行する。(ヴァレンヌ事件)

    ルイ16世の独白が多く、何もいわず何もせず他人まかせ、自尊心だけが高く、国のことは考えず、自分のことだけを考え、小賢しく立ち回ろうとするルイ16世の姿を浮かび上がらせる。

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    2012年04月07日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命を題材にした歴史小説。第一巻の主人公はミラボーである。全国三部会の開催から国民議会の宣言に至るまでの流れが描かれる。登場人物の会話が地の文で描かれる独特の文体は、おそらく好き嫌いがわかれるだろうが、慣れればスラスラ読める。

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    2012年04月04日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ネタバレ

    まず、フェルセンが全然使えない男だったことに爆笑。所詮は見栄えが良いだけの貴族のお坊ちゃまだったのね。
    それに比べて、ルイ16世の凛々しいこと。バカだデブだコキュだとずいぶん軽視されてきたのは、いったい何だったのだろう。歴代フランス王の中でも稀にみる読書家で啓蒙主義者だっとは知らなかった。単に人の良いおでぶさんではなかったということか。時代が少し違っていたら名君と称されていたかも知れない。

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    2012年03月21日