佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
16世紀のパリはカルチェラタンを舞台にした
青年の成長物語でもあり、推理サスペンスでもあり、
男と女の本質を飾り気なく真正面から描いた作品でもあり・・・と、
中身がものすごく詰まった読み応えたっぷりの作品です。
神学がベースにあるので、中に出てくる神学問答をいちいち
考えてると読み難いかも・・・。書き方もちょっとくどいしね。
でも登場人物がそれぞれ魅力的ですごく惹きこまれます。
たくさんの表情を持つ作品ですが、
読後は回顧録の形をとっているせいか、
主人公をとりまく周りの人々が二度と戻らぬ青春そのもののような
感じがして、青春物語を読んだような印象も受けました。
いい作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
ようやく3冊目。しばらく間が空いてしまったのでちょっとストーリーを忘れつつあり。
バスティーユ陥落、人権宣言、ベルサイユ行進とフランス革命の初期のメインイベントが目白押しの一冊。
面白いのは、この時点では、誰もが立憲君主制を考えていて、王の処刑なんて夢のまた夢、と考えているところ。歴史の顛末を知っている現代人ではこの部分を忘れて、王制廃止=革命と思ってしまうのだけれど、絶対王政、王権神授説なんかがあった時代には、王の処刑なんてありえないというのがスタートなのは当然だな、と改めて思った。
ミラボーに絶大な信頼を寄せていたロベスピエールとの間にも隙間風が吹き始めて嵐の予感を感じさせる。ベルサイユ行 -
Posted by ブクログ
(上)(下)まとめて。
史実をある程度なぞりながらも娯楽性をバランスよく散りばめた感のある前半の描写に始まり、上巻の後半あたりからはもう飛ばしまくりというか、少年誌の連載マンガのようなハチャメチャな展開に続いていく。
紙幅としてはかなり長い話ながら、中盤以降のスピード感はまさに疾駆の状態で、ご都合主義の何が悪い、という風な開き直りの声とともに、ドタバタという音すら聞こえてきそうなほどだ。
特に「王妃の離婚」などの傑作と比べると非常に粗い作品なんだけど、面白い。
そこはやっぱり佐藤賢一氏の筆力。
他の好きな作家たちと同じように、文章のリズムや選択された語彙が私の感覚にとても合っているから、ど -
Posted by ブクログ
(上)(下)まとめて。
史実をある程度なぞりながらも娯楽性をバランスよく散りばめた感のある前半の描写に始まり、上巻の後半あたりからはもう飛ばしまくりというか、少年誌の連載マンガのようなハチャメチャな展開に続いていく。
紙幅としてはかなり長い話ながら、中盤以降のスピード感はまさに疾駆の状態で、ご都合主義の何が悪い、という風な開き直りの声とともに、ドタバタという音すら聞こえてきそうなほどだ。
特に「王妃の離婚」などの傑作と比べると非常に粗い作品なんだけど、面白い。
そこはやっぱり佐藤賢一氏の筆力。
他の好きな作家たちと同じように、文章のリズムや選択された語彙が私の感覚にとても合っているから、ど -
Posted by ブクログ
議会の第一党ジャコバンクラブが分裂する激震の第8巻
国王が逃亡から連れ戻されたパリの情勢をルイ16世、デムーラン、ロベスピエールの視点から描かれる。
この時代のフランス国民は実際のところ国王をどう思っていたのだろうか?
地方では国王が遠く、めったに目にしないし、現代とは違って、ゴシップが流れることも少ないだろうから、国王を敬愛する気持ちはあったとも思われるが、ゴシップを耳にする機会が多く、国王を身近に感じるパリ市民は、国王というだけでは、敬愛できなかったということだろうか?
逃亡を阻止されたルイ16世は、パリでは非国民扱いで、議会は政治闘争のネタでしかなく、何かを期待されているわけではない -
Posted by ブクログ
“財務長官”ネッケル、“国王”ルイ16世、“浪費夫人”マリーアントワネット、“怪物”ミラボー、“弁護士”ロベスピエール、“僧侶”シェイエス…
世界史の授業で一度は聞いたことのある名前、人物がこの本の中では生きています。一たび読み始めれば、教科書という枠を決してはみ出ることのなかった、名前と実績しか知らなかった歴史上の偉人たちが生き生きと動き始めます。
「身分の不平等」という世の中の不条理に対して、平等を勝ち取ろうと奮闘する人々の苦悩や考え方を生々しく感じるでしょう。それぞれの人物の描写や設定がきめ細かく、「知識・教養」でしかなかった彼らが互いに有機的に結び付いていくと思います。聖職者や貴族身