佐藤賢一のレビュー一覧

  • カポネ 下

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     下巻の主人公はカポネにとっては敵役、特別捜査官のエリオット・ネスだ。

     ものすごく勘違いしていたことがあった。「アンタッチャブル」というのはカポネのことを指すのではなく、特別捜査官チームの名前としてネスが付けたものだった。カポネの力が強すぎて、手が出せないって意味かと思ってた。映画も観てたのに、全く頭に残ってなかった。


     ネスはなんだかプライドが強くて、ヒーローになりたい願望が強く、正義漢とは程遠い人物として描かれている。実際はどうだったのか知らないが、このあたりの描写をみても著者がカポネに肩入れしているのがわかる。


     物語としては下巻の方がいろんな事件が起きるので面白いが、人物へ

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    2017年08月15日
  • 新徴組(新潮文庫)

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    山形県鶴岡市出身の作者が、庄内藩側から戊辰戦争を描いた小説

    といっても、庄内藩の中心ではなく、庄内藩で厄介者扱いの酒井吉之丞と新撰組と袂を分かった浪士組の新徴組(ここでも傍流)で庄内藩士ではない者たち(傍流)で、しかも中心に描かれるのは、新徴組でも幹部ではなく、沖田総司の兄、沖田林太郎。
    歴史からすると傍流の傍流の傍流のさらに傍流。
    歴史の大河に押し流されながら、その中で自分を見いだし、保護すべき人々を守り抜く生き様が描かれている。

    普段は決して格好良くはないのだが、いざそのときだけは格好良くなれる。それはやはり格好いい。

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    2013年05月11日
  • 女信長(新潮文庫)

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    伝奇の仕掛けの信長物語。

    信長という史実を材料にしつつも、佐藤が描きたいのは歴史の真理や原理ではない。男と女の「生」についての考え方、感じ方の違い、すれ違い、噛み合いと齟齬、離合の形を描いている。こういう作風はSFとも似ているのだが、佐藤のポジションは一種独特なもので、類型で同じように力量のある作家は知らない。

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    2018年10月14日
  • カポネ 上

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    ネタバレ

    暗黒街の帝王、アル・カポネの成り上がっていくさまを描いていて、上巻では青年時代からファミリィを率いてシカゴを制覇するところまでが書かれている。

    個人的に、この手の話の序盤は「我慢して読んでいく」ものだという印象があるのだけど、この小説では冒頭から面白い。話の構成から進めかたにいたるまで、巧妙で惹きつけられる。名の知れた人、モノを題材としているから、などではなく純粋に物語として楽しめる。ただ、緻密さは望めない。しかしこれはあくまでも小説なのだから、これでいいと思う。

    ピカレスクということで「政府はクズだ」「警察はゴミだ」といったように作者が主張したり、あるいはカリカチュアライズされていたりと

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    2013年02月24日
  • シスマの危機 小説フランス革命 6

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    シスマ=教会分裂。議会がますます混乱する中、ミラボーの死が迫る。
    死の床でロベスピエールに「もっと自分の欲を持てさもないと独裁者になるぞ」と忠告するシーンに、歴史を知ってる身として唸らされる。自分に厳しい人は他人の弱さをわからない。納得。

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    2013年02月22日
  • シスマの危機 小説フランス革命 6

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    フェルゼン伯登場~!
    ベルばらのキャラが出てくると、それだけで嬉しい!

    とうとうミラボーが召されてしまった。惜しい。獅子がいなくなってしまったが最後、革命はテロルの谷底へ真っ逆さまに堕ちていくのか?

    6巻は最後の力を振り絞るミラボーの奮闘とその死の物語。そしてロベスピエールの台頭を予感させる最終章には戦慄を覚えた。

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    2013年03月13日
  • 黒王妃

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    フランス王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描いた作品。フランスに嫁いでから、聖バルテルミーの虐殺まで。
    カトリーヌの独白の部分が、王妃っぽくなくて面白い。個人的には、この時代のフランス&イタリア大好き、メディチ家も大好きなので、かなり面白かった。

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    2013年04月10日
  • 黒王妃

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    この時代には、以前から興味があったので、おもしろく読めました。
    カトリーヌ・ド・メディシスという歴史上の女性を身近な存在に感じました。

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    2013年02月12日
  • 黒王妃

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    フランス王アンリ2世妃カトリーヌ=ドゥ=メディシス~メディチ家からフランス王フランソワ1世の次男に嫁いだカトリーヌは,料理を始めとする文化を持ち込んだが,地味な女として知られ寵姫ディアーヌ・ドゥ・ポワティエの陰に目立たない存在だった。ディアーヌはスペインに父の身代わりに人質となる7歳以来,母親の愛情に飢えていたのだが,ディアーヌだけは優しく額にキスをして送り出したのだ。北西と南東と西に戦いに駆けめぐり,大元帥の保身の為に煮え湯を飲まされ,王妹の輿入れのための馬上槍試合で試合に勝ったにも拘わらず相手の折れた槍が面貌内に入り,右眼を失って命を落とした。そもそも一つ年上の兄フランソワが生きていれば王

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    2013年02月11日
  • 日本の1/2革命

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    フランス革命と、日本のこれまでの革命(改革)を比較しながら考え、
    歴史(人)から学んで今後のことをよく考えよう、ということ。

    フランス革命そのものとしても、日本の歴史という意味でも、単純に勉強になる。
    段階的な革命についてなど、もっと知ってみたいと思わせてくれる。

    佐藤さんの小説フランス革命を読んでみたくなりました。

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    2013年02月10日
  • 黒王妃

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    佐藤賢一の本で今までで一番面白かった!
    カトリーヌ・ド・メディチの自分語りが秀逸。
    この時代の歴史を知ってるとより面白く読める

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    2013年02月09日
  • 議会の迷走 小説フランス革命 5

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    この巻も興味深かった。
    聖職者民事基本法の問題とナンシー事件を中心に丁寧に物語が進んで行く。ベルサイユ行進やヴァレンヌ逃亡などには大きな紙面を割いても、これらのテーマは概要のみ記されていることが多く、しかもそれがつまらない。しかし、佐藤賢一はこの退屈になりかねない題材を面白く読ませてくれた。次巻にも期待!

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    2013年02月09日
  • 女信長(新潮文庫)

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    はぁ~、こういう解釈もあるのね。

    てか明智光秀を格好良く描き過ぎでしょ!

    読み飛ばしちゃった部分もあるけど、総合的にはおもしろかった。

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    2013年02月04日
  • 黒王妃

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    東西南北今も昔も、信心ほど恐ろしいものはない

     イタリアのメディチ家からフランス王家に輿入れし、国王アンリ2世の王妃となった一代の女傑カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描く著者お得意の史伝小説である。

     夫が騎馬槍試合における不慮の事故で亡くなって以来、彼女は常に黒衣を纏ったことから、「黒王妃」と呼ばれるようになったという。ここで興味深いのは当時フランスでは喪に服す着衣は白であったにもかかわらず、あえて黒を選んだことである。

     服飾史研究家の増田美子氏の研究によると、本邦で喪服が黒になったのは奈良時代からで、それまでは白だった。その後室町から江戸時代にはふたたび白に戻り、明治維新で西欧

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    2013年01月18日
  • 聖者の戦い 小説フランス革命 4

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    面白かった!フランス革命のうち知りたい時代の巻だ。これまでの巻では色んな本に詳しく書いてある部分(例えばバスティーユ襲撃やヴェルサイユ更新、ジュドポームの誓い等)が多くて、冗長ぎみだっただけに、ワクワク感が持続した。タレイランが好きなのでようやく登場してくれて嬉しい!

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    2013年01月23日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命の始まりがとても分かりやすく書かれていて、読みやすかった。ミラボーがこの後どのように行動していくかがとても楽しみ。

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    2013年01月05日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ルイ16世がスウェーデン貴族フェルセンの協力でパリから脱出、フランス東部国境近くのヴァレンヌに到着するまで。
    ルイ16世を中心に、登場人物の緊迫感、焦り、不安が伝わってくる。

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    2012年12月21日
  • 女信長(新潮文庫)

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    ネタバレ

    西洋史の大家が日本史に挑んだ大作。歴史上はありえないことだが、なかなか説得力があり、面白く読んだ。ちょっとエッチなところも出てくる。脇役である光秀、秀吉の描かれ方も、今までと違っていて、楽しい。

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    2012年11月17日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ネタバレ

    かの有名なヴァレンヌ逃亡のみを扱った一冊。
    捕まることは分かっている逃走劇だけども、逃走劇というのはやはりおもしろい。
    何よりも、フランス革命において欠かすことのできないルイ16世がようやく主人公になったこと。
    うまいなあと思ったのは、ヴァレンヌで国王であるとばれたときに、王は国王であることを名乗らざるを得ない状態におかれたのだと思っていたけど、ここでは国王の権威を利用するというポジティブな宣言であるという描かれ方をしていて、目からうろこ。名乗ってしまえば逃げれるのではないかという書き方もよい。
    結論としてどうやって失敗するのかは次のお楽しみ。
    美化されがちのフェルゼンがこてんぱんに書かれてい

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    2012年11月14日
  • かの名はポンパドール 1

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    謀略うずまくフランス王宮に「寵姫」という愛人でとびこむ、ブルジョアのポンパドール夫人の話。背景はエッセイで補完されていて、そこがまたイイです。ルソーあたりが史実と違う絡み方してくると面白くなりそう。

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    2012年11月03日