佐藤賢一のレビュー一覧
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下巻の主人公はカポネにとっては敵役、特別捜査官のエリオット・ネスだ。
ものすごく勘違いしていたことがあった。「アンタッチャブル」というのはカポネのことを指すのではなく、特別捜査官チームの名前としてネスが付けたものだった。カポネの力が強すぎて、手が出せないって意味かと思ってた。映画も観てたのに、全く頭に残ってなかった。
ネスはなんだかプライドが強くて、ヒーローになりたい願望が強く、正義漢とは程遠い人物として描かれている。実際はどうだったのか知らないが、このあたりの描写をみても著者がカポネに肩入れしているのがわかる。
物語としては下巻の方がいろんな事件が起きるので面白いが、人物へ -
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ネタバレ暗黒街の帝王、アル・カポネの成り上がっていくさまを描いていて、上巻では青年時代からファミリィを率いてシカゴを制覇するところまでが書かれている。
個人的に、この手の話の序盤は「我慢して読んでいく」ものだという印象があるのだけど、この小説では冒頭から面白い。話の構成から進めかたにいたるまで、巧妙で惹きつけられる。名の知れた人、モノを題材としているから、などではなく純粋に物語として楽しめる。ただ、緻密さは望めない。しかしこれはあくまでも小説なのだから、これでいいと思う。
ピカレスクということで「政府はクズだ」「警察はゴミだ」といったように作者が主張したり、あるいはカリカチュアライズされていたりと -
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フランス王アンリ2世妃カトリーヌ=ドゥ=メディシス~メディチ家からフランス王フランソワ1世の次男に嫁いだカトリーヌは,料理を始めとする文化を持ち込んだが,地味な女として知られ寵姫ディアーヌ・ドゥ・ポワティエの陰に目立たない存在だった。ディアーヌはスペインに父の身代わりに人質となる7歳以来,母親の愛情に飢えていたのだが,ディアーヌだけは優しく額にキスをして送り出したのだ。北西と南東と西に戦いに駆けめぐり,大元帥の保身の為に煮え湯を飲まされ,王妹の輿入れのための馬上槍試合で試合に勝ったにも拘わらず相手の折れた槍が面貌内に入り,右眼を失って命を落とした。そもそも一つ年上の兄フランソワが生きていれば王
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東西南北今も昔も、信心ほど恐ろしいものはない
イタリアのメディチ家からフランス王家に輿入れし、国王アンリ2世の王妃となった一代の女傑カトリーヌ・ドゥ・メディシスの半生を描く著者お得意の史伝小説である。
夫が騎馬槍試合における不慮の事故で亡くなって以来、彼女は常に黒衣を纏ったことから、「黒王妃」と呼ばれるようになったという。ここで興味深いのは当時フランスでは喪に服す着衣は白であったにもかかわらず、あえて黒を選んだことである。
服飾史研究家の増田美子氏の研究によると、本邦で喪服が黒になったのは奈良時代からで、それまでは白だった。その後室町から江戸時代にはふたたび白に戻り、明治維新で西欧 -
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ネタバレかの有名なヴァレンヌ逃亡のみを扱った一冊。
捕まることは分かっている逃走劇だけども、逃走劇というのはやはりおもしろい。
何よりも、フランス革命において欠かすことのできないルイ16世がようやく主人公になったこと。
うまいなあと思ったのは、ヴァレンヌで国王であるとばれたときに、王は国王であることを名乗らざるを得ない状態におかれたのだと思っていたけど、ここでは国王の権威を利用するというポジティブな宣言であるという描かれ方をしていて、目からうろこ。名乗ってしまえば逃げれるのではないかという書き方もよい。
結論としてどうやって失敗するのかは次のお楽しみ。
美化されがちのフェルゼンがこてんぱんに書かれてい