あらすじ
人気No.1ジャーナリストと、西洋歴史小説の第一人者が、日本の政治的混迷について、熱く語り合う。振り返ってみれば、あの「明治維新」も、第二次大戦直後の「8.15革命」も、多くの若者たちが街頭に繰り出した「1968」の熱狂も、日本の革命はすべて不発に終わった――。果たして日本の近現代史は、革命の本家本元のフランスと比べて、どこが根本的に違うのか? また、東日本大震災後の未曾有の危機に直面する私たちは、ついに残り1/2の後半戦に挑むことになるのか? 本気で怒ることを忘れて久しい日本人の謎に迫る一冊。【目次】まえがき ロベスピエールの二分の一革命 佐藤賢一/序章 改革、変革、革命/第一章 日本人がフランス革命を語る意味/第二章 「半分」だった明治維新/第三章 「半分」だった戦後の革命/第四章 言葉の時代、あぶない後半戦/終章 日本は後半戦に臨むべきか?/関連年表/人および市民の権利宣言(一七八九年)/一七九一年九月三日の憲法(冒頭)/人物・用語解説/対談を終えて 「二〇一一中東革命」の嵐の中で 池上 彰
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Posted by ブクログ
この本はタイトルの内容以上にいろいろなことを知り、考えさせられるものだった。
第一に、フランス革命という出来事を分かりやすく知るためのテキストにもなる。巻末に関係年表と人権宣言なども載っているし、用語解説もあるので便利。
第二に、「歴史から学ぶ」ということの本質を分かりやすく理解できるということ。小難しい歴史学の本にもいわゆる、過去の歴史から学び現代を知る的なことは書いてあるが、それを様々な事例、具体的にはフランス革命という歴史的事実と日本の事例を比較して分かりやすく説明している。歴史を学び、そしてそれを教える者として、そして何よりフランス革命を学んだ者としては、この点において深く考えさせられる内容だった。
そして第三に、上記にような過去から学ぶことで、今の日本をどうとらえるのか、そしてこの先はどうあるべきか、我々はどうあるべきかを考えさせられる内容だった。古賀茂明さんの『日本中枢の崩壊』も読んでいるが、そっちはとにかく具体的な事例で今の日本はこうこうと書いてあり、分かるけども正直なんだか引いてします。それに対して本書は、今の政治を俯瞰しながら、フランス革命との比較で今の政治の在りかたや今後の展望を述べている。まさにタイトルにあるように、1/2で終わるのかフルサイズまで行くのかという点。
以上のようなことを、池上さんと西洋史作家の佐藤さんの対談ですらすらっと分かりやすく述べられている。簡単に読めるのに、内容は深いこの本はおすすめ。
Posted by ブクログ
フランス革命を1789年と1792年の2段階として捉え、
日本での明治維新だったり発行された時期の日本の政治が抱える問題をテーマにすすめられる対談。
フランス革命が失敗とは認めつつもフルサイズの革命というものに希望を抱いた形で締めくくられていたけど、
革命といった今までのやり方をなかったことにして新たな下地でいちからというよりは、少しずついい方向に変えていけるやり方の方がというか、その下地はあるとおもうけど。
少しずつ悪い方向に進んでいっている気もするけど。
社会が熟成してきたのが、重量を増してきたと捉えるなら動いているのに急旋回するのは難しいから、ゆっくりかじ取りするしかないのかなって気はするけど。
かじ取りに妥当性があるかどうかは別として。
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フランス革命と民主党政権交代を対比して描く。
民衆が立ち上がるプロセスにはどの時代も似たところがある。
フランス革命は成功ではなく、むしろ失敗、フランス国民は当時を触れたがらないという言及が驚いた。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて購入。
内容はフランス革命を題材としながら、日本や諸外国の革命、改革を斬るというスタイル。
フランス革命についてもっと知りたくなりました。
フランス人は「王を殺したこと(革命の後半戦)」に対してトラウマを持っていることも初めて知りました。
Posted by ブクログ
フランス革命と日本の革命(主に明治維新)とを比較しながら、現代の日本のあるべき姿を考えるという主旨の元に池上氏と佐藤氏が対談します。最初はなぜフランス!?と思っていましたが、世界の革命の多くがフランス革命の影響を受けているという指摘辺りからなるほどと思いました。言葉(マニフェスト)に政治が振り回されてはいけないという所は2015年の現在から見ても的を得てると思いました。
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自民党から民主党への政権交代時の出来事や時代背景とフランス革命のそれとの類似点を上げ、この政権交代はフランス革命の2分の一程度の革命であると述べた本。あまり知らなかった興味深いエピソードが次々繰り出され、最後まで飽きずに読み切ることができた。佐藤さんの著書の小説フランス革命も読んでみたくなった。
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フランス革命と、日本のこれまでの革命(改革)を比較しながら考え、
歴史(人)から学んで今後のことをよく考えよう、ということ。
フランス革命そのものとしても、日本の歴史という意味でも、単純に勉強になる。
段階的な革命についてなど、もっと知ってみたいと思わせてくれる。
佐藤さんの小説フランス革命を読んでみたくなりました。
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「小説フランス革命」の佐藤氏と池上氏の対談。フランス革命は、ブルジョアによる前半の革命と、市民による本格的な革命の2段階だったという指摘と、革命における言葉の重要性については目を開かされた。理想を語る言葉に扇動される前半と、その言葉に縛られて自らを滅ぼす後半。
日本の明治維新、戦後との比較で、日本の革命は前半部分のみの1/2であるという点も面白いが、何より、民主党政権への交代という革命についての語りが面白い。政権交代はひとつの革命といえたが、これも中途半端。経済低迷、財政破綻、政治混乱に続く震災で、日本で後半の革命が発生する可能性があるという。マニュフェストで扇動し政権をとったものの、それに縛られる現状。フランス革命においても、ポピュリズムによって、極端に走る動きが見られたが、果たしてそのような極端な動きを日本人が選択するかどうか。そういう意味では興味深いし、歴史的な岐路にあることは確かかもしれない。
Posted by ブクログ
2011年35冊目。
237頁。
書店で購入。
≪本文引用≫
p.14
フランス革命と明治維新の違いは、変化の幅の単純な大小でなく、前者が二段ロケットだったのに対して、後者は一段しかなかったと、そこなのではないかと思うようになったのです。
p.30
池上 私の認識では、「革命」と「改革」の間には大きな線引きがあって、革命は、それまでの体制を完全にひっくり返して別の人間が取ってかわる。これに対して、改革というのは、体制を大胆に変えはするけど、別の人間が取ってかわるわけではない。
p.110
佐藤 気候であるとか、農作物の出来不出来であるとか、そういったものが、歴史にどういう影響を及ぼすかということは、いま、歴史学でも新鮮な論点でしょうね。
p.194
国民に話を戻しますと、戦争に行って、参加意識を高めて、それだけじゃなく、自負や自覚だって強烈になるわけです。つまり、自分は命を張って国のことを考えている。危険をおかしているんだから、自分も権利を主張していいという発想になる。これが戦争の政治的効能ですが、いまの日本人はそうじゃありません。人権というものは生まれながらにして備わっているものだと思っている。権利を得るためには、それに対する義務もあるし対価も支払わなければならないという気持ちが薄いんですね。そこが、政治への参加意欲が低い理由かなと思うんです。
Posted by ブクログ
帯には「何が起きても本気で怒らない日本人の謎に迫る」と書いてあり、興味を持って読みましたが、そのことについてはよくわかりませんでした。しかし、フランス革命と現在の日本の類似点について述べてあり、今の日本の状況が分析されている点が面白かったです。
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フランス革命と今の民主党の改革が似ているという認識のもと、議論が始まる。
今の民主党の体たらくが革命と呼べるかどうか疑問であるが、行きすぎた革命であるフランス革命の過程は大変興味が持てた。
佐藤賢一氏の「フランス革命」の文庫化を期待したい。
Posted by ブクログ
小説家の佐藤賢一氏と、池上彰氏の対談。
佐藤賢一氏は、「小説フランス革命」を執筆中とのことだが、執筆を進めていく中で、革命時のフランスと現在の日本の類似点について考えるようになったという。そこで気づいたのが、本書のタイトルにも含まれる「1/2革命」であるとのこと。
フランス革命をフルサイズの革命としたとき、日本の革命、すなわち明治維新、八・一五革命などは、1/2なのだという。そして、民主党への政権交代を新たな1/2革命としてなぞらえ、フランス革命との類似点と相違点について対話が進み、引き込まれる。
歴史の普遍性を思わずにいられないが、だからこそ歴史に学ぶ必要があるのだろう。
佐藤氏の小説にも興味が湧いた。
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2011/06/20:フランス革命と日本の近代革命(明治維新、8・15、政権交代など)との比較。
フランス革命って前半後半に分けられるのですね。
そうして比較してみると日本は確かに前半で終わっているかも。
東日本大震災で後半戦突入するかどうかはまだ微妙だと思います。
Posted by ブクログ
古本で買って読む。2011年刊行。
刊行当時は東日本大震災直後で、民主党政権時代。当時、安倍晋三はまだ第一次政権時代に体調不良で退陣せざるをえなくなってしまったため、不遇をかこっていた。その後、首相となる菅義偉、岸田文雄は野党自民党の一介の国会議員にすぎなかった。干支で一回りが過ぎた令和の今、読むと、とても隔世の感がある。
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フランス革命について、明治維新や2011年前半の日本と比較、考察。
2011年は3月11日に東日本大震災が発生。民主党政権、菅直人首相の時代。
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日本は、世界で唯一成功した、社会主義国。
ロシアや中国のほうが、競争原理の国家となっている。
大統領は国王の代わり。フランス、アメリカ、韓国。
フランス革命では、
前半では国王は存在していた。
後半でルイ16世をギロチンで処刑。
効率的で無駄な痛みのない平等な方法として医者であるギヨタンが発明。
それまでは、身分の高い人は、斧で職人が首を切り落とし、平民は絞首刑。
なぜ、徳川慶喜を処刑しなかったのか?天皇制も無くさなかったのか?
革命が1/2で終わったのか?
Posted by ブクログ
フランス革命を基にその後のロシア、中国、カンボジアの革命が影響を受けた事は興味深く、また他の革命と比較しても変化という意味において大きかったことを知った。震災という大災害、革命と呼べるか不確かではあるが、政権交代による民主主義の成熟に期待。
Posted by ブクログ
フランス革命を、穏やかな変革である前半と、過激な革命である後半の2つに分け、日本の明治維新は前半しか経験していないというような話を色々している対談。
池上氏と佐藤氏は相性がいいのだろう。池上氏がうまく佐藤氏の話を引き出し、佐藤氏は暴走することなく池上氏にバトンを渡す。西洋史を知り物語を紡いでいる佐藤氏も、ニュースキャスターとして支持されている池上氏も、どちらの話も分かりやすい。
税金を払うだけでなく、選挙で投票する権利があるんだよと、そのことを強く思えるといいねと、そういう結論に落ち着いたと思う。
Posted by ブクログ
「歴史は繰り返す」は俗によく言われる言葉だが、実際にどう繰り返されているのか良く分からない言葉でもあります。本書は近年の民主党政権の成立・大地震による影響等のトピックと、人・政治の動きを捉え、「フランス革命」と対比することで共通点を挙げていきます。
その上で民主党政権の成立をフランス革命の工程の1/2に当るとしているのが面白い。
この1/2や民主党政権成立に対する評価云々ではなく、単純に類似しているポイントを説明してくれているので、今後の日本で起きそうなことの推論にもなる。自分も現在も混乱が続く日本の政治を、フランス革命と比較しながらウォッチしてみたいと思います。
Posted by ブクログ
フランス革命。知っているようでほとんど知らないその実態。勉強になった。1/2という視点は新鮮だった。後半はその繰り返しでもっと違った展開があればとも思った。
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今の日本の、不況や東日本大震災を含めた状況と、フランス革命の時のフランスを比較する。書いてるのは池上彰と小説フランス革命を書いている佐藤賢一さん。増税や利権など、確かに似てる部分もあったかも。
Posted by ブクログ
ブルジョワが指導権をにぎり、ほぼ革命が達成しかけた「人権宣言」あたりまでを半分だとしたら、その後民衆も巻き込んでさらに激しい残り半分があったフランス革命に比べると、日本の明治維新も終戦時の民主主義革命も、後半の半分がない状況、いつも革命は二分の一だというお話。さて、今度の民主党の革命はどこまでいくか。
印象に残っているのは、「人権宣言」は民主党のマニフェストと一緒、それを実現しようとしすぎると、かえって革命が混乱していく、というくだり。人間は本当に言葉に弱い生き物だと思う。フランス革命自体はその途中から高まっていった残虐性を考えると正直全肯定できないけれど、それでも、巻末に収められた人権宣言は、その内容の崇高さ、言葉の美しさ、理想の高さにおいて、やっぱり人類の宝なのだろうと思う。