あらすじ
人気No.1ジャーナリストと、西洋歴史小説の第一人者が、日本の政治的混迷について、熱く語り合う。振り返ってみれば、あの「明治維新」も、第二次大戦直後の「8.15革命」も、多くの若者たちが街頭に繰り出した「1968」の熱狂も、日本の革命はすべて不発に終わった――。果たして日本の近現代史は、革命の本家本元のフランスと比べて、どこが根本的に違うのか? また、東日本大震災後の未曾有の危機に直面する私たちは、ついに残り1/2の後半戦に挑むことになるのか? 本気で怒ることを忘れて久しい日本人の謎に迫る一冊。【目次】まえがき ロベスピエールの二分の一革命 佐藤賢一/序章 改革、変革、革命/第一章 日本人がフランス革命を語る意味/第二章 「半分」だった明治維新/第三章 「半分」だった戦後の革命/第四章 言葉の時代、あぶない後半戦/終章 日本は後半戦に臨むべきか?/関連年表/人および市民の権利宣言(一七八九年)/一七九一年九月三日の憲法(冒頭)/人物・用語解説/対談を終えて 「二〇一一中東革命」の嵐の中で 池上 彰
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Posted by ブクログ
2011年35冊目。
237頁。
書店で購入。
≪本文引用≫
p.14
フランス革命と明治維新の違いは、変化の幅の単純な大小でなく、前者が二段ロケットだったのに対して、後者は一段しかなかったと、そこなのではないかと思うようになったのです。
p.30
池上 私の認識では、「革命」と「改革」の間には大きな線引きがあって、革命は、それまでの体制を完全にひっくり返して別の人間が取ってかわる。これに対して、改革というのは、体制を大胆に変えはするけど、別の人間が取ってかわるわけではない。
p.110
佐藤 気候であるとか、農作物の出来不出来であるとか、そういったものが、歴史にどういう影響を及ぼすかということは、いま、歴史学でも新鮮な論点でしょうね。
p.194
国民に話を戻しますと、戦争に行って、参加意識を高めて、それだけじゃなく、自負や自覚だって強烈になるわけです。つまり、自分は命を張って国のことを考えている。危険をおかしているんだから、自分も権利を主張していいという発想になる。これが戦争の政治的効能ですが、いまの日本人はそうじゃありません。人権というものは生まれながらにして備わっているものだと思っている。権利を得るためには、それに対する義務もあるし対価も支払わなければならないという気持ちが薄いんですね。そこが、政治への参加意欲が低い理由かなと思うんです。