佐藤賢一のレビュー一覧
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「小説フランス革命」の佐藤氏と池上氏の対談。フランス革命は、ブルジョアによる前半の革命と、市民による本格的な革命の2段階だったという指摘と、革命における言葉の重要性については目を開かされた。理想を語る言葉に扇動される前半と、その言葉に縛られて自らを滅ぼす後半。
日本の明治維新、戦後との比較で、日本の革命は前半部分のみの1/2であるという点も面白いが、何より、民主党政権への交代という革命についての語りが面白い。政権交代はひとつの革命といえたが、これも中途半端。経済低迷、財政破綻、政治混乱に続く震災で、日本で後半の革命が発生する可能性があるという。マニュフェストで扇動し政権をとったものの、それに縛 -
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フランスとイギリスが大陸の領土をかけて戦った百年戦争の時代,貧乏騎士からフランス大元帥の座にまで登りつめた自称「戦の天才」ベルトラン・デュ・ゲクランの一代記です。
上巻ではベルトランの大活躍が痛快に描かれていましたが,下巻ではついに彼の死が描かれます。私は涙もろいので,ベルトランが死ぬところを読んだら絶対泣くだろうなーと思いながら読み進めていたのですが,彼の死の瞬間は割に淡々と描かれていて,意外にもあっさりと終わってしまいました。しかしエピローグで,従兄弟エマヌエルと副官モーニの会話の中でベルトランの最期の言葉が明かされた時,そのたった3文字の言葉があまりにも切なくて涙がボタボタと……あ -
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ネタバレ2011年35冊目。
237頁。
書店で購入。
≪本文引用≫
p.14
フランス革命と明治維新の違いは、変化の幅の単純な大小でなく、前者が二段ロケットだったのに対して、後者は一段しかなかったと、そこなのではないかと思うようになったのです。
p.30
池上 私の認識では、「革命」と「改革」の間には大きな線引きがあって、革命は、それまでの体制を完全にひっくり返して別の人間が取ってかわる。これに対して、改革というのは、体制を大胆に変えはするけど、別の人間が取ってかわるわけではない。
p.110
佐藤 気候であるとか、農作物の出来不出来であるとか、そういったものが、歴史 -
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小説家の佐藤賢一氏と、池上彰氏の対談。
佐藤賢一氏は、「小説フランス革命」を執筆中とのことだが、執筆を進めていく中で、革命時のフランスと現在の日本の類似点について考えるようになったという。そこで気づいたのが、本書のタイトルにも含まれる「1/2革命」であるとのこと。
フランス革命をフルサイズの革命としたとき、日本の革命、すなわち明治維新、八・一五革命などは、1/2なのだという。そして、民主党への政権交代を新たな1/2革命としてなぞらえ、フランス革命との類似点と相違点について対話が進み、引き込まれる。
歴史の普遍性を思わずにいられないが、だからこそ歴史に学ぶ必要があるのだろう。
佐藤氏の小説にも興 -
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歴史の本には、その道のプロによるものと、作家の余技と言えるものがある。殆ど専門家と変わらない知識を有する作家もいるが、作家と専門家を分ける分水嶺は、知識ではなく歴史を扱うときの態度であろう。作家は、歴史を生き生きと伝えるために、物語を作ることにためらいが無い。一方、専門家は、自分のアクセス可能な資料から、慎重に歴史の流れを拾い上げていく。作家の著作のほうが専門家の著作よりも素人にはなじみやすいが、読んでいてどことなく作為的なものを感じるケースも、やはり作家の著作に多い。塩野七生女史などは、その典型である。本書の著者である佐藤賢一も、どちらかといえば作家寄りの素養の持ち主であるらしく、親しみ溢れ
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[ 内容 ]
「時間を超えた逆転劇」、それが、冴えない始祖、ユーグ・カペーが頭の中で描いていたことなのか?
「名ばかりの王」から300年の時を経て、ローマ教皇、神聖ローマ皇帝と並ぶ権力者としてヨーロッパに君臨するまでの物語。
[ 目次 ]
フランス王とは誰か
ユーグ・カペー(九八七年~九九六年)
名ばかりの王たち
肥満王ルイ六世(一一〇八年~一一三七年)
若王ルイ七世(一一三七年~一一八〇年)
尊厳王フィリップ二世(一一八〇年~一二二三年)
獅子王ルイ八世(一二二三年~一二二六年)
聖王ルイ九世(一二二六年~一二七〇年)
勇敢王フィリップ三世(一二七〇年~一二八五年)
美男王フィリップ四世( -
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[ 内容 ]
それは、英仏間の戦争でも、百年の戦争でもなかった。
イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス人」だった。
また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。
それがなぜ、後世「英仏百年戦争」と命名され、黒太子エドワードやジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか。
直木賞作家にして西洋歴史小説の第一人者の筆は、一三三七年から一四五三年にかけての錯綜する出来事をやさしく解きほぐし、より深いヨーロッパ理解へと読者をいざなってくれる。
[ 目次 ]
シェークスピア症候群
前史(それはノルマン朝