佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者は歴史家ではなく、歴史小説家。
それがために語り口は全然学者っぽくない。
あえて言えばべらんめぇ調である。
ぼく自身、百年戦争は過去に読んだことがある。
それもとても良い本だったが、殆ど忘れてしまった。
覚えていることと言えば、登場人物が錯綜してヤヤコシイ。
イギリスもフランスも沢山の家系が出てきて、それぞれが組んずほぐれつの争いを繰り広げる。
以前読んだ時はまだ若かったので、家系図を見比べながらかなり真剣に理解に勤めた。
今はもう歳なのでそんなエネルギーがないことは分かっているし、すぐに忘れることを知っているから、読み飛ばすに限る。
そして結局はフランス人同士の戦争であ -
Posted by ブクログ
1536年のパリ。新米夜警隊長のドニ・クルパンとその元家庭教師ミシェルは、パリで起こる様々な事件に挑む。
しかし、ある事件でミシェルが犯人として疑われ、ドニはカルチェラタンの神学生たちとともに、パリの裏にうごめく陰謀に挑むことになる。
主人公のドニは、他の佐藤作品と違い女性にかなり奥手。そんなドニに事件の指南と共に、女性指南もするのがミシェルです。このミシェルの女癖はかなり悪く、それだけにドニとのデコボココンビぷりが際立ちます。この二人のやり取りが面白いです。
そして、登場人物たちも豪華です。神学生として登場するのは、フランシスコ・ザビエルやイエスズ会の創立者、グナチオ・デ・ロヨラ -
Posted by ブクログ
太平の世が訪れようとしていた江戸を飛び出し、遣欧使節に加わった伊達藩士の寅吉。たどり着いた先イスパニアでの寅吉の冒険と恋を描いた西洋歴史ロマン小説。
久々にこんな気持ちのよくて、そしてバカな男の話を読んだなあ、という気がしました(笑)。ある意味憧れますが、でも一方で反面教師にしないといけないような、彼の生き方は何とも複雑な気持ちにさせられます。
戦国時代が終わったものの、戦いと冒険を求める根っからの武士である寅吉。だからこそ、戦国時代が終わり安定した政治が始まろうとする江戸時代の日本を捨てイスパニアに向かいます。
イスパニアに行ってすぐ冒険があるわけでもなく、寅吉はそこで恋をし、 -
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古本で購入。上下巻。
舞台は14世紀、後に「百年戦争」と呼ばれる戦争真っ只中のフランス。
劣勢にある国を救ったブルターニュの貧乏貴族、容貌魁偉の戦の天才にして救国の英雄、ベルトラン・デュ・ゲクランの天衣無縫の一代記。
イギリスとフランスの泥沼の戦争が繰り広げられる世界で、ひとりの喧嘩上手の男が成り上がっていく様は痛快で、単純におもしろい。
日本の歴史小説としては割と(かなり?)ニッチな百年戦争、しかもジャンヌ・ダルクが活躍する末期ではなく初期を扱っているというだけで、歴史好きにはたまらない。
こういう、天から遣わされた(司馬遼太郎風)ような男が閃光のように駆け抜ける歴史物語は、やはりいい。 -
Posted by ブクログ
前作の粛清だらけの物語から呼吸を置くことなく、次は、ついにあの方のギロチンへ至る物語。
最期の最期まで、まったくくそったれな男の・・・
残すところあと2巻。
解説で知ったのだけども、この小説フランス革命が終わっても、ナポレオンの物語が始まっているらしい。
単行本化、文庫化にはまだまだ時間がかかるだろうけども、そちらも楽しみだ。
そろそろまた一巻から読み直してみてもいいかな・・・
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【内容(「BOOK」データベースより)
公安委員会に加入したロベスピエールは、共和国フランスを幸福に導くには徳が必要であり、徳を実行するためには恐怖が不可欠であるとして、いっそ