佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
歴史上の人物が実は男だった。
そんな設定の漫画やゲームも数多くある。
この物語も、荒唐無稽な発想から作られている。
信長はそれまでの手法に捉われず、戦法も経済政策も雇用形態も変えてしまった人物である。
その基盤を「女」であることに求めていることが新しいと言えば新しいのでしょう。
細かな部分では矛盾するような場面もあり「あれ?」と首を傾げたくなるようなところもあるけれど、物語だと割り切れば面白い。
これだから女ってやつは厄介だ・・・とため息をつく場面もあり。
女には確かにこんな一面があるよな・・・と納得する場面もあり。
これだから男って面倒臭いと嫌になりながら、それもまた男の一面でもあると思う -
Posted by ブクログ
積読本がなくなったため再読。直木賞受賞作家・佐藤賢一によるジャンヌダルクの物語。百年戦争に参加する傭兵隊長ピエールの視点で物語は進む。
略奪に暴力、強姦に人攫いは当たり前。素朴というよりぼろい貧しい田舎町。汚物は窓から投げ捨てるのもの。中世ヨーロッパ風ファンタジーとは違う、中世ヨーロッパそのままの衛生感の発達してない世界が舞台なのが良い。
傭兵隊長ことシェフのピエールが愛嬌のある、どことなく憎めない男であることもマル。何より傭兵隊の女たちがいい。
この時代の女は、嵐のような現実に晒されて、じっと黙って愛想笑いを浮かべて耐えるだけ。耕した実りも村の娘も傭兵という賊の前では為すすべもなく、す -
Posted by ブクログ
地の文はフランソワ2世の治世から聖バルテルミ虐殺まで、カトリーヌ・ド・メディシスの独白による回想はアンリ2世との結婚から夫の死まで、両者が並行して記述される。
佐藤賢一にしては女性の書き方もあんまり下世話じゃなく、なんとカトリーヌに好感を持たせる記述になっている。
融和指向だったカトリーヌがなぜ聖バルテルミを惹き起こしたのか(乃至許容したのか)をどう表現するのかと思っていたが、それはあまりよく描かれていなかった。融和を求める考えが結構書き込まれていただけに残念。コリニーが息子の父親面したのが家族を守るマンマとして許せなかっただけでは弱いでしょう。コリニー暗殺教唆だけならともかく…