あらすじ
王家に味方してきたミラボーが病死し、議会工作の術を失った国王ルイ16世。王族の亡命に神経を尖らせるパリの民衆に、別荘行きを力づくで阻止され、にわかにパリ脱出を決意する。スウェーデン貴族フェルセンの協力で、王妃マリー・アントワネットと幼い王子、王女とともに、真夜中のテュイルリ宮から抜け出すが、逃亡計画は次第にほころびはじめ…。国王一家の運命や、いかに。緊迫の第7巻。
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Posted by ブクログ
ミラボーが亡くなって・・・ロベスピエールはレベルが上がった!目的達成のための政略を覚えた!そして、頼れる部下を失ったルイ16世は初めて自分で先の事を決め・・・
フランス革命において、ルイ16世目線ってのは初めて読んだ気がする。今まであまりにも愚鈍という定説を何も考えずに受け居ていたなあと反省
Posted by ブクログ
このシリーズで最高に面白い巻である。ルイ16世が語り手になり、パリからの脱出行を描く。スリルとサスペンスにあふれる。さらにユーモアもたっぷり。そして、思わせぶりなラスト。作者の力量を存分に発揮している。
Posted by ブクログ
ミラボー死去が前巻(6巻)・・・
それをうけ、今回はついにルイ16世のパリからの逃避行。
その逃避行にいたるまでの逡巡と、その計画、そして実行24時間が緊迫に満ちた国王目線で語られている。
この巻で描かれているのは行動力と計画力のあるルイ16世、そこに不思議な魅力すら感じてしまう。
・・・にもかかわらずあらぬ方向に進んでしまう物語に面白みがあり、目が離せない展開が次々と現れる。
第一部(全9巻)も、あと2巻となった。
来月が楽しみでならない。
Posted by ブクログ
物語の語り手はここでルイ16世に移る。
この有名なヴァレンヌ逃亡劇は、革命史観に立てばマリー・アントワネットの世間知らずを嘲笑したくなるし、ベルばら側に立てばフェルゼンの愛を信じたくなる。300年語り尽くされてきたこの物語を、佐藤氏はルイ16世の視点で語る。しかもその彼は、家族を愛し、馬車の御術に通じた小市民的発想の持ち主。斬新で良かったけれども、逃亡はかなわず、やがてパリに連れ戻されてしまう彼の運命が悲しい。
Posted by ブクログ
ルイ16世がスウェーデン貴族フェルセンの協力でパリから脱出、フランス東部国境近くのヴァレンヌに到着するまで。
ルイ16世を中心に、登場人物の緊迫感、焦り、不安が伝わってくる。
Posted by ブクログ
かの有名なヴァレンヌ逃亡のみを扱った一冊。
捕まることは分かっている逃走劇だけども、逃走劇というのはやはりおもしろい。
何よりも、フランス革命において欠かすことのできないルイ16世がようやく主人公になったこと。
うまいなあと思ったのは、ヴァレンヌで国王であるとばれたときに、王は国王であることを名乗らざるを得ない状態におかれたのだと思っていたけど、ここでは国王の権威を利用するというポジティブな宣言であるという描かれ方をしていて、目からうろこ。名乗ってしまえば逃げれるのではないかという書き方もよい。
結論としてどうやって失敗するのかは次のお楽しみ。
美化されがちのフェルゼンがこてんぱんに書かれていて、ルイ16世も愚鈍どころか王としての思考を巡らせていて、今までで一番飽きない巻だったと思う。
Posted by ブクログ
全編がルイ16世の目線で描かれた7巻は、タイトル通りヴァレンヌ逃亡に関するお話。
もし周りの状況に屈しさえしなければ、名君になれたんじゃないか…。だけど、なんかおしい!そんな連続。
とはいえ彼が考える市民の本質には納得。それは今の世にも十分あてはまる。
ヴァレンヌに到着したところで話が終わっているので、さてこれがどうして逃亡事件として逆送されることになるのか、また目が離せない。
Posted by ブクログ
革命の志士たちから一転して、ルイ16世の内面にスポットライトを当てた本作。まさに、目からウロコな新鮮さでした。
国王たるもの、感情や内心の揺らぎなど、下々の者に悟られてはならない。身にしみついた王としての振る舞いゆえに、後年愚鈍な王という不名誉なイメージを付与されてしまっているのだとしたら、なんともやりきれない気持ちになります。まあ、実際どうだったのかは分かりませんけど。
ベルばらでは颯爽としたフェルゼンが、本作では使い物にならない役立たずとして描かれている辺り、かなりツボでした。
Posted by ブクログ
ミラボーを失った国王ルイ16世は、パリ脱出を決行する。(ヴァレンヌ事件)
ルイ16世の独白が多く、何もいわず何もせず他人まかせ、自尊心だけが高く、国のことは考えず、自分のことだけを考え、小賢しく立ち回ろうとするルイ16世の姿を浮かび上がらせる。
Posted by ブクログ
まず、フェルセンが全然使えない男だったことに爆笑。所詮は見栄えが良いだけの貴族のお坊ちゃまだったのね。
それに比べて、ルイ16世の凛々しいこと。バカだデブだコキュだとずいぶん軽視されてきたのは、いったい何だったのだろう。歴代フランス王の中でも稀にみる読書家で啓蒙主義者だっとは知らなかった。単に人の良いおでぶさんではなかったということか。時代が少し違っていたら名君と称されていたかも知れない。
Posted by ブクログ
ルイ16世、かっこいい!
と、思ったけどやっぱり格好悪いかも。王妃とフェルゼンの関係を疑う描写がしつこく、嫌気がさしてくる。なかなか読み進められない…
ヴァレンヌ逃亡を扱った作品は、固唾を呑んでページをめくるのが常だったが、こんな遅読はじめて。
しかし、歴史的大事件である、この逃亡事件が、佐藤賢一の手にかかるとこうなるのか⁈あまりに史実とされているストーリーとかけ離れていて、やはりこれば小説なんだなと思わせられた。
実際、ルイもフェルゼンもこんなに間抜けじゃなかったと思うよ。