佐藤賢一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ローマに虐げられているガリアを纒め上げ、解放させようとしている英雄中の英雄、王の中の王のウェルキンゲトリクスと、若くて才能溢れるポンペイウスへの劣等感に苛まれながらもローマ都督として成功して巻き返しを計ろうとしているカエサルの対比がおもしろい。
特にウェルキンゲトクリスの存在感たるや凄いものがあり、史実を知っていてもカエサルが戦に破れてしまうのではないかとはらはらする。
焦土戦術に徹底しきれなかった時も長老たちの権力を削ぐのに利用し、カエサルに破れても大したことではないと言いきり、大義であるガリア統一をひたすら目指す。
しかし落ち目な中年おじさんのカエサルもウェルキンゲトリクスに翻弄され -
Posted by ブクログ
読書をほとんどしなかった高校時代、例外的に読んだ作品。
著者については全然知らなかったが、あらすじを読んでジャンヌ・ダルクものだと知って購入しました。
佐藤賢一初期の傑作といってよい、読み出したら止まらないエンタメ長編。
彼の小説に共通するのは、(語弊があるかもしれないが)男が男らしく、女が女らしく描かれていること。
ステレオタイプなジェンダー観というわけではなく、男の弱さ、女の強さ、男であること/女であることの哀しみが実に巧みに描かれているというか。
とにかく血の通った人物描写に唸らされます。
それと、熱意と失意、希望と絶望のさじ加減が絶妙なんですよね。
基本的にハッピーエンドが多いと思うの -
Posted by ブクログ
もしも、彼女が、生きていたら…?
15世紀、フランス。
時は英仏百年戦争の真っ只中。
気鋭の傭兵隊長ピエール。
人殺し、略奪、強姦。どんな悪事も平然としてやりまくった彼は、ある日ひとりの女と出会った。
彼女の名は、ジャンヌ・ダルク。
その時、彼の中の何かが変わった。
オルレアン攻防、ランス戴冠式、離別、魔女裁判、逃避行…
そして、彼は、彼女は…
とにかく、主人公ピエールが魅力的。
荒くれた傭兵たちをまとめる隊長でありながら、とっても仲間思いで、しかも女にはとっても弱くてw
この著者の作品はどれもそうだが、人物の描き方がすばらしい。まるで彼らが肉体を持っていて、その体温や、酒 -
Posted by ブクログ
上巻に比べてあっという間に読んでしまった(汗)。
止まらなくって、実はほぼ完徹‥(汗)。。眠い。。
上巻を読んだ時点では、「ピエールとジャンヌとはこれ以上どうこうならないんだろうなぁ‥」なんて思っていたわけですが!
さにあらず!で、びっくりしやした。
でも「これでくっつくのか!?」と何度思い、肩透かしをくらったことか。
‥うーん、この話は大河ラブロマンスだったのね(笑)。
後半は怒濤のように謎が明かされ、物語は終焉に向かっていくし。
この回収の仕方が、娯楽小説らしいなぁ‥なんて思っちゃった。
ドゥ・ラ・フルトの私生児ピエールの出生も、本人は気づかぬながら明かされたし、ジャンヌとの関係も大団