佐藤賢一のレビュー一覧

  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    ネタバレ

    秀逸❗️その一言❗️現在、過去、未来の世界の政体、そして人間の欲と理想を非常に考えさせられた。最終巻の解説は非常に示唆に富む。
    「己が欲を持ち、持つことを自覚して恥じるからこそ、他人にも寛容になれるのだ。独裁というような冷酷な真似ができるのは、反対に自分の欲がないからだ。世のため、人のためだからこそ、躊躇なく人を殺せる」
    「しかし、私は自分にこそ常に厳しく接していたい。いや、それは私だけの話であってもならないはずです。なんとなれば、もう皆が立派な市民なのです。人権を与えられた自律的な存在であるからには、これからの世ではフランスの万民が常に自分に厳しく接し、また全ての振る舞いに責任を持つべきなのです」
    「それは無理だ」
    「どうして」
    「人間は君が思うより、ずっと弱くて醜い生き物だからだよ。とことん純粋な民主主義をやれるほど、強い生き物でもない」

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    2015年05月28日
  • ダントン派の処刑 小説フランス革命17

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    エベールら左派を処刑したロペスピエールやサン・ジュストら。次の標的は右派のダントン派だった。革命初期から活躍した民衆の代表とも言えるダントン、デムーランたちが処刑され、革命は終わりを迎える。誰も幸せにならない社会変革、徳と恐怖政治による革命の理想的な実現を目指すロペスピエールやサン・ジュストには、普通の幸せを求めて革命に参加したデムーランの気持ちは理解できないだろう。ダントンのあらゆる考えを持つフランス人全員を抱え込み、あまつさえ自らを処刑しようとするロペスピエールの心さえ救おうとする器量は、ただの八方美人にしか見えない。さらに夫を救おうとして運動したデムーランの妻リシェルの処刑をロペスピエールの隠れた恋慕と絡めて描く。ロペスピエールの人間性の欠如はサン・ジュストにより、人間性を超えた理性の神の僕として祭り上げられる。王という独裁者が消えて理性という独裁者が現れた。

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    2015年04月21日
  • 双頭の鷲(下)(新潮文庫)

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    全くなじみのないフランスの歴史小説。
    でもすごくおもしろかったなー。
    上下巻ともボリュームがあったけど、ちょうどいい読み応え。
    質、量ともによかった。

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    2015年04月08日
  • 共和政の樹立 小説フランス革命12

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    ルイ16世の処刑が描かれる。ベルばらのせいか、ボーっとした王様のイメージが強かったけれど、本作では政治的感覚に長けたしたたかな国王として描かれていて新鮮。

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    2015年03月29日
  • 粛清の嵐 小説フランス革命15

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    毒舌家マラの暗殺。過激なエベール派の暴走でマリーアントワネット、ジロンド派、女性革命家、ロラン夫人などが断頭台の露に消える巻。ロベスピエールは若いサンジュストたちに促され、公安委員会に入る。さらに9月のエベール派の蜂起により国民公会で恐怖政治が議決。疑いを受けただけで逮捕できる嫌疑者法が作られる。さらに脱キリスト教を叫ぶエベール派は聖職者を還俗させ、理性の祭典と自由の女神を信じることを強要する。ロベスピエール、デムーラン、ダントンら革命の古株は打倒エベールで協力すること。

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    2015年02月26日
  • 王の逃亡 小説フランス革命 7

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    ルイ16世の視点で書かれている巻。これが像として正しいかどうかは知らないが、面白い!このルイ16世で1本小説を書いてほしいくらい。

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    2015年02月08日
  • 傭兵ピエール 下

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     ジャンヌ・ダルクと共に戦ってから2年。ピエール率いる傭兵隊は田舎町で安全かつ安定した生活を送っていた。そんなピエールのもとにジャンヌ・ダルクを救出せよという密命が依頼される。

     上下巻通してやっぱり面白い! 
     ジャンヌ・ダルクへの思いをつらぬき、ようやく見つけた安住の地から旅立つピエールの姿はカッコいいの一言に尽きます!

     ジャンヌ・ダルクとピエールの恋愛模様はキリスト教や聖女といった観念から擦れ違いが起きるのですが、それをどう乗り越えていくか、そして乗り越えるピエールの言葉も(下ネタにも関わらず)カッコいい!

     そうしたピエールのかっこよさだけでなく、戦乱のヨーロッパの悲劇や闇という面にも触れられていて、そうしたところもまた小説に深い味わいを残していると思います。

     大団円もここまで綺麗にまとめるか、というくらいにジャンヌ・ダルクとの出会いで、生き方から何まですべてを変えたピエールを祝福するかのようで、
    でもその一方で政治の闇の深さとピエールのその後の暗示をしているような描写で、少しもの寂しさを感じさせるものでもあり、
    とにもかくにもこんなに気持ちいい気分で小説を読み終えたのは久々のように思います。

     冒険譚であり、恋愛ものであり、主人公の再生ものであり、そしてしっかりとエンタメをしている、読んでいてとても楽しい歴史小説でした!

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    2014年12月28日
  • 傭兵ピエール 上

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     百年戦争下のフランスで傭兵隊を率いるピエール。その旅の途中ピエールはジャンヌ・ダルク(ラ・ピュセル)という少女に心を奪われる。そしてピエールは彼女と共に戦いに向かう事となり…

     初めの略奪の場面こそ血なまぐさいものの、個性豊かな傭兵隊のメンバーに、戦闘シーン、ピエールのラ・ピュセルへの思い、ピエールの傭兵隊の生活や、戦争で城主に雇われるまでのリアリティあるやり取りとエンタメ要素がぎゅっと詰め込まれていて、世界史なんてほぼかじっていない自分でも、難しいことは考えず楽しんで読むことができました。

     そうした場面もさることながら、佐藤賢一さんの作品を読んでいて毎回面白く感じるのは、佐藤作品独特の”女性観”です。

     中世ヨーロッパのキリスト教の思想があるためか、純潔や処女信仰を作中でも唱えつつ、それに対しての、性に奔放な登場人物たちが活躍します。(今まで読んだ小説ではいまのところ佐藤さんが一番性に関する露骨な記述が多い気がしています…)

     そうした性に対する感覚は受け付けない人もいるのかもしれないですが、読めば読むほどそうした描写が徐々に、女性の真からの清純さや包容力や母性、またいつの間にか男を尻に敷いたり、(意識的か無意識的にかはさておき)惑わしたりといった、したたかさ、力強さを表す基盤になっているのではないのかな、と思えてきます。

     ぶっちゃけ作中の女性描写が巧いとは思えないですし、作中の女性観もどこか歪んでいる気はするのですが(笑)、でもそうしたぎこちなさから浮かび上がってくる佐藤さんなりの女性観が、自分は好きなのだと思います。

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    2014年12月24日
  • 共和政の樹立 小説フランス革命12

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    ついにルイ16世が断頭台に。ギロチンは最新式の処刑道具で平等で人権的なものらしい。苦しまないで王も庶民も平等の処刑の仕方で執行される。しかし王の死刑を遅らせようとするジロンド派と即時の死刑を求めるジャコバン派。サン・ジュストの歴史的な演説で、流れは一気にジャコバン派へ。両派をまとめることで存在感を高めたダントンは、金銭スキャンダルとジロンド派の裏切りで影響力を落とす。ロラン夫人の斡旋の甲斐なくダントンはジャコバン派を支持。ジロンド派は敗北し、王は即時の死刑となる。開明派の王として即位。国民から愛された王ルイは何故死刑されなければならなかったのか。立憲君主制で何が悪いのか?サン・ジュストの演説は意味不明の理屈だし、そもそも憲法や法を守る気がない。どんな無茶でも死刑にしなければならないという論理しかない。革命の行き着く先は理性でなく、恐怖と暴力に支配される。それは支配したことのない無学な庶民が初の普通選挙で選び選ばれた国民公会だからこそだし、また殺さなければ安心できないほど王の影響力があったということ。ミラボーの程の良い革命は遠くなり、王から一庶民になったルイ・カペーを法を無視し理屈抜きにギロチンにかけた事実だけが残った。そして君主制を持つ多くの国、中でもオーストリアとプロイセンを敵にして戦争をしなければならないという現実も。にしてもルイ16世は悲劇としか言いようがない。結果やり過ぎた革命は多くの血を流し支持を失い、戦争は続きフランスは不幸になった。挙句がナポレオンによる王政の復活とは遣り切れない。

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    2014年12月02日
  • 共和政の樹立 小説フランス革命12

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    2014年9月から毎月一冊の文庫版の刊行が再開された、小説フランス革命。
    今回の『共和政の樹立』は第2部の第3巻で、通算12巻となる。

    フランス革命の一側面である、処刑の色が強くなる。
    ルイ16世の幽閉から処刑までを描いた一冊。

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    【内容(「BOOK」データベースより)
    1792年8月の蜂起で王権が停止され、国王一家はタンプル塔に幽閉された。パリの民衆は反革命の容疑者たちを次々に虐殺。街に暴力の嵐が吹き荒れ、立法議会に代わって国民公会が開幕すると、新人議員サン・ジュストの演説をきっかけに国王裁判が開かれることに。議員たちのさまざまな思惑が交錯する中、ついにルイ16世の死刑が確定し―。フランス王政の最期を描く、血塗られた第12巻。
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    【著者略歴「BOOK著者紹介情報」より】
    佐藤/賢一
    1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を、2014年『小説フランス革命』で第68回毎日出版文化賞特別賞を受賞
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    2014年12月01日
  • 八月の蜂起 小説フランス革命11

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    先月(2014年9月)から刊行が再開された、小説フランス革命。
    第2部の第2巻(通算11巻となる。)

    今回は、タイトルの「八月の蜂起」のとおり、血の流れる話になっている。

    フランス革命について、1789年に全てのように考えていたけども、その後数年にわたる混乱や、政治の体制の変化、そして、有名な処刑などにつながっていくのを、この小説のおかげで、時間を追って知ることができる。

    その後のフランスがどうなるか、そして、登場人物がどうなるのかをある程度知っていながらも、この後どうなるのか、どういう展開になるのかを手に汗握りながら読んだ。

    特に今回は戦闘を含んだ内容でもあり、その臨場感に圧迫されつつ読んだ。

    次巻も楽しみだ。

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    【内容(「BOOK」データベースより)
    革命に圧力を加えようとする諸外国に宣戦布告したフランス。しかし戦場の兵士たちの士気は低く、緒戦に敗退。開戦を主張したジロンド派は窮地におちいる。敗戦の責任を王家に転嫁しようと民衆の蜂起を促すも、あえなく失敗。政局が混乱し革命が行き詰まりかけた時、フランスの未来を拓くために、ダントンが、デムーランが、再びパリを起ち上がらせる!革命が大きく舵を切る、運命の第11巻。
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    【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
    佐藤/賢一
    1968年山形県鶴岡市生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞
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    2014年10月25日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    再読。ゲルマンの一部族フランク族がカロリング朝を起こし、メロヴィング朝にかわる。シャルルマーニュによる西ローマ帝国再興と皇帝戴冠。孫の代に三分割されフランス、ドイツ、イタリアの原型ができる。ドイツは皇帝位を手にするが、分裂したまま、イタリアも同様。フランスのみが統一できた。西フランク王国を継いだカペー朝の歴代王たちの苦闘の天下統一の物語が語られる。名を得た初代、実を得たフィリップ征服王、格を得たルイ尊厳王。それを支えた子作り。アンジュー家との死闘にからくも勝利するが、それは100年戦争の伏線になる。

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    2014年10月02日
  • ヴァロワ朝 フランス王朝史2

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    カペー朝に続くフランス王朝史。本家が神殿騎士団の呪い?で絶えてしまった為、傍流のヴァロワ家が継いだフランス王家。だかイングランドから待ったがかかる。女系ながらより嫡流に近いイングランド王が正統なフランス王を称し攻めて来たのだ。100年戦争の始まりである。賢王シャルル5世、狂王シャルル6世、勝利王シャルル7世、そして神聖ローマ帝国と張り合ったフランソワ1世のド派手な治世。アンリ2世の予言された死。泥沼の宗教戦争。その200年以上に渡る治世で、フランスは王権は他を寄せ付けない巨大な権力を持ち、また国家としての機能を備える。

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    2014年10月02日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    987年にユーグ・カペーが西フランク王に即位してから、1328年にヴァロワ朝にとって替わられるまでのおよそ350年間のフランス史です。フランス王と言うと、すぐに絶対王制を思い浮かべますが、この頃はまさに群雄割拠の時代。フランス王の領土はパリとオルレアン周辺のみという小屋台です。この350年間はフランス国内を統一していく過程で、そこに、フランスに広大な領土を有するイギリス王や聖界を握る教皇がからんできます。
    作者は直木賞作家の佐藤賢一ですから、人間味あふれる諸王の活躍がとても面白く読めますよ。

    フランス王とは誰か
    ユーグ・カペー(九八七年~九九六年)
    名ばかりの王たち
    肥満王ルイ六世(一一〇八年~一一三七年)
    若王ルイ七世(一一三七年~一一八〇年)
    尊厳王フィリップ二世(一一八〇年~一二二三年)
    獅子王ルイ八世(一二二三年~一二二六年)
    聖王ルイ九世(一二二六年~一二七〇年)
    勇敢王フィリップ三世(一二七〇年~一二八五年)
    美男王フィリップ四世(一二八五年~一三一四年)
    あいつぐ不幸
    天下統一の物語

    著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)

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    2019年12月17日
  • バスティーユの陥落 小説フランス革命 3

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    ミラボーという人物がよくわかる3
    革命が迷走してるので、少しだらけてしまうけど、バスティーユの場面は迫力満点

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    2014年04月05日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    名前だけを知ってる人たちがたくさん出てくるけど、一人一人の人間性がものすごくリアル。ロベスピエールとミラボーのやりとりもとても面白い。
    本当に昔のフランスにタイムマシンで乗り込んでる感覚になる。

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    2014年04月01日
  • 英仏百年戦争

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    「王妃の離婚」や「物語フランス革命」などヨーロッパを題材とした小説で有名な佐藤賢一。エンターテイメント小説を手掛けているためか、大変読みやすく100年戦争が描かれている。
    100年戦争が終結する以前のヨーロッパは、地方領主がひしめく中、ローマ教皇や神聖ローマ皇帝が歴史を動かす軸として存在感や影響力を持ってきた。それが100年戦争の終結によりフランス・イギリスという国民国家の萌芽が生まれてくる。
    ここにおいて、それ以降の歴史がイギリスやフランスのイタリアとドイツに対する優位という構図となる。ある意味で歴史の主役が逆転してくる。戦争を継続的に行ってきたためか、それまでより強い王権のもとで現在で言うところのイギリスとフランスは国内を統一していく。その一方でドイツ、イタリアの国民国家の萌芽はウエストファリア体制を経てさらにナポレオン戦争を待たなければならなかった。そう考えるとこの100年戦争の結果がフランスとイギリスにとって後の歴史における大きなアドバンテージを生み出す要因であることが理解できる。
    本書を読んでとりわけフランスの影響の大きさを感じるのは、まずイギリスはフランスの地方領主が征服した国であること、そして100年戦争中動員できる兵力はなんだかんだでフランスが上回り続けていたこと、それから後世においてフランスの統一された国家は、ドイツ領邦に刺激を与え続けてきたことなど。100年戦争以降のヨーロッパ史の主役がフランスであることを思った。
    本書が現代に投げかける課題も目をひく、ひとつは後世で歴史は自国に都合よく書き換えられること。もうひとつは忘れられた救国の英雄は、時の権力によって都合よく偶像化されること。確かに今でもそんな感じ。

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    2014年04月18日
  • 英仏百年戦争

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    古本で購入。
    これは久々の目からウロコ本。

    高校世界史レベルの知識だと、「百年戦争」の図式は
     イギリスVSフランス
    てなところだが、実際は
     フランス人のイングランド王VSフランス人のフランス王
    という、フランス人同士の王座を巡る闘争だった。まず、ここで「おぉ」と思わされる。

    いや、そもそも当時は「イギリス(=グレートブリテン)」も「フランス」もなかったんだよ、という時点で「確かに!」。

    そしてこの戦争を通じて今言うところのイギリスとフランスが形作られる、著者の言葉で言えば「英仏が百年の戦争をしたのではない、百年の戦争が英仏をつくったのだ」。
    事ここに及んで「なるほど!!」。

    百年戦争は単なる領土争いではなく、両国にとって国家の仕組みを大きく変革させる一大画期だったわけですね。

    実はこれらはよくよく考えればわかりそうなこと。
    イングランドを征服したのは「ノルマンディー公」だし。当時のスコットランドはイングランドと別個の国だし。
    でもそういうのを無視して「百年戦争」というひとつの出来事で覚えてしまうから、いかんのだな。

    ついでながら、教科書的な意味での「百年戦争」の期間だけではなく、その前史・後史を合わせて著述されているのがより理解を深めてくれる。
    「戦史」と言うより、ある意味「建国史」と言っていい。

    それにしても人物が区別できん。名前のパターン少なすぎ。
    一体何人のルイやシャルルやジャンが現れたことか!

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    2013年07月18日
  • 新徴組(新潮文庫)

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    波乱の“新徴組”の歩み、戊辰戦争で勇戦した庄内酒井家の闘いを描く本作…他方で一寸考えさせてくれるモノも在る…お奨めだ!!

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    2013年05月31日
  • カポネ 上

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     はいっ!ということでシブがき隊の楽曲を文字ってタイトルとしたわけですが、この『カポネ(上)』という作品、渋い表紙とは裏腹に、どこか滑稽で人情に厚い一人の若者が、禁酒法時代のアメリカはシカゴでギャングスターへの階段を駆け上っていくサクセスストーリーとして読むことができるご機嫌な作品です。

     人を押しのけて生きるより、ひっそり慎ましく生きたいとか、ナンバー1にならなくてもいい、もともと特別なオンリー1だからと、努力するまえにあきらめる癖のついちゃった人に是非読んでもらいたい、とびきりの1冊です。


     この本を読めば、人生は強引にいかないと切り開けないという教訓を得られること請け合いです。


     では、どうぞ、お読みください!


    …ということで完全にふざけて書いてますが、作者もたぶん、カポネに対して愛着を持ってこの小説を書いていると思う。
     
     確かにカポネは犯罪に手を染めていくわけだが、自分のためというよりは「ファミリー」を守るためという大義のために行動している。なんか国家に盾突いている義賊のようなところがある。まともな仕事の斡旋とか教育支援とか、食糧支援とかも積極的に行うし、悪いことして稼いだ金だけど、良いことにも使っている。どこまで本気だったかわからないが、シカゴにカポネを頂点とする治外法権国家を夢見ていたんじゃなかろうか。将門みたいな奴かな…


     そう考えると、下巻であきらかになるが、カポネの最期はちょっと可哀そうに思える。悪行の報いと言えばそれまでだけど。
     

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    2017年08月15日