佐藤賢一のレビュー一覧
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987年にユーグ・カペーが西フランク王に即位してから、1328年にヴァロワ朝にとって替わられるまでのおよそ350年間のフランス史です。フランス王と言うと、すぐに絶対王制を思い浮かべますが、この頃はまさに群雄割拠の時代。フランス王の領土はパリとオルレアン周辺のみという小屋台です。この350年間はフランス国内を統一していく過程で、そこに、フランスに広大な領土を有するイギリス王や聖界を握る教皇がからんできます。
作者は直木賞作家の佐藤賢一ですから、人間味あふれる諸王の活躍がとても面白く読めますよ。
フランス王とは誰か
ユーグ・カペー(九八七年~九九六年)
名ばかりの王たち
肥満王ルイ六世(一 -
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「王妃の離婚」や「物語フランス革命」などヨーロッパを題材とした小説で有名な佐藤賢一。エンターテイメント小説を手掛けているためか、大変読みやすく100年戦争が描かれている。
100年戦争が終結する以前のヨーロッパは、地方領主がひしめく中、ローマ教皇や神聖ローマ皇帝が歴史を動かす軸として存在感や影響力を持ってきた。それが100年戦争の終結によりフランス・イギリスという国民国家の萌芽が生まれてくる。
ここにおいて、それ以降の歴史がイギリスやフランスのイタリアとドイツに対する優位という構図となる。ある意味で歴史の主役が逆転してくる。戦争を継続的に行ってきたためか、それまでより強い王権のもとで現在で言う -
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古本で購入。
これは久々の目からウロコ本。
高校世界史レベルの知識だと、「百年戦争」の図式は
イギリスVSフランス
てなところだが、実際は
フランス人のイングランド王VSフランス人のフランス王
という、フランス人同士の王座を巡る闘争だった。まず、ここで「おぉ」と思わされる。
いや、そもそも当時は「イギリス(=グレートブリテン)」も「フランス」もなかったんだよ、という時点で「確かに!」。
そしてこの戦争を通じて今言うところのイギリスとフランスが形作られる、著者の言葉で言えば「英仏が百年の戦争をしたのではない、百年の戦争が英仏をつくったのだ」。
事ここに及んで「なるほど! -
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はいっ!ということでシブがき隊の楽曲を文字ってタイトルとしたわけですが、この『カポネ(上)』という作品、渋い表紙とは裏腹に、どこか滑稽で人情に厚い一人の若者が、禁酒法時代のアメリカはシカゴでギャングスターへの階段を駆け上っていくサクセスストーリーとして読むことができるご機嫌な作品です。
人を押しのけて生きるより、ひっそり慎ましく生きたいとか、ナンバー1にならなくてもいい、もともと特別なオンリー1だからと、努力するまえにあきらめる癖のついちゃった人に是非読んでもらいたい、とびきりの1冊です。
この本を読めば、人生は強引にいかないと切り開けないという教訓を得られること請け合いです。
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Posted by ブクログ
ついに第一部完結!
といっても、完結した感じがしない!
第二部に続く・・・といった感じ。
ついに革命は国内の問題から外国への戦争へと向かっていく不穏な過程が描かれている。
9巻はほとんどがロベスピエールの視点。
純朴・潔癖なサン・ジュストとロベスピエールの関係が、革命当初のロベスピエールとミラボーの関係のようで興味深かった。
まだミラボーの存在が色濃く後を引いていて、死してなお様々に影響を与えている・・・。やはり偉大なるかな、ミラボー。
あ、そうそう、ルイ16世が、逃亡時のお間抜けキャラから少し落ち着いてきたところも見逃せない。
文庫版第二部も毎月刊行予定になるんだろうから、楽しみだ!