嶋津輝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「女ともだち」をテーマにした短編小説集。森絵都さん、阿川佐和子さん以外は初めましての作家さん。
共感もありながら、ちょっと切なくちょっとホラーで楽しかった。
《印象に残ったところ》
・COPY 村山由佳
まさかの結末。そちら側の方の気持ちは分からずしても想像するだけで苦しい。相手が友情の証として発する無邪気な言葉の一つ一つをどう受け取るのか、友達として関係を深めることと、自分の本当の気持ちをぶつけることへの矛盾をどう整理するのか、自問自答の日々なんだろうと思う。
私は友情と愛情は全く別物だと考えているけど、もしその両方を感じる存在がいたとしたら、自分ならどう行動するのかなと考えた。
我慢の末に歪んだ愛情を露わにした玲。初めてにして最大の罪。きっとこれでハッピーエンドになることもなさそう、きっとまだまだ苦しい日々が続くのかな、と想像した。
・ト・モ・ダ・チ 坂井希久子
ちょっと待って急にホラー。早苗は精神疾患?なのかもしれないけど。
職場のお姉様方の会話や関係性が妙にリアル。女ってこういう会話をしながら結束を固めていくのよね、って悲しくなるくらいにリアル。
そういえば昔Twitterに『新しい環境で妙に優しくしてくるような人には最大限警戒しろ』みたいな文章にとても賞賛の声が集まっていたのを思い出した。それってこういうことかしら。
でも私の経験則だとアルバイト時代(10代)、異動(30代)のとき、めっちゃくちゃ親切にしてくれたお姉さん、その後も凄くいい人だったんだよ〜。だから人によるってことでいい?
まぁでも、上手くやれる自信がないのなら職場での人間関係は希薄な方がいいよね、と再確認した作品(どんな作品)。
・こっちを向いて。額賀澪
この中で一番好きな小説だった。
志保の性格や考え方にすごく親近感を感じる。「どうしてそんなことでくよくよするの?」と言われるかもしれないけど、相手との今の関係値を崩したくない・相手は無理をしているかもしれないとか考えると動けなくなるよね。そして自己否定までがセット。全てが私すぎて、私が志保と友達になりたい。
サービスエリアでメニューを選ぶその一瞬の描写でも、志保と駒木さんと春田のそれぞれの性格が出ていて面白かった。
親友との関係性が少しだけ薄くなった?と自覚したタイミングでの出来事だったから、この一連の物語が余計に切なさを帯びている気がするけど、最後は親友のフェイスブックに勇気を出してコメントを残せた志保。私はその勇気を勝手に讃えたい。
・ブータンの歌 阿川佐和子
ちょっとだけスッキリ感のある物語。全体的に最後がモヤっとする小説が多かったからこの章に少しだけ救われた。
自分にとってのヒーローの行動、自分は覚えていてもヒーロー側は覚えてなかったりするよね。私も過去に自分のことを助けてくれた友達に、最近改めてそのことのお礼を言ったら、「そんなことあったっけ?」と言っててびっくりした。私はずっと忘れないよ。ブータンも万里に再会できて本当に嬉しかったんだろうな。
『今、自分が置かれている境遇に似た人と仲良くなる。女がともだちを作るときの条件は、基本的にそこにある。』
-ここから始まる一節は、切なくも全て真実だと頷きながら読んでいた。女友達は移ろいゆく。でもそれでいいんじゃない?と最近は思う。どこかで境遇や性格が変わって、また交わるかもしれないし。大切な思い出だけは忘れないように。あのとき支えてくれたこと、朝まで飲んで笑ったこと、傷つけるような言葉を言ってしまったこと、言われたこと。全ては難しくても、できるだけ当時の温度そのままに、大事に心に留めておきたい。少なくとも、その時の私を象ってくれたのはその時代の友達だと思うから。お互いの過去に少しでもそんな記憶が残っているのならば、それは十分幸せなことだよね。
《メモ》
短編小説って読むのは易しくても感想をまとめるのがめちゃくちゃ難しい。一小説読み終わったら、その都度ペンを取るべきか?
職場での人間関係や友達関係、ママ友との関係など、自分を取り巻く色々な人との関係値や過去の出来事を振り返りながら読んでいた。その上で改めて、私って人間関係得意な方じゃなさそう。
登場人物たちの、真っ直ぐに友情を信じる気持ちや、嫉妬で歪んでしまう気持ち、関係がグラついて自信がなくなってしまう気持ち、仕方ないから現状維持で!と開き直る気持ち、、etc全てに共感できた。私もちゃんと女してるってことね。
今は正解は分からなくても、それでも日々考えて考えての現状なのだから仕方ない。答え合わせはおばあちゃんになったときなのかな。それまで、私は今自分が大切にしたい人との関係や思い出を必死になって(もうこれが無理しているのかな?)守っていこうと思う。これが今の私の最適解です! -
Posted by ブクログ
「ラインのふたり」正社員で働いていた仕事を、イジメのような形で辞めることになり、次の就職のつなぎとして工場のライン作業につく女性の、仕事仲間と職場の嫌な上司。
「カシさん」下着までクリーニングに出そうとする女性とクリーニング屋のおかみさん。銭湯で出会う。
「姉といもうと」幸田文の小説に影響されて家政婦の仕事をする姉と、知り合いの経営する地元のラブホテルのフロントで働く妹。妹の両手の指のほとんどは欠損している。
「駐車場のねこ」向かいに建つ、ふぐ屋の料理人と布団屋のおかみさんの、地域ねこをめぐる攻防。ふぐ屋は出てゆき、あらたに若者たちがカフェを始める。
「米屋の母娘」ケガをした母の家の手伝いに行く男。近所の米屋で販売している弁当の粗末さと、それをレジ打ちする娘の愛想のなさに、入れ込む。
「一等賞」精神をおかしくした男が、たとえば自分の目玉を探して歩き回るのを、どうにかなだめて家に帰らせる商店街の面々。
「スナック墓場」ばばあとわらじと用心棒という、全く外見に魅力のないコンビなのに、なぜか流行っているスナック波止場には、人(客)を死なせるという因縁のようなものがあって、結局オーナーも死に、廃業に追い込まれる。その三人が年一で行っている同窓会(今回は競馬観戦)の模様。
独特。だいぶ変わった人に、スポットライトを当てている。変わった嗜好や悪癖が、みなさんおありだ。解説に「畢竟、世の中には平凡な人間など一人も存在せず、外側はすまして生きている私たちの誰しもが、その内側にとてつもなくへんてこな個性を隠し持っているのかもしれない」とあるとおり。そして、そんなおかしな人が、真面目に生きている姿に、切なくなる。今村夏子さんが好きで影響を受けていると、インタビューで答えているのを見たが、それともまた違う変わり具合だった。 -
Posted by ブクログ
まったく何も知らない本だったけど、タイトルと帯に惹かれた。
どうしても「猫」がタイトルに入ってると目が行ってしまうのだ…。
タイトル的にはほっこり平和な小説かと思ったけど、帯には「なにか悪いことがおきるのかも、という薄暗い期待。…」と書いてあって、はて一体どんなストーリーが?と謎を感じつつ読み始め。
7つの短編で、1話30ページくらいの短い話。
なんだけど、思ったよりも引き込まれた。
短い話の中で大きな動きがある訳ではないんだけど、決して平坦でもない。
帯の文の意味が分かった。
タイトルから漂うほっこり感はないけど、不穏な終わりでもなくて、なんだか不思議な本だった。
癖のある人たちがでてきて、なんじゃそりゃ!って少し笑ってしまった。
ほかの作品が直木賞候補になったことがあるらしく、それも読んでみたいかも。
短編はそこまで好きじゃないんだけど、なんだか普通とは違う雰囲気で面白かったな。
【追記】
この作家さん、直木賞取ったのかー!「カフェーの帰り道」って聞いたことある、この1、2年で受賞かな?
ますます他の作品も読みたくなっちゃった。 -
Posted by ブクログ
猫をテーマにしたアンソロジー短編集ですね。
人気作家7人が、謎と企みに満ちた短編を綴ります。
目次
世界を取り戻す 村上由佳
女か猫か 有栖川有栖
50万の猫と7センチ 阿倍智里
双胎の爪 長岡弘樹
名前がありすぎる カツセマサヒコ
猫とビデオテープ 嶋津輝
幸せなシモベ 望月舞衣
阿倍智里さんがエッセイで猫との生活を描いた作品で、それ以外はフィクションの短編なのだけど、猫が脇役扱いなので、ちょっと残念です。
長岡弘樹さんと望月舞衣さんはさすがに短編の名手ですね。有栖川さんは、学生アリスで久しぶりに江神さんがでてきますが、精彩に欠けてましたね!
題名に惹かれましたが、もうひとつと云うところでした(=゚ω゚=)