嶋津輝のレビュー一覧
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ここに2人の女がいる。
1人は千代。地味で目立たない。名前からしても平凡。醜くはないが、美しくもなく、引っ掛かりがないせいか、他人の印象に残りにくい。どこか人の気持ちに鈍いところもあり、悪気はないのだが、とにかくぱっとしない。
もう1人はお初。粋でしゃきしゃきしており、何でもてきぱきとこなす。人のよいところを伸ばすことにも長けていて、教え上手。以前は芸者として働いていたという。
このあまり似通ったところのない2人が出会い、大正から第二次大戦後までを過ごし、強く温かな絆で結ばれていく、そんな物語である。
第1章は「再会」と題される。すでに戦後である。
盲目の初衣は住み込みの女中を探している。そ -
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冠婚葬祭をテーマにしたアンソロジー
6人の作家による個性豊かな短編集で、個人的には
寺地はるなさんと町田そのこさんが好みだった。
以下、収録作品と簡単なレビュー
飛鳥井千砂「もうすぐ十八歳」
成年年齢が引き下げられた。
でもどう感じるかなんて自分次第だと思った。
寺地はるな「ありふれた特別」
読者の予想をいい意味で裏切ってくれた。
ずっと何やら面白くてじんわりと温かかった。
雪舟えま「二人という旅」
家読みのシガとクローンのナガノ。
まさかのSFでぶっ飛んでいた笑
嶋津輝「漂泊の道」
葬儀で出会ったうつくしいひと・・・
感じ方や物の見方が年々研ぎ澄まされ無駄を排除していく様子が人生 -
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主人公は鈴木千代、製缶会社の長男に嫁ぎ、そこで出会ったのが三村初衣。花嫁と女中という関係ながら、何事にも秀でた初衣にいろいろなことを教わりながら、婚家で日々を過ごしていく。東京大空襲が二人を引き離すが、やがて、盲目の三味線師匠と住み込み女中として再会し、また二人で暮らすことになる。
大正から昭和、震災があり、戦争があり、そんな時代背景にも二人は翻弄される。
いわゆるシスターフットものといったら、よりわかりやすいのか?人には言えない秘密も共有する
二人だから、閨のはなしや、性器の形状の話など、あけすけな表現も違和感ないエピソードになっていた。怖がりな猫のトラオを大切にしてるところが、とてもよかっ -
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ネタバレ【収録作品】
「もうすぐ十八歳」 飛鳥井千砂
「ありふれた特別」 寺地はるな
「二人という旅」 雪舟えま
「漂泊の道」 嶋津輝
「祀りの生きもの」 高山羽根子
「六年目の弔い」 町田そのこ
冠婚葬祭アンソロジー。
「もうすぐ十八歳」 「成人」を巡る話。沖縄出身で、十八で子どもを産み、結婚した智佳。娘が十八になることで感慨を抱く。
「ありふれた特別」 取り立てて仲がいいわけでもなかった幼なじみたちの関係が変化した、出産騒ぎ。
「二人という旅」 結婚。旅をしている家読みのシガと助手のクローン・ナガノとの関係の変化。
「漂泊の道」 弔事のときだけ会う親戚のカナに漠然と惹かれる希和子の生き方。
「祀 -
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ネタバレ2023下半期 第170回直木賞候補作品
時代は大正末期から戦中戦後。
裕福な家に嫁いだ千代と
その家の女中頭、お初の物語。
千代は実母への複雑な想いや
夫と心も体も深まらないことが寂しくもあるが
お初ともう一人の女中さんと3人での
仲良く丁寧な暮らしを送っていた。
文章も大変読みやすく、スルスル読めていたが
途中で左のピラピラの話で
ビックリ仰天。
あわわ、そんなことって、、とページを捲る手が更に止まらず、、、、
私ったらなんて下世話なんでしょう。
しかしこのエピソードいるのかな。
ただ相性が悪かったて話じゃダメだったのかな。
空襲で離れ離れになってしまう千代とお初?
のんびりお初さん