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いつか深い穴に落ちるまで
だって、近道じゃありませんか。戦後まもない日本で、ブラジルまで直通の穴を掘る前代未聞の新事業が発案された。極秘事業の「広報係」となった鈴木一夫は、計画の前史を調べ、現在まで続く工事の進捗を記録していく。地球の裏の広報係との交流や、事業存続の危機を経て、ついに「穴」が開通したとの報告を受けるが……。奇想天外な発想力で多くの本読みたちを唸らせた、唯一無二のサラリーマン小説。第55回文藝賞受賞作。 この小説は、突拍子もないのに生真面目で、奇妙なのに誠実で、愛おしいけれど残酷な、私にとって忘れ難い物語でした。 村田沙耶香氏 作り込まれたリアリティーと荒唐無稽なファンタジーの狭間を行き来する異空間的小説。 ニシダ氏(ラランド) -
ビストロ・べーテヘようこそ
10年以上付き合ってきた彼は後輩と結婚、真摯に勤めてきた仕事先はクビ。数か月後に迫る「35歳」を目前に、小野コマチは婚活アプリに登録する。「私の料理をぜひ食べに来てほしい」と誘われ、出向いた先はなんと色とりどりのバラが咲き誇る庭園に囲まれた豪邸だった。恐る恐る進むコマチを待ち受けていたのは、見目麗しく一口食べれば止まらない料理の数々で――(「第一話 小野コマチの情熱~骨付き鶏もも肉のワイン煮込み」より)。現実に少し疲れた人の前に現れる、豪華なビストロとめくるめく料理、そして謎に包まれたシェフとは?「ものがたり洋菓子店 月と私」の著者が贈る、美味しい一皿と再生を描いた連作短編集! -
よろずを引くもの
高校生の滝本望は、お蔦さんの愛称でご近所に親しまれる祖母と、神楽坂で暮らしている。その神楽坂では、近頃万引きが多発しているのだという。商店街全体で警戒していたのだが、和菓子店の主人が逃げる犯人に突き飛ばされて怪我を負ってしまった! 正義感に駆られる望と友人の洋平は、似顔絵を描いて万引き犯を捕まえようと思い立つのだが……。商店街を騒がせたできごとを描く表題作をはじめ、失踪した商店街のアイドル猫・ハイドンを探す「孤高の猫」など、全七編を収録。粋と人情、そして美味しい手料理が味わえる大好評シリーズ第4弾!/【目次】よろずを引くもの/ガッタメラータの腕/いもくり銀杏/山椒母さん/孤高の猫/金の兎/幸せの形 -
友が、消えた
【金城一紀、13年ぶりの書き下ろし最新作!】 絶対に変えてやる。このクソみたいな現実を。 読めば勇気が湧いてくる、最高&最強の青春小説! オチコボレ男子高校生だった南方は、仲間たちとのある約束のために大学に進学した。「君たち、世界を変えてみたくはないか?」高校の生物教師のこの言葉をきっかけに、仲間たちと周囲の不条理に立ち向かった彼らは、「殺しても死にそうにないから」という理由で「ザ・ゾンビーズ」と呼ばれていた。だが高校卒業を機にメンバーはそれぞれの道に進み、チームは解散。南方は大学でどこか物足りない日々を送っていた。 そんな折、同級生の結城から「友人の北澤と、その家族が行方不明になったので捜してほしい」との依頼が。胸に秘めていた本能を揺さぶられた南方の前に、学内最大のサークルを仕切るカリスマ志田、志田を狙う謎の女子、そして北澤を追う男たちが現れる。渦巻く思惑と予想外の真相に、南方は果敢に迫っていく。 -
ゾンビ3.0
日韓同時刊行された話題のホラー・ミステリーが文庫化。予防感染研究所に閉じ込められた若き研究者たちがゾンビ化の原因究明に挑む! 香月百合は新宿区戸山の予防感染研究所に休日出勤する。研究熱心で優秀な下村翔太や、医学博士で女性所員憧れの加瀬祐司も出勤していた。日曜なのに全所員の8%ほどの計40人が研究所にいるようだ。席に着いてWHOのサイトに接続すると、気になる報告があった。アフガニスタンやシリアなどの紛争地域で人が突然気絶し、1分前後経つと狂暴になって人を襲い始めるという。しばらくすると研究所内の大型テレビに、現実とは思えないニュース映像が流れた。人が人を襲う暴動が日本各地で起こっているというのだ。いや、世界中で。画面に向かって所員が呟いた。「これゾンビでしょ」。──外が騒がしくなってきた。研究所は2メートルの塀で囲われているが、このままではやがて所内もゾンビに襲われるかもしれない。脱出するには、ゾンビ化の原因を究明するしかないのだ。立ち上がる、百合たち若き研究者。そして、予防感染研究所に閉じ込められた四十人の戦いが始まった……。 -
このミステリーがすごい! 2025年版
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 36年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。 表紙&巻頭では漫画『【推しの子】』を特集。 作品の完結を祝し、赤坂アカ氏にお話をうかがいました。 更に、デビュー20周年を記念した 辻村深月氏×湊かなえ氏 道尾秀介氏×加藤隆生氏(SCRAP代表)の二大対談では、 ミステリーの過去・今・未来についてたっぷり語っていただいています。 ゲーム×ミステリーも特集。 「かまいたちの夜」我孫子武丸氏、「Fate/Stay night」奈須きのこ氏のインタビュー、 「逆転裁判」巧舟氏「ひぐらしのなく頃に」竜騎士07氏「ダンガンロンパ」小高和剛氏のコラムどで ゲームとミステリーの歴史をひもときます。 各業界人も注目する2024年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、 超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。 -
転がる検事
窓際検事の逆転なるか! 夏の夜、若者が高架鉄道から転落し、猛スピードの車に衝突した。自殺か、他殺か。判断に迷う刑事課長は飲み友達の検事、久我周平に助けを求めた。出世レースから外れた久我は日の当たらぬ部署で罰金刑など軽めの事件ばかり扱う一方、遺体の検分には豊富な経験を持つ。久我は靴の傷に他者の関与を疑う。交番巡査、新人の女性検事とともに若者の身辺を探っていくと、高級外車を巡る、海を越えた取引が浮かびあがった。法務検察内のパワーゲームにも巻き込まれながら、男の正体に迫っていく。窓際検事の逆転なるか。 ◎著者は、検察庁など司法を担当した現役新聞記者 ◎解説は元最高裁判事の甲斐中辰夫氏 ◎第3回警察小説大賞受賞作 真摯に正義を求める“生身の検事”がここにいる―――柚月裕子 氏激賞! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『転がる検事に苔むさず』の文庫版となります。 -
人面瘡探偵
名探偵は肩にいる!? 不可解連続殺人の謎。 三津木六兵には秘密がある。子供の頃に負った右肩の怪我、その傷痕がある日突然しゃべりだしたのだ。人面瘡という怪異であるそれを三津木は「ジンさん」と呼び、いつしか頼れる友人となっていった。 そして現在、相続鑑定人となった三津木に調査依頼が入る。信州随一の山林王である本城家の当主・蔵之助の死に際し遺産分割協議を行うという。相続人は尊大な態度の長男・武一郎、享楽主義者の次男・孝次、本城家の良心と目される三男・悦三、知的障害のある息子と出戻ってきた長女・沙夜子の四人。さらに家政婦の久瑠実、料理人の沢崎、顧問弁護士の柊など一癖ある人々が待ち構える。 家父長制度が色濃く残る本城家で分割協議がすんなり進むはずがない。財産の多くを占める山林に希少な鉱物資源が眠ることが判明した夜、蔵が火事に遭う。翌日、焼け跡から武一郎夫婦の焼死体が発見された。さらに孝次は水車小屋で不可解な死を遂げ……。一連の経緯を追う三津木。そんな宿主にジンさんは言う。 「俺の趣味にぴったりだ。好きなんだよ、こういう横溝的展開」 さまざまな感情渦巻く本城家で起きる事件の真相とは……!? 解説は金田一俳優でもある片岡鶴太郎氏。 ※この作品は単行本版として配信されていた『人面瘡探偵』の文庫本版です。 -
桜虎の道
累計120万を突破した「もぐら」シリーズを手掛ける矢月秀作さんによる、最新長篇! 本作の主人公は司法書士事務所のしがない見習い桜田哲。 桜田はかつて最強の取り立て屋として裏社会で恐れられる存在だった。しかし、現在の上司である尾見と出会ったことで改心し、そのもとで以前の仕事を隠し働いているのであった。 ある日、尾見司法書士事務所には、不動産会社を運営する大口顧客である木下義人より遺言書の預かり証の保管を依頼が舞い込む。しかも木下の要望により、預かり証は桜田が個人で保管することになってしまった。 そんな桜田のもとには、木下の遺言書の内容を探るべく、木下の親族が暴力団やかつてのギャングを送りこんできて…。 そして、いざ戦闘になり、頭に血が昇ると圧倒的な凶暴性を発動してしまう桜田だが…。 預かり証を守り切ることができるのか、そして遺言書にはいったい何が書かれているのか。 一つの遺言書を巡り段々と明らかになる、不動産グループの創業一族が抱える闇も露見し、物語は急展開を見せていきます。 圧倒的バイオレンスアクションが開幕!!! -
光っていません
事故で2年間植物状態になっている恋人を見舞い続ける“私”の前に、分身を名乗る幽霊が現れる。自分そっくりな幽霊が一向に姿を消さないため、“私”は仕方なく一緒に暮らし始めるが……(「幽霊の心で」)。人間をクラゲにしてしまう、変種のクラゲが大量発生する。社会に動揺が走るなか、音楽活動をやめた“私”は、自らクラゲになりたがる人をサポートする仕事につき……(「光っていません」)。所属している劇団が行き詰まり、仕方なく役割代行サービスをしている駆け出し俳優の“あたし”。誰かに代わって別れを告げたりニセの恋人になったりしているうち、ある男から、「冬眠の準備を手伝ってほしい」という依頼があり……(「冬眠する男」)。閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす、韓国発、8つの奇妙な物語!/【目次】幽霊の心で/光っていません/夏は水の光みたいに/見知らぬ夜に、私たちは/家に帰って寝なくちゃ/冬眠する男/アラスカではないけれど/カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ/作家の言葉/解説=倉本さおり -
ミセスハリス
映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』 2022.11.18(金)より映画公開 もうすぐ60歳の家政婦さんがディオールのドレスに恋をした! 1950年代のロンドン。ハリスおばさんはもうすぐ60歳の通いの家政婦。夫を亡くし、質素な生活を送っている。ある日、勤め先の衣装戸棚でふるえるほど美しいクリスチャン・ディオールのドレスに出会う。今まで身なりを気にしてこなかったが、自分もパリでドレスを仕立てようと決意し、必死でお金をためることに。やがて訪れたパリで、新しい出会い、冒険、そして恋? 何歳になっても夢をあきらめない勇気と奇跡の物語。解説・町山智浩 ※本書は、1979年12月に刊行された『ハリスおばさんパリへ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化したものです。原題:Mrs Harris Goes to Paris この物語は、還暦近い家政婦ハリスさんが、努力と幸運と善意で、パリの高級ドレスを仕立てることになる、シンデレラ・ストーリーです。しかし、その背景には、当時、イギリスやフランスで起こりつつあった社会変動が隠されています。 オート・クチュール(高級仕立て服)はどれも一点ものです。だから、ファッションショーもごくごく限られた大金持ちのお得意様だけに見せるものでした。 ハリスさんはそれでも堂々とショーを見せろと要求します。自分が汗水垂らして稼いだ金を持ってきたのに何を恥じることがあるのか。 ディオールのマダムは、ハリスさんを見て「不思議な風格」を感じます。風格とか気品はその人の生まれ育ちや着ている服ではなく、内面から立ち上がるものだからです。 一生縁がないと思われたドレスを作ることが、ハリスさんなりの反逆であったことはいうまでもありません。――町山智浩 -
ゆびさきに魔法
育児中も、おじさんも、俳優も、ネイルのある毎日はいつだって幸せ クスリと笑えて胸温まる――。しをん節炸裂! ザ・王道“お仕事”小説 あらすじ 月島美佐はネイルサロン『月と星』を営むネイリストだ。爪を美しく輝かせることで、日々の暮らしに潤いと希望を宿らせる――ネイルの魔法を信じてコツコツ働く毎日である。そんな月島のもとには今日も様々なお客様がやって来る。 巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居を跨ごうとしない居酒屋の大将。子育てに忙しく、自分をメンテナンスする暇もなくストレスを抱えるママ。ネイルが大好きなのに、パブリック・イメージからネイル愛を大っぴらにはできない国民的大河男優……。 酒に飲まれがちながらも熱意に満ちた新米ネイリスト・大沢星絵を得て、今日も『月と星』はお客様の爪に魔法をかけていく。 登場人物 月島美佐 『月と星』を営むネイリスト。丁寧で正確な施術が得意。悩みは人手不足。仕事に忙しく、恋の仕方は忘れてしまった。 大沢星絵 求職中の新米ネイリスト。独創的なセンスの持ち主だが、基礎技術に少しだけ難アリ。すぐに人と打ち解ける高い能力を持つ一方、酒に飲まれると記憶を綺麗に失う。 松永 居酒屋「あと一杯」の大将。巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居をまたごうとしない。煮付けを大沢に溺愛されている。 上野琴子 子育てに忙殺される。ネイルをしたいが、「母親失格」と思われるのではと気に病んでいる。 村瀬成之 国民的人気を誇るイケメン俳優。ネイルを心から愛するも、パブリック・イメージからそれを明かせずにいる。 -
命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎
大正八年、帝国新報の記者・可能勝郎は、東京市郊外の世田谷村にやってきた。村一番の富豪である守泉家が、「なかむら座」を招いて『番町皿屋敷』を上演するのを取材するためだ。守泉邸は上空から見ると「む」のような形をしていて、通称「むの字屋敷」と呼ばれている。勝郎は「なかむら座」の俳優・静禰や、屋敷に滞在していた伊藤晴雨のモデル・カネなどにも話を聞きながら上演日を待つことに。しかし、深夜に勝郎が女性の死体を発見するものの現場を離れたわずかな間に消失、上演後の打ち上げの席では衆人環視下の殺人まで巻き起こる! 売り出し中の“探偵小僧”明智少年と共に推理を巡らす勝郎だったが……。レジェンド辻真先が、本格ミステリの楽しみを随所に鏤めて贈る、最新長編。 -
さよならの向う側
「あなたが、最後に会いたい人は誰ですか」 さよならの向う側と呼ばれる場所にいた男、案内人はそう言った。 人は亡くなった時、最後に一日だけ現世に戻って 会いたい人に会える時間が与えられる。 ただし、その中で会える人は、 『あなたが死んだことをまだ知らない人だけ』。 人は最後に大切な人に会いに行く。 きっとどんな困難が待っていても、人はそれでも大切な人に会いに行く。 そんな、さまざまな人たちと案内人が織りなす、最後の再会を描いた純度100%の温かい感動の物語。 今すぐ、大切な人に会いたくなる物語が、ここにある――。 -
虹の橋からきた犬
「犬コロと仕事のどっちが大事なんだ?」ワンマン社長の南野は、愛犬が病気で定時に帰ろうとする部下に激怒する。だが、これを機に社員一同の不満が爆発し、逆に孤立することに。そんな中、ひょんなことからゴールデン・レトリバーの子犬を飼うことになった彼は、その子犬“パステル”の純粋さに触れることで変わり始め、彼らはソウルメイトになっていくが……。愛犬が著者に注いでくれた無償の愛が起こした、数々の奇跡を基にした感動のストーリー。「作家生活二十四年、百作近い著書を生み出してきた私が完成した原稿を読み返して初めて涙した」――ペットロスからの希望を描く一番泣ける犬小説。 -
こぼれ落ちる欠片のために
真実を見抜き、罪を償わせる。 たった、それだけ。それだけのことが、なぜこんなにも難しい――? マンションの一室で発生したある殺人事件の現場に向かった、県警捜査一課の和泉。 そこで出会った女性警官・瀬良の第一印象は、簡単に言えば「最悪」だった。 しかし、上の命令で瀬良とタッグを組み殺人事件を捜査することになり、 和泉は彼女の類稀な観察力を知ることになる。 二人の懸命な捜査により、事件のかたちが徐々に輪郭を帯びていくが、 待ち受けていたのは「正しい刑罰」の在り方を問う、予想外の真相だった――。 和泉と瀬良が立ち向かった最初の事件「イージー・ケース」ほか、 事件に関する証言を頑なに拒み続ける容疑者の謎を追う「ノー・リプライ」、 解決の糸口が見えない誘拐事件を描く書き下ろし中編「ホワイト・ポートレイト」を収録。 心揺さぶる結末に息を呑む、圧巻の傑作警察ミステリー! -
チェーン・ディザスターズ
202X年7月。 長年危惧されていた南海トラフ地震が発生し、日本列島の太平洋側は壊滅状態に。 若き環境大臣・早乙女美来は、特に被害が大きかった愛知へ向かった。 名古屋では、地元IT企業「ネクスト・アース」がAI技術を駆使して開発した「エイド」によって、迅速な行方不明者の捜索と救助、避難所運営がおこなわれていた。 追い打ちをかけるように東京直下型地震が発生。 さらに、8月には過去最大級の大型台風が首都圏を襲う。 東京のビル群は崩れ落ち、閣僚の大半が亡くなり、緊急事態に対応するため美来が史上最年少で総理大臣に抜擢される。 しかし、絶望的な状況で、ついには富士山噴火の予兆が見え始め…… 初の女性総理・早乙女は、ネクスト・アースのCEO・利根崎に協力を仰ぎながら、日本最大の危機に立ち向かう。 崩壊に向かう日本を救うことが出来るのか――。 防災シミュレーション小説の第一人者の集大成。 -
秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚
『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顛末譚』著者の言葉 木下昌輝 江戸時代、こんなにややこしい殿様は他にいなかったかもしれない。 小藩から25万石の大藩に養子入りし、苛烈な藩政改革に取り組んだ。 誰にも負けぬ弁舌と知識、厳しい倹約令と公共投資の両立、当時の身分制度を破壊する新法、そして、どこにもない市を生み出そうとしたが…… 蜂須賀重喜という男が愚者なのか賢者なのか、勝者なのか敗者なのか。 皆様の目で確かめてください。 ********************** 三十万両もの巨額の借財を抱える徳島藩。藩政改革を担ったのは、型破りな人物だった。 気鋭の作家・木下昌輝が、現代にも通じる政治改革と、経済立て直しを目指す藩主と家臣団の奮闘を描く。 阿波には特産の藍があった。 江戸時代中期の宝歴3年(1753年)から、明和6年(1769年)に起こった徳島県蜂須賀藩のお家騒動の真相とは…。 徳島藩蜂須賀家の物頭、柏木忠兵衛は新藩主候補・佐竹岩五郎との面会のため、江戸に急いだ。藩の財政はひっ迫している。 新たなまとめ役が必要だった。しかし――。 「政(まつりごと)には興味なし」 新藩主となった岩五郎改め、第十第藩主・蜂須賀重喜はそう言い放つ! 家老たちの専横に抗して、藩主の直仕置(直政治)による藩政改革をめざす忠兵衛ら中堅家臣団。 対立が激化するなか、新藩主が打ち出した驚きの改革案とは!? そして、徳島藩を狙う大がかりな陰謀とは……。 「殿と一緒にやりたいのです!」 アクション&サスペンス満載、著者渾身の痛快歴史エンタテイメント長編! 徳島藩を二分する家臣団の対立が勃発する。 新藩主として第十代藩主・蜂須賀重喜を迎え、気鋭の中老たちは、藩政改革と藍玉の流通を取り戻そうと闘い始めた…。 ところが、新藩主はあまりにも斬新な改革案を打ち出した! 特産品の「藍」は借財に苦しむ藩を救うのか? 「改革で大切なのは、人の心を変えること!」 -
その時鐘は鳴り響く
東京・赤羽の路上で資産家が殺害された。赤羽署初の女性刑事・黒光亜樹は、本庁から来た癖の強い先輩刑事とコンビを組まされ、彼と対立しながらも懸命に捜査を続けるが、なかなか容疑者は浮かんでこない。同じ頃、松山大学マンドリンクラブのOG・国見冴子は、仲間二人と母校の取り壊し予定の部室棟を訪れていた。すると部室の黒板に、三十年前に失踪したクラブのメンバー・高木圭一郎が最近書き残したと思しき「その時鐘は鳴り響く」を見つけて驚く。それは四年生の夏合宿で事故死した篠塚瞳を含め、五人の間で頻繁に言い交わしていた言葉だった。瞳の死後に失踪した高木は、なぜ今になって部室を訪れ、この言葉を残したのか? 冴子たちは当時の事故について調べ始めるが……。日本推理作家協会賞受賞作家の新境地、慟哭と郷愁のミステリ。 -
カタリゴト 帝都宵闇伝奇譚
世は大正。華族である堀井男爵が、何者かに殺された。 自称“ハードボイルド”私立探偵・平島元雪は、 「華族殺し」の犯人を突き止めるため独自調査を開始する。 未亡人となった堀井夫人の愛猫探し、噂の怪人“ムカデ伯爵”と失踪したバスガールの行方、 堀井家に現れる“黄金幽霊の首”の謎…… 無理難題を突きつけられる平島の前に、美しき年少浪曲師・真鶸亭湖月が現れる。 湖月は平島から投げかけられる事件の手がかりと、実在の説話・伝承を元に、 即興で創り出す奇想天外な物語〈カタリゴト〉を披露していくが――。 その〈謎解き〉は単なる騙りか、はたまた真相への糸口か? 帝都を舞台に繰り広げられる大正推理奇譚、ここに開幕。 -
婚活マエストロ
本屋大賞受賞『成瀬は天下を取りにいく』を超える、爆走型ヒロインが誕生! 40歳の三文ライター・猪名川健人は、婚活事業を営む「ドリーム・ハピネス・プランニング」の紹介記事を書く仕事を引き受ける。安っぽいホームページ、雑居ビルの中の小さな事務所……どう考えても怪しい。 手作り感あふれる地味なパーティーに現れたのは、やけに姿勢のいいスーツ姿の女性・鏡原奈緒子。場違いなほどの美女だが、彼女は「私は本気で結婚を考えている人以外は来てほしくありません」と宣言する。そして生真面目にマイクを握った――そう、彼女は婚活業界では名を知らぬ者はいない〈婚活マエストロ〉だった。 その見事な進行で、参加者は完全にマエストロ・鏡原の掌の上。彼女は何者なのか、なぜこんな会社で働いているのか、〈マエストロ〉ってなに……謎は深まるばかりだが、猪名川は同社のイベントを手伝うことに。65歳以上のシニア向け婚活パーティーから、琵琶湖に向かう婚活バスツアー(クルーズ船「ミシガン」に乗車)まで。これまで結婚に興味のなかった猪名川も、次第に「真面目に婚活するのも悪くないかもしれない」と思い始める。 ものは試しと他社が運営する婚活パーティーを訪れてみると、そこには参加者として席に座る鏡原の姿があった――。 -
サンセット・サンライズ
菅田将暉宮藤官九郎で2025年1月、映画化決定! 東北の楽園の神物件で”試し移住”。たくさん笑って、ホロリと泣ける、地方創生爽快エンターテインメント! 3LDK、家賃8万円、家具家電付きの神物件に一目惚れ! 東京の大企業に勤める晋作は、コロナ禍を機に田舎への移住を考える。三陸で見つけたのが、広い、安い、おまけに家具家電付きの神物件。 早速”お試し移住”を始め、大好きな釣り三昧の日々を過ごすが、地元の人々は東京から来たよそ者の登場に気が気でない。 一癖も二癖もある地元民との交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作。そんな中、ある新事業を思いつき……。 -
首取物語
少年は、空腹に耐えかねて、目の前にいる男の握り飯を奪った。その行為を何度も繰り返していることに気づいたとき、首だけの男に出会う。 男は少年と同じく過去の記憶を無くしていた。侍だったということ以外は。 二人は様々な国へ飛ばされ、少しずつ記憶を取り戻していく。 彼らはなぜ、記憶を無くてしまったのか? 男はなぜ、首だけの姿になってしまっているのか? 第164回直木三十五賞を受賞した著者が、『千年鬼』に続き贈る和風ファンタジー。 第1話 独楽の国 第2話 波鳥の国 第3話 碧青の国 第4話 雪意の国 第5話 消去の国 第6話 和茅国 第7話 波賀里の国 -
幽霊作家と古物商
「ねえ、助け合ってみない? 僕たち。」 死後も小説を書き続ける作家・響は、自分の死因が分からないままこの世に留まっている。孤独な響のことが視えるのは、古道具屋「美蔵堂」の店主・類だけ。どこか謎めいた彼は、霊を引き寄せやすい体質で……。唯一無二の関係になった二人のもとには、今日も怪異が訪れる。曰くつきの青年達がおりなすホラー短編集、第一弾! ====主な登場人物==== 長月響(ながつき・きょう) 作家。自分の死因がわからない幽霊だが、今も執筆の仕事を続けている。 御蔵坂類(みくらざか・るい) 古道具屋「美蔵堂」の店主で、響の友人。霊感があり、響のことが視える。 -
喫茶とまり木で待ち合わせ
ヒューマンドラマの名手・沖田円が贈る最高傑作! 自分の生き方にふと迷ったら、 ささやかな人生たちが交差する「喫茶とまり木」へ 疲れた羽を休めに来ませんか? それは街の片隅にある静かな喫茶店。 決して繁盛しているとは言えないが、毎日、様々な想いを抱えた客が訪れる。 仕事と家庭の両立ができず離婚した後も、母親になれなかった自分に苦悩する30代女性。 男子であることに縛られ、趣味のアクセサリー作りを誰にも話せない高校生。 安定は手に入れたものの、平凡で退屈な生き方から外れることに憧れる20代事務員女子。 そして、ある特殊な依頼によって大切なことに気づかされる便利屋の男……。 それぞれの人生を温かな眼差しで紡ぐ沖田円渾身の連作短編、待望の文庫化!! それは、とめどなく切なく優しく温かい……。 不器用な心を救う――今、あなたに届けたい物語。 【沖田 円さんから読者の皆様へのメッセージ】 どこにでもいる人たちの、どこにでもある物語を書こうと思いました。 自分が人生で体験しないだろうことを味わえるのは読書の醍醐味のひとつだと考えていますが、今作はあえて自分に身近な「そこら辺にいそうな人」たちを物語の主軸に置いてみました。 本作に主人公はたぶんいません。 喫茶とまり木にやって来た5人は、他の物語ならば名前も付かないモブかもしれません。 でも彼らにだって悩みがあり、躓きがあり、人生にちょっとしたドラマだってある。 今作は、そんな人たちのささやかな物語となりました。 皆様のそばにいつの間にかいるような、古い友達みたいな本になればいいなと思っています。 ほんのちょっとだけ明日が来るのが楽しみになりますように。 (作家・沖田 円) 【全国の書店員さんも大絶賛!! 共感と感動の声続々!!】 笑ったり泣いたり、心が温かくなりました。 とびきりハートウォーミングな物語に、元気をいただけました! (紀伊國屋書店 福岡本店・宗岡敦子様) さりげない優しさで、読後、沖田さんの描くピュアな想いに心が浄化されました。 (未来屋書店 大日店・石坂華月様) 人生はほろ苦い。ブラックコーヒーのように。 でも、少し甘いカフェオレのように、この物語はやさしい。 (くまざわ書店 シャポー船橋店・岡田優衣様) -
さかさ星
戦国時代から続く名家・福森家の屋敷で起きた一家惨殺事件。死体はいずれも人間離れした凄惨な手口で破壊されており、屋敷には何かの儀式を行ったかのような痕跡が残されていた。福森家と親戚関係の中村亮太は、ある理由から霊能者の賀茂禮子と共に屋敷を訪れ、事件の調査を行うことになる。賀茂によれば、福森家が収集した名宝・名品の数々が実は恐るべき呪物であり、そのいずれか一つが事件を引き起こしたという。賀茂の話を信じきれない亮太だったが、呪物が巻き起こす超常的な事象を目にしたことで危機を感じ始める。さらに一家の生き残りの子供たちにも呪いの魔の手が……。一家を襲った真の呪物は? そして誰が何のために呪物を仕掛けたのか? 数百年続く「呪い」の恐怖を描く特級長編ホラー。 -
ルームメイトと謎解きを
全寮制男子校である霧森学院の旧寮「あすなろ館」は、昨年起きた“ある事件”のせいでほとんどの生徒が新寮に移ってしまい、今はたった6人の生徒しか入居していない。 そのうちの一人・兎川雛太の部屋に新たな入居者がやってきた。転校生の鷹宮絵愛。頭脳明晰だが動物にしか心を開かない変人だ。 ある日、校内で生徒会長の湖城龍一郎が何者かに殺害される。現場の状況から犯行が可能なのはあすなろ館の住人だけだった――。 -
浅草寺子屋よろず暦
「本屋が選ぶ時代小説大賞」など数々の賞を受賞し、直木賞候補にもなった『高瀬庄左衛門御留書』から3年。スリリングかつ心震える新たな傑作時代小説が誕生。世の中には決して見過ごせないことがある。浅草の寺子屋を舞台に、師弟、親子、兄弟、幼なじみ……明日にむかい、ともに懸命に生きる。人間の縁と心の機微を濃やかに深く描く感動作。大滝信吾は、ゆえあって旗本である兄の紹介で、浅草寺の境内にある正顕院で寺子屋を開いている。源吉や三太、おさよなど大半は町人の子だ。穏やかな春の日、子どもたちと縁側で握り飯をほおばっていたとき、源吉の姉が駆け込んできた――大切な人を守るため、信吾は江戸の闇と真っ向から闘う。浅草の四季を背景に、家族や友人、下町の人情に支えられながら、信吾が天命を見つけ、成長するさまを圧倒的な筆力で描く。 -
23時の喫茶店
バイトに明け暮れ、これからの人生に漠然と不安を抱く美大生の伊織は、ある日特別 な条件を満たす客人のみを迎える「真夜中の喫茶店」の噂を耳にする。まるで興味のな い伊織だが、不思議な巡り合わせでその喫茶店を訪れることに。迎えてくれたのは、人形のように美しく聡明な店主・透子だった。 紅茶専門店だというその店で透子が淹れた一杯と、その紅茶にまつわる話を聞いた伊織は次第に心が解きほぐされ――。 深夜23時。今宵も弱った心を癒す喫茶店の扉が開く。 -
よむよむかたる
本を読み、人生を語る、みんなの大切な時間 この小説は、著者の母が参加していた読書会の風景がきっかけで生まれました。 本を読み、人生を語る。人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。 〈あらすじ〉 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。 店長の安田松生は、28歳。小説の新人賞を受賞し、本を一冊出したが、それ以降は小説を書けないでいる。昨年叔母の美智留から店の運営を引き継いだばかりだ。その「引き継ぎ」の一つに〈坂の途中で本を読む会〉のお世話も含まれる。何しろこの会は最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。安田は店長の責務として世話係だけをするつもりだったが、「小説家」であることを見込まれて、この会の一員となる。 安田は読書会に対しても斜に構えていた。二作目が書けない鬱屈がそうさせていたのかもしれない。しかし、読書会に参加し、自分でも老人たちと「語る」ことで心境に変化が訪れる――。 -
神戸北野メディコ・ペンナ 万年筆のお悩み承ります
「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」。そんな看板を掲げるお店「メディコ・ペンナ」は万年筆の調整を手掛けている。ミニチュアの洋館に似た佇まいをしており、店主は年齢不詳でもしゃもしゃした白髪の男性。物語から飛び出したような浮世離れしたお店には、万年筆の購入や修理のためにいろんなお客がやってくる。それだけではなく、願いや悩みを抱いている人たちも、人生を変えるためにお店を訪れるというが――。 -
くるくるコンパス
中学将棋部の男子三人、カズト、シンヤ、ユーイチは、京都行きの修学旅行について、危険な計画を立てた。それは、転校してしまった部活仲間の佳織に会いに、自由行動時に抜け出して大阪へ行くというもの。恐ろしい体育教師や非協力的な班の女子、迷路のような大阪の街……三人は無事に佳織の家にたどり着いて、戻ってこられるのか? 人生に一度きり、熱くて特別な、長い長い修学旅行。ラストに感動が訪れる爽やかな青春小説! -
アスク・ミー・ホワイ【文春文庫版】
【この電子書籍は、2024年8月刊行の文春文庫版を底本としています。文春文庫版特別付録として「『港颯真』という生き方」を収録しています。】 傷を抱えた二人の男子、感動のラブストーリー アムステルダムの街で恋に破れたヤマトは、出会ってしまった。元俳優の港くんと――。港くんはスキャンダル報道で、芸能界から姿を消していた。過去の傷を抱えながらも、互いの距離は次第に近づいていき……出会うはずのなかった二人が織りなす、切なくも感動的なラブストーリー。巻末に特別付録「『港颯真(みなとそうま)』という生き方」収録。 異国の地で出会ったのは引退したはずの人気俳優だった。彼に新しい世界を見せられた僕は―― 「過去はね、変えられるはずなんだよ。もしかしたら、未来よりずっと簡単に」 『昭和元禄落語心中』『いとしの猫っ毛』の雲田はるこ 描きおろしイラスト満載! 【登場人物】 ●ヤマト……彼女と一緒にアムステルダムに移住したが、浮気され失恋。飲食店で働きながら鬱屈した日々を過ごす ●港颯真……元人気俳優。薬物使用疑惑で芸能界を去る。マッチングアプリでヤマトと出会い、ゲイであると告白 単行本 2020年8月 マガジンハウス刊 文庫版 2024年8月 文春文庫刊 -
〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ
カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった……。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活――を俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外なデビュー作品集。/【目次】悟りを開いたのはいつですか?/邪馬台国はどこですか?/聖徳太子はだれですか?/謀叛の動機はなんですか?/維新が起きたのはなぜですか?/奇蹟はどのようになされたのですか?/*本電子書籍は『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫 新装新版 2024年8月30日初版発行)を底本としています。 -
黒い蜻蛉
『怪談』『知られぬ日本の面影』『日本――一つの試論』。日本人も気づいていなかった日本文化の魅力・価値に気づき、世界に広めた人物、小泉八雲。 自身の生い立ちに由来するコンプレックス、葛藤にもがいていたかつての彼、「ラフカディオ・ハーン」はいかにして「日本人・小泉八雲」となったのか。日本へ渡り、日本人の生き方や文化、そして妻となる女性、小泉セツに出会い、彼の人生はヤゴがトンボとなって飛び立つがごとく変わっていく――。 アイルランド出身の著者が描く、空想と史実が織りなす魂の伝記小説。日本人とは何かという問いを、現代の私たちに投げかけます。 -
大きな玉ねぎの下で
今夜、武道館で。切なく響く約束の物語。 80年代。小田原の高校で放送部に所属する虎太郎は、部長の大樹がFM雑誌の文通コーナーに気まぐれで募集をかけた高校生・今日子との文通の代筆を頼まれる。お互いの写真交換をしてテンションのあがる大樹に、書道二段の虎太郎は断れなかった。まわりで話せない好きなハードロックの話でしだいに盛り上がるふたり。やがて、虎太郎は今日子に好意を抱くようになっていた。 現代。都内の美大に通う美優は、卒論制作に気持ちを傾けることが難しくなっていた。まわりのレベルの高さと自分を比べてしまい、心の支えになっていたはずの恋人の彰も社会人になり、距離を感じる日々が続いていたのだ。そんな美優は、あるラジオ番組に耳を傾け続けていた。 映画『大きな玉ねぎの下で』ストーリー原案者が贈る、もうひとつの約束の物語。 (底本 2024年8月発売作品) -
ナゾトキ・ジパング
留学生探偵vsロス帰りキレモノ美人刑事? 精南大学のキャンパスに夏がやって来る! 日本文化が大好きで洞察力にすぐれた留学生ケビン・マクリーガルと、学業はからっきしながら人望は厚く寮生代表の秀次は、獅子辰寮のルームメイト。六月の末、秀次の幼馴染・理沙の課題につき合って、二人は銀座の刀剣専門店を訪れた。その後、店に居合わせた男の遺体が発見される。遺体のポケットには、ケビンの名前の書かれたハンカチが入っていた──!! 何かと事件に巻き込まれてしまうケビンと秀次の前には、警視庁捜査一課の田中撫子が部下の浦辺とともに現れる。「ロサンゼル帰りのキレモノ美人刑事」を自称しているが、アメリカ仕込みのウィットに富んだトークは常に空回り。推理についてもケビンのほうが一枚上手で、現場ではあたかも自分が考えたかのように、ケビンの推理を披露する。海パン一丁で阿波踊りを踊ったり、妖怪のコスプレをしたり、獅子辰寮の個性的なメンバーも大活躍!? KATANA! SUSHI! HANABI! KWAIDAN! KAMAKURA! 日本の名所名物をめぐって起こる数々の事件の謎を解く、絶好調シリーズ第2弾! -
忘れものは絵本の中に
切ない夜は、ここへおいで――。 疲れた大人を癒す、不思議な「絵本バー」へ。 懐かしい絵本の中に隠された 《真実と愛》を探す旅に出る。 落涙必至、珠玉の物語! 繁華街の片隅に、「絵本Bar クレヨン」はある。 亡くなった祖父が託したという本を求め、青柳由良は店へ通うことに。 バーの客は過去に大切なものを置き忘れた大人ばかり。 飼い猫との思い出に浸る男、実母と確執のあるOL、息子に過干渉な母親、妻の介護に追われた夫……。 切ない別れも伝えられなかった言葉も、そして明日を目指す勇気も、 すべては、あの「絵本」の中にある。 名作絵本を手に、彼らは今日も、自らの心の迷宮に足を踏み入れる――。 これは「本当の自分」を取り戻す、「迷える大人」のための物語。 最高に心温まる、奇跡の感動作!! ラスト、あなたはきっと涙する!! -
いつか月夜
「寺地さんの作品の中で、一番好きです」原田ひ香さん ぼくたちは、夜を歩く。眠れない夜に。不安な夜に。静かで、藍色で、心細い。でも歩かずにはいられない。そんな夜に。 「一緒に歩かない?」 会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。 -
お前の死因にとびきりの恐怖を
「██高校三十一回生、出席番号二十三番。私は、怪異に、宣戦布告します」 今までの怪談小説をくつがえす、新感覚のホラーモキュメンタリー 文芸部の片隅で見つかったUSBメモリ。 それは、ひとりの男子学生の「死」に関する情報を集めた不気味なものだった。 その男子学生の死因は「自殺」。 ただ、発見現場には数々の不可解なものが残されていた。 睡眠薬の錠剤とともに床に散乱している、びりびりに破かれたおふだらしき何か。口内に絡みついた彼自身の髪の毛。それらの痕跡は、まるで恐怖に苦しんだ結果、超自然的な儀式に手を染めたかのようで─── 文芸部で発見されたUSBメモリ、新聞部の校内記事、合唱部の変遷レポート…etc. 筆者がある高校から収集した、一見無関係な情報から浮き上がる”真実”とは。 ――これは青すぎるほど青い、とある「なけなしの救い」の物語。 【目次】 一章「REPLAY」 二章「REWRITE」 三章「REPLACE」 四章「RELOAD」 五章「REVIEW」 六章「RELIVE」 七章「REPRAY」 -
それでも世界は回っている 2
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ロングセラー『月とコーヒー』に連なる 〈インク三部作〉待望の第二弾! ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ 「奇妙な惑星」博物館の保管室に 勤務する十四歳のオリオ。 師匠のベルダさんと二人、 世の中のあらゆるものを記録し保管すべく 作業に勤しんでいた。 そんなある日、ベルダさんが死んだ。 自殺か、病気か、事件か。 原因がわからぬまま、 オリオは保管室の責任者を 引き継ぐことになる。 ところが――。 ベルダさんが記録に使用していた 万年筆のインク、 〈六番目のブルー〉の在庫がない。 あれなくして記録作業はできない。 旅するギタリスト、ジャン叔父さんとともに 幻のインクを求める旅に出るオリオ。 ところが、行く先々で奇妙な人たちに出会い、 インク探しは前途多難。 行方を探るうち、インクの秘密は ある奇妙な「唄」に 隠されているとわかるが……。 -
地面師たち ファイナル・ベッツ
シンガポールのカジノで元Jリーガーの稲田は全財産を失い失意のどん底にいた。一部始終を見ていた大物地面師・ハリソン山中は、詐欺メンバーの一員として稲田に仕事を依頼する。日本に戻り、ディベロッパーの宏彰、支援者の菅原と共に準備に入るが、予定していた苫小牧のプランが突然白紙となり、代案として北極海航路開通を見込んだ釧路へ変更を余儀なくされる。しかし、成功すれば200億円超えの大金が見込まれる前代未聞の大仕事。ハリソン山中が狙いをつけたターゲットは、シンガポールの大手不動産ディベロッパーの御曹司・ケビン。在留メンバーの一人、マヤによる色仕掛けの罠に嵌ったケビンは、逡巡しつつも、日本人の親友・リュウの後押しもあり、釧路の用地購入に乗り出す。一方、警視庁捜査二課のサクラは、不動産詐欺の捜査過程で地面師一味の関与を疑い、ハリソン山中が趣味の狩猟で頻繁に北海道を訪れていたとの情報を得て渡道するのだが――。 前作『地面師たち』がNetflixにてドラマ化! 2024年7月25日(木)より世界独占配信スタート。 -
遺跡発掘師は笑わない マルロの刀剣
愛知県名古屋の繁華街大須にある寺院で、天才発掘師・西原無量たちは謎の陶製の巨大な筒を発見する。 名古屋大空襲時の不発弾の可能性があり、現場は一時騒然とするも、調査の結果、陶管の中身は刀剣であることが判明する。 胸をなで下ろしつつも、その刀剣に首をかしげる無量たちだったが、その後しばらくして陶管の所有権を主張する「板垣辰五郎」なる人物から連絡が入る。 不審な男の主張に疑念を深める無量たち。そこへ「板垣少佐は所有者じゃない。嘘をついている」と告げる別人からの電話が舞い込んだ。 謎の陶管とそれをめぐる人々に違和感を抱いた無量たちは、名古屋で出会った作業員の韓国人・ソンジュと陶管の調査をすることに。 しかし、そんな矢先、陶管を保管している作業所に、陶管を持ち去ろうと試みる侵入者が現れる。 出くわした作業員を見て侵入者は逃げ出し、陶管は無事であったが、目撃者によると侵入者は軍服を着ており、逃げ出すと煙のように消えてしまったというのだ。 謎の刀剣とそれを追う亡霊、そしてそれを狙う者たちの影。 いったいこの陶管に封印された刀剣に、何があるというのか――。 大人気発掘ミステリシリーズ第19弾は愛知編! -
乱れからくり
玩具会社部長の馬割朋浩から、妻・真棹の素行調査を依頼された調査会社社長・宇内舞子は、新米助手の勝敏夫と共に夫妻の乗った車を尾行する。ところが、その車を隕石が直撃するという奇禍で、朋浩は命を落とす。この事件が幕開けを告げたかのように、馬割家で不可解な死が連続し、舞子と敏夫は、幕末期まで遡る一族が抱える謎と、「ねじ屋敷」と呼ばれる同家の庭に造られた、五角形の巨大な迷路に隠された秘密に挑むことになる。絢爛巧緻な犯罪絵巻であり、本格ミステリの醍醐味に満ちた、第31回日本推理作家協会賞受賞作にして、不朽の名作!/解説=阿津川辰海 -
とらすの子
「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや -
ミシンと金魚
「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」――ある日、ヘルパーのみっちゃんからそう聞かれた“あたし”は、絡まりあう記憶の中から、その来し方を語り始める。母が自分を産んですぐに死んだこと、継母から薪で殴られ続けたこと、犬の大ちゃんが親代わりだったこと、亭主が子どもを置いて蒸発したこと。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続ける“あたし”の腹が膨らみだして……。この世に生まれ落ちて、いつの日か死を迎え、この世を去る。誰もが辿るその道を、圧倒的な才能で描き出す! 著者デビュー作にして第45回すばる文学賞受賞作!! -
ボーンヤードは語らない
U国A州の空軍基地にある『飛行機の墓場(ボーンヤード)』で、兵士の変死体が発見された。謎めいた死の状況、浮かび上がる軍用機部品の横流し疑惑。空軍少佐のジョンは、士官候補生時代のある心残りから、フラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣へ非公式に事件解決への協力を請う。実は引き受けたマリアたちにも、過去に対峙した事件への苦い後悔があった。高校生の漣が遭遇した雪密室の殺人。ハイスクール時代のマリアが挑んだ、雨の夜の墜落事件の謎。そしてバディを組んだ二人が初めて捜査した、緊急通報があった家庭での悲劇の真相は? シリーズ初短編集。/【目次】ボーンヤードは語らない/赤鉛筆は要らない/レッドデビルは知らない/スケープシープは笑わない/解説=香山二三郎 -
短篇七芒星
ろくでもない人間がいる。 お前である。 SNSで「書き出しがすごい!」とバズった(46万いいね)本! これが、舞城王太郎の小説だ。言葉だ。 ろくでもない人間がいる。お前である。 くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。 何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。(「代替」冒頭より) <収録作>奏雨/狙撃/落下/雷撃/代替/春嵐/縁起(全七篇) 「ろくでもない人間がいる。お前である」 「積乱雲と呼ばれる女の子がいて」 「私のうちの犬はストーム。本当はヒョードル・ミハイロビッチって名前」 ――直截的で幻惑的かつ挑戦的な書き出しで始まるそれぞれの小説世界が描き出すのは、現実と異界に彷徨う命と魂の真実の物語。 作家・舞城王太郎の真骨頂が宿る七短篇。 -
緑陰深きところ
業を背負う男たち、奇蹟のロードノベル。 兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。 大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、ある日一通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘二郎の記憶の蓋が開く。50年前、紘二郎の住む廃病院で起きた心中事件。愛した女、その娘、彼女たちを斬殺した兄……人生の終盤を迎えた紘二郎は、決意を固めた。兄を殺す、と。 思い出の旧車を手に入れ、兄の住む大分日田へ向かおうとする紘二郎の前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の若者・リュウだった。紘二郎の買ったコンテッサはニコイチの不良車で危険だと言う。必死に止めようとする様子にほだされ、紘二郎は大分への交代運転手としてリュウを雇うことに。孫ほど年の離れた男との不思議な旅が始まった。 かつて女と暮らした町、リュウと因縁のある男との邂逅、コンテッサの故障……道中のさまざま出来事から、明らかになってゆく二人の昏い過去。あまりにも陰惨な心中事件の真相とは。リュウの身体に隠された秘密とは――? 旅の果て、辿りついた先で二人の前に広がる光景に、心揺さぶられる感動作。2020年直木賞候補となり、いま最も注目を集める作家が贈る、渾身の一冊。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『緑陰深きところ』 の文庫版となります。 -
〈竜泉家の一族〉シリーズ
マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先 -
恋と誤解された夕焼け
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 《だから空がとても赤く燃えている。ぼくは愛されたい。》――今、ここにいる私たちの魂の秘密は、詩のコトバによってしか解き明かすことができない。《どこからなら、きみを連れ去る神様の手のひらがやってきても平気か、教えて。水平線か、地平線?》生命と世界の光と影をあますところなく照らし出す決定的な43篇。 ※このコンテンツは固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
ヴェリティ/真実
意識不明の作家の人気シリーズを完結する依頼が。 夢のようなオファーだがなぜ私に? アメリカで人気No.1の作家が仕掛ける、一気読み必至の衝撃サスペンス! 新たに「エピローグ」が追加された特別版! 語られているのは真実か嘘なのか―― NY、マンハッタンに住むローウェン・アシュリーは売れない作家。仕事でもぱっとしない上に、幼い頃からトラウマを抱え、引っ込み思案で友人もほとんどいない。おまけに末期がんを患う母親の看病で、しばらく家に引きこもっているうちに社会との接点を完全に見失って、家賃滞納で退去勧告まで受けていた。ところが、そんな『崖っぷち』ローウェンに、ある日、驚くようなオファーが舞い込む。
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