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Posted by ブクログ
真山さんの圧倒的取材力には脱帽である。
国や地方自治体の現実的な振る舞いをこの文書の中に再現して余りある。
それにしても、危機を目前にして変われない日本の現実に、改めて嫌になる。
小説が悪いわけではなく、現実社会に。
であるならば、日本人としての個人、私自身は地方議員として、どう振る舞えば良いのか、そう簡単に答えが出るものではない。
しかしながら、この本で桃地教授が小説の中身として語られるように、繰り返し繰り返し、気がついた人から出来ることを動いていくほかないのだろうと思う。
太平洋戦争後、幕末維新後、その他の歴史的転換点にあっても、市政の日本人、社会が大きく変わる中で、1日1日を必死で乗り越えてきたのだから。
Posted by ブクログ
「オペレーションZ」 真山仁さん
1.購読動機
取材、参考書籍の量をもとに、リアリティに小説の世界を投影しつづける真山さん。
「小説だからこそ、ありえないだろ?!が描ける。」
その志向を好きな読者が、真山さんの小説を読みつづけるのでしょう。
私も、そんなひとりの読者です。
2.オペレーションZとは?
Z。アルファベットの最後も文字。そう、後ろがないということ。
プロジェクト名の由来は、ここにあります。
日本がデフォルト、企業でいえば倒産するまえに、財政の構造改革を目指すというもの。
具体的には、単年度で、日本全体の支出を半分にする、国の借金を減らす原資をつくるというもの。
3.本からの学び、面白さとは?
①国の財政構造
②市町村と国の関係構造
③政局と政策
④政治家と官僚
⑤財政構造を変化させた場合に起きうること
⑥国債の買い手と外交
巻末の参考書籍50冊。そこから著者真山さんの視点から材料か抜き出され、生み出された日本の財政を世に問う経済小説です。
関心をもつ意味でも意義ありの小説です。
Posted by ブクログ
オペレーションZ
最近読んだ小説で一番面白い小説であった。昨年から密かに個人的な真山仁ブームが来ているが、ハゲタカシリーズよりもテーマとしては面白い。
日本政府が赤字国債を発行し続けている現状へのアンチテーゼ。前職の総理大臣が体調不良でダウンし、急遽バトンタッチした内閣総理大臣・江島が日本の国債の問題を解決に導く為に、歳出を半減させるという政策を行うもの。半減の根拠としては、歳入と均衡させるというもので、これ以上赤字国債を増やさないための対応策である。歳出半減の計画を実行するにあたり、主に財務省官僚が特別チームと作り、オペレーションZと名付けられたこの政策の実行に奔走するというお話。
歳出半減の場合、社会保障費と地方交付税交付金をほぼ0円にすることでオペレーションZチームは実現を探るが、もちろん、厚生労働省や各方面からの非難に合う。財務省内部からもオペレーションZを快く思わないメンバーがメディアに情報を流すなど、妨害行為を企てる。
この物語の特徴的なところは、小説の章ごとに、作中に現れる作家・桃地実の『デフォルトピア』という小説の一部が挿入されている点である。『デフォルトピア』は日本がデフォルトし、福祉サービス等がすべてストップしてしまった日本で起こる悲劇的な状況を描写したものであり、完全なるディストピアが描かれている。まさしくオペレーションZはこのようなディストピアを防ぐために行われるのであるが、各章の最後にデフォルトピアが挿入されることで、最悪の未来をパラレルに描いており、これが物語に緊張感をもたらしている。
そして、もう一つの面白い点が、これは完全にネタバレになるのだが、この小説は完全なるバッドエンドで終わる。オペレーションZを断行する江島は最終的に与党内からも造反組が発生し、内閣不信任決議を提出される。与党内も造反している為、不信任案が可決される気配を察知し、解散総選挙を行うのだが、この選挙で江島を中心とする党は過半数が得られない状況となり、最終的には政権交代となり、オペレーションZは未完に終わる。将来的に爆発する爆弾を抱えながらも、人々はやはり今の自分の生活を守るという選択肢を取るのである。勿論、民主主義である限り、選挙の結果が一つの答えであり、国会議員は選挙に選ばれなければなれないし、政策も実行できない。しかしながら、ディストピアを避ける為に今身を切る政策を行う政権に対して、やはり国民は選挙でNOを突き付けてしまうというこの難しさをあえて描いているのは、この小説を単なるデフォルトピアへの警鐘に留めず、人間のある種の利己心や凡庸な醜さを炙り出す意味合いもあり、小説としての面白さが滲み出ている。
オペレーションZでは結局実現しなかったプランとして、相互扶助のネットワークを立ち上げることにより、医療費や介護費用なしで、これまでのサービスレベルを最低限維持するというものである。これまで、資本主義は消費単位を最小化することを心がけてきた。そして、その過程で自分らしさの追求という幻想と人々に植え付け、これまで現物でやりとりされていたサービスなどを商品化してきた。保険に携わって思うのは、保険商品は確かに人々に良い影響を与えることは十分理解しているのだが、同時に保険商品が不要な社会づくりもまた必要でないのかということである。無論、がんや医療費に関しては、専門家のサービスが必要であるが、例えば介護等に関しては、一定はコミュニティ内の現物ネットワークで補える部分もある。例えば、就業不能に関しても、面倒を見てくれる人や助けてくれる人が周りにいれば、何とか生き延びることもできるはずだ。これは、卵が先か鶏が先かという議論でもあるが、保険商品が確かに今の世の中にマッチしたものが多くあるが、やはり保険会社が需要を創り出している側面もあるだろう。私は、保険商品を販売しつつも、保険商品がなくても生き延びられるようなレジリエンスの高いコミュニティを復権を模索していきたい気持ちも強い。
Posted by ブクログ
日本の財政破綻を回避するべく立ち上がった江島内閣と、そのプロジェクトチーム、オペレーションZのメンバーたちが躍動する。
一筋縄ではいかない人間同士の政治の部分や、マスコミへの対策、与党内の分裂や、歳出半減という、そもそも困難なミッションと、問題が山積しているのに、それらを熱意で乗り越えていく主人公たちの姿が、今の日本に本当に必要な政治家のあるべき姿だと思った。
日本の財政破綻も、このままではそう遠くない未来に起こりうること、今現在が良ければそれでいい、という考えでなく、未来は子どもや孫のためのものであることを肝に命じて生きていかなければいけないと感じさせられる。
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小説・文芸
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