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Posted by ブクログ
ハゲタカシリーズの6作品目。サムライファンド鷲津の復活。これを心待ちにしていた読者もきっとたくさんいるだろう。この業界に身をおいていれば、危機発生時、そして金融に何が起こるのか、想像しながら読んでいることだろう。日中、米中、台湾有事、この3局のテーマこそが、不均衡を踏むトリガーだから。
一方で、イラン米国戦争が勃発し、海峡閉鎖によるオイル危機が発生している状況下。何が起きても不思議ではないと思わせてくれる。台湾で起きた大地震、そして世界最大規模の半導体ファウンドリーFSC社の創業者の死去、鷲津に託されたFSC社の救済の謎、米国の思惑、CICはじめとする中国の動き。そして買収劇の裏側でサムライファンドのウォールーム。何度このシリーズを読んでも、若い頃のモデルとなったファンドのオフィスからの東京の眺めが忘れられない。
歳をとってベテランの域に入っている鷲津、パートナーのリンのやり取りもまた渋みを増している。情熱と推進力、判断力、ビジネスにおける大事な要素と、懐かしい北村記者などの登場で、過去の作品のファンサービスもしっかり。上巻ですでに満足しつつ、これを読み終えることのなんとも言えない寂しさを感じるほど、良い作品だと思う。
一つ前に読んだ世界の終わりとハードボイルドワンダーランドでは、カサブランカ風に、お酒を出してみたらどうかな、というくだりがあったが、本作でもカサブランカの曲を、鷲津がピアノで弾くシーンが出てくる。落ち着いて、静かに、寂しげに響くピアノ過去、ピアニストを目指したが、投資家に転じ、ビジネスに身をおいたけれど、このアーティストになりたいという願望は、人は死ぬことを意識して行動を変えるという本作のテーマでもある。自分自身がカネに身を投じた後悔があるのか、人生で満ち足りていないのは、なぜか。
創業者の株を教育基金に譲渡するという遺言が、果たしてバトルの行方をどう左右していくのか。後半戦を楽しみに。
Posted by ブクログ
最先端半導体を製造する台湾のFSCは、米中に対する台湾の安全保障の意味合いを持っていた。
そんな状況のなかで台湾に地震が発生し、FSCの創業者が亡くなってしまった為に、米中を巻き込むFSCの争奪戦が始まった。
実際の半導体をめぐるアメリカ、中国、台湾、韓国、日本の関係を、事実と想像とを織り混ぜているので物語の進め方に説得力がある。
特に凋落する日本半導体産業に対する評価は辛辣で的を射ているように思える。
サムライキャピタル鷲津の深謀遠慮の冷徹な買収行動が通常であるのに対し、本作の鷲津の行動が台湾に対するホワイトナイト的働きとなり好ましく読めた。
現在の時事ネタも盛り込まれ、今読むべき小説だと思う。
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小説・文芸
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