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大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきんが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜ――? さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。
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Posted by ブクログ
タイトルと、表紙に惹かれて手に取った一冊。 とても面白かった! 脇役と思っている一人一人にもそれぞれの物語がある。 それぞれの物語の中の様々なシーンで、 これわかる!私が感じてたモヤモヤや思いを、言葉でこうやって表現できるんだ!同じこと思ってる人がいるかもしれない!と沁みるように読みました。 小さ...続きを読むなお話がいくつも入ってて、気軽に隙間時間に読み見やすいし、お話同士で登場人物が絶妙につながったりしてて、そこも凄く面白かったです
心温まる下町?群像劇。印象に残る場面、セリフもいくつかあって素敵な本でした。登場人物多いから一気に読まないとエピソードの繋がりがわからなくなりそう。
小説みたいな奇跡や不幸って、生きていても正直そんなに起きない。でも生きていれば、ちょっと気になることとか、モヤっとすること、小さなハッピーは起きたりする。それをこんなに上手に言語化できる人がいたんだと感動した。 短編になっていて、登場人物が少しずつつながっていく、よくある形式だけど、どの登場人物の気...続きを読む持ちもちょっと分かる気がした。 「夜が暗いとは限らない」というタイトルは、「夜は当然暗い」という前提が含まれている。毎日前向きに!と無理しなくても良いよと言ってもらえているようで、気持ちが楽になった。 以下フレーズを抜粋。 朝、という言葉はたいていは良い意味でつかわれる。たとえば「朝の来ない夜はない」というような。だけど朝が明るいとは限らない。どんなことがあっても、時間がめぐれば朝はかならずやって来てしまう。ままならぬ思いや不安を抱えて迎える朝はたくさんある。生きていれば、いくたびも。
子供、若者、親世代、祖父母世代。暁町の消えゆくマーケットを舞台に、様々な背景をもつ登場人物たちの目に映る世界の物語を通して、生きることの切なさと暖かさを、宝石のような言葉で丁寧に描き出してゆく。
みんな、生きている。 登場人物、みんないい人たち。疲れた私を彌してくれる物語。 さあ、明日も頑張って生きる。
どんな人にも、ぱっと見ではわからない一面があり、 深みがあり、感情があり、ドラマがある。 その一つ一つを丁寧に掬い上げて、 人のあたたかさを、手ずから渡すように ぬくもりや、やわらかさを そっと崩れないように渡された。 そんな読後感。 どれも、あぁそんな感情あるな、と 胸の奥で共鳴したり、あまりの...続きを読む教官に 涙ぐんでしまったり。 どのお話もとてもよかった。 過ぎていく日々が、とても嬉しく ありがたく愛しくなるような短編集。 >>備忘録として P263 生きているあいだに誰かをじゅうぶん大事にしたと、だから別れは辛くないと、そんなふうに言える人はすくないと思う。そこまでの覚悟を持って誰かに接している人なんて、めったにいないんじゃないか。 P264 「生きてる自分を大事にするのがいちばんの供養やと思ってる」 たとえば、ばあちゃんから教えてもらったやり方で料理をすること。それを食べて今日も明日も生きていくということ。ばあちゃんが生きていた頃と同じように、テーブルに花を飾ること。習慣だから、花を飾るたびにわざわざ思い出したりはしない。 ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。ばあちゃんだけじゃなくて、今までの人生でかかわった人ぜんぶが、自分の一部だ。好きな歌をうたっていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。そういうもんぜんぶ、自分の中に取り込んで生きとる、とじいちゃんは言う。 P265 「死んだ人間は、天国にもどこにも行かん。死んだら小さい、たくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きてる人間の一部になる。とどまり続ける」 「じゃあその生きてる人間が死んだら?」 「また、この世に残ったやつの一部になる」 そうやって続いていくんやで。じいちゃんの声がやけにやさしくて、うっかり泣いてしまいそうになる。 P316 朝は明るく、夜は暗い。それはただ地球がまわっているだけのことだ。明るいことに良い意味も、暗いことに悪い意味も、含まれてはいない。ただの朝と夜だ。それでも自分たちはくりかえす「ただの朝と夜」を幾度も越えていくしかないのだろうと思いながら、カゴに顔を伏せた母の、以前よりずいぶん白くなった髪の生え際を見ていた。
あかつきマーケットを中心にした町で暮らす人々を描く群像劇。 3章仕立てで、第1章はプロローグを含めて9つの短編、第2章は5つの短編で構成され、第3章のみ単独でエンディングとなっている。 * * * * * 閉店決定的のマーケットや、起死回生策として作られたゆるキャラ「あかつきん...続きを読む」のイマイチのイメージによくマッチした、垢抜けない町の垢抜けない住民たち。 その1人ひとりに温かな光を当て丹念に描いた、いかにも寺地はるなさんらしい作品だったと思います。 また、各話の主人公がリレー形式でつながっていくのもよかったけれど、章題がシャレていて感心しました。 住民たちの悩みや困難を描く第1章。 闇の中にいるようでありながら、各話とも好転の兆しを仄かに感じることから、それは暁闇であることがわかります。 次に「昼の月」のように頼りなげではあっても、希望の光を人々がきちんと認識したさまを描く第2章。 そして、町の中心だったマーケットが閉店となりお得意客も働く人々もより所をなくしたかに見える第3章。 それでも、悩みを抱えていた人々はそれぞれに少し強くなり、次のステップを踏み出していきます。その姿を、表題にもなったタイトルの『夜が暗いとはかぎらない』が見事に表していると思いました。 参りました。
リレー形式で繋がっていく連作短編。 タイトルが目に留まり手に取ったが それよりも「朝が明るいとはかぎらない」の方がよりしっくり。 うん、病んでるな私。 だからこの中に出てくる惑う人達にとても共感。 「グラニュー糖はきらきらひかる」 「バビルサの船出」が特に沁みた。
めっちゃ面白かった! めっちゃ好きな終わり方! まずはそんな心の叫びで。 色々な人が登場します。 そしてゆるゆると繋がります。 このパターン、好物です。 そして安直な方向に行かないあたり、リアリティがありぐっときます。 ラストシーン、大好きです。 良い人ばかり出てくる訳ではありません。 うんざり...続きを読むするお母さんや夫に自分の身上を重ねる事もしばしば。 でも不思議とスッキリしました。 着ぐるみの「あかつきん」はずっと出てはくるものの、あかつきんが主役という訳ではなく、結局は各々が各々で主役なんだと思います。 ティッシュ配りの男の子のお姉さん、幸せになって欲しい。
9月初日の朝、今回もべそかきながら読み終えた。 寺地さんの小説は読むタイプのサプリ。いつも読み終わって本を閉じると少しだけ心が軽くなっている。 「けむり」「はこぶね」「グラニュー糖はきらきらひかる」「生きる私たちのためのスープ」が好き。 「はこぶね」の千みたいな女性に私はずっと憧れている。 登場...続きを読む人物が多くて「誰やっけ…!」となりつつ、前のお話との繋がりを見つける度に嬉しくなった。 めちゃくちゃ嫌な奴だなこいつと思った人物が、次のお話で実は色々葛藤していたり、良い所もあったり。 みんな色々ある。見えているのなんてほんの一部なんだよな。
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夜が暗いとはかぎらない
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寺地はるな
唐仁原多里
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