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Posted by ブクログ
主人公の羽衣子と兄の道は、亡き祖父が残したガラス工房を受け継ぐことになる。しかし、発達障害の疑いがある道は曖昧な表現を理解することが難しく、突然の出来事にパニックを起こしてしまう。そんな道を過剰に庇ってしまう母親と、自由な道に振り回され、価値観の違いから何度も衝突する羽衣子。その姿は単なる兄妹喧嘩の枠を超え、それぞれが抱える生きづらさや、心の不器用さそのものを映し出しているようだった。
特に心に残ったのは、道とお祖父ちゃんの「ひとりひとり違う状態が『ふつう』なんや。『みんな同じ』のほうが不自然なんや」という会話だ。
この言葉に、私は胸を突かれるような思いがした。自分が「普通」だと思い込んでいた言動が、実は自分の物差しを相手に押し付けていただけだったのではないか。そのせいで誰かを傷つけたり、曖昧な言葉で困惑させたりしていたかもしれないと、自分のこれまでの姿勢を深く省みるきっかけになった。
物語が進むにつれ、反発し合っていた二人の距離は変化していく。お互いの凸凹を認め合い、歩み寄っていく姿は、まさに危うい「ガラスの海」を力を合わせて渡っていく船のようだった。二人の成長に、最後は静かな希望をもらえる作品だ。
Posted by ブクログ
手元供養という言葉をこの本で初めて知った。お墓に入れるか、散骨するか、そんなだと思っていた。私が手元供養するとしたら夫かなぁ。考えたくはないけど、子供の時もそうするだろう。
道はおそらく発達障害。診断はついていない。五歳年下の羽生子と祖父のソノというガラス工房をついでいる。ふたりはガラスの骨壷を作って売っている。
羽生子は道を認めたくない。いつだってちゃんとできないから、ちょっとできたら褒められてズルい。そのうえ道には特別な才能があった。ただ、羽生子の不誠実な彼氏から道が守り、嫌な叔父から羽生子が道を守ったことで少しずつ歩み寄っていく。
Posted by ブクログ
何冊か持ってはいるけど初めましての作家さん
寺地はるなさん。(ヨミタカッタノ!)
未来屋書店100イベントで、サイン入り文庫として手に入れたうちの一冊。ウサギさんのイラストがサインに添えられて、かわいい。
寺地さん、こんなに読み心地が良いなんて
早く違う作品も読みたーい!
ガラス工房でガラス作品をつくりながら成長していくお話ですが、ステキなフレーズが満載。
いわゆる発達障害という個性を持つ兄と、
いわゆる普通に過ごせるが無個性な妹。
お互い苦手意識で関係が上手くない兄妹。
兄視点の章が特に良く、次第に兄を認めはじめる
妹の関西弁が心地よい!
プロジェクトヘイルメアリーからの一冊だったので、気持ち良いくらいのサクサク、いやグサグサとココロに刺さる良作でした。
久々におすすめしたくなる一冊です!
ガラスの骨壷飾ってみたいです☆*:.。.
Posted by ブクログ
寺地はるなさん作品2冊目。本作もみずみずしくも深くじんわり心に残る文章が多く、メモが止まらなかった。
なかでも道のまっすぐで誰にとっても分かりやすい言葉に、ハッとする場面がたくさんあった。
ガラス工房を営む兄妹。兄の道はコミュニケーションが苦手で、協調することができない。妹の羽衣子は、何事もそつなくこなせるが個性を見つけられずにいる。正反対のふたりの物語。
「なんでも許されると思ってんのか、それは世間への甘えとちゃうんか、みんなお前よりがんばってんねんぞ」
苦手なことがたくさんある道に対する、この言葉がずっと引っかかっていた。
どうしてこの人は、道がどれほど頑張っているのか分かるんだろう。怒りでも悲しみでもなく、素朴な疑問が浮かんだ。
この人はいつもぴったりと道の側にいるわけでも、道が普段何に悩み、どう対処しているかをすべて知っているわけでもないのに、なぜ「みんなお前よりがんばっている」と言い切れるのだろう。
同じように私が不思議に感じる言葉がもう一つある。「なんで私だけがこんな目に遭うの…」というもの。
ひどい不幸に見舞われた人がよくこぼす言葉だが、どうして他人が自分と同じような不幸を経験していないと分かるのだろうといつも疑問に思う。
あなただけじゃない。見えない、知らないだけで、みんなそれぞれ、まぁまぁ不幸なこともあれば、まぁまぁ幸せなこともある。
悩みなんてないように見える人でも、その内側では自分を限界まで追い詰めてしまっている人もいるし、自信がなくて他人の良いところばかり羨ましがっている人もいる。
良くも悪くも、自分だけが特別ということはない。さまざまな本を読んで、より一層そう思うようになった。
なんの話?という感想になってしまったが(笑)寺地さんの作品は、肩の力がいい具合に抜けてリフレッシュできる。来年は他の作品もゆっくり集めていきたい。
Posted by ブクログ
「わたしはなんにでもなれる」は前進させるコトバであり、心を引っ張る呪いのコトバでもあった。
寺地はるなさんの紡ぐ物語がわたしはやっぱり好きだなぁと、読み終えてすぐにそう思う。
自分も含めて上手くスマートに生きたいと思いながら、もがいている不器用な登場人物達が、劇的に何かが変わることがなく少しずつ勇気を出して前に進んでいる姿を感じることが出来るから。
この作品は、「発達障害と才能がセットに考えられているのがおかしい」ことにも触れられている。
何かが出来ないから、何かの才能はあるハズだ。物語風にしたらこれは定石であるが、現実的には違う。いや、そうであってはならない。
自分はこの世で自分だけ。
自信を持って胸を張って生きていく勇気をもらえた。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙の美しさに惹かれて読み始めました。祖父のガラス工房を継いだ兄妹、道と羽衣子の10年間の心の成長物語。兄の道は人とのコミュニケーションが苦手で、いわゆる空気を読むとか協調することが出来ない。妹の羽衣子はなんでもそつなくこなせるけれど、突出した何かが無いことにコンプレックスを持っていた。正反対な2人は、お互いが嫌いで苦手と感じていたけれど、ガラス工房を共に営みながら、次第に歩み寄って行けるようになる。
大切な家族を失って嘆く人に、「泣かないで」「前を向いて」と声をかけがちだけど、その言葉は必ずしも相手に寄り添うものではないということ。前を向けないのなら、まだ前を向くときではないということ。ガラスのように繊細な人の心を丁寧に書き表した秀作だと思う。特別でなくても、人より優れていなくても、日々を誠実に生きている人の姿はそれだけで美しいと思う。
大切なことに気付かされました。
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小説・文芸
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