唐仁原多里の作品一覧
「唐仁原多里」の「夜が暗いとはかぎらない」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「唐仁原多里」の「夜が暗いとはかぎらない」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
間も無く閉店する商店街、あかつきマーケットを舞台に、様々な人間模様が描かれる。友人の来人の頼みでマスコットキャラの「あかつきん」の着ぐるみの中に入る事になった柊(しゅう)は、様々な事情を抱えながらもこの街で生きている人々と接していく。皆一人ひとり違うこと。自分を大事に生きていくことの大切さ。自分を大事に生きていくことが亡くなった人にとって一番の供養になること。自分の人生は自分のもの。他人に渡したらいけない。「普通」とは何なのか。『好き』を恋愛感情や友情や世間に存在するパターンに当て嵌めなくてもいい。生きていく上で人々が直面する問題や悩みがリアルで、いろんな大切な教訓が詰まっている作品だった。
Posted by ブクログ
どんな人にも、ぱっと見ではわからない一面があり、
深みがあり、感情があり、ドラマがある。
その一つ一つを丁寧に掬い上げて、
人のあたたかさを、手ずから渡すように
ぬくもりや、やわらかさを
そっと崩れないように渡された。
そんな読後感。
どれも、あぁそんな感情あるな、と
胸の奥で共鳴したり、あまりの教官に
涙ぐんでしまったり。
どのお話もとてもよかった。
過ぎていく日々が、とても嬉しく
ありがたく愛しくなるような短編集。
>>備忘録として
P263
生きているあいだに誰かをじゅうぶん大事にしたと、だから別れは辛くないと、そんなふうに言える人はすくないと思う。そこまでの覚悟を持って誰かに接している人なんて、めったにいないんじゃないか。
P264
「生きてる自分を大事にするのがいちばんの供養やと思ってる」
たとえば、ばあちゃんから教えてもらったやり方で料理をすること。それを食べて今日も明日も生きていくということ。ばあちゃんが生きていた頃と同じように、テーブルに花を飾ること。習慣だから、花を飾るたびにわざわざ思い出したりはしない。
ばあちゃんはもうじいちゃんの一部になっている。ばあちゃんだけじゃなくて、今までの人生でかかわった人ぜんぶが、自分の一部だ。好きな歌をうたっていた歌手、かっこよかった俳優、仕事を教えてくれた上司、通りすがりの人がしてくれた親切。そういうもんぜんぶ、自分の中に取り込んで生きとる、とじいちゃんは言う。
P265
「死んだ人間は、天国にもどこにも行かん。死んだら小さい、たくさんのかけらになって散らばって、たくさんの人間に吸収される。生きてる人間の一部になる。とどまり続ける」
「じゃあその生きてる人間が死んだら?」
「また、この世に残ったやつの一部になる」
そうやって続いていくんやで。じいちゃんの声がやけにやさしくて、うっかり泣いてしまいそうになる。
P316
朝は明るく、夜は暗い。それはただ地球がまわっているだけのことだ。明るいことに良い意味も、暗いことに悪い意味も、含まれてはいない。ただの朝と夜だ。それでも自分たちはくりかえす「ただの朝と夜」を幾度も越えていくしかないのだろうと思いながら、カゴに顔を伏せた母の、以前よりずいぶん白くなった髪の生え際を見ていた。