無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
久しぶりに、ラストでじんわり涙が出ました。ああよかった、救いがあった、と。
数十年前の秘密を、関係者への聞き取りから少しずつ明らかにしていくミステリです。それぞれに話せない事情や嘘、記憶の齟齬があり、証言を重ねるたびに真相が二転三転します。主題は一貫しているのに、見えていたものが次々と覆されていく構成と、伏線の回収が見事でした。
もちろん行為としての悪はあり、許されない行いは多々ありましたが、明確な悪人も善人もいないところも印象的です。誰もが自分なりの事情や思いを抱えていて、それぞれの選択が思いがけない形でつながっていく様子には、塞翁が馬という言葉が浮かびました。
最初の信子の聞き取りから最後の全容の解明となる告白まで、一人ひとりの切実な語り、そして何よりも市川含めて誰もが守りたいものを守ろうとした思いが心に残ります。
ミステリとしての面白さだけでなく、人間の不完全さや愛情が胸に迫る作品でした。巻末の古山裕樹さんの再読を勧める解説まで含めて、とてもよい読書体験でした。
Posted by ブクログ
当時の関係者の証言から過去を紐解く構成が好きな人には絶対刺さる一冊だと思う。白骨死体は誰のものだろうというところから始まった物語は、進むにつれて別の疑問が生じ、語り手が変わることで新たな視点と謎が生まれる。こういうの大好き。
物的証拠や客観的事実ではなくあくまで関係者の記憶を頼りに過去が紐解かれていくので、視点が変われば見え方は変わる矛盾も生まれる大切な秘密は隠して語るという人間らしさが詰まっているのもすごく好き。登場人物は多いけれど一人一人に生身の感情や人生が感じられて、誰もが単なる物語の進行上の舞台装置としてそこにいるのではなかった。
あの頃、すみれ屋敷で暮らした人たちは身分の違いがあってもみんな大切な家族だったんだと思う。時代に翻弄されて多くの大切なものを失って、それでも誰かを守るために嘘を吐き、罪を背負おうとする姿が悲しくて美しかった。第二部の誠の章からは最後までずっと泣きながら読んだ。誠があの時に見た彼女は最後の記憶の中の姿ではなく年を重ねた姿だったから、幻なんかじゃなくてすみれの鉢植えを置いていったのは彼女だと私は思ってる。きっと生きているうちに三人で秘密を弔えたはず、と。
あたたかなミステリー
人からおすすめされて読みました。
ミステリーはそこまで得意ではなく普段あまり読まないため、この本も読めるかな、と思っていましたが、読み始めると続きが気になり、一息に読んでしまいました。
ミステリーですが、それだけではない、あたたかなお話しだと思います。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。