【感想・ネタバレ】すみれ屋敷の罪人のレビュー

あらすじ

戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された白骨死体。かつての女中や使用人たちが語る、屋敷の主人と三姉妹たちの華やかな生活と、忍び寄る軍靴の響き、突然起きた不穏な事件。二転三転する証言と嘘、やがて戦時下に埋もれた真実が明らかになっていく――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで読んだ小説の中で1番よかった。
どんでん返しも複数あり、切なさや感動、罪を犯す動機の思いもあり、涙流しそうになりました。
2回目読み直すと違った視点も発見できる。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

当時の関係者の証言から過去を紐解く構成が好きな人には絶対刺さる一冊だと思う。白骨死体は誰のものだろうというところから始まった物語は、進むにつれて別の疑問が生じ、語り手が変わることで新たな視点と謎が生まれる。こういうの大好き。

物的証拠や客観的事実ではなくあくまで関係者の記憶を頼りに過去が紐解かれていくので、視点が変われば見え方は変わる矛盾も生まれる大切な秘密は隠して語るという人間らしさが詰まっているのもすごく好き。登場人物は多いけれど一人一人に生身の感情や人生が感じられて、誰もが単なる物語の進行上の舞台装置としてそこにいるのではなかった。

あの頃、すみれ屋敷で暮らした人たちは身分の違いがあってもみんな大切な家族だったんだと思う。時代に翻弄されて多くの大切なものを失って、それでも誰かを守るために嘘を吐き、罪を背負おうとする姿が悲しくて美しかった。第二部の誠の章からは最後までずっと泣きながら読んだ。誠があの時に見た彼女は最後の記憶の中の姿ではなく年を重ねた姿だったから、幻なんかじゃなくてすみれの鉢植えを置いていったのは彼女だと私は思ってる。きっと生きているうちに三人で秘密を弔えたはず、と。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

選択肢のない時代の中で守り抜いたり愛し続ける強さを持った登場人物たち。時代考証とミステリーが上手く掛け合わされている物語でした。装丁も素晴らしい。

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2025年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から二つの白骨死体が発見される…
その白骨化死体は誰のものなのか?
誰によって埋められたものなのか?
というお話。
とある人物から依頼を受けて調査をする謎の男により、戦前や戦時中にその家で何があったのかが、少しずつ明らかになっていきました。
当時の話を聞いていくにつれて、三姉妹は殺されて使用人たちが太一郎から金銭を奪っているのか?!とゾッとしていましたが…
真実が凄く沢山の層に覆われていて、真相に辿り着くまでに何度どんでん返されたことか!
↓驚きポイントネタバレ
•亭主の太一郎•娘の葵•桜•茜の三人の姉妹が東京で大空襲に巻き込まれて死亡したとされていた→実際はその前の紫峰邸火事の際に茜と桜が心中?して亡くなっていた…葵はその直前に御園と駆け落ちしてアメリカに亡命していた…
•ヒナは実は太一郎の娘だった!
•ヒナが声帯模写にて三姉妹を父の前で一人で演じていた…(使用人たちは協力者)
•戦争から戻ってきた太一郎の失明は嘘(国から疑いの目を向けられていて、嘘をつき続ける必要があったため)
•娘たちの名前はみんなスミレの名前(アオイスミレ、サクラスミレ、アカネスミレ、ヒナスミレ)

…とにかく真実が切ない…
ヒナは父太一郎がショックを受けないよう顔を焼いてまで三姉妹を演じ、失明していないので気づいている父太一郎も娘の行動を無下にしないために使用人たち全員でヒナのために騙されているフリをし…
嘘に嘘が重なり悲劇が続きますが、出てくる登場人物は1人として悪人ではなく大切な人のために嘘をついているので、各々の嘘の真相が明らかになった時には切なさと共に美しさすら感じました。

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2024年11月04日

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まず、表紙の美しさ!すみれってこんなに魅力的だったんだなあ。一度も飽きることなく読むことができた、王道なミステリ作品。
花にいろんな種類があるように、女性にも一人一人違った魅力があるよね。
降田天さんの作品は初めてだったけど、他の作品も読んでみたいと思った。読みやすいのでミステリ初心者にもオススメ。報告書があることで、要点を繰り返し確認できるから整理しやすいと思われる。

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2024年09月26日

購入済み

あたたかなミステリー

人からおすすめされて読みました。
ミステリーはそこまで得意ではなく普段あまり読まないため、この本も読めるかな、と思っていましたが、読み始めると続きが気になり、一息に読んでしまいました。
ミステリーですが、それだけではない、あたたかなお話しだと思います。

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2020年11月07日

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ネタバレ

人によって見えている世界が違う、当たり前のことだが、読みながら想像した一家や御屋敷のイメージが書き換わっていく感覚が楽しい読書体験でした

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2025年12月03日

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ネタバレ

何十年も前の事件を当事者達の証言で解き明かすという構造が新鮮だった。当事者といっても第一印象は屋敷にお使えしていた使用人達の証言なので、信憑性も無く、皆がいろんな「説」を述べているだけだと感じてしまう。しかし事件は複雑で、使用人の中でも主人や三姉妹との関係性の近さによって聞かされている事件の内容が異なり、それぞれが本当に体験した事実として話しているので、「(各々が)体験したことには嘘が無いが真実は部分的には異なる」状態となる。証言者が移り変わるために事件の概要が塗り替えられていき最期に真実に辿り着くという類稀なるストーリーセンス。読み終えたあとに最初の信子の証言に戻ると、彼女の捉える主要人物の解釈と真実との乖離具合が分かり驚かされる。

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2025年11月03日

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ネタバレ

主な登場人物に悪人はいない。しかし、運命に翻弄され、ボタンの掛け違いから悲劇が。皆自分の愛している大切なものを守ろうとしているだけなのに…。ミステリーですが切ない愛の物語。

なんとなくジブリ映画のようなイメージで読んでいました。アニメで映画化したらどうでしょうか?

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2025年10月22日

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丘の上にそびえる洋館を舞台とした殺人ミステリー。
といっても、館モノのクローズドミステリーでもなければ、現在進行形で犯人とかけ引きしていくスリリングな連続殺人でもない、独特の味付けの作品です。

廃墟と化した洋館の庭から古い白骨死体が発見された。かつては栄華を誇った名家の衰退と一体どのような関係が?

当時の使用人や出入り業者などからの証言を拾う形式で、淡々とストーリーが進行していきます。
証言が追加される度に驚きの新事実が一つ一つ明らかとなり、最後にはまったく予想しなかった結末が待っていました。
もの悲しくもどこか温かい展開に心が揺さぶられます。

タイトルの「すみれ」も上手くストーリーに組み込まれていて、しっかりと作品のカラーになっていると思いました。

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2025年10月18日

匿名

購入済み

とても複雑なストーリーでした。それぞれの思いやりが相手を縛り不幸になる。何が正しいかは明白ですが、人の心を思うと、こんな結果もあるんだと胸が苦しくなりました。

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2025年10月14日

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スッキリしていてとても読みやすかった。
正義とは...愛とは...
昭和初期と洋館の組み合わせが好き。
最後は美しく終わり良かった

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2025年10月10日

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ネタバレ

読んで一番最初に感じた感想は、これはミステリーというよりも純愛。

戦前・戦中にとあるお金持ち一家に起きた出来事について、現代になってから追う、というお話です。

話の中心になるのがその一家の美人三姉妹。盛大なネタバレですが、その三姉妹の子孫が、当時何が起きたかを知らないまま(何なら自分が子孫だと知らないまま)、当時の出来事を調査するという流れで進みます。インタビュー形式で話が進むので、要所要所でまとめのようなものが挟まれていて、一気読みできず細切れにしか読めないという人にも読みやすいです。

そしてお話の鍵を握るのが、一家に雇われていた少年(後に老人になってから取材される側として登場)。
再び盛大なネタバレになりますが、この少年、話す分には全く問題ないのに生まれつき読み書きができないんです。

ちょっと本筋からは逸れますが、今年に入ってから映画・ドラマ・小説(本作)と、読み書きが困難な人のストーリーに触れる機会が多くて。
日本語話者の約8%がこの障害を抱えているそうなので、これまで人生で出会ってきた人の中にもきっといたんだろうなと思います、私が気づかなかっただけで。気づけなくてごめん。
そして今でこそ「発達性ディスクレシア」という障害の名称があって、名称を知らなかったとしても、きっと何某かの障害なんだろうと周りの人は認識する環境がある。でも本作の少年が生きた時代では障害なんて思われることもなく、ただ出来損ない・愚か者として生きていくしかない。そんな少年の置かれた境遇を思うと、涙なしには読み切れず。。。

⭐︎ひとつマイナスなのは、三姉妹の長女の行動にどうも共感できなかったから。私が他の姉妹や屋敷の関係者に感情移入しすぎたせいであって、お話自体が面白く無いという訳では全く無いので悪しからず。。。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

戦前の名家である紫峰邸の敷地内から、白骨死体が発見された。西ノ森がかつての使用人や女中から、当時の様子を聞き取っていくと、戦火に埋もれた一族の秘密が明らかになっていく。慈悲深い主人と、美しい三姉妹。主人に救われた使用人や女中たち。すみれの丘にある、すみれの館で起こった出来事の真実が、脆く鮮やかに顕になる──。

「窓の外では、音もなく振りだした雨が庭の紫陽花を濡らしていた。こんな日はヒナを思い出す。周囲と交わろうとせず、感情を表に出さず、常に霧雨のベールに包まれているようだったひとつ年上の娘」

「私の人生に過ちは数えきれないけれど、後悔はなかったわ」

三姉妹に関わりある使用人・女中の話がそれぞれの視点で語られることで矛盾が生まれ、綻びにつながっていきます。登場人物それぞれの思惑が複雑に交差しあい、引き起こされた美しい悲劇。私はミステリーにおいて「動機」を探る部分が好きなため、証拠を積み重ねる謎解きではなく、証言を元に真実が明らかになっていく展開がかなりハマりました。

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2025年08月18日

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旧紫峰邸で発見された白骨死体は誰なのか。
主人公が、当時、紫峰邸で働いていた使用人や女中に話を聞くうちに徐々に真実が見えてくる。

昭和初期のお話、好き。

名家の戦前の華やかな生活。
主人と3人の美しい娘姉妹。
書生や女中、使用人。

どれも魅力的な設定。

正直、もっと軽いお話なのかと思い積んでいたのですが、それぞれの人物の心理や想いが切なく、誰のことも責められないなと、時代なのだと思ってしまいました。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

読みやすい。
屋敷から3人の遺体が見つかり、1人の青年が過去の真相を求めて、関係者に話を聞いていく。
登場人物それぞれに真相がある。
もう一度読んで整理したい。

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2025年05月18日

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白骨死体が誰なのかを探求するミステリーなのかと思いきや、優しくて悲しい真実が明らかになり心がキュッとなりました。

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2025年04月22日

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4.5
ミステリで一番好きかもしれない。それくらいの物語だった。すみれ屋敷に隠された秘密。愛する人たちのために必死で隠した秘密。切ないし儚い。展開が面白くて先が気になって気になって仕方がなかった。お嬢様たちや使用人たち一人一人のキャラクターがとてもよくて、それだけで楽しかった。
ヒナさん生きてたの、、?それとも幻なの、、?作中に出てきたすみれの装飾がついた小箱と「祈り」という絵が見てみたい。きっとため息が出るほど綺麗なんだろうな。
やっぱり本当に降田天さん読みやすい

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2025年03月18日

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すみれの咲く屋敷での、群像劇、事件を丁寧に描いていた。戦時中な事もあって、落ちぶれていく様子や使用人達の思いが辛い。
ヒナの存在がトリックスターで鍵となるのは予想していたけど、名前の意味は予想していなかった。
騙し騙されていた理由が優しさなのが余計に辛い。

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2025年02月15日

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まさにアガサ、横溝正史風です。私は二人の大ファンで楽しく読ませていただきました。こういった作風はもう古典的推理小説になりそうですね。現代ではあり得ない人間関係です。他の作品も読んでみたいです。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『再読必至!』とか『大どんでん返し!』みたいな帯がついてるものよりも、よっぽど読み返したくなる作品でした。

個人的には共感も納得もできない行動ではあるけれど、その時代その瞬間の彼らにとっては、最悪の中の最善だったんだろうな…と理解はできる。
あんなに温かいラストとは思いませんでした。

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2024年11月06日

Posted by ブクログ

読みやすくて入り込めた本だった。
すみれの丘の洋館、今は廃墟。この二つだけでも大好物なのもあって夢中で読めた。
そして表紙がすこぶるいい味だしているので、愛蔵書。

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2024年10月01日

Posted by ブクログ

再読3回目。
はじめ、嘘つきばっかり出てくる話だと思って読んでいた。だんだん、これはそうではないな、と思い始め、何人ものやさしい人の話だと気が付いた。結局、幸せな結末ではなかったけれど、なぜか泣けた。

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2023年06月19日

Posted by ブクログ

うーむ、途切れ途切れに読んでたから、実はうまく理解してないのかもしれない。いや、面白かったんですけどね?

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

ミステリーとしての風呂敷の広げ方、閉じ方が丁寧で安心して楽しめる一作だった。
「証言」という形でパズルをはめていくような仕掛けに、真実のディテールが形取られていき読み進める手が止まらない。

ただ作品の仕掛け上、情緒的な表現は少なめで「当時はこういう考えの人が多かった」という一般論で片付けられてしまう部分がやや多く感じられた。

感情の揺れや余白を楽しみたい人には、やや淡々と感じるかもしれない。

繰り返しになるが、ミステリーとしての仕上がりは几帳面でスッキリとした読み心地があり、さすが「このミス」だと感じた。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

前半は、お屋敷の秘密をインタビュー形式で明らかにしていく。主観が入るから仕方ないけど、その人に見えていたことと、また別な人では見え方が違っていて話すことも微妙に齟齬が出てしまい、後半は登場人物みんなが怪しく見えてしまった。
最後まで読むと悲しくも優しい秘密の話。戦争でうやむやになってよかった、という単純な話ではないから当事者はずっと苦しんでしまった。最後は許しあえたらいいなぁと思った。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

文章としては読みやすいが、淡々と物語が進んでいくので、あまり続きが気になる!という感じではなく、読み終わるまでに時間がかかってしまった。最後には伏線もしっかり回収され、少し感動的にきれいに終わる為、後味は悪くない。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

2001年、長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された二つの白骨死体。
紫峰家は、すみれの花で彩られた美しい館に暮らす一族だった。
当主の太一郎と、葵・桜・茜の美しい三人の姉妹たち。四人は終戦間近、東京大空襲によって亡くなったはずだったが……。
白骨死体は、いったい誰の死体なのか?
その身元について、かつての関係者に話を聞いて回る謎の男が現れる。
かつての女中や使用人たちの語る、館の主人と三姉妹たちの華やかな生活と日常、そして忍び寄る軍靴の響き。
突然起きた、不穏な事件。彼らの証言は二転三転し、やがて戦時下に埋もれた意外な真実が明らかになり――。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

分かりやすく例えると湊かなえさんみたいな会話調で物語が進みます。
戦争前後に屋敷の者それぞれがそれぞれのために起こした出来事を世代が交代した現在で解き明かしていく設定がよかったです。

2025.03.25~03.25

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2025年03月25日

Posted by ブクログ

想像して以上に心が騒つく読後感
過去の秘密をめぐる物語り

単純なミステリーではなく、人の想いの美しさや物悲しさを感じる作品でした

一つの屋敷の中の話ではあるけれど、父と娘
雇用人と使用人、姉妹…
色々な人の思いを含んだ時間の流れは
騙された!ドンデン返しだ!が前面の作品よりも重厚感があり良かったです

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2025年02月26日

Posted by ブクログ


悪意を欠片も介さず、ただただ大切な誰かを
守りたい一心で積み上げられた命懸けの嘘が、
時代を超えて身元不明の三人の死体によって
暴かれていく哀しくて切ない物語。

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すみれが咲き誇る美しいお屋敷で暮らす
美しい三姉妹と周囲から人格者として慕われる
屋敷の主人。

時代の波に翻弄されて生活が崩壊していくなか、
互いに大切な人を守るために身を捧げる人たち。

絡まりあった糸を解した先には、
常識では超えられない狂気のトリックが。







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2024年10月12日

Posted by ブクログ

今は廃墟となったすみれ屋敷の庭から発掘された白骨死体
その謎を解明するために、屋敷の関係者から話を聞く「第一部 証言」
そして解決編の「第二部 告白」

第一部の感じが特に好きですね
証言ひとつとっても、人によって見え方・感じ方が違っていて面白いです

それなりの数の登場人物がいるけれど、いわゆる登場人物一覧のようなページがありません
ので、自分で意識してキャラ相関図を把握する必要があるのでより深く物語に入り込めます

それとは逆に時系列の把握が苦手な自分、この出来事はどのタイミングで起きてるんだ?って、証言が行ったり来たりするもんだから混乱してしまいました(笑

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2024年09月18日

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