【感想・ネタバレ】すみれ屋敷の罪人のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!
久々に熱中できた読書だった。

すみれ屋敷の当時の使用人たちの証言で掘り下げられていく事件の真相にワクワクした。
使用人の視点によって事件の印象が変わっていく様が読んでいて楽しかったし、真相を知りたい!という探究心をくすぐられた。
そして、登場人物の人物像が明らかになるにつれて魅力や愛着が湧き、真相のやるせなさにより胸が痛んだ。

また、すみれ屋敷の外観の描写などもとても良く、こんな感じかなと想像できる丁寧な描写がありつつ使用人の目線によっても捉え方が異なる屋敷の雰囲気に想像が膨らんだ。
時代も戦前から戦中で、かなり昔のため幻想的な雰囲気を感じながら読めました。

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2023年05月07日

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ネタバレ

最初は異様な雰囲気の不気味な館という印象だったが、運命のいたずらのようにすれ違ってしまった優しく不器用な人たちの話だった。
紫峰家の主人と、3人の美しい娘の葵、桜、茜。
すみれが咲き誇る洋館でいずれも主人に拾ってもらった後ろめたい過去を持つ使用人たち。
その館から数十年後に見つかった3つの遺体の真相を突き止めようとする青年。

自分を捨てて、ケダモノとまで呼んでいた父親のために顔を焼いたヒナと、その事実を知りながら最後まで失明したふりを続け、殺人まで犯してしまった父親。
嘘を付き続けることも、それに騙されているふりをすることもとても辛く難しいことだと思うけど、最後までお互いを騙しきれていたのかな。
死ぬ直前には、打ち明けていたと信じたい気持ち。不器用な愛情と使用人たちの忠誠心がとても素敵だった。

唯一一人目にインタビューしたあのおばあさんがまじで普通にやなやつだったわけだけど、ミスリード役として素晴らしい働きをしてくれた。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地から発見された、2体の白骨死体。そこで暮らしていた主人と3人の娘たちは、終戦前に東京大空襲で亡くなったはずだった。
死体はいったい誰のものなのか。
かつての女中や使用人たちが語る、一族の生活と真実とは?


すみれの咲き乱れるお屋敷でかつて起こった、事件と一族の運命を関係者たちの証言から紐解いていくミステリ小説です。
白骨死体はいったい誰のものなのか? 使用人たちからも慕われていた館の主人と姉妹たちの身にいったい何が起こったのか? そこに忍び寄る軍靴の足音……。
万華鏡のように、読み進めるにつれ表情を変えるミステリでとても楽しいです。
証言が集まるたび、証言者が変わるたびに説は二転三転していき、隠された真実は悲しくも美しい。

悲しい事件が起きた屋敷の過去を語るのに、思い出される話は誰のものを聞いてもどこかキラキラしていて、お屋敷で過ごした幸福で綺麗な思い出であふれており、読後感は優しいです。
悪人らしい悪人がいないのがまた悲しい。
一体誰が「すみれ屋敷の罪人」だったのか。きっと、誰もが誰かを心から想った罪人だ。

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2023年10月22日

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少し前にネットの広告などで見て気になっていた作品。

同時にまとめて4冊を購入していて、その中では正直一番期待しておらず、一番短そうだったので、サラッと読んでしまえそうだなという理由から読み始めたけど…。

いや、なにこれ、すごく良かった…。

古い洋館で発見された白骨化した遺体。その謎を探るべく、当時の関係者に話しを聞きに行く。

そこで暮らしていたのは古くからの名家の主人と美しい姉妹だが、彼らは東京の空襲で亡くなったはず…そうなるとその白骨死体は誰なのか…?

関係者に昔の話しを聞きに行き、その人の語りで話が進行するのだが、まさに今事件が起きているわけではないので、割と淡々と進んでいくのに、何故か強烈に引きつけられて止まらない。

途中まで、何も疑うことすらせずに淡々と読んでいたら、終盤意外な事実が次々と畳み掛けられ…。

戦争で狂わされ引き裂かれたけど、旦那さまは最後まで優しい旦那さまだったし、姉妹も仕えていた人たちも、思いや背景は違えど、この家や家族のことが好きで、絶対的な“悪人”は存在しない。

ヒナさんは、両親や生まれた経緯などを考えるとツラい幼少期だったろうし、顔の傷や火傷のことを考えると切なくて…。誠くんの描いた自身の絵を見て、出ないはずの涙が零れ落ちるシーンは、本当に美しくて、引き込まれた。

幸せになってほしかった…。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の作品は初読みですが、読んでいて苦しくなるミステリー作品でした。
(褒め言葉です)

戦前の名家「紫峰邸」の敷地内で発見された白骨死体の謎を解くのが本作の大筋で、ある人物から依頼を受け、その身許を探ることになった西ノ森。

戦前、当主と三人の娘が暮らした紫峰邸には使用人と書生が暮らしていた。

当主と三人の娘は終戦前に東京大空襲で亡くなっており、西ノ森はかつての使用人を訪ね、かつての暮らしを聞いてまわります。

数十年の時が経ち、使用人達の証言も少しずつ異なる中、西ノ森がたどり着いた仮説。

第一部(証言)はこんな感じで進み、そこには新たな展開が待ち受けていました。

(告白)と題された第二部では、亡くなったはずの長女・葵に隠された秘密が明かされます。

二転三転しながらも、徐々に明らかとなる真実。

回想される過去と現在との距離。
過去の事件がその後の人生にもたらした影響。
変わってしまった運命。
長い年月の間、秘密を抱えてきた者の心情。
やり直すことのできない苦しみ。

読み終え今、全ての謎が解き明かされ、驚愕と共にスッキリした感よりも、苦しさを覚える作品。



日本推理作家協会賞(短編部門)受賞後第一作!

2001年、長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された二つの白骨死体。
紫峰家は、すみれの花で彩られた美しい館に暮らす一族だった。
当主の太一郎と、葵・桜・茜の美しい三人の姉妹たち。四人は終戦間近、東京大空襲によって亡くなったはずだったが……。
白骨死体は、いったい誰の死体なのか?
その身元について、かつての関係者に話を聞いて回る謎の男が現れる。
かつての女中や使用人たちの語る、館の主人と三姉妹たちの華やかな生活と日常、そして忍び寄る軍靴の響き。
突然起きた、不穏な事件。彼らの証言は二転三転し、やがて戦時下に埋もれた意外な真実が明らかになり――。

『このミステリーがすごい! 』大賞を受賞しデビュー、
いまもっとも注目される女性コンビ作家、渾身のゴシック・ミステリー。

内容(「BOOK」データベースより)
長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された白骨死体。そこで暮らしていた屋敷の主人と三人の姉妹たちは、終戦前に東京大空襲で亡くなったはずだったが…。死体は一体誰のものなのか。かつての女中や使用人たちが語る、一族の華やかな生活、忍び寄る軍靴の響き、突然起きた不穏な事件。二転三転する証言から、やがて戦下に埋もれた真実が明らかになっていく―。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦前の名家・紫峰家。
主人と三姉妹が優雅に暮らす紫峰邸。
しかし、使用人達が戦後に語る紫峰家は…
優雅な生活、戦争…不可解な事故。
二転三転する証言から紫峰家の真相を明らかにすることは可能なのか、とハラハラ感が止まりませんでした。
やはり、普通の生活が一番だな。

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2022年08月18日

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