深い。深すぎる。これで橋本氏の著作は読み収めかと思うと何とも残念だ。こんなにも人々のモヤモヤを端的に表現できる人を他に知らない。
オヤジの権威低下という卑近な題材から始めて、ジェンダー論や政治論、更には組織論まで父権性の崩壊に由来する社会課題の本質を鮮やかに描き出している。1年にわたった雑誌連載だと
...続きを読む言うのに、最初から最後まで首尾一貫した完璧な構成で、一体この人の頭の中はどうなっているのかとただただ驚くばかりである。
オヤジを成り立たせている『男が女を支配する』という『論理』が豊かさのお陰で消滅し、自由になった女が『それっておかしくない?』と声を上げているのが今の状況。それを理解できない一部(大部分?)の政治家や、ボクシングおやじ、大学理事などが世間の空気を読めずに叩かれている。もう我々と彼らの間の断絶は埋められなくなってしまったが、昨今話題になっている安倍派の裏金問題でも『秘書がやりました』とか、まだそんなこと言ってんのかよ!という時代錯誤の発言が続いている。橋本氏は創設者の私物ではなく個人の集合体になった現代組織はオープンにならざるを得ないのだから、組織内の特殊な言葉はもう理解されないよと喝破する。本来は会見に参加しているマスコミが『はぁ?何言ってんの?』とツッコミを入れないといけないのだが、彼らマスコミ自身も田舎おやじの論理からなる古い組織だから、説明になっていない説明がまかり通る。一体いつになったらこんな茶番がなくなるのかと思うが、世襲産業の政治家も守旧派大企業の代表たるマスコミも組織の(=オヤジの)論理は次の世代に継承されるのだろうな。女性ガンバレ!