【感想・ネタバレ】源氏供養(上) 新版のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

大河ドラマ「光る君へ」の関連本としてなのか、本屋に目立つように置いてあった。
橋本さんのファンだけど、正直シンドイだろうなと覚悟する。橋本さんのネチネチしたモノローグにつき合うのは結構疲れる。勿論、ムチャクチャ面白いことも分かっている。

以下、自分の忘備録として箇条書きにする。
・雨夜の品定め。紫式部は自分の所属する階層の男をバカにして、光源氏に黙殺させている。紫式部の“復讐”。
・源氏物語の男たちには性的飢餓がない。性的目覚めの頃にあてがわれているから、ひりつくような身体欲求がない
・平安時代にモラルはない。女房達は主人の不幸の噂話を本人の前で口にする。家司は主人の為に働こうとしない。
・姫君達は基本なにもしない。父親が早くに亡くした末摘草は、たたぼんやり日を送るだけ。食べるものもあまりないから、女房達もただ寝そべっているだけ。
なにもしないことが美学の達成。
・源氏物語は「男の物語」であるより「女の物語」。夕顔が陰の主役。浮舟は女の嫉妬に殺されなかった夕顔、出世を拒んだ玉鬘。

光源氏死後の主役であるはずの薫への紫式部の糾弾が厳しい。
苦悩するばかりで恋をすることができない男。「理性的で物静かで、しかし“恋”という感情が理解できなくて、そこのところでは、“乱暴”と言いたいばかりの雑駁を平気で露呈してしまうエゴイスト」
こ、怖い。思わず、申し訳ありません。僕が全部悪いんですと謝りたくなってしまう。誰に謝っているんだと考えると更に怖くなくなるからやめるけど、橋本さんの筆致はグリグリ突き刺さってくる。

付録の座談会では、光源氏は宝塚の男役みたいなものとか、男でない少年時代に後宮で女性的な技能を身につけているなど、物語の中の同性愛への言及など白い話もある。

結構、お腹一杯だけど、まだ下巻があるんだよ。頑張ろう。

追記。
薫への糾弾で「その後の仁義なき桃尻娘」のホモの源ちゃんの失恋を思い出した。
打てる球を打つだけ。貪婪な草食動物。人の気持ちを見ようともしない。
橋本さんはこう言う奴が嫌いなんだな。紫式部も相手のことを慮れないバカは大嫌いだったんだろうな。

0
2024年03月03日

「雑学・エンタメ」ランキング