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Posted by ブクログ
江戸時代の江戸の歌舞伎の説明である。現在の歌舞伎と共通するところもあるが、かなり違っていて驚かされる。決まりごとが多いのに、守れないなら仕方ないというところ。昼間にしか興行しないので、時間切れになったら打ち切ってしまうところ。いい加減なようだけれど、江戸時代の人はそれも含めて、芝居を楽しんでいたのだろうと、少しだけわかった気がする。型があるからこそ、役者絵や芝居の絵が人気があったんだろうと、少し前に見た絵金の展覧会を思い出したりもした。
わかりやすく書いてあるのだけれど、時々、理屈っぽいなぁって思うところもある。格好良い挿絵は誰が描いているのかと思ったら、作者本人によるものだった。ニッチな内容で、この本だけで現在の歌舞伎がわかるわけではないけど、少しでも興味のある人にはおすすめです。
Posted by ブクログ
なんだかよくわからなかったけど面白かった。
後書きを読むと、まさに「よくわからないけど魅力的」でありたいと著者も思っていたようなので、これでいいのか。
*語り口はあまり整然としていない。
*豆知識的に、素直に「へ~」と思えることもたくさんあった。
*江戸時代と今とでは、根本的にものの考え方とか、そりゃあ違うよなあ、と再認識。そして、今の歌舞伎(観賞)の常識とされていることが、明治以降の常識でしかなかったりすることも、まあそりゃそうかあと認識。
*例えば、江戸時代には自我という意識がないから客観という視点もなくて、江戸の町人たちは、歴史というものを英雄たちのエピソード群として把握している、とか。
*例えば、江戸時代の「創作」とは全く新しいものを創造することではなく、パロディ万歳、エピゴーネン(真似)であることを全く恐れないものであった、とか。太平記の時代に置き換えた「忠臣蔵」を、曽我兄弟の鎌倉時代初期の世界にさらに置き換えちゃって、それで上手くハマるかどうかが腕の見せどころ、という職人的な仕事なのである、とか。
歌舞伎に関して、「江戸の昔からこうでした!」みたいなことをうっかり語っちゃいけないな、と思いました。歌舞伎でなくても、「古式ゆかしき伝統だと思っていたけど意外と歴史は浅い」ものってある。
そしてその「意外と浅い歴史」の出発点で何が起こったのか、どのような経緯の結果を自分は「伝統」だと思い込んでいるのか、も知っておきたい。
Posted by ブクログ
江戸時代の歌舞伎について、著者ならではの観点から解説をおこなっている本です。
著者は、「定式という、いつもおんなじであるような決まった道具を使うことによって、それをいろいろ組み合わせて変えていく」ことで、さまざまな表現が可能になっていることに目を向けます。こうした理解にもとづいて、歌舞伎がたんなる「教養」に終わらず、一定のルールのもとで娯楽としての可能性を追求していたと説明します。
ただし「娯楽」といっても、江戸時代におけるそれは、現代のわれわれになじみの深い「娯楽」の理解とかならずしも同一ではありません。そのことは、「時代」と「世話」にまつわる著者の立ち入った解説によっても知ることができます。著者はこれらの概念について独自の解釈を展開しており、江戸の町人の時間感覚がアナクロニズムを前提にするものであったと述べています。近代劇のドラマトゥルギーになじんでいるわれわれにとって江戸の歌舞伎の内容やその受容の実態がわかりにくいのは、町人を中心とする遠近法のなかで時間感覚が成り立っているからだと述べています。そうした江戸の町人の時間感覚は、彼らの置かれていた社会的条件と密接にかかわるものであり、現代のわれわれにとっては合理性を欠くものに見えてしまうのです。
こうした著者の解釈が、江戸の歌舞伎の本質をどれほど正確にとらえたものなのかということは、わたくしには判断ができないのですが、「近世のドラマとは、結局何も起こらないものである」という見かたを押し出すことで、それと対比される近代のドラマの特異さについても考えさせられる内容だったように思います。
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