Posted by ブクログ
2013年10月11日
なんだかよくわからなかったけど面白かった。
後書きを読むと、まさに「よくわからないけど魅力的」でありたいと著者も思っていたようなので、これでいいのか。
*語り口はあまり整然としていない。
*豆知識的に、素直に「へ~」と思えることもたくさんあった。
*江戸時代と今とでは、根本的にものの考え方とか、そ...続きを読むりゃあ違うよなあ、と再認識。そして、今の歌舞伎(観賞)の常識とされていることが、明治以降の常識でしかなかったりすることも、まあそりゃそうかあと認識。
*例えば、江戸時代には自我という意識がないから客観という視点もなくて、江戸の町人たちは、歴史というものを英雄たちのエピソード群として把握している、とか。
*例えば、江戸時代の「創作」とは全く新しいものを創造することではなく、パロディ万歳、エピゴーネン(真似)であることを全く恐れないものであった、とか。太平記の時代に置き換えた「忠臣蔵」を、曽我兄弟の鎌倉時代初期の世界にさらに置き換えちゃって、それで上手くハマるかどうかが腕の見せどころ、という職人的な仕事なのである、とか。
歌舞伎に関して、「江戸の昔からこうでした!」みたいなことをうっかり語っちゃいけないな、と思いました。歌舞伎でなくても、「古式ゆかしき伝統だと思っていたけど意外と歴史は浅い」ものってある。
そしてその「意外と浅い歴史」の出発点で何が起こったのか、どのような経緯の結果を自分は「伝統」だと思い込んでいるのか、も知っておきたい。