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欲張らない死に方 ――賢く老いるヒント
幸福な最期を邪魔するのは“欲望”です 本人も、家族も 医師作家が贈る、70歳からの「死に方」入門。 「元気に長生きしたい」「迷惑をかけたくない」「苦しまずに死にたい」――欲張りすぎると、老いも死も不幸なものになる。 上手に死ぬためには、死とはどういうものかを知ることから。 高齢者医療、終末医療の生々しい現実と、身もふたもない医師の本音を交えながら、賢い老い方、死に方を考えます。 大切なのは、受け入れる心の準備。 70代になった医師作家が、人間の欲望をテーマに書き下ろした一冊。 死はワンチャンス。 「上手な死に方」を、医師が本音で教えます。 【幸福な最期のために、知っておきたいこと】 ◎救急車を呼ばない。病院では安らかに逝けない ◎日頃から健康に気を使わない ◎健診や検査は、異常のないときに受けない ◎延命治療は、苦しみを長引かせるだけ ◎死に目に間に合う、は家族のエゴ ◎寝たきりのシミュレーションをしてみる 【本文より】 ……私は高齢者医療の現場に長くいたので、老いとか死について多くの患者さんからいろいろ学ばせてもらった。苦しい老い方をしている人や、あまり好ましくないというか、下手な死に方をした人をたくさん見て、なぜ多くの人が同じ失敗を繰り返すのかを考えると、その背景には、当たり前のことながら、死にたくないとか、苦しみたくないとかいう、人間の本能的な欲求があることに気づいた。 本能的な欲求、すなわち“欲望”である。… “欲望”というキーワードで考えれば、老いや死の受け入れ方だけでなく、生きていく上でのさまざまな苦を減らせるのではないか。…… === 【目次】 第一章 善意にひそむ欲望――地獄への道は善意で舗装されている 安らかな最期を阻むのは、家族の欲望/善意の裏にあるもの/最良の看取りとは/在宅での看取りの不安/残酷な心肺蘇生/がん治療、励ましの功罪/がん告知すべきか否か/子育てにひそむ欲望/親切なヘルパーが引き起こす不幸/善意という名の欲望 第二章 欲望とは何か、執着とは何か 「それが欲望なんですか?!」/“欲”につきまとう悪印象/欲求の五段階/欲望に貴賤あり?/世代別の欲望/自然に消える欲望/誤解による欲望・その1「長生きしたい」/誤解による欲望・その2「偉くなりたい」/誤解による欲望・その他もろもろ/叶わぬ欲望、それは執着/安易な「優しさ」が執着を増大させる 第三章 宗教化する現代医療 医療にはバイアスがかかっている/検査をしすぎる日本人/出来高払いと包括払い/やりすぎる医療の弊害/批判する者はまず実行せよ/悲惨な延命治療とは/悲惨な延命治療を避けるには/なんで救急車を呼ぶの/死が目の前に迫ったときに人生を楽しむには/医療の進歩がかき立てる欲望/不都合な真実とネガティブ・ケイパビリティ/医療は宗教か 第四章 老いる欲望、死に方と欲望 高齢者の後ろ向きな欲望/『がんばらない』のヒット/かつての規範が否定される現代/欲望肯定主義の蔓延/老いの欲望につけ込むビジネス・その1 サプリメント業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その2 美容業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その3 週刊誌業界/老いの欲望につけ込むビジネス・その4 高齢者施設業界/「長生き=善」を疑う/大往生からピンピンコロリへ/さらには平穏死へ/デス・リテラシーが低い日本人/大新聞の有害記事/安楽死考 第五章 介護における欲望のズレ 新聞の人生相談から/介護される側の欲望/介護する側の欲望/介護にひそむ二律背反/尊厳か、安全か/虐待につながる欲望/よりよい介護を実現するには 第六章 あれも欲望、これも欲望 欲望のバリエーション/ほめられたい欲望、尊敬されたい欲望/差別やイジメにひそむ欲望/正義にひそむ欲望=善行欲/終活は欲望の表れ/「人に迷惑をかけてはいけない」考/一七歳の葛藤/「欲の一元論」 第七章 欲望から抜け出せない不幸 人の幸せを喜べない悩み/叶わぬ欲望の宝庫/苦しみをもたらす欲望・その1 死にたくない/苦しみをもたらす欲望・その2 楽に死にたい/苦しみをもたらす欲望・その3 生きた証を残したい/苦しみをもたらす欲望・その4 子どもがほしい/苦しみをもたらす欲望・その5 子どもに幸せになってほしい/苦しみをもたらす欲望・その6 志を遂げたい/「一番病」の苦しみ 第八章 欲望を飼い慣らす 老いと欲望の功罪/欲望をコントロールする方法=AIの答え/欲望と思慮の関係/現状肯定のすすめ/寝たきりのシミュレーションをしてみよう/古人の言葉に学ぶ/父から受け継いだもの/「どっちゃでもええ」主義/死はワンチャンスのみ === -
人生は逆算できるのか
いい学校→いい仕事=いい人生なのか? 学校でも親からも「将来の計画を立てよう」「そのために努力しよう」と言われるけど、そうしないと本当にだめなのだろうか? 人生はプロジェクトなのだろうか? 〝自分を生きる〞練習を始めよう。 学校では「計画を立てよう」「そのために努力しよう」と言われるけど、これって誰のためなのでしょう? ちゃんとしないと後悔するのは自分!? 人生はプロジェクトではありません。どんな仕事があるのかよく知らないのに、将来のため、と予測をして、大学選びをするなんて、おかしな話です。人生を逆算して先取りしておけば、将来に対する不安は無くなる、のでしょうか? 人生は一直線に進むものではありません。途中で迷ったり、違和感を無視できなくて進路を変更したり、分からなくて立ち止まったり、考え方が変わったりすることもあります。答えを求めるのではなく、今の自分を信じて一歩踏み出してみよう。 === 【目次】 第一章 前提を疑う――キャリア教育とは何か 第二章 動機を疑う――「人生計画」「招待設計」「進路選択」がもたらすもの 第三章 能力観を疑う――不安と蜜月な「能力」 第四章 生き方を疑う――途上の自分をどう信じるか? 第五章 自分に戻る――「見せる安心」から「感じる安心」へ 終章 持ち帰る――「感じる安心」を耕すレッスン帳 === -
阿含経典
ブッダはなにを語り、どのように説いたのか。その教えを最も純粋なかたちで伝える最古層の重要な仏教経典の集成。阿含=アーガマとは伝承されてきた聖典を意味する。これらの経典群のなかには、あらゆる宗派を超えた仏教の原初のすがたがあり、その根本がある。本書は厖大な阿含経典群のなかから、よく古形を保ち、原初的な経と判定される諸経をとりあげ、パーリ語原典からの現代語訳と注解で構成。第1巻は、ブッダの悟りの内容を示す「存在の法則(縁起)に関する経典群」と、その法則に即して人間をかたちづくる要素を吟味した「人間の分析(五蘊)に関する経典群」を収録する。 -
「政治家」昭和天皇 ――本当に象徴だったのか
最新研究と新資料でいま明らかになる 天皇の実像 戦後の政治外交史研究においては、天皇・皇室そのものを論じることは稀であり、いわば「天皇なき戦後史」が常態化している。歴史学系と政治学系の研究の狭間にあって空白地帯になってきたからだ。そこで本書は、日本国憲法のもとで昭和天皇は本当に象徴だったのか、つまり、天皇は政治外交に関わっていなかったのかを、第一線の研究者の最新の知見を結集して問うものである。昭和天皇の政治外交との具体的な関わりを通じて、「政治家」としての実像を浮かび上がらせることを目指す。 【目次より】 はじめに――なぜ昭和天皇と戦後日本の政治外交を論じるのか(小宮京) 第一章 『昭和天皇拝謁記』を読み解く――治安維持の観点から(中澤俊輔) 1 昭和天皇と共産主義 2 地方巡幸の警備問題 3 血のメーデー事件と破防法成立 おわりに 第二章 昭和天皇の岸信介批判――石橋湛山の岸信介宛私信をめぐって(増田弘) 1 石橋の僅差での逆転勝利 2 石橋・岸対立の本質 3 岸首相宛の石橋書簡発出 4 昭和天皇の岸批判の真意 5 石橋書簡の評価と意義 第三章 岸信介と安保改定――皇室のアイゼンハワー訪日中止要請をめぐって(井上正也) 1 安保改定と皇室 2 安保闘争の激化 3 岸政権の退陣 第四章 昭和天皇の御下問を読み解く――皇室の未来と政治との関わりをめぐって(小宮京) 1 皇室の未来を憂慮する 2 政治との関わりを模索する おわりに 第五章 昭和天皇と田中角栄――皇室と政治の攻防(舟橋正真) 1 天皇訪米問題 2 内奏漏洩事件 おわりに 第六章 三木武夫と昭和天皇――解散総選挙をめぐって(竹内桂) 1 日本国憲法下の衆議院解散 2 三木武夫と昭和天皇の関係 3 昭和天皇在位五〇年記念式典と衆議院解散の問題 おわりに 第七章 「おことば」外交――昭和天皇の和解と苦悩(服部龍二) 1 鄧小平来日と昭和天皇――福田内閣期 2 全斗煥来日と昭和天皇――中曽根内閣期 3 「戦争責任」の呪縛 おわりに コラム1 「天皇メッセージ」と主権(河野康子) コラム2 内奏とは何か(小宮京) コラム3 「おことば」とは何か――昭和天皇の「意思」とのあいだ(内藤一成) あとがき(小宮京) 人名索引 -
法律の読み方がわかる本
実務、資格試験、法学入門も、 ここから始めよう! 基本用語/表記/文章の構成/約束事/法的三段論法 条文・判決を読む、調べる、考えるための基本が詰まった一冊。 「法律」、「法務」、「法規」、「法学」などと呼ばれる分野において、条文や判決の実物を読む力を初歩から身に付け、そのような力を武器として、関係する法的な領域を歩き回れるようになる――この本は、そのための基本的知識を解説する入門書です。 条文や判決は、普通の現代日本語で書かれていますが、読む際には若干の約束事があります。 構成や枠組みをつかむ必要もあります。 それらについて丁寧に、初学者が抱くであろう素朴な疑問も交えて、 具体例とともに、整理してお伝えします。 「読む」から、始める。法の「考え方」も、わかる! 憲法、民法、刑法、チケット不正転売禁止法、建築基準法ほか 身近な条文、注目された判決を、多数引用して解説します。 【目次より】 ……法的な現象はどこにでもある/ 大谷翔平選手の東京ドームでの打球はホームランか/ 条文を読めると視界が晴れる/ 「又は」と「若しくは」/「及び」と「並びに」/ 条文は変わる/古い用語・言い回し/ 一般法と特別法/ 裁判所の判決を読む/そもそも「判例」とは何か/判決の組立てをつかむ/立証責任とは/ リーガルリサーチの入口で/紙の六法は必要か/e-Gov 法令検索……etc === 【目次】 はじめに 第1章 法的な現象はどこにでもある 1 大谷翔平選手の東京ドームでの打球はホームランか 2 本書の方針 第2章 法令の条文を読む 1 条文を読めると視界が晴れる 2 条文の基本的な部品 3 条文の基本的な用語 第3章 法令の条文を読みこなす 1 法令はどのようにして作られるか 2 古い条文と新しい条文 3 法令の条文をめぐるいくつかの現象 第4章 裁判所の判決を読む 1 条文を個別の事例に適用する 2 法的三段論法 3 最高裁判決は一般的な規範を示すものか 4 様々な最高裁判決を読む 5 下級審判決を読む 6 立証責任 第5章 リーガルリサーチ 1 リーガルリサーチの入口で 2 法令をリサーチする 3 行政文書をリサーチする 4 判決をリサーチする おわりに 参考文献 索引 === -
物理学の発展 ――山本義隆自選論集II
近代に入り、飛躍的な発展を遂げた物理学。自選論集の完結編にあたる本書では、熱力学や電磁気学などの18、19世紀における革新的な成果を跡づけつつ、古典力学から量子論・量子力学の誕生までの道筋をたどる。18世紀を代表する数学者オイラーをめぐる「Eulerの力学」、近代における宇宙像の転換を論じた「カントと太陽系の崩壊」、熱力学の形成と発展を概観する「力学と熱学」、量子力学の入門となる「量子論から量子力学へ 量子力学入門」、さらにはかつて予備校生に向けて語った相対性理論の基礎講義に大幅な加筆修正を施した「相対性理論入門講座」など、計12本の論考を収録。 -
日中15年戦争
「戦争へのあこがれ」に抗して 多様な人びとの視点とともに描く全体像 1931年から1945年まで15年の長きにわたる戦争で、日本はどの国にまけたのか? 多様なひとびとの視点を通して全体像を復元する。解説 一ノ瀬俊也 === 1931年から1945年の15年にわたる戦争で、日本はアメリカにのみならず中国にも敗北したのだ 著者は、陸軍の企図・満州利権・戦費調達など国内の政治経済的背景に加え、中国側の論理も含めて戦争の経緯を解く。生々しい戦場の実態や兵士の証言など、個々人にも強い焦点をあてた著者特有の記述が、戦争の真の全体像を浮き彫りにし、戦後日本社会の深層に与えた影響も説明する。歴史教育現場からの発言を続けた著者が豊富な史料を交え、人間の内なる「戦争へのあこがれ」に抗すべく、平和への熱情を注ぎこんだロングセラー。 【目次】 概観 日中戦争と太平洋戦争 一つの質問/忘れられた感覚 第1章 中国革命にはむかうもの 国民革命と日本/山東出兵 「田中外交」の展開/張作霖爆殺事件 第2章 乾いた大陸 満州事変 一九三一年九月十八日 日中十五年戦争の開始/ゼロアワーへの道 満州事変はなぜ起こったか/関東軍と陸軍参謀本部 ある「謀略」の構造 第3章 満州占領 「王道楽土」の現実 たたかいの日々/「満州国」の誕生 第4章 上海のたたかい ある「序曲」 「爆弾三勇士」/「国際都市」上海のたたかい/上海停戦協定 第5章 万里の長城をこえるとき 「ドミノ理論」のゆくえ 国際連盟・脱退/「王道楽土」の幻影/「華北分離工作」の形成 第6章 統一中国への道 大長征 よみがえる中国共産党/「幣制改革」 経済統一の進展/西安事変 第7章 日中全面戦争の開始 「七夕」の夜の銃声 蘆溝橋事件/一九三七年夏・東京/「支那事変」の成立 第8章 苦悶する中国 南京「陥落」/第二次国共合作の成立 八路軍の誕生 第9章 「国民政府を対手とせず」 いわゆる「不拡大派」の敗退/近衛声明/どこへゆく? 近衛内閣 第10章 たたかいの日々 徐州・漢口・広東 一九三八年 徐州 「対支消極持久」方針の成立/『麦と兵隊』ノート/一九三八年 漢口・広東 第11章 生と死の構造 ひもじさの間奏曲/まずしき兵站線/死者たちの群像 苦痛のカルテ 第12章 北のくにの「銃後」 「赤紙」がきた/「銃後」万華鏡 第13章 もう一つの「中華民国」 ある「偽国」の成立 汪兆銘工作/「中華民国」政府の成立 和平交渉の終末点 第14章 「点と線」への道 華中と華南のたたかい/百団大戦 八路軍が反撃する/八路軍のたたかい方 ただ一つの「秘密の兵器」 第15章 「軍国化」の経済構造 軍国財政と国民生活/国家総動員法の成立と展開/軍国日本の土台 戦争が社会を変える 第16章 ある「共和国」の誕生 「辺区」の抵抗の構造 巷にて/晋察冀辺区のなりたち/「辺区」展開図 第17章 ある中国理解者の生涯 尾崎秀実の生と死 尾崎・ゾルゲ事件/彗星の出現/ある死刑囚の最期 “Ecce Homo” 第18章 日中戦争から日米戦争へ 日中戦争と日独伊三国同盟/日中戦争と日米交渉 第19章 たたかいのはてに 12枚のカード たたかいのなかのたたかい 終局 文庫版解説 戦争の全体像復元の壮大な試み 一ノ瀬俊也 -
中国の神話・伝説
文明を築いた古帝王、跋扈する鬼神、天人女房 超自然にして荒唐無稽な物語 一挙総覧! 文明を築いた古帝王、跋扈する鬼神――。中国古典に残された伝承の数々をテーマごとに集大成し、第一人者による解説とともに読む。 === 古代より連綿と、強大な帝国を築いてきた中国。その現実主義とはうらはらに、社会には超自然的で荒唐無稽な物語への関心は根深く浸透しており、『史記』『漢書』のような正史から『書経』『韓非子』など思想書にも古い神話や伝承の断片がちりばめられている。本書はそれらを、「天体」「神界からの贈り物」「怪物退治」「洪水/旱魃」「異界訪問」「英雄出生」「異類女房」などに分類して集成。お馴染みの日本の神話や伝承との照らしあわせも、随所に差しはさむ。斯界の大家による明快な解説とともに、豊醸なる中国神話の全体像を掴むことができる。図版多数。 解説 森和 【目次】 はじめに―中国の神話・伝説の特色 1 創世神話 2 天体の神話・伝説 3 諸文化の起源神話 4 習俗の由来伝説 5 鬼・神(神と怪物)の神話・伝説 6 怪物退治 7 旱魃と長雨 8 治水伝承 9 湖底に沈んだ県城 10 動物の築城 11 異界訪問 12 神の贈り物 13 動物報恩 14 異類女房 15 人の運命 16 英雄異常出生 17 名剣・名画の由来 18 飢餓と疾病 19 異族・異形民の起源 20 地名などの由来 21 歴史伝説 22 事物の由来伝説 23 奇妙な伝説 文庫版解説 森和 -
日本文学史序説
日本人の心の奥底、固有の土着的世界観とはどのようなものか、それは、外部の思想的挑戦に対していかに反応し、そして変質していったのか。従来の狭い文学概念を離れ、小説や詩歌はもとより、思想・宗教・歴史・農民一揆の檄文にいたるまでを“文学”として視野に収め、壮大なスケールのもとに日本人の精神活動のダイナミズムをとらえた、卓抜な日本文化・思想史。いまや、英・仏・独・伊・韓・中・ルーマニアなどの各国語に翻訳され、日本研究のバイブルとなっている世界的名著。◆上巻は、古事記・万葉の時代から、今昔物語・能・狂言を経て、江戸期の徂徠や俳諧まで。 -
子は親を救うために「心の病」になる
「泣きながら一気にページをめくったあの日を忘れることはできません」。 ひとりの読者の感想から広がり、子育てに悩む女性たちの間で話題に。 子は、親が大好きだ。 かつて子どもだったあなたへ、子育て中のあなたへ。 どの子も親が大好きで、「自分が役に立っているだろうか」「必要とされているだろうか」と考えている。しかし思春期になり、親から逃れようとする心と、従おうとする心の葛藤に悩み「心の病」になってしまう。真の解決は、親が子を救い出すのではなく、子に親が救われるのだと分かった時に訪れる。「引きこもり」や「拒食症」で悩む多くの子どもたちに向き合い、心の声に耳を傾けてきた著者が綴る、あなたの子どもと、かつて子どもだった親を救う本。 -
死と復活 ──「狂気の母」の図像から読むキリスト教
イタリア・フィレンツェ郊外の小さな美術館で出会った一つの謎めいた板絵。それは死んだはずの赤ん坊をよみがえらせた聖人の奇跡を描いたものだった。この「嬰児復活の奇跡」と、その上位テーマたる「狂気の母」が、著者を思索の旅に招き入れる。聖餐・聖遺物といったキリスト教文化圏特有の信仰形態や、遡って古代エジプト、ギリシア、ケルト文化にも見られる「死と復活」の主題。これら多くの図像や史料を読み解きながら西洋精神の根幹を成す「死と復活」の思想の本質と、キリスト教の深層に肉薄する。 -
十五年戦争小史
戦争は、誰によっておこされ、どのように展開したか――。本書では、1931年の柳条湖事件の謀略に始まり、45年ポツダム宣言受諾と降伏文書調印によって終わった一連の戦争を「十五年戦争」と呼び、その曲折に満ちた過程と全体像を克明に描く。アジア覇権主義を掲げる日本軍部と対米英協調路線の宮中グループとのせめぎ合い、マスコミの報道によって国内で急速に高まる排外主義、アジア太平洋戦争へと向かう御前会議のありよう………。満州事変、華北分離、日中戦争、アジア太平洋戦争で構成される各部には年表、関係地図を付し、制度や組織の変遷、人事の系統図なども適宜配した。長年読み継がれてきた画期的通史。 -
宋名臣言行録
北宋時代とは、士大夫層の形成とともに中国的官僚制が確立した時代である。また、王安石の新法をめぐり、新旧両世代の対立と混乱に彩られた変革期でもあった。朱子学の大成者・朱熹が編纂したという『宋名臣言行録』(『五朝名臣言行録』と『三朝名臣言行録』の総称)は、北宋百五十年における名臣たちの言動を集録したもので、唐代の『貞観政要』と並び立つ書である。本編訳書では、明快な日本語訳と書き下し文に加え、八朝の天子の特色や登場人物の経歴、言行各条の背景を説明することで、北宋時代史としても通覧できる構成を取っている。組織での身の処し方について、名臣たちはいかなる知恵をわれわれに伝えるのか。不朽の古典がここに甦る。 -
忖度しません(世の中ラボ3)
あなたも、わたしも、この国の当事者。自分の言葉で、ちゃんと語るために。考えるためのヒントがいっぱい。激動の時代を、本を読んで考え続けた5年間、42の同時代批評。 -
カント入門講義 ――超越論的観念論のロジック
我々が生きている世界は、心の中の世界=表象にすぎない。その一方で、しかし同時に「物自体」はある、とも言うカントの超越論的観念論。そのカラクリとして、基本的なものの見方・考え方の枠組みが人間の心にはあらかじめセットされているとカントは強調したわけだが、この点を強調することによって、その哲学は、後年の哲学者達の思想的転回に大きく貢献したと著者は説く。平明な筆致で知られる著者が、図解も交えてカント哲学の要点を一から説き、各ポイントが現代の哲学者に至るまでどのような影響を与えてきたかを一望することのできる一冊。 -
物理学の誕生 ――山本義隆自選論集Ⅰ
科学史家・山本義隆がこれまでに発表した物理学/物理学史に関する20本以上の論文・講演原稿・書評などを集成、全2巻として刊行する。物理学とはどのような学問で、いかなる発展を遂げてきたのか。『物理学の誕生』と題した本書では、「16世紀文化革命」に注目しつつ、古代からコペルニクス、ケプラーを経て近代力学の形成までの過程を中心にたどる。山本義隆による山本義隆入門ともいうべき画期的論集。収録論考:「アリストテレスと占星術」「シモン・ステヴィンと16世紀文化革命」「「ガリレイ革命」をめぐって」「ニュートンと天体力学」「物理学の誕生」など。 -
ラテン語とギリシア語
ヨーロッパ文明の礎であるラテン語とギリシア語。印欧語族の古層に属する両言語は、近代語が失った複雑な規則を持つことから、現代人が習得するのは容易ではない。本書は文字、発音から形態に至るまで、二つの言語を対比させながらその全体像を描き出す。名詞や形容詞の格変化、動詞の細かな時制と態(ギリシア語特有の「アオリスト」や「中動態」)、その動詞がさらに変化した分詞──。様々な特徴を古典の例文とともに見ることで、複雑さに支えられた豊かな表現を持つ、ラテン語とギリシア語の輪郭が浮き彫りになる。古典語のエッセンスを凝縮したコンパクトにして本格的な案内書。 解説 吉川斉 -
幾何学の基礎をなす仮説について
一般相対性理論の概念的基礎であることが判明して再び脚光をあびたリーマン幾何学は、1854年の本書収録講演に始まる。この講演にガウスは珍しく高い評価を与えたという。すでに平行線公準の否定に始まるロバチェフスキーやボヤイの非ユークリッド幾何学はあったが、リーマンは、幾何学といいながら図形からでなく、位置を表すn個の変数の組や曲線の長さから新しい幾何学を組み立てた。数式をほとんど用いない哲学的な講義内容を、ワイルがていねいに数式展開しながら注釈。また序文でも本講演の意義を、理論物理学における遠隔作用から接近作用への潮流になぞらえ熱く語っている。ミンコフスキーの論文「空間と時間」併収。解説 H.ワイル -
言葉を失ったあとで 増補版
被害を語る言葉をとりもどすために。 「人の話を聞く」ことを仕事にしてきた二人が、とことん具体的に語りあう対談集。補章「自由な被害者学」をくわえた決定版。 どうすれば、被害について語ることができるのか。どういう言葉なら、当事者は納得できるのか。言葉を禁じることで、どんな語りが生まれるのか。「人の話を聞く」ことを仕事にしてきた二人が、それぞれの来歴から被害/加害をめぐる理解の仕方まで、とことん具体的に語りあった対談集。補章「自由な被害者学」をくわえた決定版。 カバーイラスト ワタナベケンイチ カバーデザイン 有山達也 【目次】 まえがき 信田さよ子 第一章 言葉を失ったあとで 第二章 カウンセリングという仕事、社会調査という仕事 第三章 話を聞いて書く 第四章 加害と被害の関係 第五章 言葉を禁じて残るもの 第六章 ケアと言葉 あとがき――「聞く」の現場の言葉を聞く 上間陽子 補章 自由な被害者学 -
神社の古代史
古代の人々の生活や信仰、祭りの中から神社は各地で発生した。では彼らはどのような神々を祀ってきたのだろうか。明治以降の国家神道の影響を受ける以前の“祭祀の原像”を求めて、主要な神社の成り立ちや特徴を解説する。取り上げられる神社は大神(おおみわ)神社、伊勢神宮、宗像大社、住吉大社、石上(いそのかみ)神宮、鹿島神宮、香取神宮などで、それらは大和王権の国家運営が進むに従い、それぞれに役割を付与され性格づけられて、律令体制下の神社制度として確立していくことになった。日本古代史における神社の起源と変遷をていねいに辿り、その存在意義を考察する。 -
夜這いの民俗学・夜這いの性愛論
筆下し、水揚げ、若衆入り、夜這い……。ムラであれマチであれ、伝統的日本社会は性に対し実におおらかで、筒抜けで、公明正大であった。日本民俗学の父・柳田国男は“常民の民俗学”を樹ち立てたが、赤松は、「性とやくざと天皇」を対象としない柳田を批判し、“非常民の民俗学”を構築し、柳田が切り捨ててきた性民俗や性生活の実像を庶民のあいだに分け入り生き生きとした語り口調で記録した。『夜這いの民俗学』『夜這いの性愛論』の二冊を合本した本書は、性民俗の偉大なフィールド・ワーカー赤松啓介のかけがえのない足跡を伝える。【解説:上野千鶴子】 -
英語の習得法
『英語類義語活用辞典』『日英語表現辞典』などの編著者であり、「英語力に練達の人」としてつとに名高い最所フミ。彼女は、言語の機能とは与えられたものをcomprehend(了解)し、absorb(吸収)して、express(外面化)するプロセスの繰り返しにあるとする。そのうえで英語を学ぶ人々に、よりいっそう力を養うにはどうすればよいかを、日本人の実状を踏まえて実践的に述べる。英語と日本語の違い、効果的な「読み」、「書く」ための心構え、英会話と音読といったテーマを通し、著者一流の秘訣を一挙公開。その方法論は今も輝きを失ってはいない。 -
増補 ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ――答えを急がず立ち止まる力
最注目の俊英3名による、令和の必須文献。 変化の激しい現代社会で、どう自分の足場を築くことができるのか。 安易な解決に走らず、問いとともに生きる方法はあるのか。 哲学者と公共政策学者が、陰謀論から生成AIまで議論する。 令和の人文を象徴する鼎談が、約4万字の増補をくわえて文庫化。 解説 三宅香帆 【目次】 はじめに 第一の対話――2022/04/04 ▼イントロダクション ナラティヴと陰謀論をめぐって 第1章「一問一答」的世界観から逃れる方法――陰謀論、対人論証、ファシリテーション 第2章 自分に都合のいいナラティヴを離れる方法――フィクション、言葉遣い、疲労の意味 第二の対話――2022/05/07 ▼イントロダクション 地球を覆い尽くすアテンションエコノミー 第3章「アイヒマンにならないように自分の頭で考えよう」という言葉に乗れない理由――コンサンプション(消費)、アテンション(注目)、インテンション(意図) 第4章 信頼のためには関係が壊れるリスクを負わねばならない――マーケティング、トラスト、脱常識 第5章「言葉に乗っ取られない」ために必要なこと――SNS、プライバシー、言葉の複数性 第三の対話――2022/07/16 ▼イントロダクション 徳と観察をめぐって 第6章 自分のナラティヴ/言葉を持つこと――倫理、相対化、ナッジ 第7章 公と私を再接続するコーポラティヴ・ヴェンチャー――関心、実験、中間集団 第8章 イベントとしての日常から、エピソードとしての日常へ――観察、対話、ナラティヴ 第四の対話――2025/08/05 第9章 ネガティヴ・ケイパビリティにとって孤独とは何か――政治、クラフト、オルタナティヴ 第10章 AI時代の言葉を哲学する――ケア、孤独、熱狂 第11章 言葉はごまかせないもの――メタファー、沈黙、責任 解説 三宅香帆「饒舌な時代に、それでも言い淀む瞬間」 索引 -
一揆の原理
一揆といえば、虐げられた民衆が農具や竹槍を手に極悪非道な領主たちに立ち向かう、そんなイメージを抱きがちだ。しかし、それは戦後歴史学が生み出した幻想に過ぎない。史料を丹念に読み解くなかで見えてくるのは、革命や暴動といった固定観念とはほど遠い、権力者とのしたたかな折衝のあり様だ。一揆とは、暴発的な武装蜂起ではなく、既成の社会関係では対応できない危機に直面した人々が「契約」によって生みだした、新たな社会的つながりなのだ──。これまで語られてこなかった一揆の実像と、現代の社会運動にまで連なる結合の原理を、新進の中世史家が鮮やかに解き明かす。 -
最新のスポーツ科学で強くなる!
テクノロジーの進化に伴い、スポーツ科学の研究の発展は目覚ましく、毎年新しい発見が次々と報告されています。そこで得られた成果は、トップレベルのスポーツ選手の競技力向上に貢献するのはもちろんですが、部活動に取り組む中高生や大学生にも有益なものです。スポーツ科学では、トレーニング、リカバリー・コンディショニング、栄養補給の三本柱で考えます。どれだけ合理的なすばらしいトレーニングを行っていても、栄養や休養に注意を払っていなければ大きな効果を期待できません。競技をやる以上、勝つことも大事ですが、それ以上に怪我を防ぎ、ココロもカラダも元気な状態で強くなるにはどうすれば良いか?が重要です。不適切なトレーニングを取り除き、過度の練習や厳しい食事制限を見直し、怪我やコンディション不良によってスタートラインに立てないということがないように。最新のスポーツ科学の知見を得て、トレーニングや休息、栄養について、客観的なデータに基づいて自身でチェックし、日々の行動に反映させる「自己管理のできるアスリート」になるための1冊。 -
「組織が変わる」には何が必要か ――個人・職場・企業の学習の可能性
アンラーニングで人が動き出す! リーダー、管理職、経営層の方、 この本で会社の問題がマッピングできます。 【組織をめぐる不都合な真実】 ・スター人材は他社に移ってもそこまで活躍できない ・研修を単なる時間つぶしにしてしまう職場の共犯関係 ・ピンチのときこそ、企業の本音が出る ・部下は空気を読むことを学ぶことが多い ・職場の情報を共有することは思いのほか難しい ・職位によって管理職に求められる能力は異なる ・否定的な上司より、気まぐれな上司のほうがときに危険 ・組織ではすぐにバックラッシュが起きる ・キャリア自律の推進はパンドラの箱のようなもの === 【目次】 プロローグ 第1章 学習しない個人を嘆く組織 多層的に発生している組織と個人の「構造的なすれ違い」/「日本の働く個人が学習しない」というのは本当か/個人が学習しない理由/個人が学習しないことの個人レベルの弊害/個人が学習しないことの組織レベルの弊害/熟達化への道―個人の学習メカニズムの把握/学習の道しるべとなる「組織内地図」/「組織内地図」が効果を発揮する理由/「組織内地図」による総合的な学習効果/第1の壁をこえるための、ジョブ・クラフティング/個人のジョブ・クラフティングによる組織効果/学習の停滞を打ち破る外部刺激としての越境/卵が先か鶏が先か 第2章 嚙み合わない上司と部下 たとえ働く個人が学習しても……/忙しすぎる上司/上司の能力の限界もある/嫌われたくない上司は悩む/タイミングを逸すると、大怪我につながる/遠慮し、空気を読む部下/心理的安全性と相性の悪い社会的通念/問題外の「悪魔との契約」/上司の気紛れが引き起こす学習性無力感/手を取り合った成果としての信頼関係の力/職場に埋め込まれている上司と部下 第3章 不合理あふれる「横の関係」 働く個人は組織にどっぷりと埋め込まれている/学習資源を提供する職場集団/グループ・ダイナミクスがもたらす負の結果/頻繁に起こる学習の秘匿化/集団の規範を逸脱するコスト/スターになれば問題解決?/職場の仲間の支援あってのスター/職場内の知識の共有システム、TMS/難化するチーム学習/隠されたプロフィール現象に注意!/職場は組織の一部に過ぎない 第4章 時代遅れの檻が生み出す閉塞感 最深部で生じる傍観者的学習/時代遅れな組織風土に対する若者の戸惑い/正社員の「無限定性」が生み出す全人格的な拘束/既存の仕組みからの恩恵が少ない働き手率の上昇/長時間労働という「最大の壁」/継続か中断か、母親たちが突きつけられる選択/効率の悪いルールや考え方、無駄な仕事に悩む人々/キャリア自律という考え方/日本におけるキャリア自律の普及活動/企業が直面する、キャリア自律のパラドックス/必要になる組織学習メカニズムの理解 第5章 なぜ組織は学習できないのか 多層的な「構造的なすれ違い」の根源にあるもの/組織学習論とは何か/誤解①:「真面目に学習し続ければ、必ず成果は上がる」/U字カーブを描き始める学習曲線/組織アンラーニングと2つの組織学習/誤解②:「組織と個人の価値観がずれたとき、合わせる必要があるのは個人」/本来はニュートラルな存在である学習/鍵は誰目線での評価か/「学習する組織」論とシステム思考/ダンスは一人では踊れない/「構造的なすれ違い」を捉えるフレームワーク/第1章から第4章までの位置づけ 第6章 変えているつもりなのに…… なぜ変わらないのか/本音と建前が入り乱れる「パッチワーク変革」/建前のパッチワークの脆さ/組織としての「揺り戻し」/手段と目的が入れ替わる組織変革は失敗する/シーソーの上のキャンプというメタファー/迷信的学習と制度的同型化/「赤の女王」現象と競争から降りる難しさ/組織学習のパラドックスの発生/「働き方改革」にみる負担の移し替え現象/リスキリングに本気なAT&Tの取り組み/システムの工夫による副作用の「無毒化」/「遠投経営」で変わり続ける 第7章 高次学習に向けたダンス実践のために 「組織アンラーニングの起点」の可視化へ/ナドラー=タッシュマンの整合性モデル/動態的整合性モデルの必要性/女性活用着目の背景の可視化/女性活用はなぜうまくいかなかったのか/変化の時間軸が異なるハードとソフト/整合と不整合の間に存在する法則/X会の事例:フェーズ1としての組織変革前夜/フェーズ2としての変革の初期/フェーズ3に起こった専門職の反乱/変革が実現したフェーズ4/連続した絶え間ない組織アンラーニング/個人と組織で踊る「ダンス」 エピローグ === -
科学否定論はなぜ人をひきつけるのか ――地球平面説から反ワクチンまで
「地球は平らだ」と言う人を説得できますか? 地球平面説、気候変動否定論、ホロコースト否定論、反ワクチン運動など、科学や歴史の通説を真っ向から退け、専門家を疑う陰謀論が世界中に広がっている。「真理」や「正しさ」を下支えする制度を根底から突き崩す科学否定論。荒唐無稽に思えるが、その主張には「エビデンス」があり、反駁するのは意外にも難しい。真実を求める人々がなぜ否定論にのめり込んでしまうのか。現代社会に渦巻く不安や不信感の正体とは何か。その背景を読み解き、いま大きく揺らぐ私たちの知の土台を考える。 ▸「真実」を求める人ほどハマりやすい ▸陰謀論にも数値やデータなどの「エビデンス」がある ▸荒唐無稽にみえても反駁するのはかなり難しい ▸陰謀論にも「正しい」ものがある === 【目次】 はじめに 富士山は日本で一番高い山?/科学はなぜ陰謀論の問題になるのか/本書の内容 序章 「真実」を求める社会 地球平面説という謎/ポストトゥルースの時代?/科学否定論とは何か/武器としての陰謀論/「エビデンス」が問われるとき/データベース化する社会/専門家をうまく疑う/方法としての相対主義――科学知識の社会学 第一章 生き残る地球平面説 二一世紀の大航海/コロンブス神話/地球平面説の再発明/ロウボサムの子どもたち/異端な「知」のバトン/オンライン化する「啓蒙」/平らな大地と歪んだ社会/地球が球体でないことの一〇〇の証明/専門家の証言vs.自分の経験/「民主的」なコミュニティ 第二章 科学否定論とは何か 「科学否定論」という新語/疑似科学としての「科学否定論」/論破のテクニック/四つの事例/①創造論――「進化論は正しくない」/②ホロコースト否定論――「ホロコーストは存在しない」/③タバコ戦略――「タバコは有害ではない」/④反ワクチン運動――「ワクチンは安全ではない」/通説はなぜ否定されるのか/批判と否定――ジャーナル共同体の内と外/マスメディアと「偽の等価性」/近代社会のジレンマ 第三章 科学と疑似科学のあいだ 科学否定の心理学/単純な二分法を超えて/創造科学裁判――「科学」を賭けた判決/ラウダンの反論――「科学」は定義できない/ルースの再反論――それでも「非科学」は存在する/科学と非科学の線引き問題/線引き問題の逝去/マッキンタイアの「科学的態度」/疑似科学の哲学/新しい回答方針/「科学否定論」を定義する/線引き問題の社会化――「本物の科学」と「フェイク科学」/システムとしての科学/残された問題――「正しい陰謀論」を考える 第四章 陰謀論の何が問題か クライメートゲート事件/地球温暖化の発見/気候変動否定論――「気候変動は人間のせいではない」/合意を証明する/鏡の中の陰謀論/陰謀論と社会科学――もう一つの線引き問題/陰謀論の哲学/陰謀論とは何か/社会学的想像力は陰謀論でないのか/意図とメカニズム/科学社会学と無知学――二つの選択/科学否定論から反科学政策へ 第五章 エビデンスと陰謀論 「エビデンス」とは何か/エビデンスの序列化/分裂する「エビデンス」/専門家からデータベースへ/「マスクの効果」騒動――コクラン・レビュー/方法論的フェティシズム――RCT至上主義/客観性と「訓練された判断」/初心者と二人の専門家問題/顔の見える専門家/信頼と不信のあいだ/エビデンスと陰謀の証拠/陰謀論にとって「証拠」とは何か/認識論的権威――背中合わせの証拠と信頼/疑似科学と陰謀論の組み合わせ 終章 内なる否定論と向き合う 通説とは何か/論争中と論争後/陰謀を発見する/抗議運動としての否定/データベースと情報の民主化/反権威主義のユートピア/内なる否定論と向き合うには 注 あとがき 参考文献 図版出典一覧 === -
ルポ 支援という生き方 ――貧困問題の最前線
なんで、そんなに楽しそうなんですか? 稲葉剛さんが代表理事をつとめるつくろい東京ファンド。家を失った人に一時的な住まいを提供し、生活を立て直す「ハウジングファースト」に基づく支援を東京・中野区で実践している。本書は、「無関心・無知」であった筆者が、その活動に伴走した2年半の記録である。 「私はつくろい東京ファンドの活動から、人と人とが関わり合いながら生きるとはどういうことかを教えてもらった。背負っている事情や立場の違いがあっても、お互いに影響を与え合い、ともに生きるにはどうすれば良いのかを」 === 【目次】 はじめに 第1章 福祉は「貧困ビジネス」に抗えるのか? 「例外」の支援/貧困は見えにくくなった/新型コロナ災害緊急アクション/不安定の安定/せかいビバーク/受け皿は貧困ビジネス/支援者になるまで/消費社会の影響/悪用ではなく、アラート/支援というもの 応援団① 大角さん(株式会社ネクスト総合企画管理代表) 第2章 ふつうの支援者、大いに悩む 仮放免の実態/一番の動機は生活費/きっかけはアミーゴス/在留資格がないと、人間扱いすらされない/「不法滞在」は悪なのか/困っているから助ける/「行動を起こした人」を増やす/ふつうのこと 応援団② 岩波孝穂さん(ゆうりんクリニック院長) 第3章 当事者とともに、「曲がりくねった道」を行く 通院同行の理由/曲がりくねった道/当事者の側に立つ/山谷で教わったこと/介護の資格/強烈な説得力/野放図な場所/依存症のある利用者/入り口となる場所へ 応援団③ 吉水岳彦さん(浄土宗光照院住職) 第4章 アンフェアなこの世界で、私たちはどう生きるか ライター業のはじまり/『桐生市事件』を書いた理由/フェアであること/日本での生きづらさ/年越し派遣村/ひとまず形から/得難い瞬間/相手を知ることから/少しでもマシになりたい 第5章 「人が人を排除する社会」に抗い続ける 定例ミーティングの様子/子ども時代/活動家の原点/お鉢が回ってきた/新宿ダンボール村の解散/自立生活サポートセンター・もやい/制度の外側へ/ハウジングファーストの実践/活動家集団 後日談 あとがき ブックガイド 参考文献 === -
ザ・ディベート ――自己責任時代の思考・表現技術
ディベートと言えば、「ああ言えばこう言う」という詭弁術とか、言葉で相手をとっちめる技術と思いがち。和を乱す「非日本的」なものとして排除されてきたのも事実だ。だが「朝まで生テレビ」はディベートではない。実は誰でも既に、会議や交渉というビジネスの場で、「テーマを設定し、データを集め、問題枠を作り、複数の議論パターンを考え、自説を主張し、相手に反駁する」という経験をしている。これをより方法的に相互の信頼のなかで実現していく技術こそがディベートなのだ。よいコミュニケーターはよいディベーター。自分の頭で考え、自分の言葉で述べ、相手の言葉を聞くための方法。 -
自他の境界線を育てる ――「私」を守るバウンダリー
◆こんな「モヤモヤ」ありませんか? ・断りたかったけどNOと言えなかった。 ・嫌だと言ったけど「あなたのため」と言われた。 ・意見が他人と違った時に自分が間違えていると感じる。 ・スマホを勝手に見られるのが嫌だけどやめてくれない。 ・好きなものを否定されると自分まで拒否されたように感じる。 これらは「境界線(バウンダリー)」で起きている問題です。日常の「モヤモヤ」や「しんどさ」から心と体を守るために、傷ついた自他の境界線を引き直そう。 【目次】はじめに──私の「生きづらさ」とバウンダリー/第1章 「バウンダリー」は「私は私」の境界線/第2章 もやもや、イライラの正体はバウンダリーの侵害かも?/第3章 こころの境界線を育む言葉と行動を知ろう/第4章 バウンダリーの侵害がひきおこす「生きづらさ」/第5章 傷ついたバウンダリーを引き直す/第6章 バウンダリーという視点で世の中を見てみよう/おわりに -
人生のレールを外れる衝動のみつけかた
「将来の夢」や「本当にやりたいこと」を聞かれたとき、それっぽい答えを言ってやり過ごしたことはないですか? 自分を忘れるほど夢中になれる「なにか」を探すためにスマホを置いて一歩を踏み出そう。 【目次】序章 なぜ衝動は幽霊に似ているのか/第一章 衝動は何ではないか/第二章 衝動とは結局何ものなのか/第三章 どうすれば衝動が見つかるのか/第四章 どのようにして衝動を生活に実装するのか/第五章 衝動にとって計画性とは何か/第六章 どうすれば衝動が自己に取り憑くのか/終章 衝動のプラグマティズム、あるいは実験の楽しみ/あとがき -
世界をつくった奴隷の歴史
世界史の裏側はこんなにも暗い―― アフリカから一二〇〇万もの黒人が強制連行され売買された大西洋奴隷貿易。ほかにも古代ローマ、イスラーム世界、ブラジルやアメリカ、中国、そして日本を含め、あらゆる文明において奴隷制が存在した。歴史上、奴隷制は一八八八年を最後に廃止されたが、今でも多くの地域に自由を奪われた人々がいる。世界史は、惨たらしい扱いを受けた貧しい奴隷たちの歴史と共に形づくられてきた。強制労働、虐待、性的搾取――隠された支配と抵抗の痕跡を辿り、いまなお続く人類史の欺瞞を暴く。 === 【目次】 はじめに 森鷗外『山椒大夫』/奴隷となった安寿と厨子王/厨子王の逃亡/奴隷とは/いま奴隷制を考えることの意味/本書の構成 第一章 古代ローマの奴隷制――本格的奴隷制のはじまり 本格的奴隷制のはじまり/古代ローマの政治体制/ローマの軍隊/ポエニ戦争/ローマの支配拡大と奴隷の流入/グラックス兄弟の改革/シチリアにおける奴隷叛乱/剣闘士奴隷スパルタクスの苦悩/スパルタクスの叛乱/カエサルの『ガリア戦記』/家内奴隷/女性の奴隷と解放奴隷/エリート奴隷の存在 第二章 イスラーム世界の奴隷制――文明を越えて イスラーム教の誕生/イスラーム世界の拡大と奴隷制/主人と奴隷との関係/アッバース朝カリフとその腹心/黒人奴隷ザンジュの叛乱/奴隷購入のルート/マムルーク/中央アジアのトルコ人/マムルーク朝の誕生/女性奴隷の立場/ハレムと宦官、奴隷少年/サトウキビと砂糖/イスラーム文明とヨーロッパ文明の交流 第三章 ブラジルにおける奴隷制――砂糖プランテーションの形成 地中海から大西洋へ/イタリア人の役割/大西洋奴隷貿易の始まり/コロンブスの「新世界」発見/先住民インディオの人口崩壊/アシエント奴隷貿易/ブラジルの発見とパウ・ブラジル貿易/カピタニア制の導入と砂糖プランテーション/先住民の叛乱/総督制のもとでの先住民の奴隷化/黒人奴隷制への移行/砂糖革命 第四章 アメリカ合衆国南部における奴隷制――綿花プランテーションの発展 チェサピーク湾沿岸のタバコプランテーション/米作・藍作プランテーション/イギリス綿工業の発展/アメリカ合衆国南部の綿花プランテーションの拡大/「奴隷飼育業」と奴隷制の拡大/奴隷叛乱と解放への道 第五章 中国の宦官――皇帝と臣民の媒介者 中国の奴隷制/いかにして宦官となるか/皇帝と宦官の密接な結びつき/明の宦官/鄭和の海外遠征/宦官の学校と王振/究極の奴隷 第六章 日本の奴隷制――奴婢から「からゆきさん」まで 奴婢/寛喜の大飢饉と人身売買/倭寇による人間の略奪/戦国時代における乱取り/豊臣時代の日本人奴隷/日本人奴隷とポルトガル商人/ガスパール・フェルナンデス・ハポンの事例/からゆきさん 第七章 現代の奴隷制――解放されない人びと 現代の新奴隷制/スィリという少女/コートジボワールのカカオ農園/ブラジルの奴隷制撲滅国家計画/児童婚のリアル/現代奴隷法 終章 世界史のなかの奴隷制 奴隷は商品か/奴隷解放の意味/世界史のなかの奴隷制/尊厳をとりもどすための闘い あとがき === -
歩くと心が軽くなるのはなぜか ――散歩の心理学
受験生から哲学者まで。 頭を使う人ほど、歩いてる。 散歩とは、心の世界を耕しながら、世界と私のあいだにある微妙な“間(あわい)”を感じさせる営みです。公認心理師・臨床心理士という立場で、“心の回復”の場面に身を置いてきた著者は、さまざまな心の支援の局面において、散歩の要素が関係していることに気がつきます。散歩と心の関係をひもとく、稀有な一冊。 この本は、散歩に関心のある皆さんに、その豊かな人間回復の世界を見出していただければという願いのもとに書かれた本でもあります。いろんな時空を散歩するような気軽な気持ちで、読んでいただけると幸いです。 === 【目次】 第1章 散歩という営み 第2章 散歩は時空を超える 第3章 散歩は交配する 第4章 散歩は世界と私を接続する 第5章 散歩は世界と私のあわいにある === -
再読だけが創造的な読書術である
読書猿氏推薦 「再読せよ。一生かけて読む本に、あなたはすでに出会っている」 本を繰り返し開くことは、自分自身と向き合うこと。 既知と未知のネットワークを作りかえる読書論! ――現代に生きるわたしたちはえてして「新しいもの」を はじめとする刺激の強いものを求めがちです。 自分は何を大事にしているのか、 それを大事にしたい自分は何なのか、 こういった問いをおろそかにしたまま 強い刺激だけを追い求めていけば、 行き着く先はバーンアウトに他ならないでしょう。 より多く、より新しく、より生産的な読書に駆り立てられてはいないか。「多読という信仰」を相対化し、より深く読むために、自分ならではの時間を生きるために──。読書を通じて直面する「わからなさ」を洗練させることで、既知と未知のネットワークは創造的に再構築されていく。情報環境にあらがい、自律的な読書のありかたを提案する再読入門! 解説 木澤佐登志 【目次】 第一章 再読で「自分の時間」を生きる 第二章 本を読むことは困難である 第三章 ネットワークとテラフォーミング 第四章 再読だけが創造的な読書術である 第五章 創造的になることは孤独になることである おわりに 解説 書物の生態系のなかで生き続けるもの 木澤佐登志 -
数学ができるとはどういうことか
ひらめきってそもそも何? 問題を解くって何をすること? 「正しさ」をどう考える? 学び方を変える「理解することの本質」 「自分には数学の才能がない」 「習った通りには解けるけど、自分でひらめけない」 もしかするとそれは、数学がわかっていないだけかもしれません。 数学者がゼロから語る、数学ができることの意味と意義。 === 【目次】 第一章 数学の力は才能で決まるのか 第二章 数学をわかっているとはどういうことか 第三章 数学の正しさとはどのようなものか 第四章 数学のゼミでは何をするのか 第五章 問題を解くにはどう考えればよいか 第六章 問題を解けるようになるにはどうすればよいか 第七章 数学を学ぶことにどんな意味があるのか 第八章 数学の考え方で「答えのない問題」に挑めるか 第九章 ひらめく力がなくても数学は学べるか === -
不幸になりたがる人たち 増補新版
自虐指向と破滅願望はどこから来るのか? 人間の狂気について考察する。 動物園の熊舎に身を投げた主婦、「葬式代がない」とアパートの床下に妻の遺体を埋めた夫、4匹の愛犬をつれて鉄道自殺を図った男──世の中には不幸や悲惨さを自ら選びとっているとしか思えない人たちがいる。不都合な現実に対処するために認知をゆがめ、率先して不幸に身をゆだねる奇妙な隣人。自虐指向と破滅願望がもたらすものは何か? 人間の狂気について考察する。解説 カレー沢薫 【目次】 第1章 理解しかねる隣人たち 不自然な人たち/ああ、そうですか/大おお晦みそ日かの電車/炎の人/微妙な違和感/おかしいのは誰か/猫町の正体/猫おばさんと四匹目の猫 第2章 奇妙な発想 奇矯な振る舞い 幸運の法則/運勢曲線/不幸の先取りについて(1)/不幸の先取りについて(2)/事故への誘惑/「いけないこと」が手招きする/失われた指/見当外れの事情/被害者意識依存症/これさえなければ……/これさえあれば……/ものごとのはじまり 第3章 悲惨の悦楽 不幸の安らぎ 熊に喰われる/虎と熊/二十六時間の誘拐/二人の女/素朴な疑問/近似値としての言葉(1)/近似値としての言葉(2)/安寧としての現状維持/床下の女房、ミイラの父親/呆気なさについて(1)/呆気なさについて(2)/虎に喰われる/活性化される不幸/結実する不幸 第4章 グロテスクな人びと 変人たち/狂気予備軍/供養する男/人格という概念/人間図鑑/現今におけるパーソナリティー障害の分類/奇人・変人・狂人/犬と一緒に昇天する人/グロテスクな人びと/予想もつかない願望や欲望 第5章 四半世紀後から振り返る 二〇〇〇年の空気と精神医学/三面記事の角度から/精神疾患と時代の相関/自著に解題を加えてみる(1)/自著に解題を加えてみる(2)/自著に解題を加えてみる(3)/ああすればよかったのに…… おわりに 文庫版あとがき 解説 カレー沢薫 -
ムガル帝国 ――インド・イスラームとペルシア文化
イスラーム神秘主義の歴史 南アジアで花開いたスーフィーたちのペルシア文化とは 広大なインド亜大陸の一三世紀から一七世紀の思想史は複雑である。インドとパキスタンの分離独立など政治的な影響から、いまの南アジアは、イスラームとヒンドゥーという宗教アイデンティティーに依拠して、解説されることが多い。けれども言語に注目して歴史を概観すると、従来と異なる景色も見えてくる。本書は、西アジア、中央アジア、南アジアの文化的共通言語として一八世紀まで機能した「近世ペルシア語文献」から、ムガル帝国で花開いたスーフィーたちの神秘主義思想と、ペルシア文化を概説する。 === 【目次】 第一部 デリー・スルターン朝時代(一二〇六年~一五二六年) 第一章 デリー拠点の教団――チシュティー教団(ラージャスターン~パンジャーブ~デリー) 第二章 地方拠点の教団――スフラワルディー教団(パンジャーブ)、クブラウィー教団(カシミール)、フェルドゥスィー教団(ビハール) 第三章 スーフィーとヒンドゥー神秘主義者の思想的交流Ⅰ 第二部 ムガル帝国時代(一五二六年~一七世紀半ば) 第四章 イラン高原からの影響――救世主運動とオカルト科学 第五章 古参教団と新興教団――チシュティー教団(続)、カーディリー教団、ナクシュバンディー教団 第六章 スーフィーとヒンドゥー神秘主義者の思想的交流Ⅱ 第七章 「万人の平和」と神の宗教――アクバル皇帝(一五四二年~一六〇五年)の時代 第八章 『二つの大洋の合流』 === -
裸はいつから恥ずかしくなったか ──「裸体」の日本近代史
老若男女が入り乱れる混浴の公衆浴場、庭先で行水をする女性たち、裸同然の格好で仕事をする人々……。幕末、日本を訪れた外国人たちは互いの裸に無関心な日本人に驚き、その様子をこぞって記録した。しかし急激な近代化が日本人の裸観に影響を与え、いつしか裸を不道徳なものと見なすようになる。同時代資料を丹念に読み解き、日本人の性的関心と羞恥心の変遷をたどる「裸」の日本文化史。 -
エクスタシーの神学 ――キリスト教神秘主義の扉をひらく
キリスト教には合理主義と神秘主義の二つの極がある。二千年におよぶキリスト教の歴史は、さながら理性と感性のはざまを揺れ動く振り子のようであった。この構図は近代以降も変わらない。宗教改革以後、むしろ振り子の振幅はますます大きくなった。イエズス会による布教活動、神秘主義の興隆、悪魔憑き、魔女狩りなど、熱狂的な信仰が西欧近代の宗教的エネルギーを吸収した。本書では、キリスト教における神秘主義の思想を、「エクスタシー」という視点から読み解いていく。ギリシア時代に水源をもち、ヨーロッパ思想の伏流水であるカトリック神秘神学を俯瞰し、キリスト教の本質に肉薄する危険な書。 -
美人好きは罪悪か?
男同士の美人談義は、なぜか熱くなりやすい。「雨夜の品定め」の時代からミスコンテスト反対論議のあった時代を経て、男が何人か集まれば、今も行われる会話である。では、果たして美人好きは罪悪なのか? 小説のヒロイン、ロリコンや萌え、髪型やヌード、歴史上の美人などさまざまな観点から、新しい「美人論」を展開する。 -
文章工房 ――表現の基本と実践
腕のいい職人が暮らしに役立つ民芸品を作り出すように、日常生活で生き生きとすっきりした文章を生み出すには?文章を書く現場で具体的に役立つよう、句読点・記号や用字用語など、文章の七つ道具の使い方から、語順や視点の違いによるニュアンス、描写やレトリックの切れ味に至るまで、技術面を掘り下げて表現のテクニックを披露する実践的な文章講座。書きたいことが的確に届く表現、気持ちが伝わり読み手の心に響く文章を制作するための、楽しいアトリエに、ようこそ。 -
裸足で逃げる ――沖縄の夜の街の少女たち
打越正行『ヤンキーと地元』とともに沖縄の語り方を変えた、比類ない調査の記録。 累計3万部超の傑作に、13000字の文庫書きおろし「十年後」をくわえた決定版。 それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから、必死で最善を選んでいる。それは私たち他人にとっては、不利な道を自分で選んでいるようにしか見えないかもしれない。上間陽子は診断しない。ただ話を聞く。今度は、私たちが上間陽子の話を聞く番だ。この街の、この国の夜は、こんなに暗い。 ――岸政彦(社会学者) 沖縄に戻った著者は、風俗業界で働く女性たちの調査をはじめる。ひとり暴力から逃げて、自分の居場所をつくっていく──彼女たちの語った話は著者の手で書き起こされ、目の前で読み上げられ、自己の物語として了解されていく。沖縄の話であり世界の話でもある、比類ない調査の記録である。 -
あいだ
自己が生命の根拠に支えられて世界と出会う行為的原理である「あいだ」。その構造を、ゲシュタルトクライス理論に拠りつつ、ノエマ・ノエシスの円環的関係を西田哲学の「行為的直観」と関連づけて、多面的に解き明かす。自己が主体として生きるということは、生命一般の根拠の「おのずから」の動きにかかわると同時に、間主体的な世界を維持することではないか。ユクスキュル、ブーバー、レヴィナスらへの言及を通じて自他の関係を考察し、ダブル・バインド仮説の可能性を改めて問う。独自の学問的地平を切り拓いた著者の世界をわかりやすく示す。 -
アイデンティティが人を殺す
集団への帰属の欲求とは何を意味するのか。この欲求が他者に対する恐怖や殺戮へとつながってしまうのはなぜなのか――。グローバル化の進展は、さまざまな文化の保持者たちの基盤を揺るがし、時に偏狭で排他的な帰属意識を生み出してしまう。複数の国と言語、そして文化伝統の境界で生きてきた著者は、本書のなかで新しい時代にふさわしいアイデンティティのあり方を模索する。鍵となるのは、「言語」だ。言語を自由に使う権利を守ること、言語の多様性を強固にし、生活習慣のなかに定着させること、そこに世界の調和への可能性を見る。刊行後、大きな反響を呼んだ名エッセイ、ついに邦訳。文庫オリジナル。
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