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Posted by ブクログ
よくないもの、と思いながらもなんだかぼんやりとしたまま付き合い続けている「悪口」というものを、冷静ながらフレンドリーな語りで解き明かしていくとても読みやすい本でした。
日々当たり前に生きすぎていて、いくつかの概念が混合しているという指摘に、おおっとなりました。
悪口を言う者と言われる者がいますが、世の中の圧倒的多数の人は、悪口を聞く第三者にあたると思います。
面倒くさがらず(?)いちいち「そんなことを言ったらダメよ」と言うという行為が、同じコミュニティで生きていかなければならない者としての責任ですね。
そういった「悪口」に頼らずに人とコミュニケーションをするためにも、教養というものは持っていたいという一文も素敵で気に入っています。
Posted by ブクログ
悪口は悪いもの。
それは誰もが知っている。
でも楽しいものであったりする場合もある。
なかなか一筋縄ではいかないもの。
本書では、それを解きほぐし、たぶんこの先も社会からなくなりはしない悪口とどうつきあうのかを考えていく。
悪口の悪さは、わりとはっきり述べられる。
人には価値の上下はない。
しかし、悪口はそれを言うことで誰かのランクを落とすから悪い、ということであった。
ランキングがたくさん出てきて、ちょっとたじろぐ。
特定の事実や側面を抜き出して序列をつけるのが「記述」のランキング。
それを価値観により序列づけるのが、「優劣」のランキング。
さらに、人物そのものをランク付けする「存在」のランキングがある。
「優劣」のランキングとまぎらわしいが、その人の属性の一部について抜き出して、そこに特定の価値意識によって序列がつけられるなら「優劣」、その人の全人的なものとして序列化するなら「存在」という区分けをしていることのようだ。
ここがわかりにくいのだが、わたしたちがこのあたりをくちゃくちゃにしているために、序列について「絶対ダメ!」になるのか、悪いことはあっても黙認という姿勢に陥ってしまうのかなあ、と思った。
「悪い」悪口と、コミュニケーションの一環として許容される悪口の区分けも、このランクの話に関わっている。
序列をバーチャルな、その場限りのものとして扱うおちょくり、いじりは、相手のランクを下げないので、まあ許容範囲でないかとのこと。
悪口は広くさまざまな社会に見られ、権力を批判する働きもあるため、一概に否定すべきでもないというスタンスであった。
もちろん、本書でも人間の尊厳を損なう悪口は絶対許されないという立場を崩さない。
ただ、「ダメ、絶対!」で止められないのも事実。
風通しよく議論していくのは大切だな、と思った。
Posted by ブクログ
私は悪口のたぐいが嫌いなのですが、なんで嫌いなのか、そもそも悪口ってなに?批判とかとどう違うんだ?に興味があり、たまたまPodcastで話が出てきて手に取った。
悪口は相手のランクを下げる、つまり相手を低い場所に落とすことによりその相手が他者から侮られることを誘引するということだった。だから悪口はよろしくない。
しかし、その悪口が有効になる場面がある。それは相手と自分に圧倒的な権力差があり、相手がいかに不当なふるまいをしているかをコミュニティで共有するための悪口は有効であり、するべきであるらしい。
そう考えると私はここのところずっと高市政権の悪口を言いまくっていることになるが、権力者に対する悪口というのは互いに虐げられている側が連帯しやすくなったり、異議申し立てにつながる役割を果たしている。
私は悪口のたぐいは嫌いだ。たまたま自分の機嫌が悪くて相手の言うことややることが気に食わないことなどもあるからである。しかしながら、この不安定な社会情勢については不安定にさせている対象に対しての悪口を言いまくっていきたい
Posted by ブクログ
なぜ悪口がいけないのか、どこからどこまでが悪口なのかといった「悪口」に関して、言語哲学を専門とする著者が解説している。
「悪口は良くない」「悪口はやめましょう」というような話は、よく言われることであるし自分自身言ったこともあると思う。
けれど、悪口がいけない理由を聞かれたとしたら答えるのは難しいということに、当書を読み始めて気づいた。
おそらく自分も浮かぶであろう「人を傷つけるから良くない」 といった答えは悪口として十分な条件ではないと著者は例を示して丁寧に説明していて、感情論ではない話の展開の仕方に納得感がある。
悪口は「相手のランクを下げる」から良くないという定義づけをすることで、そこを基準に様々な種類の悪口があることを知ることができ、自分が日常生活でモヤモヤした出来事は、悪口に当てはまっていたからなのかもしれない、と腑に落ちた部分もあって良かった。
今回の「悪口」に限らず、社会の常識やモラル、なんとなくの言葉で分かった気になってしまいやすい概念について、なんなんだろう?と立ち止まって問い直すことは大切なことなのだと感じられた。
そうすることによって、新たに見えてくるものもあるように思う。
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