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Posted by ブクログ
大学の教員に、セクシュアルマイノリティについて学びたいならまずこれを読めと言われたので、この本を手に取った。
確かに、様々な専門用語についての説明はもちろんのこと、その用語の成立の背景が解説されているので、初心者でもわかりやすい。
また、日常会話でありがちな発言の問題点を丁寧に解説されているため、「初心者」でも読みやすい。筆者が述べているように、このような具体例の解説というよりかは、用語や背景の解説が中心である。この本はこれからセクシュアルマイノリティについての勉強を始めるための準備体操的な本であると感じる。だから大学の教員もこの本を推薦したのだろう。
セクシュアルマイノリティについてこれから学ぼうとする人、またはざっくりとセクシュアルマイノリティについて復習したい人にとってはとても効果的な本であると感じる。
Posted by ブクログ
たいへん勉強になりました
「新しいホモノーマティヴィティ」
=良き消費者としてふるまおうとする
「勝ち組」のセクシュアルマイノリティ それによる格差 既存の社会体制への迎合
以前読んだZINEで似たようなことが話題に上がっていたので、これを読んでさらに勉強になった
トランスジェンダーと治療の問題
じゃあ治療すれば? という言葉の残酷さ
治療と引き換えに画一的で永続的なアイデンティティを押し付けてしまう
直すべき障害でも病気でもない、という上でそのことに基づく苦痛のみを治療の対象とする
という2段階が必要
性のあり方と苦痛を切り分ける
てか渋谷区のパートナーシップ制度の登録にお金かかってたのはじめて知ったんですけど!?
Posted by ブクログ
性に関する議論は、概念の分類や問題の背景、新たな課題などが入り組んでいるため、一見するととても難解な分野であるように思える。一方で、一定の理解を示すことが求められているようにも思える分野である。だからなのか、差別をしていないことを標榜するための無知な「LGBT」言説があふれている。
本書は「何が偏見なのか自分はわかっていないかもしれない」という不安を抱えた人の、「もっときちんと知りたい」という欲求にまさに答えてくれる。バトラーを読んで挫折しかけていた私にとっては、本当にありがたかった。読みやすい。
今後、巻末の読書案内にたくさん助けられると思う。
クィア・スタディーズに入門することはできない、なぜならクィア・スタディーズの内実をどこかに位置づけることこそが、先人達が批判してきたことだからだ。
Posted by ブクログ
第四章のトランスジェンダーの言説史の整理が特に自分にとり啓蒙的だった。単に広義トランスジェンダー(トランスセクシュアル、狭義トランスジェンダー、トランスヴェスタイト(異性装)に3区分される)を学べるだけでなく、その区分がジェンダー研究の中でいかに進展していったかを追うことは、自分自身のフェミニズム/ジェンダー論/クィアスタディーズに対する学習不足の部分……すなわち性指向と性自認の絡み合いに関する部分……をなぞり直す役に立った。第四章の概念整理をもとに同性愛の話や「オネエ」の話をみかえすと、色んな見落としをしていたことに気付かされた。
後半のクィアスタディーズ概念紹介や研究論文紹介も手堅く、硬質なLGBT議論を一冊入手したいという人には安心して薦められる本である。
ただし、半陰陽やアセクシュアルなどの議論はあまりないため、事典的な利用を期待するべきではない。あくまでこの種の議論を、初歩的なところでミスらないためのあんちょことして読んでいくことが期待される。
Posted by ブクログ
学部生のときに読んで以来、7〜8年ぶりに読んだことになるのだが、当時とは、かなり解像度が上がったのは、曲がりなりにも勉強してきたからだと思うので、自分で自分を褒めたくなった。内容以前に、本の構成が、一つの研究領域を外観するのに必要な学問史、分析概念の解説、具体的な分析対象の分析になっていて、筆者の言葉で言えば「あんちょこ」になっていたことが分かった。それが分かるくらいには、「学問」のディシプリンというものの大まかな捉えができるようになってきたことだと思って、少し嬉しい。
それを踏まえて、「クィア・スタディーズ」という研究領域が、特定の研究対象や方法論を指すのではなく、本書で言うところの三つの視座から現象を捉えようとする営みだという説明は、非常に分かりやすい。
①「差異に基づく連帯の志向」
②「否定的な価値づけの積極的な引き受けによる価値転倒」
③「アイデンティティの両義性や流動性に対する着目」
こうした観点から、「同性婚」や「性同一性障害」といった、性にまつわる諸々の出来事の意味や価値を検討していくことが、「クィア・スタディーズ」なのであるということが、具体的実践を含めて、すごく腑に落ちた。
ただ、著者が社会学者であることもあって、社会運動や社会学的な分析の指針としては、分かる一方で、他の領域では、どういうことをしているのだろうかというところまでは、分からなかった。ここの部分は、巻末に読書案内がされているので、それを読んでいこうという感じになる。
自分は、特に文学と教育を専門にしているが、文学における「クィア批評」といったものが、①〜③のような観点から、テクストをどうするものなのかは、いまいち想像がつきづらい。本書で解説されているようなセクシュアル・マイノリティを描いた作品を高く評価することなのか? その描かれ方を批判的に評価することなのか? あるいは、そのテクストの社会的な影響を考察することなのか?
こうしたことは、クィア批評がやっていることの一つだけれども、いまいち、実際にテクストを分析するイメージが、社会問題を分析するイメージから湧きづらいようにも思う。このあたりのことは、改めて勉強し直したいと思わせられる本だった。
妹が森山ゼミ出身であることもあって、全く知らない人なのだが、なんとなく親近感が湧く。同著者は、『あなたを閉じ込めるずるい言葉』という、自分が普段相手にしている中高生でも読める極めて教育的な本も書いている。今回、改めて勉強したクィア・スタディーズの専門的な知見が、日常会話の中に潜む差別の分析に、どのように生かされているのかを、改めて読み直してみたいとも思うところである。
とにかく、良質な入門書。興味がある人、ではなくて、誰にでも一度は読んでもらいたい。
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