【感想・ネタバレ】LGBTを読みとく ──クィア・スタディーズ入門のレビュー

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Posted by ブクログ

性に関する議論は、概念の分類や問題の背景、新たな課題などが入り組んでいるため、一見するととても難解な分野であるように思える。一方で、一定の理解を示すことが求められているようにも思える分野である。だからなのか、差別をしていないことを標榜するための無知な「LGBT」言説があふれている。
本書は「何が偏見なのか自分はわかっていないかもしれない」という不安を抱えた人の、「もっときちんと知りたい」という欲求にまさに答えてくれる。バトラーを読んで挫折しかけていた私にとっては、本当にありがたかった。読みやすい。
今後、巻末の読書案内にたくさん助けられると思う。

クィア・スタディーズに入門することはできない、なぜならクィア・スタディーズの内実をどこかに位置づけることこそが、先人達が批判してきたことだからだ。

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2022年02月02日

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第四章のトランスジェンダーの言説史の整理が特に自分にとり啓蒙的だった。単に広義トランスジェンダー(トランスセクシュアル、狭義トランスジェンダー、トランスヴェスタイト(異性装)に3区分される)を学べるだけでなく、その区分がジェンダー研究の中でいかに進展していったかを追うことは、自分自身のフェミニズム/ジェンダー論/クィアスタディーズに対する学習不足の部分……すなわち性指向と性自認の絡み合いに関する部分……をなぞり直す役に立った。第四章の概念整理をもとに同性愛の話や「オネエ」の話をみかえすと、色んな見落としをしていたことに気付かされた。

後半のクィアスタディーズ概念紹介や研究論文紹介も手堅く、硬質なLGBT議論を一冊入手したいという人には安心して薦められる本である。

ただし、半陰陽やアセクシュアルなどの議論はあまりないため、事典的な利用を期待するべきではない。あくまでこの種の議論を、初歩的なところでミスらないためのあんちょことして読んでいくことが期待される。

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2021年11月12日

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良かった。「ふつう」は無いということをどこまでも突き詰めていくクィア・スタディーズの考え方に触れてしびれた。 
現実生活のどの場面でも役に立つだろうと思う。

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2021年10月16日

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人間の性の在り方は、やはり奥が深い、という印象。
「 クィア・スタディーズ」という学問の存在をはじめて知った。セクシュアルマイノリティに関して、知的な好奇心で勉強しても良いのだという考え方を知って、ちょっとホッとした。
正直、基礎編よりあとは、情報が多すぎて一回では覚えられないが、歴史という観点から見ていくというのはとても興味深かった。

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2020年10月08日

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ネタバレ

「良い新書は大学1セメスター分の講義である」

最近の口癖。講義をベースに書かれている新書もあるのだから当たり前といえば当たり前である。

読みやすいのに重要な点がちゃんと抑えられていて、復習を提供してくれると同時に、いつでも戻って参照できる基本が詰まっていた。巻末読書ガイドも丁寧でありがたい。こういう本に出会えるかが学びでは重要なのかもしれない。

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2017年04月01日

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こういうことがマイノリティへの差別にあたると丁寧に書いてある本。
LGBTに偏見はないけど、から話始めることの差別性。

とくにトランスジェンダーの項目は知らないことが多くて勉強になった。セックス、ジェンダー、異なる性別の服を着たいかどうか、などが複合的に絡み合っていること。
もちろん全部覚えるのが一番いいけど、とりあえずこれを読んだことでトランスジェンダー=体と自認の性が違う人だ、と安直に考えなくなったので「トランスの人にはこう接するのがいいのかな」という偏見がなくなった。

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2023年07月04日

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知識がなければ偏見や差別はなくせない、本書全て読んでさらにこの言葉が刺さる。
理解していたつもりだったことも、偏見なんて無いつもりだったことも、まだまだ知らなかったし見通せていなかったなと痛感。。。
多様な性のあり方は知識ありきの「なんでもあり」であって、クィアスタディーズの基本的な視座を使ってニュースのあり方、報道の仕方、記事の読み方をどこまでも奥深く出来ると思う。
昨今ジェンダー差別発言やらで問題になってる方とかもいるけど、これも知らないからこういう発言ができるんだろうわけで。
自分全然世の中のこと知りません!!って堂々と発言してるようなもんだし。

色々書きたいけどどれも薄っぺらくなる気がしてまとめれない!
とにかくあの、色々な人にいろんなことがあって、マイノリティやマジョリティはあるけど普通なんてこの世になくて。完全な分類なんてできないしみんなが過ごしやすい世の中を作るなんてめちゃくちゃ難しいけど、作れるようにこういう学問があって、これまでの歴史やこれからの制度があるのかなと思う。薄っぺらいな。笑

クィアスタディーズの基礎のあたりは図も欲しかったな、慣れないカタカナが多くてなかなか整理できず、、、
まだまだ知らないし根付いてないから理解にも時間がかかるんだなーーーー

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2022年04月20日

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( ..)φメモメモ
「普通」という暴力を解除できないアプローチ=セクシャルマイノリティについて不適格なアプローチとすると、「普通」の性を生きろという圧力に傷つく人々をセクシャルマイノリティと言い換えることができる。
暴力や差別は悪意を持つ人が行うものなので悪意を持たないようにすることが重要だと、良い人になれば良いと思いがちだが、暴力や差別を防ぐには良心や道徳ではなく知識が必要。

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2022年03月10日

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図示ばかりになれているので、図がない本書は整理の仕方が難しいのかもしれない。
 しかし巻末に27ページほど読書案内があるので、それと関わらせて読むのがいいのかもしれない。どこから読んでもいいと書いてあったが、最初の部分は必読であろう、

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2021年09月04日

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性的少数者についての、これまでの歴史を知ることはとても大切だと感じた。
多様性という言葉は便利だけど、便利な言葉って怖い。多くのことを考えさせられた。

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2021年06月29日

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著者の書き方が悪い訳ではなく、どうしても概念的な話になるので、読んでいて理解するのが難しかった。
読む前に(読みながら)LGBTの専門用語について、調べてから読んだ方が理解しやすいと思った。

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2021年03月03日

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良書。セクシャルマイノリティについて、複雑な問題ではあるけど、だからこそ、何か知識を得なきゃなと思い買った一冊。1から4章までは基本的なことが書いてあり、ほぼ無知の私からしたらすごく有難い部分だった。しかし、5.6章は一気に読者を突き放すかのようにかなり難しい分野の話になっていき、正直私はついていけなく、理解出来ないまま読み進める部分も少なくなかった。

全体的に見るとかなりわかりやすく書かれているし、とてもいい本だと私は感じた。

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2020年11月04日

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「LGBTの入門書」というよりも「LGBTを読み解くツールとしてのクィアスタディの入門書」。

LGBT、という名前そのものが、4つの言葉の頭文字を取ったものであることからもわかるように、LGBT(やそれらを含むセクシャルマイノリティ)を語るとき、いろんな言葉が出てくる。
そんな言葉そのものについての説明だけでなく、その言葉がどういう背景があってできた言葉なのか、またその背景がどう変わってきたのか含めて説明してくれる一冊。

入門書なので、そこまで難しいことは書いてない。でも、それが理解できたのか、と言われると正直疑問な本でもある。
ただ、LGBTというよりも性差やそれにまつわる社会問題を考えるとき、なんとなくモヤモヤしていただけのものを、うまく説明できるかもしれない言葉と考え方がすでにあるのかもしれない、ということは理解できた。
少なくとも、ネットでそういう言葉が出てきたとき「ほんとにそういう理解でいいのかな?」と思ったら、この本を読み返せばいいかも、というくらいには。

複数の性の人間が同じ生活圏で生きることが当たり前になった以上、性差についてまがりなりにちゃんと考えないとトラブルになるのは当たり前のこと。
それを考えるための一助となる一冊でした。

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2019年12月06日

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入門書として、こぶりでいい。読書案内も便利。歴史だいじ。でもぜんぶに首肯しにくい。ま、それもまた、いいことだなあ、と。

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2019年06月02日

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副題『クィア・スタディーズ入門』の文字をもっとでかくした方がいい。クィアは調べてみるも全然ピンとこなかったけど、この本の解説でだいぶ分かりやすく頭が整理された気がするし、知れば知るほど社会のあらゆるものごとに関わってくるからすごく面白い分野だと思う。

主題『LGBTを読みとく』も、これだけパッと見るとうーん今更〜と思っちゃいそうになったけど全然今更なことはなく、むしろ知らなかったことや勘違いしてたことも多くて知ったかぶり大変失礼いたしました!!!(土下座)な本だった。
そんな歴史的、分類的あれこれを見据えてクィアという学問なのだな。

個人的には、文脈違うかもしれんけど「カップルでいることで得をする社会ってどうなのか?」て問題提起がされてることにすごく勇気付けられた…(独身アラサーの悲しき焦りを開き直らせているだけかもしれないけど)でも考えたうえでひとりの方がいいわ〜ていう結論になる人も絶対一定数はいるはずでしょ?!?!

そういう、LGBTだけの問題にとどまらず、かなり直接的にわたしの問題として立ち上がってくる事柄もあって、ここに順応できないのはわたしの落ち度かなと思ってしまっていたことも実はそういうことでもないのでは?と思わせてくれたというのがとてもいい読書をしたなという感じでした。

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2018年10月01日

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ネタバレ

この分野多少の興味はあるのだが詳しくなく、そして読んだら、ここ10年20年でもすごい変化しているもよう。多少整理できた気がして良かった〜

・LGBTと言う言葉はもはや差別隠蔽の指標として重要になっている
あー…分かる…(^_^;)かく言う私もこのタイトルだから気軽に電車の中でも広げて読んでたけど、ゲイとか同性愛とかって単語だとちょっとためらうところある…
・ホモソーシャルな絆はホモフォビア(嫌悪)を伴っている
そうそう、これ気になってたやつ。男の人たちがキャッキャたわむれているのを好む人の中に、ホモなんかじゃないから!!みたいに同性愛を見下す発言する人多いよな〜ての…
不快感感じるのは分かるのだが、差別意識表明しなくても良くない?て思っちゃう…ビミョーなところで私自身覚えがあるのでな…

そして時々「やおい」と言う単語が使われてたのに違和感なんですがw 私の感覚ではその単語は高河ゆんデビューあたりで盛んに使われてた印象…そしてその後すたれた気がしてたんだけど。
現役大学生がチェックしたそうだから、今も一般的に使われてんのかな…?

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2018年06月20日

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 7月、Twitterで「90年代に青春を過ごした古株オカマとして、今のLGBTの動きに文句を言いたいことがごまんとある」として、哲学者の千葉雅也が自身のセクシュアリティについてカミングアウトした。「ゲイの知識人としての役割を果たす必要もある」「安っぽいフーコーとしての務めをやります」といって闘う相手をこう特定してみせた。「冷たいノンケ世間と闘うということではない。心優しくLGBTに寄り添う善意と闘うんだ」と。
 その千葉雅也も一定の評価をする本書は、社会学者がセクシュアル・マイノリティに関する「知識」を整理しながら「クィア・スタディーズ」と称される新しい学問分野に読者を誘う入門書。その冒頭で、差別解消には「良心」や「道徳」ではなく「知識」が必要だと明記し、自称「いい人」の欺瞞や暴力性に注意を促している点で、千葉雅也の問題認識に近いことが窺える。
 「L」「G」「B」「T」やその他のセクシュアル・マイノリティに関する基礎的な情報を簡潔に解説したうえで、フーコー、デリダ、バトラーと連なる哲学史のその先に、クィア・スタディーズの基本概念を取り上げる。「パフォーマティヴィティ」「ホモソーシャル」「ホモフォビア」「ヘテロセクシズム」「ヘテロノーマティヴィティ」「ホモノーマティヴィティ」「ホモナショナリズム」等々。
 現場感覚に支えられた実例紹介と旗幟鮮明な理論解説が読みやすく、初学者にも難しくはない。同時に、「知識」によって啓かれるとはこういうことかと感じさせるだけの専門性も備え、新書一冊ではありながら、学問ならではの刺激がある。「最初の一冊」としてはもちろんのこと、ある程度の知識もあって性の多様性に「理解ある」と自認している人にこそ、薦めたい。千葉雅也がこれから繰り広げるであろう論争にも、備えの読書となるはずだ。

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2017年11月19日

Posted by ブクログ

マイノリティの味方だと明言し、様々な論拠、意味を声高に叫んで来たが、本書を読んで、そこにどれほどの落とし穴があったか気付かされた。

・ローレティスはジェンダーとセクシュアリティの問題を区別すべきだと主張した。
・クィア・スタディーズの5つの基本概念。パフォーマティヴ、ホモソーシャル、ヘテロノーマティヴィティ、新しいホモノーマティヴィティ、ホモナショナリズム
・クィアスタディーズの基本的な視座。差異に基づく連帯の志向、否定的な価値付けの積極的な引き受けによる価値転倒、アイデンティティの両義性や流動性に対する着目。

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2017年04月17日

Posted by ブクログ

仕事の関係で読みましたが、基本的な知識を得るにはちょうどよい内容でした。
漠然としたイメージしかありませんでしたが、頭の中を整理しながら、読むことができました。
しかし、外国の小説で登場人物が途中でわからなくなるように、横文字の分類に苦戦し、中々読み進みませんでした。

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2022年09月16日

Posted by ブクログ

わたしたちの性に関するリアリティが,
いかに矮小化されているのか,

その事実を教えてくれる本でした。

表現するとこぼれ落ちるものがあり,
こぼれ落ちずに表現するのは難しいことを踏まえると,

LGBTあるいはセクシュアルマイノリティだけでなく,
他者一般の理解について考えさせられるところがありました。

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2021年06月02日

Posted by ブクログ

LGBTについて理解を深めたいと思い、購入。
1章で日本における状況について書かれており、歌舞伎の女方のことなど挙げられたのを見て、はっとした。
皆がカミングアウトを望んでないなど、言われればそうだよなと思っても、まだまだ自覚が足りないと気付かされた。
またマーケティングに関する視点、事例も個人的には新鮮な話しと感じた。

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2020年02月08日

Posted by ブクログ

LGBTについて、理解したいからこそ、この本を手にしました。

たしかに、LGBTの歴史や知らない用語の意味は知れました。
しかし、理解したように思い込む危険性をこの本から教わりました。

私はこの本を読み、他人のことはわからない。わからないからこそ、わかろうと努力し続けることが大切だと感じました

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2019年01月04日

Posted by ブクログ

LGBT等の基本的な説明の前半はわかるしすぐれていると思う。でも「クィアスタディーズ」の説明にはいってオースティン、デリダ、バトラー様という例の流れになるといきなりわからなくなる。クィアスタディーズというのはこういう感じでしかできないのだろうか。



この本の印象では、クィアスタディーズなるものは主にもっぱら「概念」やひとびとの思い込みをめぐる研究であるという印象を受けてしまうのだが、それでいいのだろうか。もっと豊かな実証的・経験的研究があるんではないのか。



フェミニストとLGBT(特にMtFトランス)のあいだの政治的・哲学的意見の対立のようなのを紹介しているのは貴重。ここらへんあんまり語られないんよね。











「パフォーマティブ」に関しては、optical frog先生がよいエントリを書いてくれた。

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2020年06月15日

Posted by ブクログ

1〜2章、余裕あれば4章までは基礎理解の文章として、事始め的に広く読みやすい内容。5章からはクィア・スタディーズという今の”LGBT理解”のさらに一歩先にあるような視点なので、少し小難しいかもしれないけど、「なんでもあり、十人十色、みんな違ってみんないい」的な収められ方に対抗する論考として、あえてここから始めるというのもありか。いずれにしても学部生・教養的な新書として読みやすく。蔵書入り。

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2017年03月18日

Nao

購入済み

読みやすいが

読みやすいが自分が求めていた内容ではなかったです。同性愛者やトランスジェンダー当事者の価値観や、歴史的、文化的なルーツなどを知りたい方にはこの本は不要かと思います。どちらかといえば学術的な内容が多いかも。

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2019年11月14日

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