京都の麺、丼ものといった食堂文化を語った本。昔、京都の大学に通っていたころ、学食でたぬきうどんなるものを見つけてはじめて京都のあんかけ文化に遭遇し、驚いたことを思い出した。その時は、あまりおいしいとは思わなかったが、歳を取っていくと、なぜかむしろ出汁の効いたあんかけが乗っている京うどんが恋しくなる
...続きを読むから不思議である。
本書の内容は、以下の通り。
第1章 上方〈麺〉問答 -諸説覚書
第2章 〈しっぽくの美学〉
第3章 なにを「とじる」か
第4章 食堂と町中華の不思議
以上で出てくるメニューも、たぬきうどん、あんかけ、けいらん、しっぽくうどん、衣笠丼、木の葉丼、中華そば、黄そばなど食堂メニューが満載。
昭和の大衆食堂へのリスペクトにあふれ出ているようで、学校の周辺にあった食堂に足を運んでみたくなるような気持になった。
しかしながら、京都の街中は観光公害にあふれ、こういった食堂は絶滅危惧種となってしまった。本書に記載されている食堂もいくつかはもう廃業となっているようだ。そしてこうした食堂に多くの学生たちの生活も支えられてきた。
学生のまち、京都ももはや昔の話になりつつあるのだろう。
久しぶりに本書に乗っている食堂を訪ね歩いてみたいなあ。残っている時間はあまりなさそうだ。
できれば、本書に乗っている食堂の一覧表か地図があればと思うが、自分で作るのも楽しいか。(笑)