小坂井敏晶の作品一覧
「小坂井敏晶」の「格差という虚構」「神の亡霊」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「小坂井敏晶」の「格差という虚構」「神の亡霊」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
私は読書の効用の一つは「常識の破壊」だと思っています。
その点において、小坂井敏晶さんの本ほど常識を鮮やかに破壊してくれる本はないのではないか。そう思わせるほどの筆力があります。
今回読んだ『民族という虚構』においても、読みながら自らの常識がガラガラと崩れていく音が聞こえました。
その一つが、私たちは虚構に支えられているという事実。
虚構を暴くことが正義ではなく、虚構がないと生きていけない現実を直視しながら、世の中の不条理に目を向けなければならないと、背筋が伸びる読書体験でした。
私たちが何に支配されているかに気づく道具こそが“教養”なのだと思います。
小坂井さんの本は、間違いなくそん
Posted by ブクログ
すごく面白かった。
自分の価値観が広がっていく瞬間が、読書をする中で随一の快感である。
個人に主体があるという概念が近代以降のものだとは思いもよらなかった。社会あるいは集団の中の個人、そして社会または集団を別個のものとして、もしくは実体的なものとして研究しても答えは出ない。認識とはあくまでも社会と個人の相補的なものである。
まさに目から鱗だ。だが同時に、納得感が強い。こうして変化することにより、私自身の自己の同一性が保たれているのだろう。そして、認知不協和状態になると、安定させようと自己を変化させる。それの限界が訪れた時に、自身の変化が難しい時や、折り合いがつかない時──人は精神が参ってしま
Posted by ブクログ
「正義論の正体は神学であり、自由と平等は近代の十戒である」という言葉に本書の立場は明確に示される。
今の世の中に生きていると建前と本音の乖離が大きくなりすぎ、もはや建前が建前として機能していないのではないかとさえ感じることがある。しかし著者の問題意識はより徹底しており、誰もが「〜ということにしてある」と認識する「擬制(建前)」ではなく、その存在や価値を疑わない自由や平等、主体、責任、能力主義といった近代社会を構成する本質的概念の「虚構」性を俎上にあげる。
責任の議論は自由意思の不在からホロコーストのアイヒマン、麻原彰晃の死刑判決にまで及び非常にスリリングであり、学術界からの反論も多かったようだ
Posted by ブクログ
自分以外の他者の存在は、その思考や身体機能と完全には同一化できないという意味で、実はAIと大差がない。また、それは自動運転でもある。
小坂井氏による『人が人を裁くということ』『格差という虚構』を読んだが、人間のバイアスを取り除いて深く考えさせるのが、著者の面白さだと感じている。本書も例外ではない。また本書は注釈にページが多く割かれ、そちらの重量感もあって、読み応えある本だ。
― 内視鏡検査のために全身麻酔をかけられたことがある。目が覚めた時、検査終了を意識すると共に、このまま死んでしまえばよかったという不思議な気持ちが浮かんだ。麻酔から醒めぬまま命が尽きれば、自分の死を知らず、それ以降の幸