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清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏には、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ近くでも人が殺されるような状態だった。そして、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
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Posted by ブクログ
武士としての源氏平氏が顕在化するきっかけとなったのが、939年の平将門の乱だという文言から始まる著書だが、多くの人名が出てきて把握するのが大変だった.最終的に源頼朝が鎌倉幕府を開いたのが、武士政権の頂点だとの指摘だ.ただ、北条家としての平氏が背後に存在しており、平清盛へ政権が移り、彼が出世していくこ...続きを読むとになる という結論だと捉えたつもりだが、解説書としては非常に読みにくい.話の流れが途中で分岐することが多く、何度も前に戻って読み直すことが多々あった.
何故「源平」の二氏が武士の代表になったのか、を平将門の乱から平治の乱に至るまでの各家の盛衰を紹介して論じている。馴染みのない時代のことが詳しく書かれていて、とても面白かった。 満仲以降の歴代源氏の危うさと、そこまで振り切れない平氏(特に直方流)の強かさが印象に残る。 また、平治の乱で主従の縁が切れ...続きを読むたはずの「源氏累代の家人」が敢えて頼朝を担いだ理由に興味が湧いた。 それにしても古代からの武人氏族の娘を血縁に取り込んだ皇族の末裔や藤原氏傍流の荒れ狂い具合がすごい(同時代の北欧を扱う漫画『ヴィンランド・サガ』に描かれる士族たちを連想させる)。平安時代だから、生まれた子供は荒くれ者が屯する母親の実家で育ち、よほどのことがない限り荒くれ者になったのだろう。子供の成長に環境が与える影響がよくわかる。
武士の創設から鎌倉幕府までの歴史についてかなりの推論を交えて述べたもの。 王族子孫からの土着、武士化、受領との抗争などから、将門の乱、秀郷や利仁、藤原保昌などの子孫の話は面白かった。 母方の遺伝で凶暴化するとかは眉唾。 この説では論文にはならないだろう。 著者独自の視点もあちこちに見られて、歴史...続きを読むに詳しい人はニヤニヤしながら楽しめるのではないか。
<目次> 序章 王朝絵巻世界の裏面史~隣り合わせの血と暴力 第1章 三つの謎~源平の突出、消えた名族、強い受領 第2章 源平はいかにして武士の代表格たり得たか 第3章 王臣家・群盗問題の解決と将門の乱 第4章 源氏の飛躍と秀郷流藤原氏の沈淪 第5章 藤原保昌を生んだ血統と政治的環境 第...続きを読む6章 <強い受領>の確立と摂関政治 第7章 源氏の凶暴化を促す藤原保昌一家 第8章 平氏を従える源氏~男系の棟梁と女系の家人 第9章 源氏の支配権の達成と秀郷流・利仁流藤原氏の編成 第10章 「源平」並立体制へ~源氏の内乱と平氏の台頭 第11章 平氏政権の達成と「源平」並立の空洞化 終章 鎌倉幕府という平氏政権~北条家の勝ち残り方 <内容> 平安期の武士を論じ続ける著者。新書への思いもあとがきに書かれている。さて今回は、平安期の源氏と平氏の台頭に対し、藤原秀郷や藤原保昌らの子孫はどうなってしまったのか?という謎と中心に、将門の乱後の平氏、源氏の動き、そこからなぜ源氏が台頭したか、また院政期に平氏が源氏を凌駕した謎を解いていく。ただやや強引な論理が見られるが、論文ではないのでいいかと思う。帯は大河ドラマへの便乗が見られ、やや興ざめ。
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平安王朝と源平武士 ――力と血統でつかみ取る適者生存
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桃崎有一郎
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