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Posted by ブクログ
武士の起源は何だろう?そんな疑問に正面からぶつかっている意欲作です。僕が学生の頃「生産力の向上で富の余剰が蓄積されると、その奪い合いの争いが起こる。その中で地方の富裕な農民、中でも年貢の納入を請け負う名主が荘園の中で成長し、土地や財産を自衛するために一族で武装し、武士になった。彼らは律令国家の諸矛盾の中で草深い田舎に生まれ腐敗した中央の貴族政治を克服して中央社会を切り拓いた」こう習いました。しかし、ここに書いてあることのほぼ全てが嘘だと著者は述べています。その時点で本に引き込まれました。またある学者は「都の衛府から生まれた」と言いますがそれも違うと論じてます。では武士の起源はどこにあるのか。それを紐解くには、時代背景を知らなければならず、時代というのは繋がっているので奈良時代から遡り解説されてます。京都の貴族社会、地方社会様々な角度から検証されてて勉強になりました。推測が多いと批判的なコメントもありましたが、僕は多くの文献を読んだ上での推測なので一定の価値があると思いました。
Posted by ブクログ
9世紀には坂上とか伴といった軍事氏族が活躍するのに、10世紀以降の戦争シーンに登場するのは源平藤原とその一族ばかり。古代日本は軍事国家だったが全て武装解除されて平和な平安時代がやってきました、と考えるのはやはり不自然で、古代と中世の軍事力は繋がっていると見るべきだろう。筆者はその2つを、有閑弓騎、蝦夷俘囚、そして古代軍事氏族をキーワードに繋げていくのだが、その大胆で時に強引な論証はなかなか面白い。
もう一つ、荘園公領制の成立論もなかなか。荘園による土地の囲い込みは平和裏に進んだのではなく京進物資の強奪から始まった、というのはなかなかにリアル感がある。そこに登場するのは虎の威を借る王臣子孫や王臣家人たち。地方統治は空洞化し、群盗の横行を取り締まる役所も機能しない。秩序が危機に陥ったからこそ、地方武力は貴種を旗頭に組織化され、それを中央貴族が活用する時代が幕を開ける。
将門の純友の乱後、中央と結びついた武家貴族が急成長していく。そこを語らずに将門が滝口の武士だった論を論証しようとするのはどうかとも思ったけど、この本はあくまで律令制末期の武士成立論にフォーカスがあり、その後の武士成長論は例えば元木泰雄著『河内源氏』などを読めば良いということなんだろう。
Posted by ブクログ
近年では最高の歴史本、ついに「武士」がいつ、どこで、どうして生まれたのかが判明したのです
武士は889年「物部氏永の乱」勃発を契機に、天皇が我が身の危険に対応する目的で、宇多天皇が890年に「滝口武士」として設置した「朝廷組織外で官職を持たない」弓馬の達者な「武士」と儒学の発想と元正天皇の詔の先例から名付けられた
奈良時代より弓馬の道(日々鍛錬を要する非生産部門)を義務付けられていたが、平安時代より富の集中と格差がもたらす「群盗」の存在が、武勇に堪能する人材を地方に、地方の調停者として「王臣子孫」という存在を核に化学反応により生まれた「武士」、平将門の乱により段違いの武勇を得た兵士は、藤原純友の乱という働き場所をえて「滝口」という場所を得て京都で生まれた
Posted by ブクログ
<目次>
序章 武士の素性がわからない
第1章 武士成立論の手詰まり
第2章 武士と古代日本の弓馬の使い手
第3章 墾田永年私財法と地方の収奪競争
第4章 王臣家の爆発的増加と収奪競争の加速
第5章 群盗問題と天皇権威の転落
第6章 国司と郡司の下剋上
第7章 極大点を迎える地方社会の無政府状態~宇多・醍醐朝
第8章 王臣家子孫を武士化する古代地方豪族~婚姻関係の底力と桎梏
第9章 王臣子孫を武士化する武人輩出氏族~「将種」への品種改良
第10章 武士は統合する権力、仲裁する権力
第11章 武士の誕生と滝口武士~群盗問題が促した「武士」概念の創出
<内容>
かなり挑戦的な本である。武士の活躍は日本史に書かれるが、肝心の武士の起こりがあいまいなままごまかされていると。本書は、平安初期の王臣家の暴走とそこの治安を守り、国司の簒奪を避けたい郡司層、そこで地方で行きたい王臣家の子孫、国司の横暴を避けたい郡司層のつながりを呼び、武士のが生まれたとする。
大筋は従来の説と変わらないが、しっかりと証拠を上げて論破している点が素晴らしい。
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