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Posted by ブクログ
読書術の類の本はいくつも読んできたが、これはその中でもダントツで面白かった。
松岡正剛氏(以降セイゴオ)の人となりも好ましく感じられる。言葉選びや思考から伝わってきて、この一冊で一気に好きになってしまった。
多読する上でのコツだとか考え方だとかを対談の形で解説してくれる。
この質問している人が誰であるかが明かされていないが、質問者の方との掛け合いも楽しい。例えば「この話題に関しては本筋から離れてしまうからこの辺にしておこう」とセイゴオが言っても「いや、詳しく話してください」のように否定したり突っ込んで尋ねたりするからだ。
途中で一度、「われわれ編集者は」と言っているので、編集者ということだが、編集者は基本的に黒子というのが持ち分であるから特定しないのだろうと思う。
本書から学んだ核心、とりわけ面白かったのは編集工学にまつわる部分だった。
これを読むまで、編集工学というキーワードを見聞きしていたものの然程興味をそそられなかったのだが、読書とは自己編集であり相互編集でもあると言い出したところでむむ、興味深いぞ、と思い、その心において編集工学が関わっていた。
読書は、著者と読者との間で行うコミュニケーションだ。その通りだと思う。
そしてコミュニケーションは、単に情報というオブジェクトを伝達しているだけではなく、その情報を介してお互いの編集モデルを相互作用するものである。この概念は全然自分になかったので目から鱗だった。
落合陽一氏が『脱近代宣言』において話していた「自分と自分以外のフィードバックループ」と共通する。
養老孟子氏は『バカの壁』において、インプットした情報(x)に対するアウトプット(y)を「y = ax」と表現した。これでいえば自らの編集モデルこそが個々人が持つaであり、私が持つaと著者の持つa’は異なるが、同じ文化、同じコミュニティにおけるなんらかの共通基盤がa≒a’と相互認識させているのだろう。
この共通基盤を、本書では「理解のコミュニティ」や「意味の市場」という言葉で言い表されている。
この「理解のコミュニティ」においては、相互にa≒a'と思える。コミュニケーションにおいてある程度意味が通じて会話が成り立っていると相互に実感できるが故に、例えば私の思う「赤」と他者が持つ「赤」の認識は同じものを指す、と暗黙的に定義づけられているのだろう。
セイゴオは、コミュニケーションにおいては情報交換というプロセスの中で編集構造の断片になりそうなものを交換していると言う。
その編集構造の断片、即ちaはダイナミックに変容していく。
記憶というのは非常に曖昧なものなので、y=axと聞くとなんだかaは定数のように感じられるが、動的に変化するaはとても定数とは言えない。
その意味でも、aが、xによって日々刻々と変化していく編集構造であると考えるのは納得しやすい。
流石、膨大な読書による膨大な情報を集約・凝縮した末に導き出されたものであるから話の密度が高い。
具体に対する共感は私も同様の作品を読んでいなければしにくいのだが、抽象部分から感じる説得力がとても魅力的で、セイゴオに対する憧れを喚起する。
とはいえ私は読書をそのまま活かせる仕事に就いていないし眠る時間を削ることもできないので真似するのは好手にあらず、あくまで参考として受け取るのがベストなのだと思う。
Posted by ブクログ
サクッと読めていい
年表をかくにしても、ノートをとるにしても、人に推薦してもらうにしても、どれも言えるのは、「リンクを増やしていく」ということだと思う
本をそれぞれのニューロンと思って、ニューロンひとつひとつじゃなくて、大事なのはいくつのニューロンとシナプスがリンクしてるか、ということ
そうしたリンクを強く複雑に意外にしていくと、インターテクストなネットワークの構造ができていく
そこに、「意味」が立ち現れてくる
人と人とのコミュニケーションは、情報でなくて意味をやりとりするものであって、そのネットワーク構造を編集しあってるということ
ってか。
Posted by ブクログ
松岡正剛氏の幼少期や学生時代などの経歴に関する記述と読書方法と選書の仕方、および編集工学について書かれている。私は松岡正剛=千夜千冊の人、程度のイメージしかなかったため、あまり氏の経歴については興味を持てなかった。(氏のファンなら楽しめると思う)読書術や選書についても、いまいちピンとこなかった。(面白いとは感じたが)
著者や本への向き合い方については、賛成だと思う記述が多かったが、逆にそれが印象に残りづらい。本を読むのが好きな人は氏の意見に反対する人は少ないのではないかと感じた。
編集工学については興味を持ったが、この本でわざわざ学ばなくてもいいかなぁという印象。
インタビュー形式で本が進むので肩の力を抜いて読める。
全体的にいいことは言っているのだが、相性が合わなかった。
ただ、読書嫌いの人はこの本を読めば読書に興味を持てるかなと感じた。読書嫌いの高校生や大学生にはお勧めできるかもしれない。
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