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哲学は、「根源的真理」を問うものではない。その最大の目的は、一人ひとりの生き方と社会のあり方をよりよくすることであり、その方法は、プラトンが描くソクラテスにはじまり、フッサールの現象学にて真価を発揮した「対話」である。そうしてお互いが納得しうる「共通了解」をつくりだす哲学の営みは、分断が極まった現代において、人びとをつなぐ大きな可能性を秘めている。渾身の力を込めて、いま哲学の課題、目的、方法を問いなおす。
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Posted by ブクログ
誰にでもわかりやすいコトバで哲学の根本的意味を問いつつ、プラトンやフッサールの思想を通じて、共通了解に向けた哲学対話の具体的手法を提示しつつ分断→共存の社会を目指した画期的な大作。
対話を通じて共感できる点を探し出すことの重要性や、対話が私たち個人や社会に良い影響をもたらす可能性について、具体的な実践方法を紹介しつつ説明する本。 ソクラテス・プラトンの考え方や、フッサールの考え方が前提とされているが、それらについても、簡明な言葉で丁寧に説明されており、とても分かりやすかった。...続きを読む 哲学というと、難しくてとっつき難いものという印象があるけれど、これなら普段の生活(仕事や家庭など)でも役立ちそうだと思えた。
3部から読んだら具体的なワークショップの方法が書いてあった。1,2部について、とくにフッサールの部分はわかりにくかったような気がした。
哲学カフェなどで「勇気」「死」「正義」などのテーマをめぐる哲学対話を実践してきた著者が、プラトンやフッサールの思想を解釈しつつ、対話を通じて公共的な妥当性を形成していくことの哲学的根拠を明らかにする試みです。 著者の議論は、竹田青嗣から継承した独特の現象学理解にもとづいており、「客観的認識について...続きを読むの確信成立の条件」を解明したという点に、フッサール現象学のもっとも大きな意義があったと理解されています。 こうした立場に立ちつつ、著者はフッサールの「本質観取」の方法の有効性についてくわしい説明をおこなっています。著者は、フッサールという一個人がみずからの体験について反省することで取り出された「本質」は、「この私の体験」という事実性を超えた「自我一般」の了解につながっていることに注目することで、現象学の方法は相互の確証や訂正が可能な公共的な議論の次元をもっていることを明らかにすることを試みています。 本書の最後では、「正義」というテーマについて「本質観取」の実践がおこなわれ、公共的な議論によってたがいに対立する見解を乗り越え、対話を通じた正義を実現するための道筋が示されています。 竹田現象学の思想的可能性を測定することができるという意味でも、興味深い内容だったように思います。
哲学は「共通了解」に至るためのものである。哲学カフェ等で言われる「答え」は出さなくて良いと「モヤッ」とするものではなく人と人が解りあうための実学なのだと改めて悟る。 吾輩が数年間考え続けているものに「グラフィックレコーディングやファシリテーショングラフィックがビジネス等における価値を会社経営層に...続きを読むストレートに伝えられるか」がある。 これらに対する一般的な言い方は「絵や図があるとわかりやすい」「感情にうったえかけるから良い」と経営層には納得しにくいもの。昨今「デザイン思考」こそ会社に必要と経営層に向けて発信するというにである。 この本のおかげで何とかこの問いにも答えを出せそうである。ありがたい。答えについてはブログ等でまとめるので期待して欲しい。
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