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聖なるものへの覚醒とはなにか。エロチシズムとはなにか。熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人、バタイユ。ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、「非-知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。現代のヨーロッパはいまだ彼が投げかけた問いの内にあり、そこにまたバタイユの思想を問う意味がある。「死とエロチシズム」の思想家の活動の全貌を新たな視点から明快に解き明かす入門書。
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Posted by ブクログ
西欧を西欧たらしめている思想の根を撃つ思想家バタイユ。マルクス、アウシュビッツなどその論は冴え渡っていた。
職場で出会った哲学専攻の人から教えてもらった入門書。序文が面白い。人文科学系諸科学の学史のなかでも、現代哲学史というのは畢竟現代思想史であり、観念的な次元でものの是非をする人びとの歴史であるために、ディスタンクシオンの遂行される様を観察するのにとくに適した領域なのではないか、と。 ──それにしても...続きを読む。バタイユが人間存在の本質として捉えたものについて想像し共感することはある程度は可能ではある。 けれども──これはニーチェやハイデガーにしてもそうだけど──「ブラックボックス」の内側を分析するというよりは想像し、種々の連想をもってそこに意識を同化していこうとする行為に、個人のトラウマ治療以上の意味を感じない。 人間存在の個人のレイヤー、つまり人間の精神という「ブラックボックス」の成り立ちや働きというのは、いずれ、相当先のことかもしれないけれど、情報工学や分子生物学、神経医学により解明されるべき事項であり、また社会のレイヤーは社会学/文化人類学が解明していく事項であり、いずれにしてもそれらはバシュラールが言うような意味での「科学」のしごとであろうし、私としてはそうあってほしいと思う。
ゆらゆらと揺れているバタイユの思想形態やその思想そのものが、日本人の自然観に合ってるように思える。 脱西洋、しかし西洋的=二項対立という頭になっているため、そういう視点とは違うようだ、少々混乱。 感動は主体から生まれる。確かに。
[ 内容 ] 聖なるものへの覚醒とはなにか。 エロチシズムとはなにか。 熱き情念に突き動かされながら、人間の思考のあり方を問い、その限界の彼方を指し示した人バタイユ。 ヘーゲルを頂点とする西欧文明における理性の体系に対し、彼は「非―知」「好運」を看板に掲げて果敢に戦いを挑みつづけた。 現代のヨーロッ...続きを読むパはいまだ彼が投げかけた問いのなかにあるといえるだろう。 そこにバタイユの思想を問う意味があるのだ。 「死とエロチシズム」の思想家といわれて久しい彼の活動の全貌を新たな視点から明快に解き明かす、若い読者のための入門書。 [ 目次 ] 第1章 信仰と棄教(生涯と作品 ベル・エポックと父親 ほか) 第2章 聖なるものと政治(スペインからシュルレアリスムへ 『ドキュマン』時代の試み―低い唯物論 ほか) 第3章 極限へ(「力への意志」から「好運への意志」へ 「非―知の哲学」 ほか) 第4章 明晰性の時代(冷戦構造と核戦争―政治・経済の問題 文学の至高性 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
眼球譚でバタイユの小説を読み、今度はバタイユその人の人物と思想についての本を繙く。入門…のわりに難しい、と言うのが正直な感想である。哲学や思想なんかは好きだけど、あまりにも知識がつまみ喰い過ぎて、わからない言葉が多かった…。哲学入門とかあったら読んだ方が良いかもしれない。バタイユの浮遊感が好きだ。元...続きを読む々、私自身が浮遊している性質だから、なんとも言えない浮遊感に親近感が。今まで、バタイユ=エロティシズムの印象しかなくて、何か変態なフランス人のおっさん(←失礼/笑)というくらいの認識だったが、それを改めるには十分だった。そして、どうでも良いけどバタイユ氏結構イケメンである。 次は、バタイユの書いたものを再び読もうかな。
入門らしくバタイユ初心者の自身にとっては非常に読解しやすかった。 昔ほどバタイユに興味が持てなくなったのでレビューはまた再熱した頃に。
現代フランスの特異な思想家バタイユを、とくにニーチェ、ヘーゲルと対比させつつ解説している。 バタイユは、理性的なものを引き裂いて非理性的なものが現出する瞬間を重視する。彼の思想は、そうした瞬間に生じる至高的な体験に基づいている。ただしそうした至高的な瞬間は散発的であり、現出すると同時に解消される運...続きを読む命にある。 この点で、バタイユは、ニーチェの「力への意志」を批判する。「力への意志」は、つねにみずからを高めることをめざす「力」(puissance)だ。バタイユが主張する「力」(force)は、それが現出するや否やただちに異議申し立てを受けなければならないような、「弱い」力である。そうした力の現出する一瞬に賭けることを、彼は「幸運への意志」と呼んでいる。 またバタイユは、ヘーゲル=コジェーヴの弁証法的な総合のプロセスから逸脱するような力が存在することに眼を向け、そうした力の現出を、文学や芸術の内に見ようとしていた。 本書は、きわめて明晰な言葉で書かれたバタイユの入門書だ。ただしバタイユに惹かれる読者には、そうした明晰さが必ずしも肯定的に受け入れられないのではないだろうかと、余計な心配をしてしまう。
「大人は、「行動」を第一に重視するから、自分のなかの子供を悪とみなし極力抑圧しておこうとする。子供らしさを発露させたならば、とても「行動」など実現できはしないのだ。そして大切なのは、大人のなかの子供は、発露されると、抑圧されてきた分、子供の無垢な遊びからは想像もつかない恐ろしさを呈するということであ...続きを読むる(220)」…バタイユ難しい。倫理嫌いの自分にはハイデガーとか出てきた時点で頭が硬直する。この倫理恐怖症もなんとか治らないものか。
皆さん、推し作家は居ますか? では、推し翻訳者は? 私は酒井さんのバタイユ翻訳本がなにかと好きです。 なので訳者あとがきも毎回楽しみにしています。 本作はその推しが書いてくれたバタイユ入門! 酒井さんとバタイユ哲学のドラマチックな出会いから始まり、サクッとバタイユの過去経歴・そこから考えられる...続きを読む思想・そして人生の流れと共に変遷していく表現とその作品たち……と順に説明してもらえます。 とても良かった。 とても嬉しい。 本人の著作じゃわからない部分(バタイユと父親の関係とか)がわかるのとても助かる。 哲学者ってどういう生活してどんな活動してるのか、いまいち本読んでるだけだとわかってなかったんですよね。 バタイユさん、私の想定の10倍は活動的で、色んな組織を作って潰れて作って潰れてしている人だということが知れて良かったです。 というかお兄さん居たんだ、ジョルジュ・バタイユ。知らなかった。 自分で作った組織内儀式として人身御供を計画し、自分が生贄に立候補したけど誰も執行しなかったんだ、ジョルジュ・バタイユ……。 面白い男だ……。 第二次世界大戦周りのヨーロッパ情勢の知識が多少必要だなぁと感じましたが、丁寧に説明はされているのでざっくり理解するのには問題ないと思います。 本作のあとがきが酒井さんによる「おすすめのバタイユ翻訳本!」なの、自分の推しを布教するオタク仕草に見えたんですが入門書の慣例としてそういうのがあるんだろうか。 ……(手元の本を確認) 特に慣例ではなさそうだな。 ■最後に 「著者」と「訳者」って違うので、本の内容がものすごく好きでも訳者と解釈違いしていて驚愕、みたいなことが起こりうる。 貴方はどうしてこの解釈でこの訳文になったんだ。 そんな風に思いを馳せるのも海外の作品を読む楽しみです。
五つ星の評価は、 著者の酒井氏への綿密な研究成果に対してです。バタイユ自体には、たいした興味はありません。こわいものみたさの好奇心だけです。バタイユの思想や評論は面白いものがあると思いますが、プラス・マイナス=ゼロと言ったカンジでしょうか。 この書籍の端々に、海外で、マイナーな思想家を研究するこ...続きを読むとの大変さがうかがえます。
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