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首取物語
少年は、空腹に耐えかねて、目の前にいる男の握り飯を奪った。その行為を何度も繰り返していることに気づいたとき、首だけの男に出会う。 男は少年と同じく過去の記憶を無くしていた。侍だったということ以外は。 二人は様々な国へ飛ばされ、少しずつ記憶を取り戻していく。 彼らはなぜ、記憶を無くてしまったのか? 男はなぜ、首だけの姿になってしまっているのか? 第164回直木三十五賞を受賞した著者が、『千年鬼』に続き贈る和風ファンタジー。 第1話 独楽の国 第2話 波鳥の国 第3話 碧青の国 第4話 雪意の国 第5話 消去の国 第6話 和茅国 第7話 波賀里の国 -
幽霊作家と古物商
「ねえ、助け合ってみない? 僕たち。」 死後も小説を書き続ける作家・響は、自分の死因が分からないままこの世に留まっている。孤独な響のことが視えるのは、古道具屋「美蔵堂」の店主・類だけ。どこか謎めいた彼は、霊を引き寄せやすい体質で……。唯一無二の関係になった二人のもとには、今日も怪異が訪れる。曰くつきの青年達がおりなすホラー短編集、第一弾! ====主な登場人物==== 長月響(ながつき・きょう) 作家。自分の死因がわからない幽霊だが、今も執筆の仕事を続けている。 御蔵坂類(みくらざか・るい) 古道具屋「美蔵堂」の店主で、響の友人。霊感があり、響のことが視える。 -
喫茶とまり木で待ち合わせ
ヒューマンドラマの名手・沖田円が贈る最高傑作! 自分の生き方にふと迷ったら、 ささやかな人生たちが交差する「喫茶とまり木」へ 疲れた羽を休めに来ませんか? それは街の片隅にある静かな喫茶店。 決して繁盛しているとは言えないが、毎日、様々な想いを抱えた客が訪れる。 仕事と家庭の両立ができず離婚した後も、母親になれなかった自分に苦悩する30代女性。 男子であることに縛られ、趣味のアクセサリー作りを誰にも話せない高校生。 安定は手に入れたものの、平凡で退屈な生き方から外れることに憧れる20代事務員女子。 そして、ある特殊な依頼によって大切なことに気づかされる便利屋の男……。 それぞれの人生を温かな眼差しで紡ぐ沖田円渾身の連作短編、待望の文庫化!! それは、とめどなく切なく優しく温かい……。 不器用な心を救う――今、あなたに届けたい物語。 【沖田 円さんから読者の皆様へのメッセージ】 どこにでもいる人たちの、どこにでもある物語を書こうと思いました。 自分が人生で体験しないだろうことを味わえるのは読書の醍醐味のひとつだと考えていますが、今作はあえて自分に身近な「そこら辺にいそうな人」たちを物語の主軸に置いてみました。 本作に主人公はたぶんいません。 喫茶とまり木にやって来た5人は、他の物語ならば名前も付かないモブかもしれません。 でも彼らにだって悩みがあり、躓きがあり、人生にちょっとしたドラマだってある。 今作は、そんな人たちのささやかな物語となりました。 皆様のそばにいつの間にかいるような、古い友達みたいな本になればいいなと思っています。 ほんのちょっとだけ明日が来るのが楽しみになりますように。 (作家・沖田 円) 【全国の書店員さんも大絶賛!! 共感と感動の声続々!!】 笑ったり泣いたり、心が温かくなりました。 とびきりハートウォーミングな物語に、元気をいただけました! (紀伊國屋書店 福岡本店・宗岡敦子様) さりげない優しさで、読後、沖田さんの描くピュアな想いに心が浄化されました。 (未来屋書店 大日店・石坂華月様) 人生はほろ苦い。ブラックコーヒーのように。 でも、少し甘いカフェオレのように、この物語はやさしい。 (くまざわ書店 シャポー船橋店・岡田優衣様) -
シンデレラ城の殺人
死刑か逆転無罪か。童話×リーガルミステリ! 怪しい魔法使いにガラスの靴を渡され、言葉巧みに王城で開かれる舞踏会へと誘われたシンデレラ。 お城に到着するやいなや、シンデレラはさっそく王子様の目にとまりダンスを踊る。しかしその後、王子様の死体が発見されたことで華やかな舞踏会の空気は一変。 シンデレラは王城の兵士によって殺人の現行犯として捕まってしまい、臨時法廷で裁かれることに。何もしなければ死刑になる大ピンチを前に、シンデレラは自身の手で無実を証明しようと決意する――。 王子様の死は事故か他殺か、それとも……。西洋童話とリーガルミステリが融合した大傑作、ここに開廷! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『シンデレラ城の殺人』 の文庫版となります。 -
ルームメイトと謎解きを
全寮制男子校である霧森学院の旧寮「あすなろ館」は、昨年起きた“ある事件”のせいでほとんどの生徒が新寮に移ってしまい、今はたった6人の生徒しか入居していない。 そのうちの一人・兎川雛太の部屋に新たな入居者がやってきた。転校生の鷹宮絵愛。頭脳明晰だが動物にしか心を開かない変人だ。 ある日、校内で生徒会長の湖城龍一郎が何者かに殺害される。現場の状況から犯行が可能なのはあすなろ館の住人だけだった――。 -
浅草寺子屋よろず暦
「本屋が選ぶ時代小説大賞」など数々の賞を受賞し、直木賞候補にもなった『高瀬庄左衛門御留書』から3年。スリリングかつ心震える新たな傑作時代小説が誕生。世の中には決して見過ごせないことがある。浅草の寺子屋を舞台に、師弟、親子、兄弟、幼なじみ……明日にむかい、ともに懸命に生きる。人間の縁と心の機微を濃やかに深く描く感動作。大滝信吾は、ゆえあって旗本である兄の紹介で、浅草寺の境内にある正顕院で寺子屋を開いている。源吉や三太、おさよなど大半は町人の子だ。穏やかな春の日、子どもたちと縁側で握り飯をほおばっていたとき、源吉の姉が駆け込んできた――大切な人を守るため、信吾は江戸の闇と真っ向から闘う。浅草の四季を背景に、家族や友人、下町の人情に支えられながら、信吾が天命を見つけ、成長するさまを圧倒的な筆力で描く。 -
23時の喫茶店
バイトに明け暮れ、これからの人生に漠然と不安を抱く美大生の伊織は、ある日特別 な条件を満たす客人のみを迎える「真夜中の喫茶店」の噂を耳にする。まるで興味のな い伊織だが、不思議な巡り合わせでその喫茶店を訪れることに。迎えてくれたのは、人形のように美しく聡明な店主・透子だった。 紅茶専門店だというその店で透子が淹れた一杯と、その紅茶にまつわる話を聞いた伊織は次第に心が解きほぐされ――。 深夜23時。今宵も弱った心を癒す喫茶店の扉が開く。 -
二人一組になってください
卒業式直前に始まったデスゲーム(特別授業) あなたに本当の友達はいる? 誰かと手を繋がないと死ぬ――。 女子高のクラス内カーストが崩壊し、 裏切り、嫉妬、憧れ、真実が手を取り合う。 『みんな蛍を殺したかった』の著者が 青春と友情の極致を描く最高傑作! 【ルール】 ・二人一組になってください。 ・誰とも組むことができなかった者は、失格になります。その回の失格者が確定したら、次の回へと続きます。 ・一度組んだ相手と、再び組むことはできません。 ・残り人数が偶数になった場合、一人が待機となります。 ・特定の生徒が余った場合は、特定の生徒以外全員が失格になります。 ・最後まで残った二人、及び一人の者が、卒業式に出席できます。 ・授業時間は60分です。 《あらすじ》 「このクラスには『いじめ』がありました。それは赦されるべきことではないし、いじめをした人間は死刑になるべきです」 とある女子高の卒業式直前、担任教師による【特別授業(ゲーム)】が始まった。突如開始されたデスゲームに27人全員が半信半疑だったが、余った生徒は左胸のコサージュの仕掛けにより無惨な死を遂げる。 自分が生き残るべき存在だと疑わない一軍、虚実の友情が入り混じる二軍、教室の最下層に生息し発言権のない三軍――。 本当の友情とは? 無自覚の罪によるいじめとは何か? 生き残って卒業できるのは果たして誰か? -
よむよむかたる
本を読み、人生を語る、みんなの大切な時間 この小説は、著者の母が参加していた読書会の風景がきっかけで生まれました。 本を読み、人生を語る。人が生のままの姿になり言葉が溢れだす。そんな幸福な時間をぎゅっと閉じ込めたい、という願いが込められた物語です。 〈あらすじ〉 小樽の古民家カフェ「喫茶シトロン」には今日も老人たちが集まる。月に一度の読書会〈坂の途中で本を読む会〉は今年で20年目を迎える。 店長の安田松生は、28歳。小説の新人賞を受賞し、本を一冊出したが、それ以降は小説を書けないでいる。昨年叔母の美智留から店の運営を引き継いだばかりだ。その「引き継ぎ」の一つに〈坂の途中で本を読む会〉のお世話も含まれる。何しろこの会は最年長92歳、最年少78歳、平均年齢85歳の超高齢読書サークル。それぞれに人の話を聞かないから予定は決まらないし、連絡は一度だけで伝わることもない。持病の一つや二つは当たり前で、毎月集まれていることが奇跡的でもある。安田は店長の責務として世話係だけをするつもりだったが、「小説家」であることを見込まれて、この会の一員となる。 安田は読書会に対しても斜に構えていた。二作目が書けない鬱屈がそうさせていたのかもしれない。しかし、読書会に参加し、自分でも老人たちと「語る」ことで心境に変化が訪れる――。 -
神戸北野メディコ・ペンナ 万年筆のお悩み承ります
「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」。そんな看板を掲げるお店「メディコ・ペンナ」は万年筆の調整を手掛けている。ミニチュアの洋館に似た佇まいをしており、店主は年齢不詳でもしゃもしゃした白髪の男性。物語から飛び出したような浮世離れしたお店には、万年筆の購入や修理のためにいろんなお客がやってくる。それだけではなく、願いや悩みを抱いている人たちも、人生を変えるためにお店を訪れるというが――。 -
くるくるコンパス
中学将棋部の男子三人、カズト、シンヤ、ユーイチは、京都行きの修学旅行について、危険な計画を立てた。それは、転校してしまった部活仲間の佳織に会いに、自由行動時に抜け出して大阪へ行くというもの。恐ろしい体育教師や非協力的な班の女子、迷路のような大阪の街……三人は無事に佳織の家にたどり着いて、戻ってこられるのか? 人生に一度きり、熱くて特別な、長い長い修学旅行。ラストに感動が訪れる爽やかな青春小説! -
アスク・ミー・ホワイ【文春文庫版】
【この電子書籍は、2024年8月刊行の文春文庫版を底本としています。文春文庫版特別付録として「『港颯真』という生き方」を収録しています。】 傷を抱えた二人の男子、感動のラブストーリー アムステルダムの街で恋に破れたヤマトは、出会ってしまった。元俳優の港くんと――。港くんはスキャンダル報道で、芸能界から姿を消していた。過去の傷を抱えながらも、互いの距離は次第に近づいていき……出会うはずのなかった二人が織りなす、切なくも感動的なラブストーリー。巻末に特別付録「『港颯真(みなとそうま)』という生き方」収録。 異国の地で出会ったのは引退したはずの人気俳優だった。彼に新しい世界を見せられた僕は―― 「過去はね、変えられるはずなんだよ。もしかしたら、未来よりずっと簡単に」 『昭和元禄落語心中』『いとしの猫っ毛』の雲田はるこ 描きおろしイラスト満載! 【登場人物】 ●ヤマト……彼女と一緒にアムステルダムに移住したが、浮気され失恋。飲食店で働きながら鬱屈した日々を過ごす ●港颯真……元人気俳優。薬物使用疑惑で芸能界を去る。マッチングアプリでヤマトと出会い、ゲイであると告白 単行本 2020年8月 マガジンハウス刊 文庫版 2024年8月 文春文庫刊 -
〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ
カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった……。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活――を俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外なデビュー作品集。/【目次】悟りを開いたのはいつですか?/邪馬台国はどこですか?/聖徳太子はだれですか?/謀叛の動機はなんですか?/維新が起きたのはなぜですか?/奇蹟はどのようになされたのですか?/*本電子書籍は『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫 新装新版 2024年8月30日初版発行)を底本としています。 -
黒い蜻蛉
『怪談』『知られぬ日本の面影』『日本――一つの試論』。日本人も気づいていなかった日本文化の魅力・価値に気づき、世界に広めた人物、小泉八雲。 自身の生い立ちに由来するコンプレックス、葛藤にもがいていたかつての彼、「ラフカディオ・ハーン」はいかにして「日本人・小泉八雲」となったのか。日本へ渡り、日本人の生き方や文化、そして妻となる女性、小泉セツに出会い、彼の人生はヤゴがトンボとなって飛び立つがごとく変わっていく――。 アイルランド出身の著者が描く、空想と史実が織りなす魂の伝記小説。日本人とは何かという問いを、現代の私たちに投げかけます。 -
大きな玉ねぎの下で
今夜、武道館で。切なく響く約束の物語。 80年代。小田原の高校で放送部に所属する虎太郎は、部長の大樹がFM雑誌の文通コーナーに気まぐれで募集をかけた高校生・今日子との文通の代筆を頼まれる。お互いの写真交換をしてテンションのあがる大樹に、書道二段の虎太郎は断れなかった。まわりで話せない好きなハードロックの話でしだいに盛り上がるふたり。やがて、虎太郎は今日子に好意を抱くようになっていた。 現代。都内の美大に通う美優は、卒論制作に気持ちを傾けることが難しくなっていた。まわりのレベルの高さと自分を比べてしまい、心の支えになっていたはずの恋人の彰も社会人になり、距離を感じる日々が続いていたのだ。そんな美優は、あるラジオ番組に耳を傾け続けていた。 映画『大きな玉ねぎの下で』ストーリー原案者が贈る、もうひとつの約束の物語。 (底本 2024年8月発売作品) -
ナゾトキ・ジパング
留学生探偵vsロス帰りキレモノ美人刑事? 精南大学のキャンパスに夏がやって来る! 日本文化が大好きで洞察力にすぐれた留学生ケビン・マクリーガルと、学業はからっきしながら人望は厚く寮生代表の秀次は、獅子辰寮のルームメイト。六月の末、秀次の幼馴染・理沙の課題につき合って、二人は銀座の刀剣専門店を訪れた。その後、店に居合わせた男の遺体が発見される。遺体のポケットには、ケビンの名前の書かれたハンカチが入っていた──!! 何かと事件に巻き込まれてしまうケビンと秀次の前には、警視庁捜査一課の田中撫子が部下の浦辺とともに現れる。「ロサンゼル帰りのキレモノ美人刑事」を自称しているが、アメリカ仕込みのウィットに富んだトークは常に空回り。推理についてもケビンのほうが一枚上手で、現場ではあたかも自分が考えたかのように、ケビンの推理を披露する。海パン一丁で阿波踊りを踊ったり、妖怪のコスプレをしたり、獅子辰寮の個性的なメンバーも大活躍!? KATANA! SUSHI! HANABI! KWAIDAN! KAMAKURA! 日本の名所名物をめぐって起こる数々の事件の謎を解く、絶好調シリーズ第2弾! -
忘れものは絵本の中に
切ない夜は、ここへおいで――。 疲れた大人を癒す、不思議な「絵本バー」へ。 懐かしい絵本の中に隠された 《真実と愛》を探す旅に出る。 落涙必至、珠玉の物語! 繁華街の片隅に、「絵本Bar クレヨン」はある。 亡くなった祖父が託したという本を求め、青柳由良は店へ通うことに。 バーの客は過去に大切なものを置き忘れた大人ばかり。 飼い猫との思い出に浸る男、実母と確執のあるOL、息子に過干渉な母親、妻の介護に追われた夫……。 切ない別れも伝えられなかった言葉も、そして明日を目指す勇気も、 すべては、あの「絵本」の中にある。 名作絵本を手に、彼らは今日も、自らの心の迷宮に足を踏み入れる――。 これは「本当の自分」を取り戻す、「迷える大人」のための物語。 最高に心温まる、奇跡の感動作!! ラスト、あなたはきっと涙する!! -
いつか月夜
「寺地さんの作品の中で、一番好きです」原田ひ香さん ぼくたちは、夜を歩く。眠れない夜に。不安な夜に。静かで、藍色で、心細い。でも歩かずにはいられない。そんな夜に。 「一緒に歩かない?」 会社員の實成は、父を亡くした後、得体のしれない不安(「モヤヤン」と呼んでいる)にとり憑かれるようになった。特に夜に来るそいつを遠ざけるため、とにかくなにも考えずに、ひたすら夜道を歩く。そんなある日、会社の同僚・塩田さんが女性を連れて歩いているのに出くわした。中学生くらいみえるその連れの女性は、塩田さんの娘ではないという……。やがて、何故か増えてくる「深夜の散歩」メンバー。元カノ・伊吹さん、伊吹さんの住むマンションの管理人・松江さん。皆、それぞれ日常に問題を抱えながら、譲れないもののため、歩き続ける。いつも月夜、ではないけれど。 -
お前の死因にとびきりの恐怖を
「██高校三十一回生、出席番号二十三番。私は、怪異に、宣戦布告します」 今までの怪談小説をくつがえす、新感覚のホラーモキュメンタリー 文芸部の片隅で見つかったUSBメモリ。 それは、ひとりの男子学生の「死」に関する情報を集めた不気味なものだった。 その男子学生の死因は「自殺」。 ただ、発見現場には数々の不可解なものが残されていた。 睡眠薬の錠剤とともに床に散乱している、びりびりに破かれたおふだらしき何か。口内に絡みついた彼自身の髪の毛。それらの痕跡は、まるで恐怖に苦しんだ結果、超自然的な儀式に手を染めたかのようで─── 文芸部で発見されたUSBメモリ、新聞部の校内記事、合唱部の変遷レポート…etc. 筆者がある高校から収集した、一見無関係な情報から浮き上がる”真実”とは。 ――これは青すぎるほど青い、とある「なけなしの救い」の物語。 【目次】 一章「REPLAY」 二章「REWRITE」 三章「REPLACE」 四章「RELOAD」 五章「REVIEW」 六章「RELIVE」 七章「REPRAY」 -
それでも世界は回っている 2
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ロングセラー『月とコーヒー』に連なる 〈インク三部作〉待望の第二弾! ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ 「奇妙な惑星」博物館の保管室に 勤務する十四歳のオリオ。 師匠のベルダさんと二人、 世の中のあらゆるものを記録し保管すべく 作業に勤しんでいた。 そんなある日、ベルダさんが死んだ。 自殺か、病気か、事件か。 原因がわからぬまま、 オリオは保管室の責任者を 引き継ぐことになる。 ところが――。 ベルダさんが記録に使用していた 万年筆のインク、 〈六番目のブルー〉の在庫がない。 あれなくして記録作業はできない。 旅するギタリスト、ジャン叔父さんとともに 幻のインクを求める旅に出るオリオ。 ところが、行く先々で奇妙な人たちに出会い、 インク探しは前途多難。 行方を探るうち、インクの秘密は ある奇妙な「唄」に 隠されているとわかるが……。 -
地面師たち ファイナル・ベッツ
シンガポールのカジノで元Jリーガーの稲田は全財産を失い失意のどん底にいた。一部始終を見ていた大物地面師・ハリソン山中は、詐欺メンバーの一員として稲田に仕事を依頼する。日本に戻り、ディベロッパーの宏彰、支援者の菅原と共に準備に入るが、予定していた苫小牧のプランが突然白紙となり、代案として北極海航路開通を見込んだ釧路へ変更を余儀なくされる。しかし、成功すれば200億円超えの大金が見込まれる前代未聞の大仕事。ハリソン山中が狙いをつけたターゲットは、シンガポールの大手不動産ディベロッパーの御曹司・ケビン。在留メンバーの一人、マヤによる色仕掛けの罠に嵌ったケビンは、逡巡しつつも、日本人の親友・リュウの後押しもあり、釧路の用地購入に乗り出す。一方、警視庁捜査二課のサクラは、不動産詐欺の捜査過程で地面師一味の関与を疑い、ハリソン山中が趣味の狩猟で頻繁に北海道を訪れていたとの情報を得て渡道するのだが――。 前作『地面師たち』がNetflixにてドラマ化! 2024年7月25日(木)より世界独占配信スタート。 -
遺跡発掘師は笑わない マルロの刀剣
愛知県名古屋の繁華街大須にある寺院で、天才発掘師・西原無量たちは謎の陶製の巨大な筒を発見する。 名古屋大空襲時の不発弾の可能性があり、現場は一時騒然とするも、調査の結果、陶管の中身は刀剣であることが判明する。 胸をなで下ろしつつも、その刀剣に首をかしげる無量たちだったが、その後しばらくして陶管の所有権を主張する「板垣辰五郎」なる人物から連絡が入る。 不審な男の主張に疑念を深める無量たち。そこへ「板垣少佐は所有者じゃない。嘘をついている」と告げる別人からの電話が舞い込んだ。 謎の陶管とそれをめぐる人々に違和感を抱いた無量たちは、名古屋で出会った作業員の韓国人・ソンジュと陶管の調査をすることに。 しかし、そんな矢先、陶管を保管している作業所に、陶管を持ち去ろうと試みる侵入者が現れる。 出くわした作業員を見て侵入者は逃げ出し、陶管は無事であったが、目撃者によると侵入者は軍服を着ており、逃げ出すと煙のように消えてしまったというのだ。 謎の刀剣とそれを追う亡霊、そしてそれを狙う者たちの影。 いったいこの陶管に封印された刀剣に、何があるというのか――。 大人気発掘ミステリシリーズ第19弾は愛知編! -
バリ山行
第171回芥川賞受賞作。 古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。 「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋) 会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。 -
乱れからくり
玩具会社部長の馬割朋浩から、妻・真棹の素行調査を依頼された調査会社社長・宇内舞子は、新米助手の勝敏夫と共に夫妻の乗った車を尾行する。ところが、その車を隕石が直撃するという奇禍で、朋浩は命を落とす。この事件が幕開けを告げたかのように、馬割家で不可解な死が連続し、舞子と敏夫は、幕末期まで遡る一族が抱える謎と、「ねじ屋敷」と呼ばれる同家の庭に造られた、五角形の巨大な迷路に隠された秘密に挑むことになる。絢爛巧緻な犯罪絵巻であり、本格ミステリの醍醐味に満ちた、第31回日本推理作家協会賞受賞作にして、不朽の名作!/解説=阿津川辰海 -
とらすの子
「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったです。特にマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いて抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その人は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます──錯乱する少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様と出会うことで想像を絶する奈落へと突き落とされる──。/解説=織守きょうや -
ミシンと金魚
「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」――ある日、ヘルパーのみっちゃんからそう聞かれた“あたし”は、絡まりあう記憶の中から、その来し方を語り始める。母が自分を産んですぐに死んだこと、継母から薪で殴られ続けたこと、犬の大ちゃんが親代わりだったこと、亭主が子どもを置いて蒸発したこと。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続ける“あたし”の腹が膨らみだして……。この世に生まれ落ちて、いつの日か死を迎え、この世を去る。誰もが辿るその道を、圧倒的な才能で描き出す! 著者デビュー作にして第45回すばる文学賞受賞作!! -
水たまりで息をする
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実(いつみ)。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。そして川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが……。女性が主体として生きていくことの難しさを描いた物語。 -
ボーンヤードは語らない
U国A州の空軍基地にある『飛行機の墓場(ボーンヤード)』で、兵士の変死体が発見された。謎めいた死の状況、浮かび上がる軍用機部品の横流し疑惑。空軍少佐のジョンは、士官候補生時代のある心残りから、フラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣へ非公式に事件解決への協力を請う。実は引き受けたマリアたちにも、過去に対峙した事件への苦い後悔があった。高校生の漣が遭遇した雪密室の殺人。ハイスクール時代のマリアが挑んだ、雨の夜の墜落事件の謎。そしてバディを組んだ二人が初めて捜査した、緊急通報があった家庭での悲劇の真相は? シリーズ初短編集。/【目次】ボーンヤードは語らない/赤鉛筆は要らない/レッドデビルは知らない/スケープシープは笑わない/解説=香山二三郎 -
短篇七芒星
ろくでもない人間がいる。 お前である。 SNSで「書き出しがすごい!」とバズった(46万いいね)本! これが、舞城王太郎の小説だ。言葉だ。 ろくでもない人間がいる。お前である。 くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。 何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。(「代替」冒頭より) <収録作>奏雨/狙撃/落下/雷撃/代替/春嵐/縁起(全七篇) 「ろくでもない人間がいる。お前である」 「積乱雲と呼ばれる女の子がいて」 「私のうちの犬はストーム。本当はヒョードル・ミハイロビッチって名前」 ――直截的で幻惑的かつ挑戦的な書き出しで始まるそれぞれの小説世界が描き出すのは、現実と異界に彷徨う命と魂の真実の物語。 作家・舞城王太郎の真骨頂が宿る七短篇。 -
〈竜泉家の一族〉シリーズ
マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先 -
恋と誤解された夕焼け
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 《だから空がとても赤く燃えている。ぼくは愛されたい。》――今、ここにいる私たちの魂の秘密は、詩のコトバによってしか解き明かすことができない。《どこからなら、きみを連れ去る神様の手のひらがやってきても平気か、教えて。水平線か、地平線?》生命と世界の光と影をあますところなく照らし出す決定的な43篇。 ※このコンテンツは固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 -
今日も明日も負け犬。
いつだって、人生の負け組だった。 それでも、 今日、食べた朝ご飯。 今日、歩いた道。 今日、聞いた音楽。 今日、話した友達。 奇跡は少しずつ転がっている。 「病気を抱えながら生きてきた私の過去をいつか映画にしたい。小田、映画の原作になる本を書いてよ」。 この西山の言葉から全ては始まった。 新型コロナによる3ヶ月の休校期間を使って、私は西山の16年間の人生を書き上げた。 「今日も明日も負け犬。」というタイトルをつけて、ネットで100冊自費出版した。 高校生たちによる自主製作映画は西山により監督され、eiga worldcup 2021最優秀作品賞を受賞した。 「小田、本書いてよ」の一言で始まったこの物語は、商業出版という形で新たなスタートを切ろうとしている。 ――小田実里 起立性調節障害という病を抱え、学校に行けなくなった中学生の実話に基づく感動の物語。 16歳で書いた鮮烈なデビュー作。 -
鯖猫長屋ふしぎ草紙
長屋で一番えらいのは猫!? だとすると、長屋で起こる奇怪な事件を解決するのは、いったい……。江戸の根津宮永町にある「鯖猫長屋」は、鯖縞模様の三毛猫が一番いばっている長屋なので、そう呼ばれている。サバという名の、長屋を“仕切る”不思議な美猫(いろおとこ)は、炊きたての白飯しか食べない超わがままもの。そんな長屋に、わけありの美女や怪しげな浪人者が越してくる。次々に起こる不可解な事件に、途方に暮れる長屋の面々。そこに「成田屋」の異名をとるイケメン同心も登場。サバの飼い主である猫専門の売れない画描き・拾楽が、事件を解決しようとするのだが――。解説の時代劇評論家・ペリー荻野氏も、続編とドラマ化を切望! 心がほっこりあたたまる、大江戸謎解き人情ばなし。丹地陽子さんがカバーに描いたサバの凛々しい姿に、一目ぼれすること間違いなしの、猫小説です! -
毎日世界が生きづらい
できないことを、数えないで。 どうやって生きていいのか分からない。 自分を責め続ける、小説家志望の私。 夢を抱いた仕事に躓く、会社員の夫。 そして、インコのピピ。 心理サスペンス『誰かが見ている』でメフィスト賞を受賞した著者が挑む新境地。 小さな家族の幸せをめぐる物語。 ――美景はうまいことやったよなー。 旦那に稼ぎがあるから、なんの心配もないだろ? パートでお小遣い稼いでたらいいんだし。(略) 傍から見れば、なんの悩みもなく、苦労もなく、ぼんやりと生きているように映るのだろう。(略) うまくいかない自分を責める妻の気持ちを、想像することもできないのだろう。――本文より 美景と雄大は結婚して十年。 ある日、妻の書斎に入った夫は何か様子が違っていることに気づく。 ままならない毎日をどのように生きてきたかを語り出す二人。 小説家になる夢を叶えたかった美景。 夢を抱いた仕事に躓く雄大。 二人をつなぐインコのピピ。 メフィスト賞作家の新境地となる、小さな家族の幸せを探す物語。 -
おもみいたします
「我慢しなくていいんですよ」 天才的揉み師のお梅が、 あなたの身体と心の闇まで ほぐします。 申し込めば半年待ち。 評判のお梅の揉み治療だが、 一刻の猶予もない患者が現れた! 揉んだ人々の身体は、 全てこの指が覚えている。 身体に触れさえすれば、 いつどこで揉んだあの人だと 言い当てられる。 人に揉み治療を施すのが、お梅の生業。 ■あらすじ■ 頭風に苦しむお清を訪ねたお梅は ギリギリのところまできていると 感じ取る。 揉みはじめると、 お清の身体に潜む「淀み」を感じ――。 彼女を悩ませるその原因とは? ■主な登場人物■ ・お梅 五歳の時に光を失い、 人に揉みを施すことを 生業としている十七歳。 ・お筆 豆大福が評判の 紅葉屋を出している。 依頼を受け、お梅に取り次ぐ。 ・お昌 祖母のお筆と暮らし、 お梅の仕事の段取りを担う。 ・十丸 お梅の用心棒。 人には白い大きな犬にみえる。 -
燕は戻ってこない
北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳・独身女性のリキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニックの日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられる。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説! -
我が友、スミス
「別の生き物になりたい」――筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった…。鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。彼女が決勝の舞台で取った行動とは? 世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作! -
剣持麗子のワンナイト推理
シリーズ累計100万部突破 『このミステリーがすごい!』大賞受賞作&連続ドラマ化 『元彼の遺言状』のヒロイン再び 法律相談から殺人事件まで――弁護士・剣持麗子は 今夜も徹夜で街の事件の謎を解く! (あらすじ) 亡くなった町弁のクライアントを引き継ぐことになってしまった剣持麗子。都内の大手法律事務所で忙しく働くかたわら、業務の合間に一般民事の相談にも乗る羽目になり……。本名も住所も明かさず「武田信玄」と名乗る男に犯罪現場に呼び出されたり、認知症を患っているらしいおばあさんを家まで送ったら首つり死体を発見したり、深夜に次々と舞い込む難題を麗子は朝までに解決できるのか!? (著者プロフィール) 新川帆立 1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『倒産続きの彼女』(以上、宝島社)、『競争の番人』(講談社)、『先祖探偵』(角川春樹事務所)、『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』(集英社)など。 -
あやふやで、不確かな
考えていることなんて伝わらないし、言葉はあいまいだ。 だから私たちは、伝える努力をしなくちゃいけない。 瑞々しい感性が光る、恋愛連作短編。 どこにでもいる普通の女の子、冴。冴からの愛を信じられなくなった伸。友人が恋人と別れたことをきっかけに、自分が恋人のことを愛しているかわからなくなった成輝。逆に、恋人との絆を強くした智世。冴のことが嫌いだけど好きで忘れられない真澄――。4組それぞれが抱える恋心を丁寧に描く。 〈宮田愛萌さんコメント〉 宮田愛萌です。この度『あやふやで、不確かな』を出版させていただくことになりました。私はいつも、他者とのコミュニケーションとは難しいものだと思っています。自分以外の人間と完全にわかりあうことなんて不可能であるのに、わかり合えたらと願ってしまう。そういう矛盾がなんかいいな、と思ってこのお話を書きました。 書き終えた今でも、私は登場人物たちとはわかり合えそうにありませんし、書いている時も喧嘩ばかりでしたが、それでも良い関係が作れたのではないかと思っています。 冴たちの物語を、たくさんの方に受け取っていただけたら嬉しいです。 よろしくお願いします。 -
嘘つき姫
戦争の中で嘘が姉妹を繋ぐ「嘘つき姫」、電気椅子ショーに挑む魔女と技師「ニューヨークの魔女」ほか、書き下ろし2篇を含む全9篇。小説が待ち焦がれた才能、正真正銘「待望」の初作品集。 この本は、まるで鍵束だ。一つ読むたびに何かが解き放たれ、そして迷宮への扉が開く。 ――岸本佐知子氏(翻訳家) 過去未来大小遠近あらゆる世界を鮮やかに的確に語りながら精緻な余白を残し、読者にその余白をこそ玩味させる。手練れの技だと思う。 ――小山田浩子氏(作家) この想像力が世界の有り様を拡張する。少し広くなった世界で、感情が、愛が息づく。 ――斜線堂有紀氏(作家) ◎装幀=名和田耕平デザイン事務所(名和田耕平+小原果穂) ◎装画=はむメロン -
極楽に至る忌門
四国の山奥にある小さな村。そこには奇妙な仏像があり、大切に祀られていた。帰省する友人・匠に付き添い、東京から村を訪れた隼人は、村人たちの冷たい空気に違和感を抱く。優しく出迎えてくれた匠の祖母の心づくしの料理が並ぶなごやかな夕食の最中、「仏を近づけた」という祖母の言葉を聞いた瞬間、匠は顔色を変える。その夜、匠は失踪し、隼人は立て続けに奇妙なことに巻き込まれていくが――。東京での就職を機に村を出て、親族の死をきっかけに戻ってきた女性が知った戦慄の真実。夏休みに祖父の家にやってきた少年が遭遇した恐るべき怪異。昭和、平成、令和と3つの時代の連作中篇を通して、最強の拝み屋・物部斉清ですら止められなかった、恐ろしい土地の因縁と意外な怪異の正体が浮き彫りになっていく……。ホラー文庫30周年記念、書き下ろし作品。 -
裁判官 三淵嘉子の生涯
2024年ドラマ主人公のモデル「三淵嘉子」。 日本史上、女性で初めて法曹の世界に飛び込んだ 彼女の人生を綴った長編小説。 嘉子は、明治大学専門部女子部で学び、日本初の女性弁護士の一人となる。 世間からも注目をされていたが、戦争に突入する時代に弁護士となった嘉子は、 活躍の場を得られないまま終戦を迎える。 戦争で全てを失った彼女に残されたのは、かつて学んだ法律の知識だけだった。 多くの困難を乗り越え、念願の裁判官に就任した嘉子と彼女を慕う仲間たちは、 苦境から抜け出せない人々を救うために、政治の力だけでは解決できない 問題に向き合っていく。 -
花屋さんが言うことには
24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。 やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていくが――。 -
老虎残夢
「館」×「孤島」×「特殊設定」×「百合」! 孤絶した楼閣=密室で起きた「絶対不可能殺人」 最侠のヒロインは、最愛の師の「死の謎」を解くことができるのか!? 選考委員絶賛! 第67回江戸川乱歩賞受賞作 綾辻行人「論理的に真相を解き明かしていくスタンスにはブレがなく、スリリングな謎解きの演出も◎」 京極夏彦「南宋の密室という蠱惑。武侠小説としての外連。特殊設定ミステリという挑戦。愉しい」 湖に浮かぶ孤島で、武術の達人・泰隆が遺体となって発見された。三人の武侠を招き、うち一人に「奥義」を授けるとしていた矢先のことだった。孤絶した楼閣は、特殊な武芸を身につけた彼らをもってしても侵入は不可能にみえる。泰隆の愛弟子・紫苑は、姉妹以上の絆で結ばれた恋華とともに、その謎に挑む! -
猫は抱くもの
夜に開かれる猫たちの集会。沙織と朝まで一緒にいたい良男、ゴッホに自分を描いてほしかったキイロ、名前にあこがれる三毛の子猫らが集まり何を話し合っているのか覗いてみるとーー。つまらなく見えて大切なもの、自由としがらみ、生き方を選ぶということ。猫と人の幸せを巡る、せつなく温かい連作短編集。 不幸ではないけれど、 ちょっと寂しかったんだ。 累計50万部突破「猫弁」シリーズの著者が描く、猫と人間の”つながり“の物語 【もくじ】 はじめに 第一話 良男と沙織 第二話 キイロとゴッホ 第三話 哲学者 第四話 それぞれのクリスマス 第五話 ルノワール 文庫版あとがき 崖下の猫 -
中野のお父さんと五つの謎
あの文豪の、こんな謎も、お父さんが解決! 高校国語教師の父と体育会系文芸編集者の娘の“名探偵コンビ”が、 本や小説に潜む「謎」に挑む人気シリーズ第4弾。 「日常の謎」の名手であり〈本の達人〉による5編。 【収録作品】 ●漱石と月 英国留学中の漱石が〈I love you〉を〈月が綺麗ですね〉と翻訳したのは 根拠のない都市伝説のようなもの。だがそのエピソードは独り歩きして、 多くの作品に影響を与えている。 いったいどうして、〈I love you〉と〈漱石〉が〈月〉に繋がるのか……。 ●清張と手おくれ 『点と線』といえば大ベストセラーにしてロングセラー、 松本清張の代表作のひとつだが、 本格ミステリファンからは「失敗作」だと評判が悪い。 『点と線』にまつわる知られざるエピソードとは? ●「白波看板」と語り 鬼平シリーズ前に初めて長谷川平蔵が登場したのは短編「白波看板」。 この作品はかつて、三遊亭圓生が人情噺として口演していたという。 そこに見られる言葉の“改変”。 これは作家によるものか、あるいは噺家の独断か……。 ●煙草入れと万葉集 若き日の圓生の間違いを指摘した久保田万太郎。 その間違いとは、“十二煙草入れ”についてだった。 どうやらその昔、“十二煙草入れ”というものがあったようだ。 しかしいったい、十二煙草入れとはどういうものなのか? ●芥川と最初の本 敬愛する漱石の本に使われていた書家を、自身の初めての本『羅生門』にも 起用したいと考えていた芥川龍之介。 その思いが強く表れた装丁はどういうものだったのか。 -
死人の口入れ屋
ある事情から仕事を辞めた久瀬宗子は、お世話になった人の紹介で『古物商 阿弥陀堂』に面接を受けに来た。 しかし、阿弥陀堂はただの骨董品屋ではなく、幽霊がとりついた曰くの品である【忌物】を貸し出しているという――。 人には言えないような怨みや憎しみを持つ客たちが、幽霊の力を借りに来る。その先にとんでもない結末が待ち受けているとは何も知らずに……! 『ナキメサマ』『贋物霊媒師』で話題の著者がおくる、どんでん返し×ホラーミステリ―連作短編集! -
双蛇シリーズ
草原の民アルタナの娘、シリンとナフィーサ。異母姉妹ながら共に育ち、容姿も双子のように瓜二つの二人。ある日、族長である父は姉妹を本当の双子に仕立て上げ、南方の大国・濫に輿入れさせることを告げる。濫国は双子信仰が盛んであり、折しも現在の皇帝も双子だった。長い旅の末、濫国の王城にたどり着いた偽りの双子姫。シリンは弟帝の暁慶の後宮に迎え入れられ、「杏妃」なる名を与えられたが、初夜の床で「未来永劫、お前を抱くつもりはない」と言い放たれる。花嫁衣装も、名前も、全てを奪われ、体を繋がぬまま濫の妃となったシリンの運命は、やがて濫国とアルタナを巡る、大いなる時代の奔流に呑み込まれていく――。歴史に翻弄される人々を、壮大なスケールで描くデビュー作! -
アンブレイカブル
1925年に成立した治安維持法。歴史の闇の中であっても輝きを放つ、「敗れざる者たち」の矜恃とは――? 『蟹工船』の取材と執筆に熱中するプロレタリア文学の旗手・小林多喜二。 反社会的、非国民的思想犯として特高に監視される反戦川柳作家・鶴彬(つる・あきら)。 同業他社の知人たちに不可思議な失踪が続き、怯える編集者・和田喜太郎。 不遇にありながら、天才的な論考を発表し続ける、稀代の哲学者・三木清。 己の信念を貫く男たちを、クロサキと名乗る内務省の男が追い詰めてゆく。 彼らはなぜ罪なく裁かれたのか? 累計130万部突破「ジョーカー・ゲーム」シリーズの著者が令和の世に問う、もう一つの傑作スパイ・ミステリ! -
1(ONE)
大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とDMでやり取りするようになるが、同じ頃、玲奈の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。
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