おもしろかった!!!!個人的に敬愛している杉原千畝さん、そしていつか触れてみたいと思っていた江戸川乱歩さんのコラボ、これは読むしかない!と思い、読んでみたら大ヒット!!!2025ベストブックかも?
古典はあまりなかなか手が伸びず、勝手に苦手意識持ってたけど、好きな作品に出てきたことで読んでみたいと思えた!史実的なことは参考文献がなかったからわからないけど、夢のコラボが自然に実現していて、2人の活躍やその裏の苦悩などが多様な登場人物と共に描かれていて、読み応えがものすごかった!!出会えてよかった!文庫が出たら必ず買います!
p.250
「男にとって、仕事とはなんだろうね」ため息をつくように、夫は言った。
「がむしゃらにやってやりたい仕事ができたと思ったら期待通りのものではなかった。それでも周りは出世したともてはやす。・・・・・人から見た幸せと、自分の中で納得いく姿が正離していく。
今になってようやく、あのときの平井さんの気持ちがわかった気がするよ」やっぱり、そうだったのだ。
外交官として、自分のロシア語が生かせない場所で出世することに対するもどかしさ。今までごまかしていた心情を、ついに夫は、幸子に吐き出した。
幸子の中にわきあがってきたのは、慰めたいという気持ちでも、労りたいという気持ちでもない。
いらだ
苛立ちである。
ぜいたく
「贅沢よ」
「え?」
横で夫は瞬きをする。幸子は布団の上に手をつき、半身を起こした。
「女学校に通っていたとき、「もし男に生まれていたら」ってずっと思っていたわ。男に生まれていたら、就職口の選択肢だってあっただろうし、小説を出版できる機会だって広がっていただろうって。でも先生は、裁縫と料理と言葉遣いだけを覚えたら、あとの勉強は男の人と話を合わせられるくらいの教養でいいなんて言うのよ」
あのときの悔しかった気持ち。だが今、心の中を占拠している悔しさはそれより一回り大きい。
「あなたが荷物に入れた「江戸川乱歩全集」、読んだのよ。鬱屈した、独りよがりな、気持ちの悪い心情描写。やっぱりまったく好きになれなかった。でも同時に、これを書いた人は小説家にしかなれなかっただろうな、って思ったわ。もし男に生まれていたとしても、私には到底たどり着けなかった境地。そう、私は小説家にはなれなかった」「何を言い出すんだ。平井さんに嫉妬しているのか?」
「あなたにもよ」
h 以的
興奮しつつ、夫の顔を指さす。
出まり
「私がドイツ語やフランス語を学ぶのにどれだけ苦労しているか知っているでしょう?それをあなたはやすやすと操るばかりか、英語もロシア語もペラペラで、いつのまにか私のダンスの先生と談笑できるほどフィンランド語もマスターしているじゃないですか」
「それはまあ・・・・語学は得意だから」
「あなた方には才能がある。そして、才能を生かせるステージに立っている。それなのに、ちょつと自分の納得いかない仕事だからっていじけてみせたりして。贅沢なのよ、江戸川乱歩も、杉原千畝も!」
「落ち着いてくれ、幸子」
「才能はあなたたち固有の財産よ。それを磨いてきたのもあなたたちの努力。でも、ステージに立っているのは、多くの人が応援して、支えてきてくれたからでしょう?」夫が息をのむのがわかった。
「その人たちに応えなさい。仕事というのは、そういうものでしょう?」そのとき、ドアが開いた。
「なになに、喧嘩してるの?」
節子が顔を覗かせた。弘樹がその横で目をこすっている。
探偵の三つの極意
・粘り強く、忍耐を忘れぬこと
・あらゆる階層から情報を求めること
・けして親しい友人など持たぬこと
Goodbye New York
『D坂の殺人事件』
『心理試験』
『ビッグ・ボウの殺人』
『本陣殺人事件』
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松本清張(森鴎外の記録)