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家庭での介護疲れによる虐待や無理心中、殺人、施設の中での同様の事件や事故、自殺ほう助や安楽死の問題は年々増えてきているように感じます。
介護する側、される側共に、どうにも身動きの取れない状況があり、福祉サービスで改善されれば幸運ですが、現実はそうではないようです。
また日本では安楽死や尊厳死に対する理解も低いままです。
この作品では介護士Kが果たして事件の中心人物なのかどうか、最後まで微妙な立ち位置にいましたが、あとがきで著者が「罪と罰」のラスコーリニコフを意識して執筆したと書いているのを読んで納得しました。
中学時代、読書感想文を書いたものですが、社会に出る以前の、人生経験皆無の、底が浅く甘い道徳観をふりかざした記憶があります。
死だけが救いの人に直面した時、何ができるのか……
答えは曖昧なままです。
Posted by ブクログ
久坂部羊『介護士K』角川文庫。
介護施設を舞台にしたミステリー・サスペンス。2014年に川崎の老人ホームで実際に起きた事件に着想を得ているようだ。
介護という厳しい職場の闇と行き過ぎるマスコミの報道。老いて、身体が思うように動かなくなり、他人の手を煩わせてまで生きることに意味はあるのか。
タイトルの『介護士K』とは主人公の小柳恭平のことであり、彼が働く介護施設『アミカル蒲田』で起きた入居者の転落死亡事故に彼が関与したのかということが物語の根幹を成している。なかなか真実は明らかにならぬままにストーリーは二転三転し、第2、第3の死亡事故が起きる。果たして恭平は……
本体価格720円
★★★★★
Posted by ブクログ
介護士 小柳恭平の周りで起こる介護に纏わる様々な問題を炙り出していく物語だが、特徴的な登場人物が話を彩っていると感じた.レポーターの朝倉美和、黒原悟郎医師、週刊誌の松沢俊紀記者、良からぬことを計画している須知智毅、姉の真里亜と接触の合った塚本秀典などなど.恭平の働く施設で3人が連続して死亡する事件を舞台に、介護士たちの実態や施設管理者の動きが克明に描写されており楽しめた.老人たちの存在自体を自分自身で問いかける恭平の複雑な思いが随所に現れており、問題の複雑さを実感した.恭平の言動が揺れ動くのもある程度理解できると思った.このような事態を解消する打開策は簡単には見出せないと思うが、傍観することもできないと感じた.
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