みなとさんのレビュー一覧
レビュアー
-
購入済み
この緻密で酷薄で、これほどに情熱的な物語を、1800年代というだいぶ前の、田舎に住む、おそらくは人生経験も限られた二十代の女性が完成させたとはとても信じられません。
まさに唯一無二と言ってよいでしょう。
そしてこの激しい作品を完成させた女性は、人生に挫折し若くして逝去した実兄の後を追うように、三十歳で亡くなりました。常に毅然とし、作品へのどのような評価も聞き流していたといいます。
天国の眠りとしての成就でなく、迷える魂となって再び荒野を駆け巡りたい。
そう断言した著者を、心から敬服します。
翻訳者も、心底疲れたとあとがきに書いていましたが、著者の強くどこまでも深い魂に触れた、本当によい翻 -
-
購入済み
温かさと悲しみの入り雑じったラストがとても切なかったです。
年齢を重ねるにつれ、作風も変化しているのでしょうか。キングってこんなに優しさに溢れた人だったんだと感じる事、しばしば。
作品としてはリーシーやジョイランドに似た傾向があり、ホラーが読みたい時に読むと期待通りとはいかないかもしれません。
ただ、不思議さは盛り沢山です。
私には「カードマン」の存在が一番強烈な印象で、その言動にゾクッときました。
こういうのはキングしか描けない。
フィクションかノンフィクションかわからないエピソードをさりげなくちりばめてくる技量が圧巻で、だからキングを読むのは止められないと読むたび毎回思います。 -
-
購入済み
愛美君よかったけど、実お兄様もよかった。この作品はかなりグッときました。実お兄様と風太郎君のキャラのせい?
チビチビ読もうと思ったのに、止まらず。
グッときて、じわっときて、笑えて、ほっとして、初めはやはりドキドキしたけど、優しくて、あったかくて、かっこよくて、潔くて、エロさもしっかりあって。
誠意のある作品でした。
深く吟味された作品だと思います。
ストーリーはよくても絵が好みでないとなんとなく残念ですが、にやま先生は絵も大好きです。
(ニンニンと)愛美君のきれいな目がよいです。
五代家のシリーズ、もっとやってください♡ -
-
-
購入済み
迫力ある作品だったので星5つの評価をつけますが、ハンニバルは私には最後まで謎のままの存在でした。
単純に捉えれば、感受性の強い戦争孤児だった少年が、妹を殺し、その肉を食べた人物たちへの復讐という理由で殺戮を繰り返すストーリーなのでしょうが、そう簡単には割りきれず、ハンニバルと接する大人たちも皆ハンニバルのふしぎな正体を見極めようと苦悶しているように感じました。
ミーシャと共にハンニバルは死んで怪物が生まれたという意見。
紫夫人の「あなたに人を愛する何が残っているの?」という言葉。
色々印象に残ったシーンはありましたが、
私には、鳥かごの鳥を放しながら、
「バルト海はそっちだよ、もう二度と -
-
購入済み
-
-
購入済み
クラリスはどうなってしまうのだろう、クラリスにはあまり酷い運命を突き付けないでほしい。
レクター博士もまたどうなるのだろう。逃げきれるのか、捕まるとしたら誰に?
ハラハラしながら読みましたが、ラストだけは想定外で、ワンダーランドに入ったようなふしぎな感覚でした。
このラストはずるいぞと思いながら、なんだかほっとしたり、安堵する自分がいました。
本当のクラリスはどこにいるのか?
目覚めているのか?
クラリスとレクター博士の生涯が尽きるまでに、まだ何が起こるかわかりませんが、私もバーニーのように詮索せず、本を閉じます。
「知りすぎないほうが」ですね。 -
-
購入済み
家庭での介護疲れによる虐待や無理心中、殺人、施設の中での同様の事件や事故、自殺ほう助や安楽死の問題は年々増えてきているように感じます。
介護する側、される側共に、どうにも身動きの取れない状況があり、福祉サービスで改善されれば幸運ですが、現実はそうではないようです。
また日本では安楽死や尊厳死に対する理解も低いままです。
この作品では介護士Kが果たして事件の中心人物なのかどうか、最後まで微妙な立ち位置にいましたが、あとがきで著者が「罪と罰」のラスコーリニコフを意識して執筆したと書いているのを読んで納得しました。
中学時代、読書感想文を書いたものですが、社会に出る以前の、人生経験皆無の、底 -
購入済み
咲さんと加藤先生の会話、それに目頭を押さえ「ひょっとして……」とつぶやいた野口教授、ほのぼのしました。
読後感として、鬼頭先生、藤吉先生をはじめ、この作品はメイン以外の登場人物も個性豊かに強く描かれ、どの人物も存在感濃厚なため、全体としてスケールの大きな、そして緻密なストーリーになったのだと思います。
臨場感溢れる表情も見事に描かれていて、盛り上がりのすごい作品でした。
エピソードでは、なんとも気難しかった国立先生も復帰できてやれやれ。
朝田君にはなんとしてでもチームに残ってほしかったので、ラストは少しがっかりしたのですが、仕方ないです。
つむじ風のような青年でした。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。