あらすじ
サーガに届く謎の小包。
醒めぬ悪夢が始まる。
ユレック・ヴァルテルという凶悪な殺人鬼との闘いは、ヨーナ・リンナとサーガ・バウエルの捜査によって終止符が打たれた──はずだった。心に深い傷を負って療養するサーガのもとに、連続殺人をほのめかす絵葉書が届くまでは。「ヨーナを救えるのはきみしかいない」。署名は「ユレック・ヴァルテル」のアナグラム。その葉書をサーガが受け取ってから三年が過ぎたある日、国家警察長官マルゴット・シルヴェルマンが突如失踪、後日遺体で発見される。現場には葉書の記述どおり残された純白の薬莢。それは新たな殺人鬼が練りあげた計画の始まりを告げる声だった……
感情タグBEST3
毎回、どのような形でユレックが関わってくるのか気になっていましたが、今回は初めから作者が素晴らしい表現力でユレックに言及。
その後すぐ、ヨーナの関係者の死亡事件が展開します。
ヨーナのシリーズはどれもすごいのですが、今回はサーガが復帰し、フィギュアの謎かけなど、とにかく緊迫感あふれる流れでひたすら読みました。
サーガがいると、ぐんと厚みが増して感じます。
ヨーナを含め、登場人物の描写に深みも増し、私の中では最も凝縮した作品です。
Posted by ブクログ
ラーシュ・ケプレル『蜘蛛の巣の罠 上』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ警部シリーズ。
前作『鏡の男』の衝撃のラストからの続き。ユレック・ヴァルテルで随分と物語を引っ張るものだ。連続殺人事件の犯人はユレックの模倣犯なのか、それともユレックの信奉者なのか。相変わらず、不気味な事件が描かれる。
シリアル・キラー『サンドマン』ことユレック・ヴァルテルとの闘いに終止符を打ったヨーナ・リンナとサーガ・パウエルだったが、心に深い傷を負い、療養するサーガの元に絵葉書が届く。差出人の署名はユレック・ヴァルテルのアナグラムで、ヨーナへの脅迫と9人の連続殺人を仄めかす内容だった。
それから3年後、国家警察長官のマルゴット・シルヴェルマンが厩舎で銃撃され、連れ去られた後、苛性ソーダで溶かされた悲惨な死体となって発見される。現場にはサーガが受け取った絵葉書に書いてあった純白の薬莢が残されていた。
しかし、マルゴット殺害事件は連続殺人の幕開けに過ぎず、マルゴットの葬儀を行った教会の牧師、さらに2人の警察関係者が殺害される。そして、殺害前には必ずサーガの元に次の被害者を示唆する錫製のフィギュアが送られていたのだ。
犯人に先んじることが出来ず、被害者の山を作るヨーナとサーガ。
定価1,320円
★★★★