あらすじ
2019年、リメイク版映画が公開!
競争社会を逃れてメイン州の田舎に越してきた医師一家を襲う怪異。モダン・ホラーの第一人者が“死者のよみがえり”のテーマに真っ向から挑んだ、恐ろしくも哀切な家族愛の物語。
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後半の怖さが尋常ではなく、驚きました。
もちろん、ホラーの達人であるキングの怖さもあるのですが、それ以上に、本当にぞっとする圧倒的に強烈な怖さ、嫌悪感に似た怖さを感じました。
あとがきにあるように、出版をためらうほどであるのがわかります。
何かに取り憑かれたかのように鬼気迫る作品。スピーディーにぐいぐい引き込む翻訳もよかったのではないかと思います。
やはりキングならではの重厚さ。真似しようとしても、絶対真似できない深さ。すごかったです。
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映画を先に観ました。ペットセメタリー2019。
結論から言うと、全くの別物です。
内容も結末も全く別物。
映画は、やはり時間の関係や映像として見せるうえでは、あれで面白かったし、小説は、読み物として全く面白い。
Posted by ブクログ
上巻から転じて下巻は一気に話が展開。
ルイスそれあかん、の連続。
それやっちゃうのはわかるけど、予想より上行く悪い結果がついてくる。
読んでいて辛い...救いがない最後。
苦しくなったけど、読むのが止められず、
ああ、なんて読後感。
誰も悪くないのに...なんで家族の幸せは差し出されてしまったのか。
特にエリーの今後を思うとたまらない。
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下巻に入り、いよいよ禁断の扉を開けてしまうルイス。
クライマックスはほとんど最後の部分なのだが、そこに至るまでに、数々のルイスの悲しくも激しい心情が描写される。
非常にずっしりとくる読後感。
悔いのない人生を生きていきたいと思える、ヒューマンドラマでもある気がする。
Posted by ブクログ
ゲージが帰ってくるのは終盤の終盤。そこに至るまでのルイスの葛藤、レーチェルやエリーの手に取るようにわかる焦りや不安、恐怖の描写にみるみる引き込まれる。
ジャドがあの場所を知ったのも、ルイスにそれを教えてしまったことも、全てはあの土地によって"必然"とされた出来事なのだろうな、と思う。もっと言えば、ルイスが都会での生活に疲れて大学に転職する、という決断を下したことも。あの悲劇は必然だったのだろう。
映画を観た時は、ルイスもレーチェルも、それぞれが死とちゃんと向き合わなかったことによって報いを受ける話、という風に受け取ったけど、原作は、あの不思議な魅力を持った土地に取り憑かれたために起きた悲劇、という印象を受ける。
あの土地に取り憑かれるか否かは一体何の違いなのだろう。ルイスの助手はあと一歩のところで踏み止まれた。ルイスをあれだけ慕っていただけに、彼もなかなか気の毒だなと思う。
ラストの一行は怖いと言うより哀しい、という言葉がしっくりくる。
あのあとルイスはレーチェルに殺されるのだろうか?私は違うと思う。数日、いや、数時間、明らかにおかしくなった、かつては愛する妻だったそれと過ごしたのち、自分の手で殺め、焼身自殺を図るだろう。かつてのベータマン親子のように。
エリーはどうなるだろう。あの子はかなり利発そうだし感覚も鋭そうなので、何かは察するだろうことは予想できる。ゴールドマン夫妻に大事に育ててもらい、愛する弟の事故死、次ぐ両親の不幸な死からは立ち直って、真っ直ぐに生きていく将来を願いたい。
どうか、両親の死の真相を知るためにまたあの土地に引き寄せられるようなことにはなってほしくないと願わずにはいられない。
絶対に誰も幸せにならないだろう結末を予想できるのにこんなにも引き込まれるのは、私たち読者もまたこの小説を通して、あのおぞましい"ペット霊園"の魅力に取り憑かれてしまっているからなのかな。そう考えると恐ろしい。
いろいろなことを一気に考えて本を閉じた時に目に入る表紙。これがまた胸を強く締め付ける。
ゲージじゃなくてレーチェルだったか……………。
Posted by ブクログ
哀しみに溢れた作品。 ルイスが一番苦しんだか。
エリーは第六感がすごく、それがせいで母親を死に追いやったのを知ったら苦しむだろうな。
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読むのを止められなかった。
特に中盤から。あールイスお願いだからゲージを掘り起こさないで、きっと猫のチャーチみたいに、一度戦死したあの青年みたいに邪悪な薄気味悪いゲージになって戻ってくるよ。
あの父と子、二人で凧揚げした美しい思い出を胸に生きていって…と心で叫んでたよ。
でも、甘かった。邪悪な性格で戻ってくるそんな生やさしい次元じゃなかった。隣人の老人シャドと自分の母親までも
一瞬で殺めてしまうなんて。
ルイスはそしてまたしてもやってしまったんだね。
その日のうちに埋めれば奥さんはまともに戻ってこれたの?
ルイスの喪なったもの(息子)の愛が痛切に伝わってきて、
ゲージの成長が想像で語られている箇所が特に。
ホラー小説だけど、心理描写がすごく上手くて他の作品も読んでみようと思った。
Posted by ブクログ
ルイス一家に訪れた悲劇。ルイスは悲しみのあまり、人間の禁忌を超えようとするのだが…
怖さに加えて、クライマックスの盛り上がりももちろんあるのですが、それ以上に哀しさが印象に残る作品でした。もし突然家族がいなくなってしまったら、人間は正しくない、と分かっていながらも行動を起こすのか、
ルイスの葛藤や悲しみの描写は読者の心を強く揺さぶると思います。キングのホラーが心に残るのは、こうしたところもしっかりと書き込まれているからだと思います。
物語の中にちりばめられた死への悲しみとそれに対峙しようとする人々の姿、そうした悲しみにつけこんで力を得ようとする”魔”。超常的なホラーでありながらも、どこか自分たちに身近なところも感じさせられます。
それだけにエピローグも印象的です。人間の哀しさがまた強く印象に残る幕引きでした。
Posted by ブクログ
愛する者を失ったとき、自分は理知的に行動できるだろうか?と考えさせられてしまう。
通常であればハナにも掛けないような世迷いごとであっても マヤカシであっても、そこに希望があると思えばすがってしまうかもしれない。
それがマヤカシだとわかっていて、希望がないと知っていても 己を騙してすがりつくだろう。
様々な形の愛がこの本の中にある。
Posted by ブクログ
終わりに向かって加速するルイスの悲しみと狂気に引きずられるように、読んでるこっちの足元までがどんどん冷たく暗くなっていくような感覚。
終盤の展開はあらゆる負の感情を詰め込んだ感じなのに、ときどき穏やかに暮らしていたときの描写が入ったりするから辛い。クライマックスの絶望の中にときどき希望の光のようなものが見えて、見えては消えてしまうから辛い。苦しくて怖くて、どこまでも悲しい。
小説を読んで震えたのは生涯これだけかもしれない。
読後の後味は最悪で、泣きたい気持ちで本を閉じたときに表紙絵の意味を知ってさらに打ちのめされたのでした。
キングの最高傑作だ!と声を大にして言いたいです。
それと、キング作品にしては珍しく、映画版もまあまあ良くできてると思います。
Posted by ブクログ
最後の希望に縋りついた主人公が、どんどん深みに嵌まっていく様を眺め(読み)つつ、それを止めたいという気持ちと、止められないという気持ちの二律背反に襲われる。私は子供いないですが、子供のいる方はもっと感情移入してしまうだろうなぁ、と。
Posted by ブクログ
下巻の冒頭で起こった悲劇は非常に痛ましく、裏表紙で触れられていたため展開に驚きはなかったものの、それ自体には何の予兆もなかっただけに衝撃が強い。転じて、それ自体が幼児のいる家族のリアリティでもあり、その不幸の事故こそが恐怖の源泉でもある。
蘇りの力を持つペット用の墓地という設定に留まらず、土地にまつわる忌まわしい呪いの物語という膨らませ方は上手い。加えて、指向性のない真の邪悪には人間の善意すらも容易く汲み取られてしまう。愛する者の死に対してできない納得を弱さと断じるには残酷ではあるのだが、そこから目を背けた結果としてより残酷なしっぺ返しが起こるというのは非常に忌まわしく、物悲しい。キング作品に通じるテーマとして「信じる心」があるわけだが『猿の手』の翻案だけあってそれを逆手にとった怪作である。そして蘇りが失敗したその瞬間に、抱いていた思い出すらも漆黒に塗り潰されてしまう。その代償は非常に重く、個人的にはクライマックスにもう一捻り欲しいなとは思いつつも後味はかなり悪く、その不幸な一連の事件が忌憚として語り継がれていき、いずれ怪談と成り果てるという意味では一級品のホラーであると思う。
Posted by ブクログ
「おれは聖トマスに似てるのかもしれんな。イエスが復活したと聞いて、“その手に釘の穴を見、自分の手をその脇腹の傷にさしこんでみなければ”、けっしてイエスがよみがえったことを信じない、と言ったあのトマスさ。おれに言わせれば、トマスこそは弟子たちのうちの真の医者だったんだ—―聖ルカじゃなく」
……ていう、主人公の同僚の台詞。「信じるのが宗教で、疑うのが科学」みたいな事を予備校時代、講師の誰かが言って、この ”doubting Thomas” のエピソードを連想したが、光栄な事にキングも同じ事を考えたらしい。そういえば、医師である筈のルカは『キリストの変容』のエピソードでも、神がかった少年の症状を癲癇発作と記述していない。
Posted by ブクログ
ゲージの葬儀からレーチェルが実家に帰るまでの間が死者を生き返らすことの道徳観を考えてしまいました。凡人な私はミクマク族の埋葬地に行かないで欲しいと思いながら読み続けましたが、最後はさすがスティーヴン・キングという展開になっています。
Posted by ブクログ
再読。
愛するものを失った苦悩の心情が痛いほど分かるだけに、救いのない狂気の行動に走ってしまうのは、仕方のないことなのか。
それにしても、悲しすぎる結末だ。
Posted by ブクログ
不吉さを漂わせながら緩やかに進んだ上巻を経て、吸引力が凄い下巻。
上巻の最後で予言されていたとおり、幼い息子のゲージが亡くなります。死者の蘇りについての話である以上、この息子が生き返ることは明白なのですが、実際に生き返るのはラスト50ページ前ほど。それまでは「恐ろしいことがもうすぐ起こる」という予感だけで引っ張るのだから凄い。
上巻は「死」というものの悲しさが印象的で、涙を誘うところもありましたが、下巻は蘇りの元となる魔力の描写が圧倒的。違うジャンルを読んでいるよう。
自分にも幼い息子がいるので、他人事ではない感じで読みました。
Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。ほぼ消化。
上巻でほのめかされたとおり、2歳の息子が家の前の道路でトラックに撥ねられて亡くなってしまったルイス。頭にあるのは、猫のチャーチが謎の復活をしたペット霊園の奥のミクマク族の隠された丘の上…。
結構意外に思えるのが、下巻の大半は葛藤を描くことで費やされるのだ。もっと早く埋めて、家族の破滅でも来るのかと思いきや、驚くほどに焦らされる。それが良い意味で意外であった。
だいたい下巻(と言うか全編)を読んだ人の8割方は、悪魔と化したゲージとの死闘を記憶するのであろう。しかし、この本の面白さはそこではないと思うのだ。
自分でコントロールできる生き死に。しかし、思うようにならない蘇った生き物(人間に限らず)という、「フランケンシュタイン」のようなストーリーで、ゾンビ物とは大きく異る。
そこに邪魔をしようとするのは、直感と予知夢というやや無理のある話なのだが、邪魔が入るからこその葛藤であり、読みゆく者にとっての救いにもなっている。それだけ、「ペット霊園」が人を引き寄せる何かを、うまく表現できている。
自分でコントロールできてしまうゆえの恐怖と、しっかりと練られている思考実験の数々。「ダメだったら、すべてを無にできる。ヤッホー、やったろうじゃん」という志向は、なかなか斬新であった。その思考実験が比喩に終止するあたりは、多くの読者にとっては、やや駄長に感じるかもしれない。でも結構すんなり読めるんだよなあ。これは訳が良いのか。
物語の一つの山である最後の部分は、確かに怖いし、その部分をもってホラーの名作とする人も多いのであろうが、悪魔と化したゲージを含め、無くても名作ではなかったかと思う。ショートショートみたいに軽く落ちてしまって、やや蛇足気味とも言えた。
Posted by ブクログ
読者は、誰もが自問したことだろう。もし、主人公と同じ極限的な悲劇に見舞われ、そこから逃れられるすべがたったひとつ残されているとすれば、それを選択するか否か。例え、倫理観に背こうと、非人間性を咎められようと、或る瞬間を「無かった」ことにする方法があるとしたなら。もしそれが、己の命に代えても惜しくない我が子を、「再び取り戻す」ことが可能であったならば……。スティーヴン・キングは、そのあまりにも残酷で、震えるほどに哀しいカタストロフィーを、類い希なる筆致で描き切っていく。
ホラーの要素が濃い終盤よりも、不慮の事故により息子を失った父親、その妻と娘、義父母ら家族の絆が崩壊していく展開がとにかく読ませる。愛する者の死がもたらすもの。正気を保てるか、狂気の淵へと堕ちるかは、恐らくは紙一重なのであろう。その後に待ち受ける耐え難い喪失感と悔恨が息苦しいまでに伝わってくる。
Posted by ブクログ
映像では怖くて観られないけど、ストーリーは楽しみたいって人にはオススメです
文字なのでトラウマになるような恐怖はなく、単純にアメリカンなホラーを楽しめる
Posted by ブクログ
読み始め古い本だからか漢字や意味を調べながらちまちま読みました。少しずつストーリーに引き込まれていきます。
一言で感想を言うと胸糞ではあるのだけど
親の立場だったらどうするだろうかと考えてしまう。
やり直せるならルイスと同じことをやるだろうか。
私は幼い息子がいますが答えは間違いなくNOだな。
気持ちは痛いほど分かる。あの時間に合ってたらと。
でも時は戻らない。どんなに悲しくても。
戻ってきた猫を見ただろうに。ガワが同じでも別のものなんだ。
後半ルイスはゲージの生前の顔を思い出せなくなってた。埋葬地に魅せられ囚われてしまったんだなあと。
パスコー最初めっちゃ怖かったけどいい人だったね。警告をしに現れてたんだけど怖すぎるって…笑
Posted by ブクログ
愛しているからこそ、取り返したい。その方法はもう自分の手の中にあったのなら、私はやってみたいとの誘惑に負ける気がする。知らなければ、ひたすら嘆くばかりだったのだろうか。
進んだ先には、もっともっと辛い現実が待ち受けていたのだけれど、この弱さを責めれるほど私は立派ではない。
Posted by ブクログ
死に対する感覚を、無垢な子供、トラウマをもつ母親、医師の父親、田舎で暮らした老人、とさまざまな視線から捉えていて面白い。
キング最恐の傑作、という前評判が先行したわりに展開の意外性は少なく、なるほどこうなるよねという結末。
終盤での主人公とその妻、隣人の鬼ごっこはなかなかハラハラする。
Posted by ブクログ
表紙裏
猫のチャーチがひょっこり戻ってきた。腐った土のにおいをさせて、森の奥から戻ってきた。ならば、愛する息子ゲージが帰ってきてもいいではないか!愛していればこそ呪われた力まで借りようとする人間の哀しさ。モダン・ホラーの第一人者S・キングが“死”を真っ向から描ききった、恐ろしくも哀切きわまりない“愛”の物語。
Posted by ブクログ
息子のゲージを生き返らせたのはいいけど今度は自分の手で殺すはめになってた。
事故で亡くすのはつらい。
でも自らが息子の容姿をしたモノを殺めるのもまたつらいでしょ。
なのに懲りもせず妻を生き返らせようとする。
どんなに埋めるのが早くても1度亡くなった者はもとの人間に戻らない。
哀しみは狂気に向かわせる原因なんだね。
しかも歩いて行ける距離に死者を生き返らせれる土地があれば、哀しみの中の希望に突き動かされて何度でも間違いを犯してしまう。
悪魔と化した妻が帰宅した夜、ルイスは殺された。
想像じゃなく確実だと思う。
そして隣人の老人ジャドは無視なのかよ(--
妻が亡くなった哀しみは大きいかもしれないけどジャドにはよくしてもらってきたのに。
あんな風な死に方で、しかも火を放たれたなんてルイスは身勝手な奴。