あらすじ
2013年、87歳で亡くなった父は元医師だが、医療否定主義者だった。不摂生ぶりも医者の不養生の限度を超えていた。若いころ、糖尿病になったが血糖値も測らず甘い物食べ放題の生活を続けながら勝手にインシュリンの量を増やして自然治癒させた。前立腺がんになっても「これで長生きせんですむ!」と叫び治療を拒否。こんなふうに医学常識を無視し自由奔放に暮らした。そんな父が寝たきりになって1年数カ月、医療や介護に対する私自身の常識が次々と覆った。父から教わった医療の無力と死への考え方をここでご紹介したい。
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医師である久坂部氏が、自宅で同じく医師である父を看取ったときの経験からの人間の死に方について書かれている。
ここにも書かれているが、ひと昔前は病院ではなく、普通は自宅で最後の看取りをしていた。過剰な医療、延命治療に対する疑念は、だんだんと広まってきているように思われる。
実際、認知症に効く薬はなく、その副作用を考えると、果たして処方する必要あるのかとも思う。
高齢化が進み、これからはしっかりと医療情報を収集ひ、自らの医療を、自らできちんと選択していくことが必要なのであろう。
そのためにも本書は是非一読すべき一冊である。
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医者が医療の限界を知っていることに安堵した。こんな医者なら診てもらいたい。
両親の最期を迎える心の準備をするきっかけになる。
それにしてもこのお父さん好きです。
認知症、せん妄、知りたかったことが盛りだくさん。
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秀作。
概ね同意。だけど、死に直面してこのようになるがままにふるまえる自信はない。
寿命をとらえて、苦しむのでなくやりたいことをやり、食べるものを食べていきたい。
親子で医師であり、自然体の生涯を貫くことができたのは、うらやましいです。
老いや病、生死の知識があったからだと思いますが、何より強い決意と覚悟があって為せること。
寝たきりの父のノロウィルス感染やおしめ交換など、具体的に率直に書いてくれていたのは現実感があり、勉強になりました。
介護は、周囲を巻き込んでの本音とたてまえ、気持ちのゆらぎや体力など、様々な問題がありますが、介護する側、される側が、どちらもあるがままの流れでいられたら、それが一番なのでしょう。
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とても面白かった。常日頃から長生きすることに疑問を感じていたので、これを読み早く死にたくなった。誤解を招く表現だが、自殺願望は一切ない。感銘を受けた部分を抜粋。『実際の長生きはつらく過酷なものだ。あしこしがよわって好きなところにも行けず、視力低下で本も読めず、聴力低下で音楽も聴けず、味覚低下で美味しいものもわからず、それどころかむせて誤飲のきけんが高まり、排泄昨日も低下し、おしめをつけられ風呂も毎日入れず、容貌も衰え、なんの楽しみもなく、まわりの世話にばかりなる生活が“長生き“の実態だ』
認知症になればまだましだが、頭がしっかりしているとことさら辛いことだろう。
貯金使って美味しいもの食べたら、もういいやと楽になれた本。
余命の聞かされる癌が1番ベスト。区切り分からずダラダラ生きる方が辛い。
正月早々、考えさせられた1冊だった。
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著者の父親を始めとして、いくつかの看取りの実例を示してくれるので、人の最期をどう過ごしてもらうかを考えるのによい。
父君は何もしない主義の医師だったため、現在終末期医療で行われている処置の中で、何が必要で何が不要かを考え直すことができる。
充分なデータがなしに著者の意見を書いている時は、その点を明記してくれるので、信頼できる。
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超面白い。医者である父の医療嫌いエピソード満載。とっても勇気が出る本だと思う。
死ぬってどういうことか、医療をどう利用するか考えさせられる。
2016.8.16.
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一人の人間の生き方としては、興味深いというか、面白い。
人間というものは不思議だなぁ、と改めて思った。
結局、いろんな知識を持って、リスクを考えて、自分の求めるものを選択することが大事。
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介護などの現実が描かれていて、将来自分自身が経験することになりうる状況に対する心構えを持つために、大変参考になりました。
また、人間の体の強さ・不思議さを感じ、医療者は患者の治癒力を高めるための良きパートナーであってほしいと思いました。
(再読)2025.9.21
人生の終末期にどのような心持ちになるのか、何があってもおかしくない年齢になってなお楽観的にしか考えられない自分にとっても、最期を考えさせられる一冊。人間の生きる力をどこまで信じられるか、頭がどこまで正常に働いているか、いずれにしても幸せにその時を迎えたい。
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地獄への道は善意で舗装されている
なるほど…ドクターでありながらここまで書けるのはこのお父様に育てられ、一貫した生死観を持ち合わせているからなのだろうか。
くれぐれも一般人は真似しないように、と言いながらも医者は体をよく知っているが故に、そして親子とも医者であるという特異な環境のもと、自宅で父親の最期を迎えた。この家族、この家族構成だからできたことで、誰にでもできることではない。
死に目に会えるかどうか、それは多分大して重大なことではない。
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医師で作家の久坂部羊さんの父のお話。医者にかかりすぎるのはよくないが、ここまでほったらかしにはそうそうできないとも思う。でも、こういう生き方があるのだと参考になった。
何もしないで大丈夫。あるがままを受け入れる。それがよりよく生きるヒントだと学んだ。
・ストレスが諸悪の根源説
・父の信条は「無為自然(よけいなことはせず、自然に任せるのがよい)」
・退職後はたくさん海外旅行
・定期検診の意味
・長生きする苦しみがある
・何もしないで大丈夫。あるがままを受け入れる。
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そう遠くない将来に起こり得る看取りの予習のために関連本を読んで勉強中。
人間の死について、医師の観点からも、家族の観点からも書いてあり、とても参考になった。
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在宅医療を知っている医者が書く、
在宅で家族が死ぬということについて。
通常の在宅医療や緩和医療のノンフィクションは患者本位であることが多いが、これは徹底して家族目線である
そこが、面白かった
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久坂部先生のお父様のお話。
お母様やお嫁さんは大変だったと想像がつくが、お父様のご希望が叶えられていてうらやましいと感じた
お父様も麻酔医であったそうだが、お医者さんや検査を避けていて共感をもてた
感情失禁というのがあるとは
自分で排泄ができるうちにうまくがんになって死にたいものだ