あらすじ
その車に近づいちゃダメ! 恐怖の帝王キングの短編集
廃墟となったパーキングエリアに駐まる1台の車。不審に思って近づいた者たちは――
キング流の奇想炸裂の表題作。この世に存在しない作品が読める謎の電子書籍リーダーをめぐる「UR」。
忌まわしい恐怖の物語「悪ガキ」。アメリカ文学の巨匠に捧げる「プレミアム・ハーモニー」他、
ホラー、SFから文芸色の強い作品まで10編を収録。
巨匠がさらなる洗練をみせる短編集その1。自作解説つき。
感情タグBEST3
楽しめました。百点満点です。
書籍にしたらかなり分厚いものだと思います。
あまり分厚いと途中飛ばし読みしてしまいがちですが、これはどの作品もおもしろくて集中力が途切れなかった。多彩なキングワールドです。
キングって、異常心理とか特殊な能力者以外の、普通の人の、普通の情緒をこれほど深く巧みに描けたっけ、と読み手をうならせる作品もたくさんありました。
匠の技ですね。
最後の「Ur」圧巻でした。
読むのに時間がかかりますが、キングファンには是非おすすめです。
Posted by ブクログ
いきなり表題作でガシッ、ズルズルズル…と引きずり込まれる、泥だらけでナンバープレートのない車ならぬ、キングの物語の中へ。『プレミアム・ハーモニー』の乾いたダーク。『バットマンとロビン、激論を交わす』思わず、パパ、カッコいいー、と快哉を。『砂丘』の幕切れの鮮やかさ。『悪ガキ』もキングらしいなあと思いながら読んだけれど、全く過不足ない。
ピンクのキンドル、いいなあ。
よく枯渇しないなあ、と発想にも驚くが、語り口に乗せられてどこまでもどこまでも行ってしまうよ。
やー、面白かった。Ⅱも行くしかないね、これは。
Posted by ブクログ
キングさんの著作で、長編ではシャイニング、ペットセマタリー、グリーンマイルが、短編集ではゴールデンボーイとスタンドバイミーが好きな読者です。
多作な著者のひさびさの中短編集ということで期待して読みました...
Posted by ブクログ
ホラー小説界の巨匠・スティーブン・キングの短編集。
面白かった。
結構な数の短編が収録されているのだが、その一つ一つにキング氏の「まえがき」があるのが楽しい。これを読むだけでも結構楽しめる。
車型モンスターが登場する第一話から最終話まで一気に読むことができる。
ホラー小説ばかりでなく、世にも奇妙な物語的な話もあるし、ほっこりするような話もある。
スティーブン・キングは原作映画はよく見たのだが、実は小説はあまり読んだことがないので、今後もっと読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
マイル81/プレミアム・ハーモニー/バットマンとロビン、激論を交わす/砂丘/悪ガキ/死/骨の教会/モラリティー/アフターライフ/UR
怖い話、不思議な話、不気味な話……
ふっとまた読みたくなる
Posted by ブクログ
原著2015年刊。収録作のそれぞれの初出は2009-2015年。『わるい夢たちのバザール』という原著を、邦訳では2巻に分けたようで、そのうちの1冊目に当たる。
スティーヴン・キングの短編集だが必ずしもホラーではない、普通小説っぽいものも結構あるし、何と詩も入っている。どのジャンルにおいてもキングの語り口は健在で、本当にそれは比類無い「読ませる」マジックなのである。
とはいえ、やはり私にとってはホラーっぽいもの、ないしスーパーナチュラルなものが良かった。本巻のなかでは「マイル81」「悪ガキ」「UR」が好きだ。
各編の冒頭にキングのコメントが入っていて、これもなかなか興味深い。
各短編へひとこと感想
マイル81、それまでの描写に比べて終わり方があっさりし過ぎていて拍子抜けした。
プレミアム・ハーモニー、ホラー要素なしと思っていなかったのでこちらもあれっと思いました。カーヴァーにインスパイアされたらしい。
バットマンとロビン、激論を交わす、認知症の描写がリアルで、読後感がとても爽やか。好き。
砂丘、オチのひねりが好きな人は好きかも。
悪ガキ、キングらしい不滅の悪。アウトサイダーに繋がるテーマを感じた。
死、もっと長いバージョンも読みたい。
モラリティー、面白かったです。キング作品にたまに出てくる、勇気を持てなかった側の人間の哀れさが染みる。歳をとってこういう利用される側の悲哀も理解できるようになった。こっちの方がカーヴァーっぽさを感じるような。
アフターライフ、どっちにも転びそうな終わり方がミストみたい。匙加減が絶妙。
UR、11/22/63みたいな恋情と、メルセデスシリーズみたいなバディ感を楽しめる作品。黄色いコートの男たちはアトランティスのこころか何かに出てこなかった?
Posted by ブクログ
ええ〜!?な車バックンとか、これホラーじゃないよね的なプレミアム・ハーモニーとかキングらしすぎたりらしくなかったりでなんだかモヤモヤするけどいろんな形の悪意、饒舌な前口上と相まってほんとにタチの悪い夢たちのバザール。
ちょっと幻想的だけどちゃっかりオチのある砂丘が好き。
モラリティーは考えさせられた。
些細な悪だけど言い訳できない悪で、壊れて行く夫婦。超えてはいけないルビコンビーチは、ごく日常の側にあるのだ。