宮内悠介の一覧
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ユーザーレビュー
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この小説、もっともっと評価されていい。もっともっと売れておかしくない。構想も、筋書きも、キャラクターも素晴らしい。そして、本当に良い意味で、押さえてまとめている。生意気なコメントだけど、作者の技量の進化が見れる気がする。もちろん、恥ずかしいコメントだけど、音楽への愛があるんだろうなあ。こんなハッピー
...続きを読むエンドのお話書くんだ、と思いました。読んで良かった。
Posted by ブクログ
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょこと
...続きを読むタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダラダラ無駄に長い長編よりもコンパクトに纏まった短編の方が合っているんじゃないか?感心した!見直した!
それでは、いつものとおり各作品について簡単なコメントをさせて戴こう。
〇 石川宗生「うたう蜘蛛」
最後のどんでん返しでSF登場。それまではどうしてこの作品がSFなんだろうかと思ったが、読み返してみると結構伏線を撒いている。このなかなか巧みな技術に感心した。広義の錬金術師は何でもできる、所謂何でも屋。中にはいかがわしいイカサマ野郎もいただろうに。人を甘利信用し過ぎることは昔も今も危険行為だ。警戒感の薄い偉い人は破滅する。あれ、これってネタバレか?
〇 宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
おもしろくない。
〇 斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
「詠語」って素晴らしい当て字。これだけでこの作品を最高評価せざるを得ない。それと、時間旅行者(女房)が昔改変させられた歴史を元に戻す地味な歴史改変とも思えるが、違う背景シナリオの可能性もある。主人公の心の動きも考えると百合の要素もある。結果として、かなり盛沢山な作品になり、今後の作品にも期待がかかる。
〇 小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」
ちょっと大雑把な展開、更に悪く言うとこじつけの様な気がするが、エンタテインメントの要素もあり、小川作品らしい面も垣間見られた。
〇 伴名練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
こちらは石川作品と真逆で、最初からSFの世界、典型的なパラレルワールド、王道ですね。これまで主人公が何回も何回もループする作品はあり、本作品の様に少しずつ良い方向に改変するものはあったが、さすがに20,001回も繰り返すアイディアは凄い。それだけでも伴名作品を十分に評価できる。余談だが、最近の将棋中継では形勢判断にAIが用いられる。AIが読みを深める度に形勢が徐々に変化していく。1万手読むのと1億手読むのとではかなり未来が違ってくる場合がある。まあ、AIほどではないが、この世界も場面を少しずつ変化させることで無数の将来が生じる。勿論、今回は億レベルまでには行かないが、主人公は永遠に繰り返す世界を体感する訳だ。ある意味、凄まじい程のパラレルワールドが折り重なった世界を漂流しているとも言える。素晴らしい作品だ。
今年突然現れたこのアンソロジー、日本SF界に楔を撃ち込む一冊になる可能性を秘めている。
藤井竜王、棋王戦挑決敗者復活戦、頑張れ!
Posted by ブクログ
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めちゃくちゃ面白かった!
金融とテクノロジーという、用語や概念が固いテーマを、主人公やユーセフの漫画的なキャラクターが上手く柔らかくしてて、最初から最後までずっと面白かった。スペース珊瑚礁が特に好きです
Posted by ブクログ
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明治時代に実在した若き文芸家と美術家の懇談会である「パンの会」を舞台とした人間模様とそこで推理される事件の真相、そしてデジャブ。ミステリーであり、SFであり。読み終えるのが惜しいくらい引き込まれた。
Posted by ブクログ
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「あとは野となれ大和撫子」以来の宮内悠介。前著でも感じたのですが、作者はリアルを材料にファンタジーの世界を構築するのが非常に巧みだと思います。今回は明治の芸術青年たちのサロンがその舞台です。実在する木下杢太郎、吉井勇、北原白秋などの文学者、石井拍亭、山本鼎などの画家がゲストを交えつつ「美のための美」
...続きを読むという芸術についての形而上学的な議論をする場に、現実世界の事件が持ち込まれ、あーだ、こーだと意見白熱…このフォーマット、アシモフの「黒後家蜘蛛の会」をそのまま踏襲しています。この本が紹介された時点で、その構造が明らかにされていての副題「明治耽美派推理帖」なので、大昔「黒後家」にハマったものとしてこの本をいそいそと手にした次第です。メンバーの意見が出終わった後の「黒後家」におけるヘンリー役の推理とか一本一本の短編のあとの後書きなどすっかりアシモフのそれを上書きしているのですが、単純な日本への移し替えではありませんでした。実在した芸術青年たちのサロン「牧神の会」を舞台に「黒後家蜘蛛の会」のミステリー仕立てをフォーマットとし、芸術という新しい生き方に出会った青年たちの揺れる心が、犯罪という現実生活を推理することで、さらに増幅するという結構凝った構築なのです。なのでアシモフで感じた論理的ゲームではない芸術論をエンターティメントにした作品…と感じました。そしてそれは資本主義のカタチを整え始め大正デモクラシーを前にした日本そのものの青春期であるこの時代を舞台にして、で、なくては描けないファンタジーなのだと思います。その考えるとちょっと違和感のある最終章のアシモフシステムからの逸脱は必然であるし、そこにこの作品の成立意図が込められているのでしょう。なんだか、急に「黒後家蜘蛛の会」再読したくなりました。
Posted by ブクログ
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